臨床心理士に向いている人とは?必要なスキルやスキルアップのコツも

「臨床心理士」は、人の心理を学び、知識を身に付けた専門職です。どのような人が向いている職業なのでしょうか?向いている人の特徴や、向いていないとされる特徴も併せて紹介します。必要なスキルとスキルアップのコツも覚えておきましょう。

臨床心理士に向いている人とは?

カウンセリングをする女性

(出典) pixta.jp

臨床心理士は、「公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会」が認定する民間資格であり、心理的な問題の解決をサポートする職業です。

資格取得には専門の大学院を卒業しなければならないため、進路を考える上でも適性が気になる人は多いでしょう。臨床心理士に向いている性格的な特徴や資質について紹介します。

参考:公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会

人の力になるのが好き

臨床心理士は、臨床心理学に基づく知識・スキルを生かして精神的なサポートを行います。人の悩みを聞くのが苦にならず、共感できる人が向いているでしょう。

困っている人の助けになりたいと強く願っている人は、親身にカウンセリングができます。どのような治療・検査が必要なのか見極め、適切なアドバイスをするには、「人の力になりたい」という気持ちが欠かせません。

真剣に話を聞いてくれる人には、相談者も心を開きやすくなります。一緒に落ち込むのではなく、冷静さを保ち共感力も備えている人は、臨床心理士に必要な資質を持っているといえるでしょう。

観察力・洞察力がある

相談者は、必ずしも全ての悩みを話してくれるわけではありません。言葉にできない悩みや、本人も気付いていない心理的な問題に対処するには、観察力・洞察力が求められます。

相談中に見せる仕草や話し方、悩みの概要から、何が問題となっているのか総合的に判断する能力が必要です。

相談者の様子を観察し、何を考えているのか、どのような症状・トラブルで悩んでいるのか洞察できる人は、臨床心理士に向いているでしょう。

冷静さと判断力がある

臨床心理士は、相談者に対してアドバイスや治療・検査の提案を行います。話を聞くだけでなく、治療の専門家へつなげたり問題を解決したりするためには、適切な判断をしなければいけません。

相談者の気持ちに寄り添うだけで終わらず、心理の専門家として冷静に判断できる人が求められます。

相談者は深い悩みを抱えていることが多く、悲しい話・重い話を聞く場面も多々あります。冷静な判断力を持っていれば、気持ちの切り替えもスムーズにでき、ストレスや気持ちの落ち込みを防げるでしょう。

向上心がある

臨床心理は、人の気持ちに関する専門分野です。新しい研究結果によって、それまでの常識がくつがえることも少なくありません。

時代や年齢層によっても、トラブルの原因は変わってきます。新たに増えてきている悩みや、世代特有の問題を知っておくだけでも解決につながるでしょう。

向上心を持ち、新たな情報・知識を取り入れようとする意識は、臨床心理士に欠かせません。資格は5年ごとの更新制となっており、教育研修への参加も求められます。

臨床心理士に向いていない人とは?

考え事をする白衣の女性

(出典) pixta.jp

臨床心理士の仕事に、向いていない性質や特徴はあるのでしょうか?必要な資質や仕事内容から、向いていないと考えられる特徴を解説します。

人と話すことが不得意

問題を解決するには、相談者と会話をし、気持ちを聞き出すのが最初の一歩です。本人が何を考えているのか分からなければ、適切な対処法も判断できないでしょう。仕事の多くが相談業務となるため、人と話すことが苦手な人には不向きです。

悩んでいる人が自分から心を開き、すぐに何でも話してくれるとは限りません。そのため、臨床心理士の方から働きかけ、話しやすいような雰囲気づくりや質問をする必要があります。

コミュニケーションが不得意な人は、相談者から話を聞き出すまでに時間がかかり、問題が大きくなってしまう可能性もあります。また、話しにくい人と判断されてしまうと、相談者の信頼を得られないリスクも考えられるでしょう。

感情移入をしやすい

共感力は、臨床心理士に必要な資質です。しかし、相手に感情移入し一緒になって悩んでしまうと、冷静に判断を下せません。

仕事をしていく上でストレスがたまりやすいだけでなく、専門家が同調することで、相談者の悲しみ・怒りが増幅してしまう可能性もあります。

共感した上で、一歩引いて感情をコントロールする力が必要です。感情移入して、相談を受けているのに泣いてしまったり、声を荒らげてしまったりなどの傾向がある人は、向いていないと考えられるでしょう。

あくまでも仕事であることを忘れず、相談者にとって何が最善かを見極めなければなりません。

自分の価値観を押し付ける

悩み・気持ちを聞き出すには、相手の意思を尊重し寄り添う必要があります。自分の意見・価値観だけを押し付けると、信頼は得られないでしょう。

心理的な問題を抱える人は傷つきやすく、価値観の押し付けや強い否定によって、心を閉ざしてしまう可能性もあります。

話をしっかり聞き、相談者の思いを受け入れるのが重要です。臨床心理士は、あくまでも問題を解決するためのサポート役であり、医療行為や命令をする立場ではありません。

人の間違いを指摘せずにいられない人や、自分と違う意見を否定しがちな人は、臨床心理士に向いていないといえるでしょう。

臨床心理士の大変なところは?

