不動産鑑定士に向いている人の特徴は?仕事内容や資格について解説

不動産鑑定士を目指そうと考えているのなら、向いている人の特徴を知っておくのがおすすめです。仕事内容や必要なスキルも把握すれば、なるためにやるべきことが見えてくるでしょう。不動産鑑定士に向いている人の特徴や、資格を取る方法について解説します。

不動産鑑定士に向いている人は?

不動産業

(出典) pixta.jp

不動産の公正な取引を行うために、適切な価値を判断する不動産鑑定士には、仕事の特性に見合った資質が求められます。まずは、不動産鑑定士に向いている人の特徴を見ていきましょう。

責任感が強い人

不動産鑑定士とは、土地や建物の価値の鑑定・評価に携わる国家資格です。不動産の価格は利害関係者に大きな影響を与えるため、強い責任感を持って仕事に取り組む必要があります。

不動産は価格が高額になるケースも多く、自分の仕事にまつわる社会的な責任・影響も意識しなければなりません。鑑定評価について、誠実かつ厳正に判断できることが重要です。

不動産の評価は、多くの人の利害に結び付く場合が多いため、不動産鑑定士には秘密を厳守する姿勢も求められます。口が堅い人は、不動産鑑定士に向いているでしょう。

論理的な思考ができる人

不動産の鑑定評価は、一定のルールに基づいて行われます。ただし、鑑定評価は常に外部の影響を受けて揺らぐものであるため、各鑑定士による独自の解釈も不可欠です。

説得力のある判断を下すためには、周辺情勢などを的確に分析し、論理的な思考に基づいて結論を出す必要があります。何事も理詰めで考えられる人は、不動産鑑定士に適しているでしょう。

より正確な鑑定評価を出すためには、現地に足を運んだり、地域の不動産業者に話を聞いたりするなど、自分で情報を収集する積極性も必要です。情報を集めた後は複雑な計算を実行し、総合的な視点から評価を導き出すことになります。

勉強を継続できる人

周辺環境や社会情勢、災害の発生など、不動産の鑑定評価はあらゆる条件により変わってきます。不動産鑑定士には、自ら情報を集めて積極的に学ぶ姿勢が必要です。

常にアンテナを張り新しい情報を集められる人や、法改正に迅速に対応できる人は、不動産鑑定士に向いています。資格取得後も、働きながら勉強を継続する意欲が重要なのです。

また、不動産鑑定士の資格試験や実務修習は、難易度が高く設定されています。そもそも難関試験を突破しなければ不動産鑑定士にはなれないため、地道に学習を進められる人も適しているでしょう。

不動産鑑定士の資格を取る方法と難易度は?

不動産の勉強

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不動産鑑定士になるためには、2段階の試験に合格しなければなりません。試験の概要や難易度をチェックしておきましょう。

2段階の試験に合格する必要がある

不動産鑑定士の資格試験は、2段階の選抜方式で実施されます。1段階目に実施されるのが「短答式試験」、2段階目に実施されるのが「論文式試験」です。

短答式試験は誰でも受験できますが、論文式試験は短答式試験に合格しなければ受験できません。一度短答式試験に合格すれば、短答式試験の合格発表日から2年間、3回まで論文式試験に挑戦できます。

不動産鑑定士試験に合格した後は、一定期間の実務修習を修了する必要があります。さらに、国土交通大臣による実務修習を修了したことの確認を受けると、不動産鑑定士として登録することが可能です。

参考:土地・不動産・建設業:不動産鑑定士試験 試験制度の概要 - 国土交通省
  :日本不動産鑑定士協会連合会

三大国家資格の1つ

不動産鑑定士は、日本の国家資格の中でも最高難易度の資格です。不動産鑑定士・公認会計士・司法試験の3資格は、日本三大国家資格とも呼ばれます。

2022年には871名中143名が、不動産鑑定士試験の論文式試験に合格しています。2021年までの過去4年間も、受験者数と合格者数はおおむね同程度です。

かつての不動産鑑定士試験には、大卒などの受験資格が設けられていました。しかし、受験者数が年々減っていたことなどを受け、2006年から受験資格が撤廃されています。

参考:不動産鑑定士になるまでの道のりは? | 国土交通省

必須資格以外に必要なスキルは?

