美容師の役目は、ヘアカット・カラーなどの技術を駆使して、顧客の美しさを引き出すことです。おしゃれやトレンドに敏感なイメージがありますが、美容師に向いているのはどのような人なのでしょうか?働く上で必要なスキルや、仕事のやりがいも解説します。
美容師に向いている人の特徴
美容師は、美容院を訪れた顧客をきれいにする職業です。仕事内容は勤務場所によって異なりますが、ヘアカット・カラー・パーマなど髪の毛全般の施術を行うのが一般的です。美容師に向いているのは、どのような資質を備えた人なのでしょうか?
おしゃれが好き・トレンドに敏感
美容師は、ヘアカット・カラーリングの技術を駆使して、顧客の美しさを引き出す仕事です。顧客に満足してもらうには、技術の高さはもちろん、ファッション・美容に関する豊富な知識を備えていることが重要です。
ファッション・美容のトレンドは、毎年のように変化します。顧客から髪型やメイク、服装についてのアドバイスを求められるケースも多いため、おしゃれに興味があり、トレンドに敏感な人が美容師に向いています。
顧客が美容室を選ぶ基準はさまざまです。技術や立地、店内の雰囲気のほか、おしゃれな美容師がいることも1つのポイントになっています。
好奇心が強く向上心がある
トレンドの移り変わりが激しい美容師業界において、知識・技術のアップデートは不可欠です。新しいもの・未知のものは、自分から求めなければ得られないため、好奇心旺盛で主体的に行動できる人でなければ淘汰されてしまいます。
また、新たな技術を顧客に提供するには、何度も練習を繰り返す必要があります。美容師には、「顧客に喜んでもらいたい」という強い気持ちと向上心が欠かせません。
クリエイティブで華やかに見える美容業界ですが、多くの美容師は生き残るために並々ならぬ努力を継続しています。
忍耐力があり体力的にもタフ
美容師は基本的に立ち仕事です。忙しいときは1日中立ちっぱなしで、十分な休憩時間が取れない場合もあります。立ち仕事や接客業に慣れていて、肉体的・精神的にタフな人でなければ、美容師の仕事は務まりません。
美容師免許を取得しても、すぐに美容師としてデビューできるわけではなく、最初は先輩美容師の元でアシスタントを務めるのが一般的です。
アシスタント期間は平均3年前後といわれていますが、比較的早くデビューできる人もいれば、時間がかかる人もいます。先輩にきつく叱られたり、顧客に文句を言われたりする機会も多く、忍耐力と粘り強さが求められます。
美容師に向いていない人の特徴
専門学校で知識・技術を習得したからといって、すべての人が美容師として成功できるわけではありません。美容師には向き・不向きがあり、職業の適性がない人は、仕事を続けていくのがつらくなる可能性があります。
人と話すのが苦手
美容師は接客業の代表格です。カット・カラーの技術だけでなく、顧客の要望をヒアリングしたり、適切なアドバイスをしたりする接客技術を身に付ける必要があります。
美容師との会話を楽しみにしている顧客も多いため、人と話すのが苦手な人や、1人で黙々と作業したい人にはあまり向いていないでしょう。
コミュニケーションが不足すると、顧客が希望するスタイルを提供できなかったり、場の雰囲気が気まずくなったりします。一緒に働く先輩・同僚とも信頼関係を構築できず、よいチームプレーができないでしょう。
できれば努力はしたくない
美容師の下積み時代は長く、最初のうちはシャンプーやカラーの補助といったアシスタント業務を担当します。楽して稼ぎたい人・地道な努力を重ねるのが苦手な人は、美容師としてのデビューが遅れ、他のメンバーと技術の差が開いていくでしょう。
カリスマといわれる美容師も最初から優秀だったわけではなく、人の何倍もの努力をしている人がほとんどです。才能はあるに越したことはありませんが、不器用さは努力でカバーでき、センスは後からでも磨けます。
「どうしたら顧客に満足してもらえるか」を考えて、主体的に努力できる人でなければ、成功をつかむのは難しいかもしれません。
美容師が習得すべきスキルは?
美容師としてやっていくには、どのようなスキルを習得しなければならないのでしょうか?基本的な知識・技術は美容専門学校で学べますが、接客に必要なスキルやデザイン力は、自分自身で地道に身に付ける必要があります。
美容師としての技術
顧客のヘアスタイルを仕上げるには、以下のような美容師としての技術力が不可欠です。
- シャンプー・ブローの技術
- カットの技術
- カラーリングの技術
- パーマの技術
- ヘアセットの技術
- その他の技術
髪の状態はそれぞれ異なるため、カラー・パーマを施すときは、薬剤の種類や量、放置時間を微調整する必要があります。カット時も、髪質・髪量・顔の形・なりたいイメージに合わせて、はさみを入れなければなりません。
メイクやネイル、着付けなどを行う美容室も多く、髪の毛以外の技術を習得する人もいます。
観察力と傾聴力
技術スキル以外で重視されるのが、観察力と傾聴力です。施術前に、美容師は必ずカウンセリングを行います。
顧客が満足するヘアスタイルを提案するには、ファッションやメイク、雰囲気などからその人の好み・ライフスタイルを把握する必要があります。観察力がある人とない人とでは、仕上がりに大きな差が生まれるでしょう。
「コンプレックスのくせ毛を何とかしたい」「できるだけ小顔に見せたい」など、顧客はそれぞれ悩みを抱えています。なりたいイメージをかなえるには、相手の真のニーズ・悩みをくみ取ろうとする傾聴力も欠かせません。
トレンドを押さえたデザイン力
技術力と並んで重要なのが、美容師のデザイン力です。デザイン力がない美容師の場合、「技術力はあるのに、オリジナリティがない」「カットは丁寧なのにありきたり」と、マイナス評価を受ける可能性があります。
美容室に来店する顧客の中には、なりたい髪型が決まっておらず「お任せでお願いします」「どんな髪型が似合うと思いますか?」と、美容師にアドバイスを求める人も少なくありません。
顧客を満足させるには、素材を見極める力とイメージを形にする力が求められます。特に若年層は流行に敏感なので、トレンドもしっかり押さえておく必要があるでしょう。
美容師のやりがいとは?
