歯科医師に向いている人の特徴は?役立つスキルもチェック

歯の治療を担当する「歯科医師」に向いているのは、どのような性質を持った人なのでしょうか?向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。必要になるスキルと、キャリアアップを目指すための方法も確認しましょう。

歯科医師に向いている人の特徴

歯科医

(出典) pixta.jp

歯科医師になるには、大学の歯学部や歯科大学を卒業した上で歯科医師国家試験に合格しなければなりません。ハードルが高い職業ですが、どのような人が向いているのでしょうか?主な特徴を紹介します。

細かい作業が得意

歯科では口の中に器具を入れ、歯の状態のチェックや治療を行います。硬い歯を削るための器具は、少しでも場所がずれると危険です。

手先が器用で細かい作業が得意な人なら、すぐに器具の扱いを習得できます。歯の詰め物を作るために型を取る作業にもズレは許されず、器用さが求められるでしょう。

治療後も、患者の噛み合わせを確認しながら細かく整える作業があります。特に虫歯の治療中は痛みが出るケースも多く、患者の動きを見ながら作業を進めなければなりません。手先の器用さだけでなく、細かい気配りも必要でしょう。

コミュニケーション能力がある

歯科医師は、歯の治療や定期検診に訪れる患者とコミュニケーションを取りながら、今後の方針を決めていきます。

歯を削る、抜くといった判断も必要になり、治療方針を受け入れてもらうには説明能力が必要です。分かりやすさだけでなく、患者の不安を取り除くための配慮も求められます。

痛みの感じ方や歯科治療に対する恐怖心は、それぞれ異なります。痛みが出やすい治療では、麻酔の有無や量、方針を相談しながら進めるこまやかな気遣いが欠かせません。

新しい技術を常に学ぶ意欲がある

歯科治療は、常に進化しています。学習意欲があり、新しい知識を吸収しようとする人は歯科医師に向いているでしょう。

歯周病は治療が難しい分野といわれますが、薬やレーザーによる技術も生まれており、知識を身に付けておくと患者の治療方針を考える上で役立ちます。

全ての最新治療を導入するかは歯科医師の判断によりますが、知識を学ぶ意欲が大切です。インプラントや詰め物に使われるセラミックなど、広く受け入れられてきた技術もあります。

柔軟な対応力がある

歯科は小規模なクリニックが多く、少人数で複数の患者に対応します。歯科助手が対応できる作業も多く、必要な作業だけをマルチタスクで行う対応力が必要です。

同時進行で別の患者の治療を並行して行うため、切り替えの早さや高い処理能力がある人は歯科医師に向いているといえるでしょう。

患者ごとに対応を変え、その人に合う治療を進めるには、柔軟性も求められます。それぞれの考え方を受け入れ、適切な方針を導き出すには必要な能力です。

歯科医師に向いていない人の特徴

歯の治療をする

(出典) pixta.jp

歯科医師を目指すにあたって、向いていない性質もあります。試験に合格する実力があったとしても、持っている性質によっては活躍が難しくなる可能性もあります。一般的に、医療の仕事に向いていないとされる特徴を紹介します。

人と関わるのが苦手

歯の治療を進めるには、患者や歯科助手とのコミュニケーションが重要です。特に小規模なクリニックでは、歯科医師が多くの作業をこなすケースが多く、人との関わりはどうしても生まれます。

患者とコミュニケーションが取れなければ、最初は順調でもクリニックに通う人が少なくなり、経営に支障を来すリスクもあるでしょう。スタッフとの関係性も良好に保ち、滞りなく業務を進めなければなりません。

技術があっても、人との関わりを避けたい人には不向きです。患者への説明や治療に関わる雑談、助手への指示が主な仕事になるため、人と接することに抵抗がない人に向いています。

集中力が続かない

歯科治療は医療行為です。失敗やトラブルが起きると、大きな問題に発展します。複数の患者対応を同時に行う歯科では、特に集中力が必要です。

すぐに注意力が散漫になる、短時間しか集中力が持たないという人は向いていません。他の診療科目であれば外科的な処置が必要とは限りませんが、歯科では患者の口内で器具を動かす危険な作業があります。

