地方公務員の選考において、2次試験で面接が実施されるのが一般的です。試験に突破するには、面接試験の出題傾向を押さえて適切に対策することが欠かせません。面接試験でよくある質問と効果的な解答例、面接シートを作成するコツを紹介します。
地方公務員の面接で定番の質問と回答のポイント
民間企業の選考とは異なり、地方公務員ならではの質問をされるのが面接試験の特徴です。ここでは、よくある質問と回答する際のポイントを紹介します。予期しない質問が出て混乱しないためにも、事前にチェックしておきましょう。
民間企業ではなく公務員を志望する理由
地方公務員の面接では、高確率で「なぜ公務員という道を選ぶのか」を聞かれます。選考担当者は、数多くの民間企業がある中で、公務員を選んだ理由を知りたいと思っているためです。
応募先の地方自治体が特に力を入れている分野に言及しつつ、そこに貢献したいことを示せるとよいでしょう。
「近年力を入れている災害に強い都市の実現に貢献するため、前職の建設業で培ったスキルや経験を生かしたい」のように伝えられると効果的です。
数ある地方自治体から当自治体を選んだ理由
日本国内にある地方自治体(都道府県・区市町村)の数は膨大です。そのため、選考担当者は「なぜこの地方自治体を受験したのか」を知りたがっています。
どこの地方自治体を受験するにしても、ほかの自治体と比較して特徴的なポイントがあるものです。
「行政のデジタル化を推進する分野で活躍したいと考えています」など、自分が望んでいる分野と地方自治体の強みの共通点を探すと、伝えればよいことが何か見えてくるでしょう。
希望する分野と取り組みたい仕事
1つの地方自治体の中には、多くの部署があって手分けして業務を進めています。そのため、どの分野への就職を希望するのか、その分野でどのように活躍したいと思っているのかを伝えましょう。
「都市計画局の災害対策分野で活躍し、自然災害に強い街づくりに貢献して、都市の価値を高めたい」など、理由を含めて簡潔に伝えられると効果的です。
まずは自分が数ある部署の中でどこを目指すのか、その理由は何かを書き出してみるとよいでしょう。やりたいことを明確にして自分の言葉でまとめておけば、面接で言葉に詰まることを防げます。
これまでの経験をどのように生かせるか
転職者の経歴やスキルを知るため、これまでの経験を問うのも一般的です。この質問には、前職までの経験を地方公務員としてどのように生かせるかにフォーカスして回答しましょう。回答に盛り込む内容は、経験・経歴・成果・生かし方です。
例えば、「前職では経理全般を担当していて、投資分野を取捨選択することで企業の収支状況を改善することに成功しました。その経験を財政課で生かしたいと考えています」のように伝えられるでしょう。
1分間での自己PR
自己PRは面接における定番の質問で、地方公務員でも例外ではありません。「1分以内で自己PRしてください」と言われることも多いため、あらかじめ準備しておきましょう。
一般的に1分間の自己PRで伝えられる情報量を文章化すると、300文字程度です。そのため、多くのことを伝えようとせず、1つのポイントのみに要点を絞ることが大切です。
最初にアピールポイントを示し、それを伝えた理由と理由を裏付けるエピソード、これまでに上げた成果を簡潔に盛り込むとよいでしょう。
地方公務員の面接でよくあるNG回答
面接シーンで避けたいNGな回答もいくつかあります。ここでは、地方公務員の面接で答えてしまいがちなNG回答を、2つ見ていきましょう。
面接の準備を整える段階で、用意した回答がNGなものになっていないか確認しておくことが大切です。
民間企業を見下す内容
公務員試験に合格しようと思うあまり、民間企業を見下すような内容を回答してしまうことがあります。しかし、そのような内容はよい印象を与えません。
地方自治体と民間企業は協業しており、どちらが欠けても経済活動が成立しなくなるためです。滞りなく業務を遂行するために、一部の仕事を民間企業に委託するのも一般的で、この点からも民間企業の力がなければ業務が進まないことが分かります。
民間企業との違いにフォーカスすることは大切ですが、見下すような内容にならないように言葉選びや伝え方には注意しましょう。
公務員以外にも共通する志望動機
面接では、民間企業の選考でもそのまま通用する志望動機は避けましょう。例えば、「前職の○○という経験を生かして、目標達成のために努力したい」などは、地方公務員でなくてもできることです。
なぜ地方公務員を目指すのか、明確に伝える必要があります。志望動機として伝える内容には、地方公務員でしかできないことを盛り込むのがポイントです。
「地域住民に対して平等にサービスを提供することで、満足度を高めたい」など、地方公務員の特性を押さえた回答を準備しましょう。
地方公務員の面接で提出する面接シートとは?
