物流業界の代表的な業種・職種を解説。業界未経験者でも転職は可能?

物流業界は、陸運業・海運業・空運業・倉庫業などの業種から成り立っています。どのような業種や職種によって支えられているのかを知れば、業界に対する理解が深まるでしょう。物流業界に転職するメリットや、求められる人材の特徴を解説します。

物流業界の業種一覧

物流トラック

(出典) pixta.jp

物流とは、商品が生産者から消費者の手元に届けられるまでの流れを指します。物流業界はさまざまな業種から成り立っており、どれが欠けても流れが滞ってしまいます。

業種とは、企業が展開している事業の種類のことです。物流業界を支える代表的な業種を見ていきましょう。

陸運業

陸運業とは、トラックや鉄道などの手段により、陸路で物品を運ぶ業種です。トラックや車は大量輸送には不向きですが、産業品・宅配便・美術品・手紙など、扱える品目が多いのがメリットといえます。

鉄道輸送に使われる貨物列車は、コンテナに荷物を積載して走行します。コンテナの中身はさまざまで、建築用の資材や液体・ガスなどの燃料も運びます。荷物を積んだ貨物列車が貨物駅に到着した後、最終目的地まではトラックで輸送するのが一般的です。

海運業

海運業とは、船舶により海上輸送を行う業種です。国土交通省がまとめた「海事レポート2023」によると、日本の貿易量に占める海上輸送の割合は99.6%です(2022年・トン数ベース)。四方を海に囲まれた日本の産業は、海運業に支えられているといっても過言ではありません。

海上輸送の強みは、大量の貨物を一度に運べる点でしょう。食品や日用品はもちろん、石油・鉄鉱石などの資源や重電機の輸送も可能です。

海運業では、保有する船舶数が多い企業ほど事業規模が大きくなり、より多くの利益を得られます。船舶のリースや売買により、安定した収益を稼ぐ企業も少なくありません。

参考:海事:海事レポート2023・数字で見る海事2023について - 国土交通省

空運業

空運業とは、飛行機による輸送を行う業種です。輸送時間が短く、事故や破損のリスクが小さいのが特徴で、緊急輸送が必要な医薬品や小型の電子部品などを運ぶのに適しています。

空運業を担う主な企業として、フォワーダー・キャリア・インテグレーターの3つの形態が挙げられます。それぞれ以下のような点が特徴です。

  • フォワーダー:荷主から預かった荷物を他社の運送手段を使って輸送する
  • キャリア:自社の飛行機でフォワーダーから預かった荷物を定期便輸送する
  • インテグレーター:キャリアとフォワーダーの両機能を併せ持つ

飛行機による輸送は燃料費が高く、景気が悪化すると空運からコスト面で優位な海運に切り替える企業が増えます。空運業は景気に左右されやすい業種といえるでしょう。

倉庫業

倉庫業は、荷主から預かった荷物を倉庫で保管・管理する業種であり、輸配送、流通加工なども担うことも少なくありません。倉庫自体も、次の輸送手段に切り替える拠点として使われるケースもあれば、配達指定日までの保管場所として使われるケースもあります。

指定された日時に配送できるように、倉庫内ではさまざまな出荷調整が行われています。主な倉庫内業務は以下の通りです。

  • 保管
  • 荷役
  • 流通加工
  • 包装
  • 情報管理

保管される物品は多種多様で、食品や日用品だけでなく、危険物倉庫では特殊な取り扱いが必要となる危険物や毒薬なども管理されます。

物流業界の代表的な職種

倉庫管理

(出典) pixta.jp

職種とは、個人が担う業務の種類を指します。物流業界には、どのような職種があるのでしょうか?未経験者が目指しやすい、物流業界を代表する職種を確認しましょう。

法人営業

物流業界の営業職は、ほとんどが法人営業です。物流の外部委託を検討する企業に対し、自社の物流サービスの提案を行います。ニーズは顧客ごとに異なるため、物流課題や希望を丁寧にヒアリングし、最適な物流フローを考えなければなりません。

近年は、自社で倉庫を持たずにEC事業を行う企業が増えています。これらの企業は、物流会社に保管業務を委託しており、商品は物流センターから発送されるのが通常です。

コロナ禍やDX推進などの流れを受け、EC事業を新たにスタートさせた企業は少なくありません。今後は、EC事業者向けの営業活動が増えていくでしょう。

管理

管理とは、荷主から預かった荷物を適切に管理する職種です。荷物をただ保管するだけでなく、検品・梱包・仕分け・ピッキング・ラベル貼りといった、さまざまな作業を行います。

指定された期日までに荷物が到着するように、スケジュール調整や配送ルートの手配を行うのも管理の仕事です。情報管理のポジションでは、インターネットにつながったシステムを操作し、在庫状況や作業の進捗状況、配送状況などを確認します。