作業中に気を抜くと、患者の大けがにつながる可能性もあるでしょう。気持ちの切り替えがうまくできない場合は、集中力を保つスキルを身に付けなければなりません。

歯科医師に必要なスキル

葉の磨き方を説明する歯科医

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本人の性質だけでなく、スキルの有無も向き不向きに関係します。身に付けておきたいスキルや能力を見ていきましょう。患者と向き合い、治療を施す大切な役割を担っているからこそ、多くのスキルが求められる職業です。

カウンセリング能力

歯の治療は、患者の訴えを聞いて方針を決めていきます。虫歯があっても、外から見ただけでは分からないケースが多く、カウンセリングが重要です。また、患者は自分の症状が何なのか把握していないため、分かりやすい言葉で話してくれるとは限りません。

痛みの有無や患者の希望を的確に聞き出し、何が必要なのかを判断するのが歯科医師の役割です。カウンセリングには、相手の話を聞く力が求められます。

患者の希望を聞き出したら、治療のために何をしなければならないのかを説明し、納得してもらう「話す力」も必要です。

特に、歯科矯正・ホワイトニング・インプラントなど、高額な治療や審美的な側面を持つ施術は、カウンセリングによって信頼感を高められます。

マネジメント能力や経営力

いずれ独立開業し、自分のクリニックを持つつもりであれば、運営に関するスキルが必要です。自分でスタッフを雇い、教育・管理するマネジメント力は欠かせません。

クリニックの開業場所や周辺に住む患者の傾向によっては、どの診療科目を掲げて開業するかも重要です。マーケティングの知識があれば、適切なエリア選定ができます。

利益を出し、運営を続けるには、経営者としての実力が総合的に求められるでしょう。個人の開業医は、技術力だけでなくさまざまなスキルを磨かなければなりません。

歯科医師がキャリアアップするには

歯科医の男性

(出典) pixta.jp

試験に合格し、働き始めてからはキャリアアップについて考えなければなりません。主なキャリアアップの方法を2パターン紹介します。

経験を積む

国家試験に合格し、歯科医師としての資格を得た後は研修医として経験を積みます。研修医の期間が終わっても、さまざまな分野・症例の知識を身に付け、経験を積んでいくのがキャリアアップへの近道です。

いずれ独立を考えているとしても、実際に経験を積み多くの症例を見て対処法を学ぶことで、さまざまな患者に対応できるようになります。

一般的な保険診療だけでなく、最新技術による治療の知識まで身に付けようとすると、長い年数がかかるでしょう。多くの患者が集まる病院・クリニックで働くと、多くの症例を見る機会が生まれ、時間を短縮できます。

専門性を追求する

基本的なスキル・知識を身に付けるのは当然として、他のクリニックとの差別化を図るには専門性を追求するのも大切です。

各学会の認定を受けると専門医を名乗れます。広告に使用できるのは、口腔外科・歯周病・小児歯科・歯科麻酔・歯科放射線の5種類です。

専門医の資格を持っていると、該当分野の知識・スキルを証明でき、開業の際にも専門性をアピールできるでしょう。専門医に診てもらいたいと考える患者は多いため、特定の分野に関する専門知識を持っているのは強みになります。

参考:医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について|厚生労働省

患者に寄り添える歯科医師になろう

説明する歯科医

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職業には適性があり、性質的な向き不向きがあります。しかし、短所は努力で克服が可能です。

歯科医師に向いていない特徴があると感じているなら、乗り越えるための努力から始めましょう。経験を積むうちに技術が上がり、マルチタスクや細かい作業にも慣れていきます。

専門性を高めて得意分野を作り、興味のある仕事内容に特化するのもよいでしょう。向いていないからと諦めるのではなく、目指している理想像に近づけるよう行動するのが大切です。