ケアマネジャーに将来性はある?業界の現状や今後の動きなどを解説

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする人に対してケアサービスの計画を策定し、サービスを提供する事業者との調整を図る仕事です。ケアマネジャーへの転職を検討している人は、将来性や業界の現状、今後の動向などを確認しておきましょう。

ケアマネジャーに将来性はある?

介護施設

(出典) pixta.jp

少子高齢化の進む日本において、介護が必要な高齢者のサポートを担うケアマネジャーの需要は、年々増え続けています。まずはケアマネジャーの将来性について、人材ニーズの観点から押さえておきましょう。

少子高齢化によって人材ニーズが拡大

2020年の内閣府の発表によると、日本の高齢化率は30%近くに上昇しており、総人口である約1億2,600万人のうち、65歳以上の高齢者は約3,600万人とされます。

急激に少子高齢化が進む中で、高齢者介護の要となるケアマネジャーの人材ニーズは、拡大の一途をたどっている状況です。

近年は、ケアマネジャーが作成する介護に関する計画書(ケアプラン)の有料化を国が検討し、ケアマネジャーの将来性を危惧する声も出てきました。

しかし、高齢者介護の専門知識を有するケアマネジャーの必要性は揺るがず、現状の人手不足も相まって、特に後述する主任ケアマネジャーの需要が大きく高まっています。

参考:高齢化の状況|内閣府 - 令和2年版高齢社会白書(概要版)

AIの台頭でも安定した需要が見込める

近年、AI(人工知能)の台頭が各方面で期待される一方で、仕事を奪われるのではないかと不安を表明する声は少なくありません。ケアマネジャーをはじめ、介護に関わる業界でも不安視する向きがあります。

確かに高齢者介護の分野においても、今後は本格的にAIの力を借りる場面も現れるでしょう。しかし基本的に、人間の面倒は人間が見る必要があります。AIが完全に仕事を奪う事態になる可能性は、ほぼ考えられないでしょう。

むしろAIをうまく活用して、ケアマネジャーをはじめ、介護に関わる人材の生産性をいかに上げるかが、これからの課題になると予想されます。

介護業界におけるケアマネジャーの現状

車いすの高齢者に手を添える介護士

(出典) pixta.jp

介護業界におけるケアマネジャーの位置付けや現状について、簡単に解説します。介護に関わる分野は、今後さらに法改正がなされる可能性もあるので、定期的に動向を確認しておきましょう。

受験資格の厳格化が人材不足の背景

介護業界全体が慢性的な人手不足の問題を抱えているのは、さまざまなメディアで取り上げられているため、知っている人も多いでしょう。

多くの職種のニーズが増している中で、近年の受験資格の厳格化を背景に、とりわけケアマネジャーは新たな人材が減少している状況です。

2018年よりケアマネジャーの受験資格が変更され、介護の実務経験だけでは受験資格が得られなくなりました。現状では、国家資格に基づく実務経験や、相談援助業務などの実務経験が5年以上ある場合にのみ、受験できるルールになっています。

そのため受験者数が大きく減っており、さらに合格難易度の高さも相まって、ケアマネジャー全体の数が減っている状況です。また近年のコロナ禍も、受験者数が減っている要因の1つとされています。

ケアマネジャーの受験資格と合格率

ケアマネジャーの資格試験は「介護支援専門員実務研修受講試験」が正式名称で、要介護者のケアプランを作成するには、まずこの試験に合格する必要があります。

受験資格は上記のように2018年に変更され、保健医療福祉分野において要件を満たす実務経験が5年以上、あるいは相談援助業務の実務経験が5年以上といった条件をクリアしなくてはなりません。さらに合格後も、介護支援専門員の実務研修の受講が求められます。

介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は年度によって異なりますが、10~20%程度であり、数ある資格試験の中でも難易度が高めです。

参考:介護支援専門員(ケアマネジャー)|厚生労働省

主任ケアマネジャーが居宅介護支援事業所の管理者に

ケアマネジャーを取り巻く状況として注目すべきなのが、居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーでなければならないとされた点です。

居宅介護支援事業所は「ケアプランセンター」とも呼ばれ、高齢者をはじめとした要介護者が介護保険サービスを受ける際、在宅介護に関わる相談や、サービスの調整などを引き受ける事業所を指します。

いわばケアマネジャーの拠点であり、常勤で1人以上のケアマネジャーが配置されていなくてはいけません。さらに、2021年4月以降は、原則として主任ケアマネジャーが管理者に就任するルールとされました。