管理は、物流の中で最も作業量が多いプロセスです。人的コストも大きいため、近年は機械化を検討する企業が増えています。近い将来、ロボットやAIが業務を担うようになる可能性も考えられるでしょう。

ドライバー

ドライバーは、荷物を目的地まで運んだり、消費者に届けたりする職種です。陸運では、小型・中型・大型のトラックが輸送や配送を担います。運転時間が長いため、体力勝負となるでしょう。

一般的に、中長距離トラックのドライバーは、大量の荷物を拠点から拠点へと運ぶ「輸送」に携わります。荷物の集荷・配達をするドライバーは「セールスドライバー」と呼ばれ、個人宅や企業に直接荷物を届けます。

ドライバーは、運転するトラックの車両総重量や最大積載量などによって、必要な運転免許が異なります。中型運転免許や大型運転免許、けん引免許などを取得していると、仕事の幅が広がるでしょう。

物流業界に求められる人材とは?

物流管理

(出典) pixta.jp

物流業界にはさまざまな業種・職種がありますが、求められる人材にはいくつかの共通項があります。特に、「体力に自信がある人」と「臨機応変に対応できる人」は、未経験でも重宝されるでしょう。

体力に自信がある人

体力をそれほど必要としない事務系の職種もありますが、物流業界の多くの職種は、体力に自信がある人に適しています。

例えばトラックドライバーは、長時間の運転に加え、荷物の積み上げ・積み降ろしを日常的に行う仕事です。ピッキングを担当する作業員の場合は、倉庫内を歩き回って必要な荷物を集めなければならず、体力を消耗するでしょう。

営業や情報管理のポジションは、日頃から多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。顧客からのクレームや運搬上のトラブルなどに対処しなければならないため、精神的なタフさが求められるでしょう。

臨機応変に対応できる人

突然のアクシデントにも慌てず臨機応変に対応できる人は、物流業界の仕事に適しています。

特にトラックドライバーをはじめとする運転手は、天候状況や道路状況に到着時間が左右されます。途中で事故に巻き込まれたり、大切な荷物が破損したりするトラブルも珍しくありません。

目の前の状況を冷静に判断して適切な行動を選択できる人や、職場に迅速な報連相ができる人は、物流業界でもうまくやっていけるでしょう。臨機応変に対応する力は、実務経験の中でも磨かれていきます。

物流業界に転職するメリット

倉庫管理作業

(出典) pixta.jp

物流に関連する職種は幅広く、働き方も多様です。業界が抱える課題や現状、今後を踏まえながら、他業界から物流業界に転職するメリットと留意点を解説します。

未経験でも採用されやすい

物流業界のメリットは、他の業界に比べて未経験でも採用されやすい点です。倉庫内作業はルーティンワークが基本なので、それほど難易度は高くありません。法人営業の経験があれば、物流業界が未経験でも即戦力として採用されます。

トラックドライバーの場合、慣れるまでは先輩社員が添乗してサポートします。肉体的にハードなイメージがありますが、長時間労働を抑制する動きがあり、2024年4月1日からは時間外労働の上限規制が適用される見通しです。

今後は運送業においても働き方改革が進み、未経験者でも働きやすい環境が整います。一方で、時間外労働が短縮されれば、歩合で大きく稼ぐのは難しくなるでしょう。

直近においてすでにドライバーは人手不足の状態ですが、2024年以降はドライバー不足がさらに加速する可能性があります。

参考:トラック|適用猶予業種の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ|厚生労働省

仕事がなくならない

物流業界に転職する2つ目のメリットは、仕事がなくならない点です。物流は私たちの生活になくてはならない存在ですが、今後はネットショッピングのさらなる需要拡大によって、物流が社会に果たす役割は重要度を増すでしょう。

前述の通り、物流業界のいくつかの職種は、深刻な人手不足の状態です。AIやロボット技術の導入により、一部の仕事が代替される可能性もありますが、物流のニーズはなくなりません。

物流業界にはさまざまな業種・職種があります。業界内での転職がしやすく、仕事量も豊富なため、安定した収入が確保できるでしょう。

複数の業種・職種が物流を支える

物流倉庫を管理する女性

(出典) pixta.jp

物流は日本の産業を支える存在です。複数の業種・職種によって成り立っており、どれが欠けても物の流れは滞ってしまいます。昨今はECサイトの利用者が増えており、今後も物流のニーズは右肩上がりに増えるでしょう。

物流業界では人手不足が著しく、未経験者でも転職がしやすい傾向があります。求人数も豊富で、自分のスキルや経験にマッチした仕事が見つかりやすいのがメリットです。

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