税理士の志望動機で気を付けることは?書く前の準備と面接対策まで

税理士の就職・転職を成功させる鍵は、履歴書の志望動機にあります。ほかの応募者と差をつけるには、どのような内容を盛り込めばよいのでしょうか?伝わる志望動機を書くポイントや事前準備の重要性、面接対策を解説します。

税理士の志望動機はどう書く?

面接をする税理士

(出典) pixta.jp

税理士が就職・転職する際、書類選考や面接では、志望動機を問われます。志望動機によって採否が決まることもあるため、何をどう伝えるのかを自分の中で整理しておく必要があります。

税理士・応募先を選んだ理由を明確に

志望動機に必ず盛り込みたいのが、「税理士のポジションで働きたい理由」と「応募先を選んだ理由」の2点です。

特に、税理士デビューを果たす人は、「数ある職種の中からなぜ税理士を選んだのか」を問われる可能性が高いでしょう。転職者の場合は、志望動機と転職理由に矛盾が生じないようにする必要があります。

税理士の就職先には、税理士法人・会計事務所・一般企業などがあります。志望度の高さを示すためにも、税理士を目指した理由だけでなく、「なぜ応募先を選んだのか」もしっかりと盛り込みましょう。

経験やスキルでどう貢献できるのか

税理士を目指したきっかけや応募先への熱意は重要ですが、熱意だけでは、税理士の仕事は務まりません。

採用する側は、採用で得られるメリットを常に考えながら選考を進めているため、具体的な実績やエピソードを交えながら、「自分が応募先にどう貢献できるのか」を伝えます。

自分で未来を切り開いていける主体性のある人材を求める応募先も多いため、キャリアプランを伝えるのも有効です。

「入社後にどのような働きをしていきたいか」を明確に伝えることで、採用担当者は応募者が活躍している姿をイメージしやすくなるでしょう。

志望動機を書く前の準備

デスクワークをする税理士

(出典) pixta.jp

「何を書けばよいか分からない」という人の多くは、志望動機を書くための事前準備が不足しています。企業研究や自己分析、スキルの棚卸しを行い、応募先と自分自身への理解を深めることが最初のステップです。

応募先の研究を行う

一口に税理士といっても活躍の場はさまざまです。顧客やメイン業務が違えば、必要な経験やスキルも異なるため、応募先の研究を通じて「応募先が求める人物像」を探りましょう。

徹底したリサーチは、自分に合う職場・合わない職場を見極めるのにも役立ちます。チェックすべきポイントは以下の通りです。

  • 業界内での立ち位置
  • 応募先の強み
  • 経営理念・ビジョン・今後の方針
  • 組織文化・社風・従業員の様子

企業研究の具体的な方法としては、ホームページ・採用サイト・SNS・口コミ・経営者の記事などから情報収集したり・説明会へ参加したりすることなどが挙げられます。

自己分析でアピールすべき点をチョイス

「○○が得意です」「○○ができます」とだけ伝えても、相手に納得感は与えられません。自己分析とスキルの棚卸しを行った上で、強みの裏付けとなる具体的な数字や事例を盛り込みましょう。

自分の強みと応募先が求める人物の一致度が高ければ、採用の可能性は高まります。高評価されやすい経験やスキルの一例は以下の通りです。

  • 税理士試験の成績
  • 税理士の実務経験
  • 一般企業で働いた経験
  • 英語をはじめとする語学力
  • 経営・ビジネスに関する知識
  • コミュニケーション力

志望動機を書く際の注意点

履歴書とペン

(出典) pixta.jp

志望動機の書き方・伝え方を誤ると、その人のイメージが大きく変わってしまいます。マイナス評価されないためにも、注意が必要なポイントを押さえておきましょう。

差別化しづらい

税理士事務所や会計事務所は全国に数多く存在します。クライアントや業務内容が似たり寄ったりのところも多く、「応募先を選んだ理由」がうまく書けない人は少なくありません。

だからといって、曖昧にまとめたり、志望動機を使い回したりすれば、「別にうちで働かなくてもよいのでは?」と選考から外されてしまいます。

履歴書の中で、志望動機は使い回しができない重要項目の1つです。コーポレートサイトを念入りに確認し、その応募先にしかない強みや魅力を探しましょう。所長のメッセージやクライアント企業一覧、担当者のブログなどにもヒントがあります。

待遇面・福利厚生だけの志望動機は避ける

「給与が高い」「福利厚生が充実している」など、労働条件や待遇面を前面に出すのは控えましょう。条件にしか興味がないと勘違いされてしまう上、好条件の応募先があれば、すぐに離職すると思われるためです。NG例を以下に列挙します。

  • 研修制度が完備されており、学びながら働けると思ったから
  • 他社よりも給与・福利厚生が充実していたから
  • 職場が家から近く、出張や転勤も少ない職場だったから

本音と建前をうまく使い分けることが選考通過のコツです。自分が貢献できることを中心に志望動機を考えれば、採用担当者に熱意が伝わりやすくなるでしょう。

税理士の志望動機・OK例とNG例

面接をする税理士

(出典) pixta.jp

税理士の志望動機のOK例とNG例をポイントとともに紹介します。実際に作成する際は、自分だけのエピソードを盛り込み、オリジナルの内容に仕上げましょう。

未経験の志望動機例文

日本経済を支える中小企業に経営面・節税面でのアドバイスがしたいと思い、税理士を目指しました。

貴社は顧客第一主義を理念に掲げ、クライアントへの提案業務に力を入れておられます。「お客さまの心に寄り添った仕事をする」という自分の目標が実現できると感じ、貴社に応募を決めました。

