パーソナルトレーナーは、顧客それぞれの目的に合わせ、マンツーマンでトレーニングを指導する仕事です。健康志向が高まり、パーソナルトレーナーを利用する人が増えていますが、需要は今後も続くのでしょうか?パーソナルトレーナーの将来性を解説します。
パーソナルトレーナーの将来性は?
パーソナルトレーナーの将来性は、トレーニングの需要がどのように変化するかに関係します。トレーニングを受ける人口が増えれば、パーソナルトレーナーの需要も高まるためです。
「健康維持」「高齢化」「ダイエット」の3つの観点から、パーソナルトレーナーの将来性について見ていきましょう。
健康維持の需要
健康のために、何かしらのトレーニングをしている人の数は増えています。健康診断などで運動不足を指摘され、トレーニングを始める人も少なくありません。
メタボリックシンドローム・高血圧などの成人病予防のためだけでなく、長時間のデスクワークによる肩こり・腰痛などを防ぐ目的で、ジムに通う人もいるでしょう。
最初はジムに通ってトレーニングしているだけだったのが、パーソナルトレーナーを付けて、食生活の改善も含めた本格的な健康維持に取り組む人もいます。
今後も健康への意識は高まると見られるため、パーソナルトレーナーの需要も減りにくいといってよいでしょう。
シニア層への需要
高齢者人口の増加に伴って「健康寿命」が課題となり、パーソナルトレーニングを利用するシニア層が増えていくことが予想されます。総務省統計局の発表によると、2023年2月1日時点(確定値)の65歳以上の総人口割合は、過去最高の29.0%でした。
今後も高齢化の進行は確実視されており、シニア層への需要はますます高まるといえるでしょう。実際、中高年向けのパーソナルジムが開設されている例もあります。
今後は、トレーニングだけでなく食事指導なども含めて、トータルに健康をサポートするパーソナルトレーナーが必要とされるでしょう。
参考:統計局ホームページ/人口推計(令和5年(2023年)2月確定値、令和5年(2023年)7月概算値) (2023年7月20日公表)
:人 口 推 計- 2023年(令和5年) 7 月 報 -
ダイエット目的の需要
女性を中心としたダイエットへの関心の高さは、いつの時代も根強いものがあります。近年ではただ痩せるだけでなく、鍛えられた美しいボディラインを手に入れたいと望む女性も増えています。
SNS上のインフルエンサーの影響を受けて、自分でもパーソナルトレーニングを始める人もいるでしょう。また、出産後の体型戻しや結婚式に向けたダイエットなど、女性ならではの悩み解消のために、パーソナルトレーナーを活用する人もいます。
理想の体型を手に入れたいと考える女性客の需要は、今後も減ることは考えにくいでしょう。
パーソナルトレーナーは将来性がないといわれる理由
一部では、パーソナルトレーナーは将来性がない仕事ともいわれています。どのような理由で、将来性に不安を持たれているのでしょうか?理由を2つ挙げて解説します。
収入が不安定
パーソナルトレーナーの収入の不安定さが、将来性がないといわれる理由の1つです。一般的に、パーソナルトレーナーの給料は、基本給にインセンティブが上乗せされて支払われます。
トレーニングを担当する顧客が多ければ、その分インセンティブが増えるので、手取り収入は多くなります。ただし、顧客の都合によって突然キャンセルが発生したり、担当顧客自体の数が減ったりと、収入が不安定になりがちです。
一部には高収入を得ているパーソナルトレーナーもいますが、思うように顧客を見つけられず、収入面の理由から辞めてしまう人もいます。
トレーナーが飽和状態
健康やダイエットへの需要の高まりを見込んで、トレーナーの数が増加していくと、飽和状態になることが懸念されます。日本でもパーソナルトレーナーは一般的になってきたとはいえ、トレーナーが増えれば競争が激化し、顧客獲得も難しくなるでしょう。
また高収入を狙って、フリーランスになるパーソナルトレーナーが増えることも考えられます。しかし飽和状態となった中で、自力で集客できないフリーランスのトレーナーは、淘汰されてしまう可能性もあるでしょう。
【働き方別】パーソナルトレーナーの将来性
