整理収納アドバイザーは、片付けが苦手な人や整理整頓のプロとして活躍したい人に人気の資格です。3級・2級・準1級・1級の段階があり、1級を取得すると、活躍できるフィールドが大きく広がります。資格の各等級の詳細や取得の流れを紹介します。
整理収納アドバイザーとは?
暮らしに役立つ民間資格の1つに「整理収納アドバイザー」があります。資格を取得すれば、普段の家事や仕事に知識を生かせるほか、プロのアドバイザーとして活躍する道も開ける可能性があります。資格の種類や内容をチェックしましょう。
整理収納のプロになれる民間資格
整理収納アドバイザーは、特定非営利活動法人ハウスキーピング協会が主催する民間資格です。
同協会によると、整理収納アドバイザーは「片付かない原因や問題点を探り、物との関わり方を見直し、暮らしを豊かにする整理収納のプロフェッショナル」と定義されています。
資格を取得すれば、片付けの基本が身に付くだけでなく、整理収納の理論に基づいた的確なアドバイスができるようになるでしょう。整理整頓が苦手な人や家事スキルを磨きたい人、スキルを生かして仕事をしたい人におすすめの資格です。
整理収納アドバイザーの種類
整理収納アドバイザーの資格は、以下の段階に分かれています。
- 整理収納アドバイザー2級・3級:整理収納の基本的な考え方・整理の方法・整理のコツが分かる
- 整理収納アドバイザー準1級:整理収納に関する深い知識があり、周囲の人にアドバイスできる
- 整理収納アドバイザー1級:プロの整理収納アドバイザーとして活動できる
2級の取得者は、2023年9月時点で累計18万人を突破しています。整理収納アドバイザーの肩書で仕事をしたい人は、1級を目指しましょう。自信を持って顧客にアドバイスができるほか、整理収納に関するセミナーや講座も開けます。
参考:整理収納アドバイザーとは | 【公式】ハウスキーピング協会
整理収納アドバイザーの仕事内容や働き方
整理収納アドバイザーの資格を取得すると、活躍できるフィールドが広がります。仕事内容や働き方をチェックしましょう。
整理整頓を通して悩みを解決
整理収納アドバイザーは、整理整頓を通じて人々の悩みを解決するプロフェッショナルです。片付けをサポートするだけでなく、人それぞれのライフスタイルや性格に合わせて、「散らかりづらく・片付けやすい空間」にするコツをアドバイスします。
「愛着があって物を捨てられない」「収納のポイントが分からない」など、整理整頓ができないのには何らかの理由があるものです。最適な解決策を提案するため、整理収納アドバイザーは、片付かない原因や問題点を探ります。
整理整頓のさまざまなメリット
整理収納アドバイザーを目指す上では、整理整頓をするメリットを理解する必要があります。最大のメリットは部屋が整うことですが、以下のようなプラスアルファの効果も期待できます。
- 探し物がすぐに見つかる
- 家事や仕事の効率がアップする
- 同じ物を重複して購入しなくなる
- 心に安らぎとゆとりが生まれる
- 人を自宅に招きやすくなる
整理整頓が苦手な人や自分で物を片付けられない人は、片付けてもすぐに散らかってしまう「リバウンド」が起こりやすい傾向があります。整理収納アドバイザーが片付けや収納のコツを伝授すれば、きれいな空間が長く持続するでしょう。
整理収納アドバイザーの働き方
整理収納アドバイザーは国家資格ではないため、資格を持っていなくても、整理や収納に関する仕事に携われます。
ただし、ハウスキーピング協会の整理収納アドバイザーの肩書を用いて仕事をする場合は、1級を取得しなければなりません。
1級の取得者は、整理収納のコンサルティングや家事代行サービス、カルチャースクールの講師などで生計を立てられます。
クライアントが増えて知名度が向上すれば、メディアに取り上げられる可能性も高まるでしょう。中には、企業とのタイアップや書籍出版のチャンスをつかむ人もいます。
また、リフォーム関連や不動産関連、インテリア関連の企業に勤めている人は、整理収納の知識やスキルを生かせる場面が多いでしょう。
整理収納アドバイザーの資格を生かせる職種
整理収納アドバイザーの資格を生かしやすい職種として、以下のようなものが挙げられます
- インテリアコーディネーター
- ホームヘルパー
- 家事代行スタッフ
- カルチャースクールの講師
インテリアコーディネーターとは、インテリアの専門知識を生かし、空間設計や家具の選定、レイアウトなどを助言・提案する職業です。整理収納に関連した資格を持っていれば、部屋の片付けとインテリアの提案を同時に行えます。
