言語聴覚士に向いている人の特徴とは?必要なスキルややりがいも紹介

人間の「話す」「聞く」「食べる」といった行動について、さまざまなサポートに従事する言語聴覚士は、福祉・介護・教育など幅広い分野で活躍しています。これから言語聴覚士を目指す人は、向いている人の特徴や仕事のやりがいなどを確認しておきましょう。

言語聴覚士に向いている人の特徴

白衣でヒアリングする女性

(出典) pixta.jp

言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションや食事に関して、さまざまなサポートを担当するスペシャリストであり、国家資格が必要な仕事です。まずは、言語聴覚士に向いている人の特徴から確認しましょう。

参考:言語聴覚士とは | 一般社団法人 日本言語聴覚士協会

思いやりがある人

相手に寄り添い、共感できる思いやりのある人は、言語聴覚士に向いています。言語聴覚士は、言語障害や言語機能に問題を抱える人をサポートするケースが多いので、言葉をうまく使えない人の気持ちをくみ取れる、共感力のある人でなければ務まりません。

さらに、サポートの対象は子どもから高齢者まで幅広く、さまざまなタイプの人とやりとりする必要があります。誰とでも分け隔てなく付き合える人ならば、長く仕事を担えるでしょう。

忍耐力がある人

長期にわたり言語に関する訓練を施す場合もあるので、粘り強く相手に向き合い、さまざまな支援ができる忍耐力のある人も、言語聴覚士に向いています。

特に、言語障害や言語機能の低下を抱える人のリハビリは長期間に及ぶため、根気強く患者に寄り添わなければいけません。

サポートの効果がすぐに現れないケースもあるので、試行錯誤を繰り返しながら支援を進められる忍耐強さは、言語聴覚士の仕事をする上で大切です。

洞察力がある人

言語聴覚士は、患者の気持ちを表情・視線などから読み取ったり、ちょっとした態度の変化に気付いたりする必要があるため、洞察力も求められる仕事です。

人によっては、ノンバーバル(非言語)のコミュニケーションがメインになるケースもあるので、他の職種以上に相手を理解しようとする姿勢が求められます。

相手を注意深く観察し、どういった手助け・サポートをすべきか推し量る力が必要なので、他者の感情を読み取るのが得意な人は、言語聴覚士としても成功しやすいでしょう。

問題解決能力がある人

他者の感情に寄り添いつつも、冷静かつ論理的に問題解決を図る力も、言語聴覚士に必要な資質です。患者によって異なる問題に向き合い、論理的に解決策を模索する能力が求められます。

既存の解決方法が通用しない場合もあるので、問題を客観的に把握・分析し、クリティカルに考えて新しい解決法を導き出さなければならないケースもあるでしょう。粘り強く問題に立ち向かい、分析と実践を重ねる努力も必要です。

言語聴覚士に向いていない人の特徴

患者と話す医療従事者

(出典) pixta.jp

言語聴覚士に向いていない人の特徴には、何があるのでしょうか?言語によるコミュニケーションに興味がない人はもちろん、人に興味を持てなかったり向上心がなかったりする人は、言語聴覚士の仕事を続けるのは難しいでしょう。

人にあまり興味がない人

人にあまり興味がない・理解しようとしないという人には、基本的に言語聴覚士は向いていません。相手の状態や問題・課題に長く向き合う仕事なので、相手よりも常に自分の都合を優先したい人は、別の仕事に就いた方がよいでしょう。

相手のペースに合わせて会話したり、適宜サポートを提供したりする必要があり、チームで問題を解決しなければならない場面も多々あります。そのため、チームで協力しながら仕事を進めるのが苦手な人も、言語聴覚士として働き続けるのは困難といえます。

向上心がない人

自らを専門家として高め続ける向上心を持てない人には、言語聴覚士は向いていないでしょう。

患者をよりよい状態にするためには、臨機応変なサポートが求められます。脳科学・認知科学などの分野に関する新しい情報を得ながら、常に成長を続けなければいけません。

言語聴覚士は国家資格であるため、資格の取得には相応の勉強が不可欠ですが、取得後も継続して学び続ける必要があります。

言語聴覚士のやりがいとは?

