食品衛生管理者とはどんな資格?概要やなるための方法を紹介

食品衛生管理者という名称はあまり聞きなじみがないかもしれませんが、食品の製造・加工に関わる業界では重宝される資格です。食品衛生管理者の設置が必要な施設や資格を取得する上での要件、食品衛生責任者との違いなどを紹介します。

食品衛生管理者とはどんな資格?

食品衛生管理者

(出典) pixta.jp

食品衛生管理者について、どのような資格や仕事なのか明確にイメージできる人は少ないかもしれません。資格の概要やなるための方法を解説します。

食品衛生法により設置が義務付けられている

食品衛生管理者は、食品や添加物の製造・加工に携わる施設で衛生管理を担う上で必要とされる国家資格です。

製造・加工の過程で、特に衛生上の考慮が必要な食品・添加物で、かつ食品衛生法施行令で定められたものの製造・加工を行う営業者は、製造・加工を衛生的に管理させるために、専任の食品衛生管理者を置くことが義務付けられています。

これは、食品衛生法第48条によって定められており、施設に食品衛生管理者を配置した場合、営業者は15日以内に都道府県知事(保健所)に届け出なければなりません。

食品衛生管理者は、配置される施設内の衛生管理と、従業員への衛生教育を担います。特に重要なのが施設内での食中毒の発生防止で、従業員に対して正しい知識を教える責務を負っています。

また、従業員の健康管理や体調不良者が勤務していないかという点を管理するのも重要な役割です。衛生面での管理の徹底が、消費者や従業員の安心につながります。

参考:食品衛生法|e-Gov法令検索

参考:食品衛生管理者|厚生労働省

食品衛生管理者の設置が必要な施設

次に挙げる11種類の製品を製造・加工する営業者は、製造・加工施設ごとに専任の食品衛生管理者を設置する必要があります。

  • 全粉乳(容量1,400g以下の缶に収められるものに限る)
  • 加糖粉乳
  • 調製粉乳
  • 食肉製品(ハム・ソーセージ・ベーコンと、これらに類するもの)
  • 魚肉ハム
  • 魚肉ソーセージ
  • 放射線照射食品
  • 食用油脂(脱色・脱臭の過程を経て製造されるものに限る)
  • マーガリン
  • ショートニング
  • 食品衛生法により規格が定められた添加物

食品衛生責任者との違い

食品衛生管理者とよく似た資格に、食品衛生責任者があります。

食品衛生管理者は、特に衛生上の管理が必要な食品や添加物の「加工・製造」に関して衛生管理を行うための資格です。一方で食品衛生責任者は、「販売・製造」に関する衛生管理が責務とされます。

また、資格取得の難易度も異なり、食品衛生責任者は指定の講習を受講すれば取得が可能です。一方、食品衛生管理者は厚生労働省が管轄する国家資格で、受験できる人が限られる資格となっています。

食品衛生管理者になるには

食品加工

(出典) pixta.jp

食品衛生管理者になるにはどうすればよいのか、気になっている人もいるでしょう。ここでは、食品衛生管理者になるための方法を解説します。

食品衛生管理者の資格要件

食品衛生管理者の資格を取得するには、以下の4点のうち、いずれかに該当しなければなりません。

  • 医師・歯科医師・薬剤師・獣医師
  • 学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学または旧専門学校令に基づく専門学校で、医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・農芸化学・水産学の課程を修めて卒業した人
  • 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者養成施設において、定められた課程を修了した人
  • 学校教育法に基づく高等学校、中等教育学校、旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した人、これらと同等以上の学力があると厚生労働省によって認められる人の中で、食品衛生管理者を設置しなければならない製造業・加工業において、食品や添加物の製造・加工の衛生管理業務に3年以上従事し、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した人

なお、4つ目の要件を満たした人は、衛生管理業務に3年以上従事した製造業・加工業と同種の業種を営む施設でのみ、食品衛生管理者となることが可能です。

参考:食品衛生管理者|厚生労働省

食品衛生管理者登録講習会を修了する

高等学校卒業相当以上の学歴を持つ人で、食品衛生管理者の設置が必要な施設で衛生管理業務に従事した経験が3年以上ある場合、食品衛生管理者登録講習会を修了すれば、食品衛生管理者になることが可能です。

なお、講習会によって、対象となる業種のほか講習科目や時間数が異なるため、事前に確認することをおすすめします。

食品衛生管理者の資格は転職に役立つ?

厨房のチェック

(出典) pixta.jp

食品衛生管理者は、決して簡単ではありません。資格を取得できた場合、転職において有利に働くのでしょうか。食品衛生管理者の資格と転職の関係について解説します。

資格を活用できる職場

食品衛生管理者の資格を生かせる代表的な職場として、食品メーカーが挙げられます。全粉乳や加糖粉乳、食肉製品など、食品衛生法施行令13条で指定される食品・添加物を製造・加工する食品メーカーは、施設ごとに食品衛生管理者の配置が義務のためです。

食品衛生管理者は、施設内での食中毒の発生を防止するため、従業員に対して衛生教育を施し、衛生管理を徹底させなければなりません。また、食中毒が発生してしまった場合には、先頭に立って対処に当たるのも重要な役割です。

調理施設に転職する場合には、食品衛生管理者の資格は不要ですが、取得していれば優遇される可能性があるでしょう。

参考:食品衛生法施行令|e-Gov法令検索

法律で配置が義務付けられており需要が高い

食品衛生管理者は、要件に該当する食品・添加物の製造・加工を営む会社の施設に必ず設置しなければなりません。

法律によって設置が義務付けられていることに加え、合格率は高いとはいえ誰でも取れる取得ではないことから、一部の企業からの需要は高いといえます。また、資格保有者に対して手当が支給される企業があるのも魅力です。

ただし、基本的に職場での実務と衛生管理業務を並行して行う必要があるほか、資格があるだけでキャリアアップにつながるとは限らない点には注意が必要でしょう。

食品衛生管理者の資格が生かせる職を探してみよう

厨房のチェック

(出典) pixta.jp

食品衛生管理者は、食品や添加物の製造・加工に携わる施設で衛生管理を行う上で必要な国家資格です。

特定の食品・添加物を製造・加工する施設には、専任の食品衛生管理者を配置する必要があります。資格を保有していると、現在の職場や転職において重宝される可能性もあるでしょう。

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