不動産業者の打ち合わせ

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不動産鑑定士として活躍するために、必要なスキルを紹介します。いずれも、信頼される不動産鑑定士になるために重要なスキルです。

言葉で伝える表現力

不動産鑑定士の仕事は、鑑定評価書を作るだけではありません。鑑定評価の内容をクライアントに分かりやすく説明することも、不動産鑑定士の重要な業務です。

なぜこのような鑑定評価になったのかを、相手が納得できる内容で伝える必要があります。物事を論理的かつ理解しやすいように、分かりやすく解説できる能力が必須です。

また、口頭で伝えるだけでなく、文章で人に納得感を与えられるスキルも求められます。高度な文章力は、不動産鑑定士試験の論文式試験でも問われる能力です。

資料作成などの事務処理能力

不動産鑑定士が鑑定評価書を作成する際は、不動産価値のレポートと併せて添付資料も作成します。細かい数値や分かりにくい内容を、補足的に説明するためです。

添付資料の作成には事務処理能力が求められるため、事務作業が得意な人・細かい資料を作るのが好きな人は、不動産鑑定士への適性が高いといえるでしょう。

また資料を作成する際は、表計算ソフト・ワープロソフトを使用します。レポート自体を見やすくまとめるためにも、Excel・Wordを使いこなせる能力は欠かせません。

不動産鑑定士の仕事内容とは?

不動産鑑定のイメージ

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不動産鑑定士の仕事内容を把握しておけば、資格取得後の働き方をイメージしやすくなります。どのような業務を担っているのかを見ていきましょう。

不動産の鑑定評価

不動産鑑定士のメインの仕事が、不動産の価値を決める鑑定評価です。不動産の鑑定評価は、不動産鑑定士の独占業務とされています。

不動産価格は、公的価格の指針や融資の担保評価に用いられるため、不動産の鑑定評価は社会・経済に対する影響力が大きい仕事だといえるでしょう。

鑑定評価の仕事は、個人や民間企業だけでなく、公的機関から依頼されるケースもあります。相続税課税のための路線価の評価で必要となるためです。

調査と分析

不動産鑑定士が行う鑑定評価では、さまざまな情報を利用します。役所や法務局で登記簿を確認したり、現地に足を運んで調査したりと、情報収集・分析業務が不可欠です。

例えば、ビル・マンションの価格を決める場合は、売り手と買い手の双方が納得できる根拠を示す必要があります。説得力のある数字を算出するためには、さまざまな角度からの調査・分析が求められるのです。

不動産鑑定士は鑑定評価だけでなく、書類作成や顧客との面談など、日常業務もこなさなければなりません。ただし、残業は比較的少ない職種だといわれています。

コンサルティング

不動産鑑定士は、コンサルティング業務も行えます。鑑定評価で培った専門知識と実績を生かし、不動産の有効活用法をクライアントに提案する仕事です。

不動産鑑定士のコンサルティング業務の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 土地の有効利用の提案
  • 企業を相手にした不動産有効活用の提案
  • マンション建て替えのアドバイス
  • 不動産に関する資産の管理業務
  • 市街地再開発事業における不動産の権利調整

近年は、日本の不動産が海外からの投資対象にもなっていることから、国際評価基準を用いた鑑定評価・コンサルティングを行う鑑定士も増えています。

難関試験をクリアして不動産鑑定士になろう

不動産の打ち合わせ

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不動産鑑定士に向いている人は、責任感が強い人・論理的な思考ができる人です。常に新しい情報を集める必要があるため、継続して勉強できる人も向いています。

不動産鑑定士として活躍するためには、言葉で分かりやすく伝えられるスキルや、事務処理能力が欠かせません。自分が向いていると判断できたら、万全の準備を整えて難関資格にチャレンジしてみましょう。