医療従事者の女性

(出典) pixta.jp

言語聴覚士に向いている人はもちろん、たとえ自分に適性がないと感じている人でも、やりがいを感じられれば努力を続けられるため、言語聴覚士として活躍できる可能性があります。言語聴覚士の仕事には、どういったやりがいがあるのでしょうか?

患者に合わせたプログラムを考える

相手の状態に合わせて、発声や聴覚、摂食・嚥下(えんげ)などのサポートを提供するのが、言語聴覚士の仕事です。患者によって症状はさまざまなので、その人に合うプログラムをチームで考える必要があります。

言語聴覚士は、医療施設でも貴重な人材である場合が多く、理学療法士や作業療法士と協力しながら仕事をします。専門性の高いサポートを通じて患者に貢献できる点に、やりがいを感じる人は多いでしょう。

患者が回復する過程に携われる

訓練の成果が出て患者から感謝されたり、回復する過程に携われたりすることも、やりがいにつながります。患者の症状が緩和・解消され、社会復帰を果たせるようになれば、直接感謝を伝えられる機会もあるでしょう。

特に、言語の障害に悩んでいる人にとっては、サポートによって日常生活を取り戻せる可能性があるので、大きな喜びを得られます。ともに喜びを分かち合うことで、日々の仕事へのモチベーションとなるでしょう。

言語聴覚士の仕事に役立つスキル

高齢者と話す医療従事者

(出典) pixta.jp

言語聴覚士として活躍するためには、以下のスキルが求められます。さまざまなタイプの人と意思疎通を図るコミュニケーション能力に加えて、言語聴覚士として仕事をするために必要な知識はもちろん、心理学・教育に関する知見なども役立ちます。

コミュニケーション能力

相手の気持ちを理解しようとする姿勢や聞く力・話す力などは、言語聴覚士として働く上で必須です。スムーズにコミュニケーションを取るために求められるスキルであり、専門家としての指示を患者に聞いてもらうためにも欠かせません。

また患者だけではなく、理学療法士や作業療法士、医療機関に勤めている場合は医師や看護師、介護施設ならば介護福祉士といった、専門職との協力が不可欠です。

互いの知識や経験、スキルなどを補完しながら成果を上げるためには、協力関係をうまく構築する力が求められます。

たとえ現状において他者との意思疎通が苦手な人でも、訓練によって身に付けることが可能です。言語聴覚士として活躍したい人は、積極的にコミュニケーション能力を身に付けるようにしましょう。

さまざまな経験や知識

言語聴覚士として活躍するには、言語や身体機能に関する専門的な知識が求められます。人間の体は、複数の器官の機能が相互に連携し合っているので、脳や口腔内など言語聴覚士としての専門領域以外の知識も、仕事に役立つケースが多々あります。

また、患者を落ち着かせたり、リラックスしてリハビリをしてもらったりするために、心理学などに関する知識も有用でしょう。

子どものサポートを担当する可能性もあるので、教育に関する知識が役立つ場合もあります。さまざまな領域に興味を持ち、積極的に知識・スキルを身に付けていきましょう。

適性・スキルを確認して言語聴覚士を目指そう

白衣姿の女性

(出典) pixta.jp

言語聴覚士の仕事は、他者を思いやりながら、忍耐強く問題に向き合える人に向いています。また、患者の状態を注意深く観察し、必要なサポートを選択する洞察力も欠かせません。

国家資格である言語聴覚士の受験資格を得るには、養成課程のある学校を卒業している(あるいは卒業見込みである)必要があるので、長期的な視点で計画を立てる必要があります。どのルートで資格の取得を目指すのか、早めに決めるようにしましょう。

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木山美佳
【監修者】キャリアコンサルタント・人材育成コンサルタント木山美佳

株式会社キャリ・ソフィア代表取締役一般社団法人ダイバーシティ人材育成協会代表理事大手総合人材サービス会社、JAL系研修会社を経て2011年に株式会社キャリ・ソフィアを設立。人材育成事業を通して5万人以上のキャリア形成に携わってきた。Career Elements CardⓇなどのキャリア教材考案者。大阪府立大学大学院人間科学修士(博士後期課程単位取得退学)。国家資格キャリアコンサルタント。

著書:
自分から動く部下が育つ8つのパワーフレーズ(同文舘出版)