疲れた白衣の女性

(出典) pixta.jp

人の心理に深く踏み込む臨床心理士は、大変な仕事といわれます。仕事内容や相談者との関わり方から、どのような点が大変といわれるのか見ていきましょう。

心理的な負担が大きい

相談者は、カウンセリングや精神的なサポート、専門家の治療が必要だと考えて、臨床心理士を頼ります。そのため、相談内容が重い話題となることが多いでしょう。

つらい出来事や苦しい気持ちを聞いていると、相談されている側の心理的負担も大きくなります。

理路整然と静かに話してくれる相談者ばかりではなく、感情的になる人も多いでしょう。悲しみ・苦しさをぶつけられても、親身に話を聞かなければなりません。

話を聞きながら問題解決の方法も考えなければならず、ストレス耐性が必要とされる仕事です。精神面では、大変な仕事といえるでしょう。

個人情報の管理に注意が必要

臨床心理士は、悩んでいる人の話を詳しく聞くのが仕事です。相談者・関係者の個人情報は、徹底した管理が求められます。

他の仕事と比べると、プライベートな話を聞く機会が多くなるのが特徴です。相談者が周囲に隠したいと考える内容や、不特定多数に知られると相談者・関係者の評価が著しく下がる内容などが、含まれているケースもあり得ます。

相談内容を記載した書類やパソコンの管理だけでなく、守秘義務があることを意識した行動が必要です。

また、相談者側だけでなく、自分の個人情報にも注意を払いましょう。相談者にプライベートを明かし過ぎると、トラブルにつながるリスクもあります。専門家として、精神的に弱っている人の依存度を高めるような言動は避けるようにしましょう。

臨床心理士に必要なスキル

面談する白衣の女性

(出典) pixta.jp

臨床心理士には、性質的な面で向き不向きはありますが、スキルで補うこともできます。適性に不安がある人も、努力によってスキルを身に付ければ、仕事をスムーズに進められるでしょう。ここでは、必要とされる主なスキルを紹介します。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、相談者の話を聞きアドバイスをする臨床心理士に必要なスキルです。

会話や相手の気持ちを読み取る力が優れている人もいますが、仕事では「相談者が話しやすくなるような態度」「話を聞き取って理解する力」などが求められます。

コミュニケーション能力は、多くの人と触れ合い、理解しようとすることでも身に付きます。心理を学び、相手を不快にさせない言葉選びや行動を覚えていくのも大切です。

倫理観

臨床心理士への相談を検討するのは、悩み傷ついた人たちです。人の心理を学び、仕事とするのであれば、人権や倫理を重視することが求められるでしょう。社会的モラルや常識を守る「倫理観」は、精神的なサポートを行う上で欠かせません。

相談者が悩んでいる原因や、不安定な感情の中には、倫理に反する内容が含まれるケースもあります。自分を律し、倫理に反することなくアドバイスや適切な対応をしなければなりません。

ただし、倫理観は幅広い内容を含んでいるため、自分の考える倫理観を絶対的に正しいと思い込み、相手に押し付けるのはNGです。

臨床心理士としてスキルアップするには?

調べ物をする白衣の男性

(出典) pixta.jp

臨床心理士のスキルや資質を身に付け、スキルアップを図るには何をすればよいのでしょうか?資格を取り、仕事をしていく上でしておいた方がよい行動を解説します。

専門分野を追及する

学校・教育機関のスクールカウンセラーや、福祉施設で子ども・高齢者のカウンセリングを担当するなど、臨床心理士が活躍する場は幅広くあります。

働く場所や専門とする研究内容によって、仕事内容・相談者の傾向は異なります。そのため、必要な知識をアップデートし、専門性を高めていくことが求められるでしょう。

学びたい研究内容が決まっている場合は、自分が深堀りしたいテーマに合わせて働く場所を選ぶのもポイントです。仕事をしながら、臨床研究に役立つ実績・症例も集まっていくでしょう。

さまざまな人と交流をする

臨床心理士は相談者のカウンセリング以外に、他の医療従事者との連携が求められる職業です。カウンセリングを続けていく上で、治療や他の専門家の意見が必要と判断されることもあります。

交流会・勉強会は、同じ臨床心理士と意見交換したり、他の医療従事者の話を聞いたりなど、幅広い見識を身に付けるには欠かせないイベントです。臨床研究を進める上でも、役立つでしょう。

多くの人と交流すると、新たな知識が身に付くだけでなく、何かあったときに相談や連携を取りやすくなります。スキルアップ・キャリアアップを考えるなら、人との交流機会を見逃さないよう、常にアンテナを張っておくのが大切です。

適性を把握して臨床心理士を目指そう

心理士の女性

(出典) pixta.jp

臨床心理士がカウンセリングを行う際には、相談者の話を親身になって聞いたり、観察力・洞察力が必要となったりします。その分精神的な負担は軽くなく、感情移入しないよう注意する必要があるなど、バランス取りが重要な仕事といえます。

適性の判断ができ、資格取得に向けて勉強していくことを決めたら、就職先についてもチェックしておきましょう。

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