ネイリストになるには?就職・独立に役立つ資格やスキルを解説

ネイリストは、国家資格や特定の資格を必要としない職業です。未経験から目指すには、どこで知識・技術を習得し、どのような働き方を選択すればよいのでしょうか?就職・独立に役立つ資格や、身に付けておきたいスキルも紹介します。

ネイリストになるにはどんなルートがある?

ネイルサロン

(出典) pixta.jp

ネイリストは、爪の整形や甘皮の処理、ネイルカラーの塗布などによって、顧客の指先を美しく見せる仕事です。未経験者がネイリストを目指す上で、どのようなルートをたどればよいのでしょうか?

必要な知識・技術を身に付ける

未経験者を採用するネイルサロンもありますが、就職に当たっては、必要な知識や技術を身に付けておくのが望ましいでしょう。

新人は受付や清掃などの運営業務からスタートするのが一般的ですが、一定の技術力があればネイリストとしてのデビューが早まります。

美容専門学校やネイルスクールなどでは、以下のような知識・技術が学べます。

  • ネイルの歴史
  • ネイルの技術
  • 爪の構造や疾患について
  • フットケア
  • 色彩理論
  • トラブルの対処法や消毒方法
  • 顧客とのコミュニケーション方法・接客マナー

技術力を証明できる資格を取得する

ネイリストになる上で必須の資格はありません。知識や技術を習得すれば、誰でもネイリストを名乗れます。

しかし、施術を受ける顧客やネイリストを雇う側の立場に立てば、技術力を証明する資格がある方が安心して施術を任せられるでしょう。

実際、未経験可・資格なし可の求人は見習い期間が長く、ネイリストの仕事に就くまでに一定の期間を要します。ネイリストに関連する民間資格を取得しておけば、即戦力候補として採用される可能性が高いでしょう。

なお、特定の資格試験に対応したスクールや通信講座もあるため、取得したい資格を先に決めてから、学習方法を選択するのも1つの手です。

ネイリストとしての働き方を決める

知識や技術を身に付けた後、すぐに自分のサロンを開店することも可能ですが、ネイリストとして就職する道を選択すれば、先輩ネイリストの指導の下で着実に実力をつけていけます。多様な雇用形態・勤務先があるため、自分らしく働ける職場を探しましょう。

主な勤務先はネイルサロンですが、美容室や結婚式場での需要も少なくありません。雇用形態は、正社員・アルバイト・業務委託などです。給与体系は、「基本給+インセンティブ」の場合もあれば、基本給を設けない「完全歩合制」のケースもあります。

求人情報は、求人検索サイト「スタンバイ」でチェックしましょう。勤務地や雇用形態、給与などで絞り込みが可能です。

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ネイリストに必要な技術はどこで学ぶ?

ネイル作業

(出典) pixta.jp

ネイリストに必要な技術は、どこで学ぶのが理想なのでしょうか?独学も可能ですが、プロからの指導やサポートが受けられないのがデメリットです。

技術の習得までに時間を要するため、美容専門学校やネイルスクール、通信講座などで体系化されたカリキュラムを学ぶ方法を検討しましょう。

美容専門学校

美容専門学校とは、美容系の職業を目指す人が通う専門学校です。ネイルはもちろん、美容に関する幅広い専門知識を身に付けられるのが特徴で、ネイリストを目指す人は、トータルビューティ科のネイルコースなどを選択します。

教育課程は、昼間課程(2年以上)・夜間課程(2年以上)・通信課程(3年以上)に分かれます。

3年以上の通信課程は、美容師の国家資格を取得するためのカリキュラムであるため、ネイリストを目指す人は、昼間課程または夜間課程を選択するとよいでしょう。

数は少ないですが、全国にはネイリストコースのみの専門学校もあります。2年間、ネイルだけを集中して学べるので、実力がしっかりと身に付きます。

ネイルスクール

ネイルスクールとは、ネイルのみを専門的に学ぶスクールです。美容専門学校との大きな違いは、学校法人であるか否かという点です。

学校法人である美容専門学校では、学校教育法に基づくカリキュラムが組まれます。全ての生徒がネイリストを目指すわけではなく、美容についての知識を幅広く学ぶのが特徴です。

