学芸員に向いている人の特徴とは?なる方法や活躍できる場所も紹介

学芸員とは、博物館法で定められた博物館・美術館などで働く専門職員です。資料収集のための研究・調査や、展示に関するさまざまな仕事を担っています。学芸員に向いている人の特徴や、必要な資格などについて確認しましょう。

学芸員に向いている人の特徴は?

博物館で解説する女性

(出典) pixta.jp

学芸員には、どのような人が向いているのでしょうか?向いている人の特徴を3つ紹介します。

勉強や研究が好きな人

学芸員には、勉強熱心で探求心の旺盛な人が向いています。学芸員は、研究者として自分の専門分野について研究・調査を続け、新たな発見があれば学会で発表するのが主な仕事です。

学芸員になったからといって、そこで勉強が終わりというわけではありません。仕事を続ける限り、常に研究・調査を続けることが求められます。

また、博物館・美術館で働いている多くの人は、歴史的な古文書も読み解くほどの専門知識を身に付けています。そのような人々と一緒に働くためには、勉強研究を怠らず、身に付けた知識を自在に活用できることが必要です。

人と接するのが好きな人

人とコミュニケーションを取るのが好きな人も、学芸員に向いています。学芸員は、1人で黙々と研究しているだけではありません。博物館の利用者に、展示物について解説・説明するのも、学芸員の仕事の一部です。

博物館には、大人から子どもまで幅広い年代の人が訪れるため、誰もが理解しやすいように、分かりやすく説明する力が必要になります。

また、講座で講師を務めるケースもあり、思った以上に人と話す機会が多い仕事です。他の研究員と共同で研究・調査する場合もあるため、人と接するのが苦にならない人に向いています。

几帳面な人

学芸員には、資料を丁寧に扱える几帳面さも求められます。博物館・美術館に所蔵されている資料を後世に引き継いでいくのも、学芸員にとっての重要な仕事です。

そういった資料は、どれも歴史的価値の高い貴重なものばかりなので、取り扱う際は十分に注意しなければなりません。

また、研究・調査によって得られたデータの記録・管理には、正確さが求められます。もともと几帳面な人は特に苦もなく取り組めますが、大雑把な性格の人には向かない仕事といえるでしょう。

学芸員になるために必要なスキル

アンティークの鑑定

(出典) pixta.jp

学芸員になるには、専門知識のほかに企画力・対応力も求められます。具体的に見ていきましょう。

専門知識

学芸員にとって、専門知識は欠かせないスキルの1つです。一緒に仕事をする人の中には、論文を発表している研究者や大学教授なども少なくありません。

専門分野に精通した研究者と円滑にコミュニケーションを図るためには、自分も深い専門知識を身に付け、なおかつ知識をアップデートしていくことが必要です。博物館法第7条では、学芸員の資質について以下のように言及しています。

文部科学大臣及び都道府県の教育委員会は、館長、学芸員及び学芸員補その他の職員に対し、その資質の向上のために必要な研修を行うよう努めるものとする。

これを受け、文化庁では現職の学芸員などを対象として、専門知識・技術を深めることを目的としたさまざまな研修を実施しています。

出典:博物館法 第7条 | e-Gov法令検索
参考:博物館に関する研修

企画力

学芸員には、企画力も求められます。研究・調査によって集めた資料などをどのように見せるか考えるのも、学芸員の役割です。見る人を楽しませられるような展示・企画を考えられる学芸員は、博物館からも重宝されるでしょう。

また、通常の展示だけでなく、特別展などを企画するケースもあります。多くの人の興味を引き、博物館へ足を運んでもらえるような展示を考えるために、企画力は必須といってよいでしょう。博物館の価値を高めるという目的においても、重要なスキルです。

柔軟な対応力

学芸員には、さまざまな業務を担当できる柔軟な対応力も求められます。研究や来館者への対応のほか、博物館・美術館を運営するのも学芸員の仕事です。そのため、さまざまな事務仕事もこなさなければなりません。

小規模な博物館では、企画展などのチラシ・ポスター・展示会場に設置するパネルの制作のほか、図録の編集・講演会の運営なども学芸員が担当します。研究だけしていればよいというわけにはいかないため、幅広い業務に対応できる柔軟性が必要です。

学芸員になる方法は?