パーソナルトレーナーの将来性は、働き方によっても異なります。正社員・フリーランス・独立開業の、3つのパターンに分けて見ていきましょう。
正社員
ジムの正社員として勤務する場合は、将来性に大きな不安はないでしょう。パーソナルトレーナーの求人は多く、未経験者から始めても研修を受けられるケースもあります。
給料はジムによって異なりますが、インセンティブ制が採用されているのが一般的なので、一定の収入を得るには顧客獲得の努力が必要です。
フリーランス・開業に比べると収入に限界はありますが、大手のジムの場合は管理職などに移行するケースもあるため、キャリアを継続するのは難しくないでしょう。
フリーランス
フリーランスのパーソナルトレーナーになるメリットは、自分で価格を設定できる点です。トレーナーとしてのスキルを高めれば、高収入を得られる可能性もあるでしょう。
いくつかのジムを掛け持ちすることも可能で、レンタルジムを活用したりオンラインでレッスンしたりと、働き方も自由です。ただし、顧客数がそのまま収入に直結するため、集客できなければ収入は途絶えてしまいます。
また年齢が上がり、現役のトレーナーとして活躍できなくなった場合にどうするか、考えておく必要もあるでしょう。
ジムを開業する
フリーランスとしてある程度の実績を積み、安定した顧客を獲得できれば開業も可能です。ただし開業するためには、設備費・広告費などのまとまった資金が必要です。開業後も、家賃・光熱費など維持費が毎月かかります。
パーソナルトレーナーとしてのスキルだけでなく、経営者としての知識も必要になるものの、成功すれば大きな収入を得ることも可能です。また、トレーナーとして働くのが難しくなった場合も、人を雇って経営を続けられるのも開業のメリットといえます。
パーソナルトレーナーとして活躍するには?
人気のあるパーソナルトレーナーとして活躍するには、どうすればよいのでしょうか?スキルアップやキャリアアップの方法を、3つ紹介します。
資格を取得して活躍の場を広げる
パーソナルトレーナーに国家資格はありませんが、さまざまな民間資格があるので、フリーランスとして活躍したいと考えている人は取得しておくのがおすすめです。
また、トレーナー以外の資格を取得しておくと、仕事の幅が広がるでしょう。例えば、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師などの国家資格を取得しておくと、プロアスリートのパーソナルトレーナーになる道も開けます。
介護・福祉関係の知識を身に付けておけば、高齢者向けのトレーナーとしても活躍できるでしょう。
独自のコンセプトを持つ
他のトレーナーと差別化できるような、独自のコンセプトを持っておくことも大切です。顧客を獲得するには、まずトレーナーとしての存在を知ってもらわなければなりません。認知度を上げるための工夫も必要になります。
SNSを活用して発信するほか、自らボディビルディングなどの大会に出て話題を作るのもおすすめです。オンラインでフレキシブルに受けられるなど、レッスンに独自性を持たせるのもよいでしょう。
認知度が高まりファンが増えれば、口コミでさらに顧客が増えていく可能性があります。
トレーナーを育成する指導者になる
将来を考えて、パーソナルトレーナーを育成する指導者としての役割を担うのも、1つの方法です。パーソナルトレーナーには年齢制限がないとはいえ、体力的な問題から続けられなくなる可能性は十分にあります。
指導者としても活動していれば、トレーナーとしての仕事が減った場合に、収入をカバーできるでしょう。後進を育てることが、フィットネス業界への貢献にもつながります。また、スクール講師など新たなキャリアの道も開けるでしょう。
パーソナルトレーナーは将来性のある仕事
パーソナルトレーナーというと、かつてはプロアスリートをサポートする仕事というイメージがありました。しかし近年では、一般の人でもジムなどでトレーナーを付ける人が増えています。
ダイエットや美容目的だけでなく、健康維持やシニア層などの需要も高まるため、これからも将来性がある仕事といえるでしょう。
求人検索エンジン「スタンバイ」には、パーソナルトレーナーの募集も豊富に掲載されています。スマホからも簡単に検索できるので、すきま時間を活用して自分に合った職場を見つけましょう。