動物が好きな人にとって、トリマーは憧れの職業です。華やかで楽しい仕事のイメージがありますが、体力や忍耐力などタフさも求められます。向いている人・向いていない人の特徴や仕事のやりがい、身に付けるべきスキルを紹介します。
トリマーに向いている人
トリマーは、ペットのグルーミングやトリミングを行う職業です。「動物が好きだからトリマーを目指したい」という人は多いですが、職業としての向き・不向きがあります。まずは、向いている人の特徴をチェックしましょう。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高い人は、トリマーに向いているといえます。仕事におけるコミュニケーション能力とは、相手と円滑に意思疎通ができる能力のことです。
具体的には、相手のニーズをくみ取る力や自分の言いたいことを分かりやすく伝える力などを指し、社交的でおしゃべり好きな人が必ずしもコミュニケーション能力が高いとは限りません。
トリミングの際は、飼い主の要望をヒアリングする必要があります。しつけやケアの助言を求める飼い主も多く、会話のキャッチボールがうまくいくほど、良好な信頼関係が築けるでしょう。
体力やメンタルの強さ
体力がある人や嫌なことがあっても前向きに頑張れる人は、トリマーに向いています。
グルーミングやトリミングが苦手なペットは、力の限り暴れます。けがをしないように上手に押さえ、時には抱きかかえながら作業をしなければなりません。かみつくペットもおり、生傷が絶えないのが現実です。
ペットは人間の言葉を理解できないため、作業中は思い通りにならないことも多いでしょう。怒ったりしかりつけたりせず、根気強く接する必要があります。
トリマーというと、華やかで楽しい仕事のイメージがありますが、体力的・精神的にタフな人でなければ務まりません。
トリミングセンスがある
トリマーは、ペットの美容師です。人の髪の毛をカットする美容師と同じように、美的センスや技術力が求められます。特に犬は散歩で外に出ることが多く、見た目の良さと手入れのしやすさの両方にこだわる飼い主は少なくありません。
飼い主は、高いお金を払ってお店にトリミングを依頼しています。「セルフカットと同じようなレベルでは、プロにお願いする意味がない」というのが本音でしょう。スタイルにははやり廃りがあるので、トレンドをうまく取り入れる必要があります。
技術は、トリマーの養成学校で身に付けられます。美的感覚や感性は、個人の努力や経験によって磨かれていくため、普段から周囲にアンテナを張り巡らせましょう。
トリマーに向いていない人
いくら動物が好きでも、トリマーに向いていないタイプの人もいます。適性がないからといって夢を諦める必要はありませんが、人一倍の努力が必要です。長所を伸ばし、欠点をカバーする方法を考えましょう。
忍耐力がない
トリミングには長い時間がかかります。毛の長さや状態にもよりますが、小型・中型の犬猫は2~4時間、大型犬は4~5時間が目安です。体力・忍耐力がない人は、仕事を続けていくのが困難に感じるかもしれません。
毛の長さが数ミリ違うだけでも、ペットの見た目は大きく変わります。面倒くさがりの人や集中力がない人、すぐ妥協してしまう人にはあまり向いていないといえます。飼い主を満足させられない場合、サロンの集客にも影響が及ぶでしょう。
表現力、想像力がない
「テディベアのように」「ふんわりした感じで」など、大まかなイメージしか伝えられない飼い主もいるため、トリマーは想像力を最大限に働かせる必要があります。想像力が欠如している人は完成形がイメージできず、飼い主の要望に応えられません。
また、想像力があっても表現力が伴わなければ、イメージとは程遠くなってしまいます。
ただし、これらの能力は練習や経験の中で磨かれていきます。より多くのデザインに触れ、先輩や講師から技術を盗み、着実に腕を上げていきましょう。
トリマーのやりがいとは?
トリマーは体力的・精神的に大変な仕事ですが、得るものも大きいといわれます。現役のトリマーは、どのようなところにやりがいや喜びを感じているのでしょうか?
飼い主に喜んでもらえる
飼い主が喜ぶ顔は、トリマーの原動力といっても過言ではありません。「素敵なスタイルにしてくれてありがとう」「あなたにお願いして良かった」の一言を聞くと、誇りや喜びを感じる人が多いようです。
近年は、ペットをわが子のようにかわいがる人が増えています。大切な家族の一員であり、ケアにお金をかける人が多いのが実情です。飼い主からの評価を得るのは容易ではありませんが、満足してもらったときの充実感はひとしおでしょう。
病気の早期発見ができることも
ペットは人間の言葉が話せないため、飼い主が不調を察知しなければなりません。異常が現れたときには病気が悪化しているケースが多く、早期発見と予防が何よりも重要です。
長い時間をかけてペットをケアするトリマーは、しこりや外傷、皮膚病などの異常を発見しやすい立場にあります。美しくトリミングすることも大事ですが、ペットの病気を早期に見つけるという役目もあるのです。
トリマーの対応によって命が救われるペットは多く、飼い主から感謝の言葉をかけられます。病気の早期発見や予防に貢献できることは、トリマーにとって誇りといえるでしょう。
動物と長い時間過ごせる
トリマーは、動物が好きでなければ務まりません。逆に動物が好きな人にとっては、夢のような仕事といえるでしょう。
実際、トリマーを目指す人の多くは動物に深く親しんでおり、「動物が嫌い」「扱い方が分からない」という人はあまりいないようです。
職業柄、体力的・精神的に大変なことが多いですが、大好きな動物に囲まれているだけで、仕事へのモチベーションが上がります。
ただし、グルーミングやトリミングが苦手なペットからすると、トリマーは必ずしも大好きな存在ではありません。ペットの気持ちを考えながら、できるだけ負担をかけない工夫をする必要があります。
トリマーに必要なスキル
トリマーを目指す人は、トリマーの養成学校で知識や技術を習得し、ペットサロンやペットショップ、動物病院などに就職するのが一般的です。
働く上で身に付けなければならないスキルは数多くありますが、中でも「トリミングの技術」と「動物に関する知識」は欠かせません。
トリミングの技術
トリマーの養成学校では、以下のような技術を学びます。
- トリミング(カット)
- シャンプー・ドライヤー
- 爪切り・やすりがけ
- 耳掃除
特にトリミングが必要なのは、プードルやマルチーズなどのシングルコートの犬種です。プードルはトリミングのバリエーションが豊富なため、マスターするのに時間がかかるでしょう。
飼い主のイメージを具現化できるように、表現力と技術力の両方を磨く必要があります。
動物に関する知識
トリミングの腕が良くても、動物に関する知識が欠如している人は、信頼されるトリマーにはなれません。ペットの健康状態を把握する役目も担っているため、動物に関する幅広い知識を備えている必要があります。
- 体の構造・骨格
- かかりやすい病気・けが
- 種類ごとの性質
- 栄養学
- マナー・しつけ
- 血統
必要な知識はトリマーの養成学校で学べますが、自分から主体的に情報収集する姿勢も求められます。
ペットの美容師であるトリマー
トリマーはペット専門の美容師です。ただ、爪切りや耳の掃除、健康状態のチェックなど、人間の美容師では行わないようなケアも担います。
見た目がいくら美しくても、家庭での手入れがしにくかったり、ペットが健康を維持できなかったりするのであれば、役目を果たしたとはいえません。知識や技術をしっかりと身に付け、飼い主にもペットにも愛されるトリマーを目指しましょう。
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