面接試験に先立って、面接シートと呼ばれる書類を提出するのが、地方公務員試験においては一般的です。
面接試験は、事前に提出した面接シートの内容に基づいて実施されるため、何を書くかが大切です。ここでは、面接シートを書くときに意識したいことを解説します。
民間企業のエントリーシートに相当するもの
面接シートとは、一般企業の選考におけるエントリーシートに相当する応募書類です。自治体によっては、「面接カード」と呼ぶこともあります。
作成する目的も民間企業のエントリーシートと同様で、応募者のスキルや経験、志望動機などを知るためです。
提出方法は、2次試験の当日に会場に持参したり、事前に指定場所に送付したりなど、地方自治体によって多少の違いがあります。
面接試験を受ける応募者にとっては、自分のことを選考担当者にアピールするための貴重な材料なので、手抜きせずしっかりと書きましょう。
面接シートに書く内容
面接シートに記載する内容は、自治体によって多少の差があるものの、おおむね以下の通りです。
- 応募者の基本情報
- 志望動機
- これまでの経験と成果
- 努力したこと
- 採用後にやりたいこと
- 希望分野
事前に送付する場合は、書いたことを忘れないように控えを用意しておきましょう。控えを見ながら面接対策を進めることで、面接シートに記載した内容と口頭で伝えることに、矛盾が生じるのを防げます。
地方公務員の面接で問われる内容
十分な選考対策を講じるには、面接でどのようなことを問われるのか知っておくことが大切です。
ここでは、面接試験で定番の内容を2つ紹介します。いずれも高確率で問われるため、事前に選考担当者が納得する回答を準備しておきましょう。
業務を遂行する上で必要な専門知識
地方公務員の仕事はさまざまで、技術職や研究職など、担当する部署によっては専門的な知識が求められます。一般職であっても、ビジネススキル・会計スキルなど、業務を遂行するのに必要なスキルを備えていなければなりません。
選考側の地方自治体は、筆記試験である程度のスキルレベルを調べてはいるものの、面接試験でも専門知識・スキルを有しているかをチェックします。
応募した分野で活躍するのに必要な専門知識を一通り復習し、きちんと答えられる状態にしておきましょう。
一般的な面接と共通する内容
民間企業の面接と同様に、応募者の人柄やコミュニケーションスキルを測るための質問も用いられます。具体的には、志望動機や自己PR、これまでの経験などが該当します。
志望動機や自己PRは、自分の言葉でまとめることが大切です。応募先職種の仕事内容に関係する志望動機・経験・スキルなどを、エピソードとともにアピールするとよいでしょう。
また、基本的なビジネスマナーや身だしなみが重要なのも、民間企業と同様です。面接に臨むときには、スーツにシワがないか、靴に汚れはないかなどをチェックしてから、会場に向かうことをおすすめします。
公務員の面接対策に取り組むときのポイント
実際に地方公務員の面接に臨むときは、ほかにも意識したいことがあります。ここでは、特に注意したい2つのポイントを見ていきましょう。特に、公務員と民間企業の違いを忘れないように注意することが大事です。
公務員と民間企業の違いを意識する
地方公務員の面接試験は、選考基準が民間企業とは異なります。一般企業では、採用することで自社に利益をもたらしてくれる人材を求めます。すなわち、高い成果を出せる人材を必要としているといえるでしょう。
一方の地方自治体では、地域住民・エリア内で活動する法人に公的サービスを提供するという立場上、問題を起こさずスムーズに職務を遂行できるかを重視します。
地方公務員の面接では、応募者のマイナス面を注視する傾向があるため、事前対策がより重要になってきます。自分の有用性をアピールするのも大切ですが、組織の一員としてきちんと職務に取り組めることの方が優先度が高いといえるでしょう。
希望分野の仕事内容を正確に把握する
地方自治体の仕事は、分野によって大きく異なります。そのため、自分が応募した分野の仕事内容は正確に把握しましょう。
財政課に応募したにもかかわらず、土木・建築のスキルをアピールしても関係性が低いため評価されません。また、都市計画課に応募した人が、秘書のスキルをアピールしても同様です。
面接試験にて何をアピールするかを明確にするためにも、応募した分野の仕事内容と求められるスキルは何かを、正しく理解することが欠かせません。
入念な面接対策で地方公務員の選考を突破しよう
地方公務員試験の面接を突破するには、入念な準備が欠かせません。地方自治体と民間企業の違いを正しく理解し、公務を果たすのに必要な資質をアピールすることが大切です。
自分が望むキャリアを実現するためにも、地方自治体ごとの特徴を理解した上で応募先を決め、きちんと対策して試験に臨みましょう。
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