仕事から得られる充足感や達成感が大きいと、また明日も頑張ろうという活力が湧いてきます。美容師は、仕事のどのような点にやりがいを感じているのでしょうか?
多くの人と出会える
人と接するのが好きな人にとって、多くの人と出会える美容師の仕事は適職といえます。オフィスワークの場合、日々顔を合わせる人は自ずと限られますが、美容師の元を訪れる顧客は職業もライフスタイルも千差万別です。
コミュニケーションを通じて、知らなかった世界を垣間見られたり、視野が広がったりするのは、美容師ならではのメリットといえるでしょう。顧客との出会いがきっかけで、新たな仕事のチャンスに恵まれるケースもあります。
感謝・満足の言葉をもらえる
美容室に来店する人の中には、自分の容姿にコンプレックスを抱えている人もいます。自分の技術・アイデアで顧客の悩みが解決されたときや、笑顔で「ありがとう」と言われたときに、美容師としての喜びを感じる人は多いようです。
顧客を相手にする接客業は、目の前の相手に臨機応変に対応しなければなりません。無理難題・クレームを言う人もおり、必ずしもよいことばかりではありませんが、感謝の言葉やポジティブなフィードバックは働く原動力になります。
美容師が複数名いる美容室には、指名のシステムがあります。顧客に喜ばれて感謝され、さらに指名されることは、美容師冥利に尽きるといってよいでしょう。
自分の技術を高められる
美容師の施術にマニュアルはなく、習得する技術にも限界がありません。美容業界はトレンドの移り変わりが激しい上、カラー・パーマの薬剤も次々に新しいものが登場します。
常に自分をアップデートしなければならない点は大変ですが、努力すればするほどスキル・センスに磨きがかかるため、向上心がある人はこの上ないやりがいを感じるでしょう。
技術レベルの高さや努力の結果は、指名や売上、口コミといった形で表れます。競争が激しく、プレッシャーも大きいですが、自分の頑張りが目に見えるのはうれしいものです。
知っておきたい美容師の大変なところ
これから美容師を目指す人は、仕事の大変な部分もきちんと理解する必要があります。美容師業界は一見、華やかに見えますが、主役である顧客をきれいにするために、多くの美容師はさまざまな苦労を重ねています。
長時間労働になりやすい
美容師に限らず、顧客を相手にする接客業は、長時間労働になりやすい傾向があります。平日働いている人は、休みの日に美容室を予約するケースが多いため、土日・祝日にまとめて休みが取れる美容師は少ないのが現実です。
忙しい日は休憩時間がほとんど取れず、予約と予約の間に簡単に食事を済ませるのが当たり前になります。営業終了後は、後片付けや掃除、次の日の準備などに時間がかかるため、人によってはワークライフバランスが実現しにくいと感じるかもしれません。
アシスタント期間中は、閉店後や休日を利用して、カット・パーマなどの自主練習をするのが通例です。業務でない限りは残業代が出ないので、デビューを夢見てがむしゃらに頑張るしかありません。
手荒れと上手に付き合う必要がある
美容師がつらいと感じる要因の1つに、「手荒れ」があります。1日に何度もシャンプーをしていると、皮脂が洗い流されて乾燥がひどくなります。
カラー・パーマの薬剤で手が荒れるケースも多く、敏感肌の場合はドクターストップがかかる場合もあるようです。特に、アシスタント時代は洗髪作業がメインとなるため、慢性的な手荒れに悩まされるでしょう。
美容師は水に触れない期間がないため、手荒れが治るのに時間がかかります。保護フィルムを使用したり、小まめにハンドクリームを塗布したりするなどして、手荒れと上手に付き合っていく必要があります。
美容師の適性を把握してスキルを伸ばそう
美容師免許を取得すれば、誰でも美容師として働けますが、活躍できるかはどうかは本人の努力次第です。美容室・サロンではアシスタントからのスタートとなるため、「思い描いていた働き方と違う」と感じるかもしれません。
これから美容師を目指す人は、自分に適性があるかどうかを見極め、技術・センスを伸ばす努力をしましょう。
求人検索エンジン「スタンバイ」には、美容師・アシスタントの求人が多数掲載されています。仕事内容をチェックしながら、自分が働く姿をイメージしてみましょう。