ネイルスクールでは、各スクールの方針に基づいて自由にカリキュラムが組まれます。スクールにもよりますが、受講スタイルは通学制と通信制の2パターンで、ネイルに特化した内容を学べるのがメリットです。

スクールを選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 受けたい資格試験の認定校かどうか
  • 資格試験の合格保証があるか
  • 就職サポートの状況

例えば、「JNAジェルネイル技能検定試験(初級)」において、JNA認定校に通う生徒は条件によって、実技試験が実質的に免除される上、筆記試験を自校で受けられます。

参考:JNAジェルネイル技能検定試験 | NPO法人 日本ネイリスト協会

通信講座

通信講座とは、テキストや動画などを使って自宅で学ぶスタイルです。学びたいコースをピックアップできる上、スクールよりも費用が安く済むのがメリットです。講師への質問や添削などのサービスもあり、独学より高いモチベーションが維持できます。

一方で、講師から直接的な指導を受けられないため、技術の習得に時間がかかるのがデメリットです。仲間と切磋琢磨できる環境がほとんどなく、1人で地道に学習を続けなければなりません。人によっては練習モデルを探すのに苦労するでしょう。

就職・独立に役立つ民間資格を紹介

ネイルを塗る

(出典) pixta.jp

資格がなくてもネイリストになれますが、民間資格があれば就職に有利です。独立する際も、資格によって自分のレベルを証明できるため、顧客に選ばれやすくなるでしょう。ネイリストにおすすめの民間資格を紹介します。

JNECネイリスト技能検定試験

公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが主催する検定試験です。正しい技術と知識の向上を目的としており、等級は3段階に分かれています。

試験内容は筆記試験と実技試験で、最も難易度が低い3級は、義務教育を修了した人であれば誰でも受験が可能です。

  • 3級:ネイルケアやネイルアートに関する基本的な技術・知識
  • 2級:サロンワークで通用する技術・知識
  • 1級:トップレベルのネイリストに必要とされる総合的な技術・知識

同時受験や飛び級はできず、3級→2級→1級の順番にレベルアップしていく仕組みです。1級の合格者は、トップレベルの技術があると認められるため、就職・転職がしやすくなるでしょう。

公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター

JNAジェルネイル技能検定試験

ジェルネイルの施術に必要な理論と技術を問う検定試験で、NPO法人日本ネイリスト協会が主催です。初級・中級・上級の3段階に分かれており、同時受験や飛び級はできません。

  • 初級:ネイルケアとジェルネイルの施術に必要な基礎的知識・技術
  • 中級:プロのサロンワークに必要な専門的知識・技術
  • 上級:ジェルネイルのスペシャリストに必要とされる総合的知識・技術

上述の「JNECネイリスト技能検定試験」はネイルに関する知識・技術を幅広く問うのに対し、本検定試験はジェルネイルに特化しています。近年は、ジェルネイルに力を入れるサロンが増えているため、有資格者は高く評価されるでしょう。

JNAジェルネイル技能検定試験 | NPO法人 日本ネイリスト協会

JNA認定ネイルサロン衛生管理士

JNA認定ネイルサロン衛生管理士は、NPO法人日本ネイリスト協会が主催する資格制度です。講習を受け、確記テスト(筆記)に合格した者には、「ネイルサロン衛生管理士」の資格が与えられます。

ネイルサロンには不特定多数の人が訪れるため、衛生面には十分に注意が必要です。衛生管理の知識を習得したネイルサロン衛生管理士が在籍していれば、安心・安全なサービスを提供しているという1つの証明になるでしょう。

「独立の予定がないから、資格は不要」と考える人もいますが、就職の際は、衛生管理への理解があるネイリストであることをアピールできるため、選考が有利に進むでしょう。

衛生管理 | NPO法人 日本ネイリスト協会

ネイルの技術以外で身に付けたいスキル

ネイルサロン

(出典) pixta.jp

ネイリストの仕事は、ネイルケアやネイルアートなどを通じて、顧客を満足させることです。顧客から選ばれるネイリストになるには、ネイルの技術以外にもさまざまなスキルを身に付ける必要があります。