勉強する女性

(出典) pixta.jp

学芸員になるには、国家資格の取得が必要です。また、学芸員と同様に博物館で働ける職種として、学芸員補という仕事もあります。資格取得の方法や、学芸員と学芸員補との違いについて見ていきましょう。

参考:学芸員になるには | 文化庁

国家資格が必要

学芸員の国家資格は、次の3つのうち、いずれかに該当していれば取得したこととみなされます。

  • 学士の学位を取得し、なおかつ大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得した人
  • 短期大学学士の学位と同等の学士を取得し、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得した人で、3年以上学芸員補として勤務した実績がある人
  • 文部科学大臣が、文部科学省令で定めるところにより、上記2つに該当する人と同等以上の学力及び経験を有すると認めた人(学芸員資格認定に合格した人)

学芸員補との違い

学芸員補とは、学芸員の仕事を補助する役割を果たす人のことです。学芸員補になるには、学芸員のように国家資格を取得する必要はないものの、以下のように一定の基準は定められています。

  • 大学に2年以上在籍し、博物館に関する科目を含めて62単位以上を修得した人
  • 学校教育法施行規則第155条第2項各号のいずれかに該当する人で、大学で博物館に関する科目の単位(9科目19単位)を修得した人

学芸員補としての勤務経験が3年以上あれば、大学を卒業していなくても学芸員の資格取得が可能です(短期大学卒業と同等の学位取得、及び博物館に関する科目を含めて62単位以上を修得している場合)。

そのため、学芸員補として働きながら学芸員を目指すという方法もあります。

参考:学校教育法施行規則 第155条第2項 | e-Gov法令検索

学芸員が活躍できる場所は?

博物館

(出典) pixta.jp

学芸員が働く場所は、博物館法で定められた登録博物館や、その他の相当・類似施設などです。それぞれの違いについて詳しく説明します。

参考:博物館登録制度について|文化庁

登録博物館

登録博物館とは、博物館法で定められた基準に照らし合わせ、都道府県または指定都市の教育委員会の登録審査を受けた博物館を指します。

登録博物館は、地方公共団体や一般社団法人などによって運営されており、館長や学芸員の設置が必須です。また、年間150日以上開館しなければならないといった要件も決められています。

登録博物館にはさまざまな種類があり、歴史博物館のように歴史的な資料を展示している博物館のほか、現代アート美術館・科学博物館など多種多様です。文化庁によると、2021年時点で911館が登録博物館として登録されています。

参考:博物館法 第2条 第4条 第10~16条 第18条 第19条 | e-Gov法令検索 
  :博物館について | 文化庁 博物館総合サイト

その他の相当・類似施設

登録博物館以外で学芸員が働く場所としては、「博物館相当施設」と「博物館類似施設」の2種類があります。それぞれの違いは以下の通りです。

  • 博物館相当施設:国・都道府県・指定都市の教育委員会が、登録博物館と類似した施設として指定したもの。学芸員に相当する職員の設置が必須。学芸員の資格を持たない教員・研究者が、相当の職務を担当する場合もある
  • 博物館類似施設:登録博物館と博物館相当施設以外の施設。活動内容は研究・展示など、他の2種類の博物館と同様。指定の条件などは特にない。学芸員の設置義務はないが、館によっては専門知識のあるスタッフを置いている場合もある

適性があるなら学芸員を目指してみよう

ギャラリーで話す女性

(出典) pixta.jp

学芸員は、博物館法で定められた博物館・美術館などで働く専門職です。学芸員になるには国家資格が必要なので、ハードルが高い職種ですが、勉強・研究が好きな人にとっては天職ともいえるでしょう。

学芸員に必要な適性があると分かったら、博物館・ミュージアムのスタッフとして働きながら目指すという方法もあります。専門的な知識が豊富な人々と一緒に働くことで学習意欲が刺激され、勉強へのモチベーションにもつながるでしょう。

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