柔道整復師に将来性はある?現状から活躍できる場所まで詳しく解説

柔道整復師は整骨院・接骨院で、打撲・骨折などによる患者の症状を緩和したり、リハビリをサポートしたりする仕事です。これから柔道整復師を目指す人にとっては、将来性が気になるところでしょう。現状や具体的な仕事内容とともに解説します。

柔道整復師の現状と将来性

整体師の男性

(出典) pixta.jp

整骨院・接骨院で、打撲・脱臼・骨折といった患者のけがの治療に携わる柔道整復師は、スポーツをやっている人ならばお世話になった経験があるかもしれません。これから柔道整復師を目指す人に向けて、まずは現状と将来性について説明します。

柔道整復師の数は増加傾向に

柔道整復師の数は年々増加傾向にあり、今後も整骨院・接骨院の数とともに増える可能性が高いでしょう。厚生労働省の資料によると、2020年における柔道整復師は7万5,786人で、2018年と比べて2,769人(3.8%)増加しています。

また、整骨院・接骨院など柔道整復師が働く施術所の数は、2020年には全国5万364カ所で、2018年と比べて287カ所(0.6%)増加している状況です。

さらに近年では、介護施設に勤務する人やスポーツトレーナーとして働く人も多く、活躍できる場が増えているのも、柔道整復師の数が増えている要因といえます。

参考:就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所|厚生労働省

高齢化による需要の高まりが期待できる

内閣府の調査によると、2022年10月1日時点で総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は29.0%です。このままいけば、2070年には2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上という、超高齢化社会が到来するともいわれています。

急速な高齢化の進行により、脱臼・骨折などのけがを負う人が増える可能性もあり、柔道整復師の需要は今後さらに高まっていくでしょう。

また健康意識の高まりも、需要が期待できる理由の1つです。病気・けがをしてから医療機関にかかるのではなく、定期的に体のメンテナンスをすることで、長く健康に生きることを意識する人が増えています。

そうした観点からも、けがの予防に貢献できる柔道整復師のニーズはさらに高まるといえるでしょう。

参考:令和4年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況 令和5年度高齢社会対策(令和5年版高齢社会白書)|内閣府

開業権を生かして独立への道も歩める

柔道整復師には開業権が認められており、資格を取得して整骨院・接骨院を開業し、自らの事業として運営している人が数多くいます。

自営業として独立すれば、定年退職もありません。年齢を気にせず長く働けるのも、柔道整復師に将来性があるといわれる理由の1つです。

副業として活動することも可能なので、平日は会社員として働きながら、週末・祝日などに柔道整復師の仕事をするといったワークスタイルもよいでしょう。柔道整復師としての技能が広く認められれば、年収アップも十分に期待できます。

参考:開業準備の前に確認しよう!受領委任を取り扱うための柔道整復師の施術管理者研修の受講と実務経験期間について | 接骨院・鍼灸院の開業・運営支援なら - 日本柔整鍼灸協会

柔道整復師が活躍できる施設や仕事内容

ヒアリングをする整体師

(出典) pixta.jp

柔道整復師が活躍できる場としては、整骨院・接骨院だけでなく、病院・介護施設なども挙げられます。また、スポーツトレーナーとして、アスリートのケアに従事している人もいます。それぞれ、具体的な仕事内容とともに確認しましょう。

整骨院・接骨院

柔道整復師といえば、整骨院・接骨院で働いているイメージを持つ人が多いでしょう。

整骨院・接骨院で働く柔道整復師は、日常生活やスポーツ中、事故などでけがをした人に対して、さまざまな施術を通じて症状を解消したり、緩和したりする役割を担っています。

医師とは違って薬や手術などによる処置ではなく、体の自然治癒力を向上させ、けがの治りを早めたり、痛みを改善したりするアプローチです。ただし、骨の位置を正常に戻したり、脱臼した関節をはめたりする施術を行うケースも少なくありません。

病院

病院の整形外科で働く柔道整復師も数多くいます。整形外科は、患者の骨・筋肉・神経といった部位の損傷・病気などを扱う診療科であり、柔道整復師は理学療法室などで、主に患者のリハビリテーションに携わります。