ホームヘルパーの場合、自宅で暮らすサービス利用者が安全かつ快適に暮らせるように、介護の視点から整理収納についてアドバイスができるでしょう。
整理収納アドバイザーを取得するには
整理収納アドバイザーには誰でも受験できる3級・2級以降は準1級・1級の順番でレベルアップしていく仕組みです。各等級の概要と取得の流れを解説します。
整理収納アドバイザーの概要
整理収納アドバイザー2級および準1級は、講座の受講によって取得できます。どちらも「会場講座」「Zoomによるオンライン講座」「動画によるWeb講座」から選択が可能です。
<整理収納アドバイザー2級認定講座>
- 受講資格:読み書きを含む日本語ができる人
- 受講日数:1日
- 受講内容:整理の効果・整理収納スキル5つの鉄則・覚えておきたい収納の原則など
<整理収納アドバイザー準1級認定講座>
- 受講資格:整理収納アドバイザー2級など、協会が指定する資格を取得している人
- 受講日数:2日または3日
- 受講内容:整理概論・収納概論・家庭内整理の基礎知識など
<整理収納アドバイザー1級試験>
- 受験資格:準1級認定講座(1級予備講座)受講修了者
- 受験内容:1次試験と2次審査(2次審査は1次試験合格者のみ)
必要な費用や注意事項については、協会のWebサイトをご確認ください。
参考:整理収納アドバイザー2級 - 【公式】ハウスキーピング協会
参考:整理収納アドバイザー準1級認定講座-会場 - 【公式】ハウスキーピング協会
整理収納アドバイザーを取得する流れ
整理収納アドバイザー1級を目指すには、整理収納アドバイザー2級と準1級を取得していることが前提です。資格取得の流れは以下の通りです。
- 整理収納アドバイザー2級認定講座を受講する
- 整理収納アドバイザー準1級認定講座を受講する
- 整理収納アドバイザー1級試験の1次試験を受験する
- 整理収納アドバイザー1級試験の2次審査を受ける
整理収納アドバイザー1級試験の1次試験は、会場での「マークシート試験」と、オンラインでの「CBT試験」のいずれかを選択できます。試験の合格率は70~80%前後です。
1級試験の2次審査は、Zoomによる面談と報告書の提出です。面談から30日以内に「ファシリテイト体験報告書」を作成し、指定の宛先に送信します。受験料・審査料・その他の注意事項は、協会のWebサイトを確認しましょう。
参考:整理収納アドバイザー1級 | 【公式】ハウスキーピング協会
よくあるご質問 – FAQ - 【公式】ハウスキーピング協会
整理収納アドバイザーの類似資格
整理収納アドバイザーに類似する民間資格には、「整理収納インストラクター」や「収納環境プランナー」があります。整理収納に関する資格を取得したい人は、複数の資格を比較し、自分の目的に合ったものを選びましょう。
整理収納インストラクター
整理収納インストラクター(収納・片付け資格)は、日本インストラクター技術協会(JIA)が主催する資格です。収納に関する知識を活用して、自分が望む空間をつくり上げることを目的としており、試験では以下のような知識を問われます。
- 隠す収納・見せる収納
- 収納の種類
- 棚収納・引き出し収納・つり下げ収納
- メジャーや定規の選び方
- 測り方
- クローゼットの測り方
- 押し入れの測り方
年齢や学歴の制限はなく、資格取得後は講師活動が行えます。独学も可能ですが、指定のテキストや教材がないため、整理収納インストラクターの通信講座で学ぶのがおすすめです。
整理収納インストラクター資格 - 日本インストラクター技術協会【JIA】
収納環境プランナー
収納環境プランナーは、ハウスキーピング協会が主催する資格です。資格を取得すると、新築やリフォームなどの住宅計画を進めている人に「片付く仕組み」のある間取り・収納・インテリアなどを提案できるようになります。
資格を取得するには、「収納環境プラン講座」を受講しなければなりません。受講後、「収納環境プラン試験(課題シートの作成)」を受ける流れです。
なお、収納環境プラン講座の対象者は「片づく収納プラン講座」または「整理収納アドバイザー準1級認定講座」を受講した人のみである点に注意しましょう。
生活をサポートする整理収納アドバイザー
整理収納アドバイザーの資格取得を通じ、整理収納の基本がしっかりと身に付きます。1級を取得すれば、特定非営利活動法人ハウスキーピング協会が認定する整理収納アドバイザーとして幅広く活躍できるでしょう。
リフォーム関連や不動産関連の企業に就職・転職をする際は、資格をアピールできます。資格は、生活や仕事に生かせなければ取得する意味がありません。講座や試験には多くの費用がかかるため、資格取得の目的を明確にすることが肝要です。