コミュニケーション能力

ネイリストには高いコミュニケーション能力が必要です。施術前には、要望や悩みを細かくヒアリングした上で、ケアの種類やネイルのデザインを提案します。

相手のニーズを理解したり、イメージを伝えたりする能力が乏しいと、顧客との間に認識の擦れ違いが生じます。顧客が希望したデザインに仕上がらず、結果的に満足度の低下につながる恐れがあるでしょう。

ネイルサロンには、癒やしを求めて来店する顧客もいます。ネイリストにはセラピストとしての役割も求められるので、相手の話にじっくりと耳を傾ける「傾聴力」や心理的な距離を縮めるための「雑談力」も求められます。

美的センスや色彩感覚

指名が絶えないネイリストは、技術力はもとより、美的センスや色彩感覚にも優れています。「人と違うデザインにしたい」「ファッションに合わせたネイルにしたい」という顧客は多く、ネイリストのセンスと腕が試されます。

美的センスや色彩感覚は、一朝一夕で身に付くものではありません。周囲にアンテナを張り、美しいものやユニークなもの、センスのよいものをたくさん目にする必要があります。

雑誌をチェックしたり、街を歩いたりしてトレンドを把握する姿勢も大切です。料理・街並み・自然風景など、ネイルとは関係がなさそうなものからもアイデアのヒントが得られます。

ネイリストに関するQ&A

ネイリスト

(出典) pixta.jp

ネイリストへの一歩がなかなか踏み出せない人は、疑問点や不安点を解消した上で、今後のキャリアプランを立ててみましょう。スクール卒業後のサロン開業や道具を購入する方法など、ネイリストを目指す人が疑問に感じやすい事項をQ&Aでまとめました。

スクール卒業後にサロン開業は可能?

知識や技術を身に付けた後、ネイリストとして就職せずに、自分でネイルサロンを開業することも可能です。

特別な許可は必要なく、所轄の税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」や「所得税の青色申告承認申請書(青色申告を選択する場合)」を提出すると、一連の手続きは完了します。

経営を軌道に乗せられるかどうかは本人次第です。サロン勤務の経験がない人は人脈が乏しく、集客に苦労するでしょう。経営の知識がない場合、利益が出る料金設定や会計管理がうまくできない可能性があります。

サロン開業に挑戦するのもよいですが、未経験者はネイルサロンなどに就職し、技術力を磨きながら人脈を広げていく方法を検討しましょう。

必要な道具・材料はどこで購入できる?

ネイルの練習をしたり、検定試験を受けたりする際には、道具や材料が必要です。購入場所の一例は以下の通りです。

  • 専門学校やスクールを通じて購入する
  • ネイル用品の問屋から購入する(オンライン・実店舗)
  • 100円ショップや雑貨店で購入する
  • フリマアプリで購入する

プロを目指す人は、専門学校やスクールを通じて購入するか、ネイリスト向けの商品を扱う問屋で購入するのが望ましいでしょう。

問屋は、プロのネイリストやネイルスクール生、有資格者などを対象とした専門店で、事前の会員登録が必要です(一般客が利用できる店舗もあり)。

なお、JNAジェルネイル技能検定試験には指定商品があり、指定商品以外を使用した場合は失格となります。自己判断で購入せずに、商品の種類や購入できる場所を事前に確認しましょう。

参考:指定商品 | NPO法人 日本ネイリスト協会

自分に合った方法でネイリストを目指そう

ネイリスト

(出典) pixta.jp

ネイリストに資格は必要なく、知識や技術を習得すれば、誰でもネイリストとして活動できます。就職を少しでも有利に進めたい人やより信頼されるネイリストを目指したい人は、自分の能力を客観的に証明できる民間資格を取得しましょう。

必要な知識・技術を身に付ける手段は複数あります。専門学校の夜間課程や通信講座であれば、仕事のある社会人でも無理なく学べるでしょう。最終的なゴールを明確にし、自分に合った方法でネイリストを目指しましょう。