主任ケアマネジャーは一般のケアマネジャーを管理する上級職であり、指導や育成の役割を担います。資格を得るには、一定の実務経験に加えて、主任介護支援専門員研修を受講しなければいけません。

2026年度末までは、管理者が主任ケアマネジャーでなくても問題ないとはされていますが、それ以降はケアプラン提供のための居宅介護支援事業所には、必ず主任ケアマネジャーが必要です。

参考:居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置及び地域区分について|厚生労働省

ケアマネジャー廃止論も

人材不足や、事業所の管理者が主任ケアマネジャーに限定されたことなどを受けて、一部で一般のケアマネジャーの廃止論もささやかれています。

特に国家資格取得者の試験免除科目が廃止され、試験が厳格化されたことを理由に、将来的に資格自体が廃止されるのではないかと考える人も現れているのが現状です。

しかし、これらは推測の域を出ない言説であり、実際はケアマネジャーの需要はますます高まっています。これからケアマネジャーを目指す人は、廃止論を気にすることなく、資格の取得を目指すとよいでしょう。

ケアマネジャーはこれからどうなる?

高齢者と話す介護士

(出典) pixta.jp

ケアマネジャーは今後、どういった環境に置かれることになるのでしょうか?労働時間が長くきつい仕事といった意見もありますが、近年は労働環境や待遇の改善も進んでおり、国家資格化の動きもあります。

労働環境や待遇の改善が期待できる

介護職は労働環境が厳しいというイメージがありますが、近年は人手不足解消の目的もあり、改善が進んでいる状況です。

とりわけケアマネジャーは、介護職の中で給与が高いのが特徴で、厚生労働省が人材確保のため、居宅介護支援の基本報酬の引き上げなどを度々検討しています。

さらに、一時的にケアマネジャー資格の合格者数は減少したものの、近年は再び増加傾向にあるので、今後新たな人材の流入が増えるでしょう。

ケアマネジャー自身の高齢化も懸念される

ケアマネジャーの増加が期待される一方で、既存のケアマネジャーの高齢化も懸念されています。現状、ケアマネジャーの年齢構成は40代が最も多く、次いで30代、50代の順となっているため、業界全体として若手が求められています。

日本国内で高齢者の割合が高まっており、将来的に介護職に就く人が減るのは間違いないため、若手の人材ニーズは今後さらに増していくでしょう。これからケアマネジャーを目指す20代にとっては、転職のチャンスといえます。

国家資格化の動きもある

ケアマネジャーは受験資格を得るのが難しく、試験の難易度も高めですが、2023年時点では都道府県ごとに登録・管理される公的資格であり国家資格ではありません。しかし、かねてから日本介護支援専門員協会が働きかけてきたこともあり、将来的に国家資格化される可能性もあります。

国家資格となればより知名度も高まり、ケアマネジャーを目指す人も増えると考えられます。そうなると、さらなる待遇の改善も期待できるので、今のうちに資格の取得を目指すのもよいでしょう。

今後のケアマネジャーに求められること

ベッドの高齢者の手を取る

(出典) pixta.jp

今後ケアマネジャーとして活躍するための条件について解説します。現状においては人手不足ではあるものの、今後ケアマネジャーの数が増えることも予想されるため、安定して仕事を続けるためにも、継続的なスキルアップが望まれます。

継続的なスキルアップが欠かせない

ケアマネジャーは基本的に、資格の取得までに身に付けた技能を生かして仕事を進めます。しかし今後は、AIの活用をはじめとして、新たな技術を用いて仕事の生産性を上げる取り組みがより重要となるでしょう。

新たな人材も続々と業界に入ってくるため、確固たる地位を築きつつ、流行やトレンドにも順応していく姿勢が求められます。常に安定した価値の提供を続けるためにも、継続的なスキルアップが欠かせません。

また、資格試験も力を入れるべきポイントが変わる可能性があるので、これから試験を受ける人も、介護業界の流れに注目することが大事です。

 

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車いすの高齢者と介護士

(出典) pixta.jp

ケアマネジャーの現状と将来性について解説しました。ケアマネジャーはここ数年、受験資格の厳格化などを背景に人手不足とされていますが、合格者数は徐々に増えている状況です。

少子高齢化に伴って人材ニーズもさらに高まると予想されるため、ケアマネジャーを目指すチャンスといえます。介護業界全体の動きにも注目しつつ、どういったキャリアを歩むべきか考えてみましょう。

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