5年間勤務した経営コンサルタント会社では、潜在的課題に深くアプローチする課題解決力が磨かれたと自負しております。前職の経験を生かし、クライアントの経営者さまをしっかりとバックアップできる税理士を目指したいと思っております。

税理士として初めて就職する人は、税理士を目指したきっかけやどのような税理士になりたいのかを伝え、仕事に対する意欲を見せましょう。理念やビジョンへの高い共感度を示せば、自分と応募先が同じベクトルを向いていることを示せます。

経験者の志望動機例文

○○会計事務所の税理士として、主に決算業務と税務相談を担当しています。

クライアント企業の経営者さまとお話をする中で、相続の悩みを抱えている方が多いことに気付き、相続や事業承継をサポートできる税理士を目指したいと思うようになりました。

貴社は、相続専門の税理士事務所として全国にネットワークをお持ちです。事業承継やM&Aにも力を入れておられ、年間実績は○件とお聞きしています。

貴社でなら、これまで培った税理士としての経験を生かしながら、相続や事業承継に強い税理士にキャリアアップできると感じました。

税理士が転職する場合、採用担当者の興味は「なぜ転職をしたいのか」「自社でなければならない理由は何か」に集中するでしょう。前職のネガティブな話題は避け、前向きな転職であることをアピールする必要があります。

NGな志望動機例文

小中学生の頃から数字に強く、周囲から「税理士になれ」と言われて育ちました。黙々と作業をするのが好きなため、税理士の仕事は自分に向いていると思います。

貴社を選んだ理由は、未経験者への研修制度が充実しているためです。各種休暇制度も整っており、自分が理想とするワークライフバランスが実現できると感じました。貴社で一から学び、税理士として大きく成長したいと思います。

未経験者の中には、税理士の仕事内容をよく理解しないまま、イメージだけで「○○だから自分に向いているだろう」と判断してしまう人がいます。

業務や応募先への理解がないまま、その場の思い付きで志望動機を書くと、自分の勉強不足を相手にさらすことになるでしょう。

「貴社で学ばせていただく」という表現は、企業任せの印象を与えます。学ぶ姿勢ではなく、貢献する姿勢を示すのがポイントです。

「志望動機」面接対策Q&A

ネクタイを整える

(出典) pixta.jp

志望動機は、採用面接でも聞かれることが多いため、事前の対策は必須です。受け答えの内容や逆質問、当日の服装など、面接対策に関する疑問点をまとめました。

「基本」服装はスーツでOK?

税理士の採用面接の服装は、一般企業の面接とほぼ同じです。黒・紺・ダークグレーといった落ち着いた色のビジネススーツを着用しましょう。

面接の案内に「スーツ以外でもOK」と記載があれば、スーツを着用する必要はありませんが、完全な私服はNGです。ラフすぎる格好は避け、ビジネスの場でも通用するオフィスカジュアルでまとめます。

税理士は普段から会社の経営者と接する機会が多いため、清潔で誠実さが感じられる服装が理想です。

志望動機は履歴書と同じでよい?

志望動機は履歴書と同じで構いません。逆に、履歴書と面接で話す内容が異なっていると、発言に矛盾点が多いとしてマイナス評価につながります。

ただし、履歴書の丸暗記は好ましくありません。文字で表しきれなかったエピソードや経緯を補足しながら、自分の言葉で生き生きと伝えましょう。

例えば、「貴社の○○という理念に共感している」と書いた場合、面接では、「どのような点に共感しているのか」をより具体的に述べます。

志望動機以外に聞かれることは?

面接は、応募先と応募者の相性を確かめる場でもあるため、面接官からはさまざまな質問がなされます。

  • 退職理由・転職理由
  • 他社への応募状況
  • 税理士試験や合格科目について

退職理由や転職理由を聞かれた際、前職の悪口・不満を語るのはNGです。例えば、人間関係の悪さが原因だった場合、以下のようなポジティブな言葉に言い換えるのがベターです。

  • もっとチームワークを大切にして働きたい
  • 知識や経験を共有し合いながら、メンバーと切磋琢磨したい

税理士試験の合格発表前の就職活動においては、税理士試験の受験状況や手応えについて質問される可能性があります。科目の選択理由や各科目の合格年も答えられるようにしておきましょう。

逆質問は何を聞くべき?

逆質問は、応募先への意欲や自分をアピールするチャンスでもあるため、「特にありません」と答えるのはもったいないといえます。ほかの候補者に差をつける意味でも、いくつか質問を用意しておくのが望ましいでしょう。

  • ○○という資格を持っていますが、御社で生かせるシーンはありますか?
  • 御社が他社と差別化を図るために行っていることを教えてください。
  • 御社ではどのような経歴をお持ちの方が活躍しているのでしょうか?

内容によっては、逆質問がマイナス評価につながる可能性があります。以下のような質問は控えた方がよいでしょう。

  • ホームページや募集要項に既に記載がある事柄
  • 事前に説明があった内容
  • 給与・ボーナスの詳細
  • 質問の意図が分かりにくいもの

専門性の高い仕事で能力を発揮しよう

書類チェックをする男性

(出典) pixta.jp

志望動機には、応募者の労働意欲や熱意が表れます。その場の思い付きや他社の志望動機の使い回しは、内容が薄っぺらになりやすく、本気度が伝わりません。

経営理念やほかの事務所との違いをよくリサーチした上で、応募先でなければならない理由を明確に伝えることが大切です。

求人検索サイト「スタンバイ」は、税理士の求人情報が豊富です。志望動機に悩んだときは、複数の事務所や法人を比較してみるとよいでしょう。応募先にしかない強みや魅力が見えてくるかもしれません。

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