打撲・脱臼などの治療も担当している場所なので、柔道整復師の知識・技能を十分に生かせるでしょう。

また、リハビリテーション科がある病院の場合には、そこで患者のケアをしている柔道整復師も数多くいます。病院のスタッフとして勤務するため、安定した収入を得られるのが魅力です。

介護施設

介護現場においては機能訓練指導員として、病気・けがによって介護が必要になった人の訓練などを実施します。

機能訓練指導員とは、一般的に高齢者に対し、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防ぐ訓練を、介護施設で行う技能を有する存在です。柔道整復師のほかに、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが該当します。

特別養護老人ホームや通所介護施設(デイサービス)などでは、最低1名の機能訓練指導員の配置が義務付けられているため、これらの施設では柔道整復師の採用ニーズが高まっています。

スポーツトレーナーとしての道も

柔道整復師の資格があると、スポーツトレーナーとしても活躍が可能です。

スポーツトレーナーは、スポーツ選手の体のメンテナンスや、整復・固定・後療法などに関する施術を行います。アスリートが自らの競技で十分な結果を残せるように、さまざまなサポートをする役割です。

スポーツトレーナーの働く場所は、個人向けのトレーニングジムやフィットネスクラブをはじめ、企業・学校まで幅広く、有名アスリートと個人契約を結んで高収入を得ている人もいます。

求められる柔道整復師になるには?

整体師

(出典) pixta.jp

柔道整復師はニーズの大きな仕事ではあるものの、絶対数が増加傾向にあるため、積極的にスキルを身に付け、ほかの柔道整復師との差別化を図ることが大事です。

柔道修復術の専門家として技能を磨くだけでなく、多くの患者と接するのでコミュニケーション能力も磨きましょう。

施術の技術を磨く

柔道整復師は、人体に関するさまざまな知見が求められる仕事です。運動学・生理学・解剖学・衛生学など、国家資格を取得するために多くの知識が求められます。加えて、施術の技能も身に付けなければいけません。

一朝一夕には習熟できないものが多いので、根気強く知識・スキルの習得に努めましょう。他者よりも幅広い知識を身に付けることで、患者により正確なアドバイスが可能になり、差別化にもつながります。

コミュニケーション能力を高める

日常的にさまざまなタイプの患者と接する仕事なので、基本的なコミュニケーション能力も磨く必要があります。相手の話をよく聞いた上で、体のどこに問題があるのか確認するとともに、相手のニーズをくみ取り施術を行うことが重要です。

身体面のケアだけでなく、精神面のサポートが必要な場面もあるので、コミュニケーション能力を高めて、適切なアドバイスができるように心掛けましょう。

柔道整復師以外の資格を取得する

患者に多角的なケアを提供できるように、柔道整復師以外の資格を取得するのもおすすめです。活躍の場を広げるために、理学療法士・介護福祉士・はり師・きゅう師などの、資格取得を目指す人は珍しくありません。

また、スポーツトレーナーを目指すならば、「日本スポーツ協会」のアスレティックトレーナーや、「ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会」の認定アスレチック・トレーナーなどの民間資格も有用です。

いずれにせよ、長期的な視点から自分の進むべきキャリアを明確にして、取得すべき資格を決めることが重要です。

参考:理学療法士になるには|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会

参考:介護福祉士|全国社会福祉協議会

参考:はり師国家試験の施行|厚生労働省

参考:きゅう師国家試験の施行|厚生労働省

参考:アスレティックトレーナー - スポーツ指導者 - JSPO

参考:ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会|NPO法人JATAC

幅広く活躍できる柔道整復師は将来性も見込める

柔軟をする

(出典) pixta.jp

高齢化が進む日本では、加齢に伴い骨折をはじめとした、さまざまなけがをする人が増加すると予想されるので、柔道整復師のニーズも今後さらに高まるでしょう。

現状において需要の大きな職種ではあるものの、柔道整復師を目指す人も増える可能性が高いので、必要な技能を身に付けるとともに、差別化の方法を模索することも大事です。理学療法士・介護福祉士など、ほかの資格の取得も検討しましょう。

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