スタイリストになるには何が必要?資格やスキル、学校選びのコツも

ファッションの世界で活躍するプロのスタイリストになるには、どのような資格やスキルが必要なのでしょうか?未経験者がスタイリストを目指す方法は、1つだけではありません。学校選びのポイントや卒業後の進路、働き方を解説します。

スタイリストになるには?

ヘアメイク

(出典) pixta.jp

スタイリストとは、テレビやCM、雑誌などに出る人の衣装・小物をコーディネートする職業です。近年は、美容師をスタイリストと呼ぶ場合がありますが、ここでは主にファッションの世界で活躍する「ファッションスタイリスト」について解説します。

大学や短大、専門学校で基礎知識を学ぶのが一般的

スタイリストになる上で、学歴や資格は不要です。ただし、TPOに合わせたスタイリングや配色といったファッションに関する知識が求められるため、大学や専門学校、短大に通い、スタイリングのテクニックを学ぶ人が大半です。

服飾系の専門学校には、スタイリストを目指す人のためのコースがあり、プロの講師から、生きた技術やノウハウが学べます。

仕事や家事などで忙しい社会人は、夜間コースや土日コースがある学校を選びましょう。独学で学ぶ人もいますが、学校に通った方が必要なスキルを体系的かつ効率的に身に付けられます。

参考:スタイリスト - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

資格があると就職・転職に有利

スタイリストになるのに必須の資格はなく、実力さえあれば誰でもスタイリストとして活躍できます。

ただし、ファッションやスタイリングに関する民間資格があった方が、就職・転職には有利です。自分の実力を客観的に証明できる上、資格取得の勉強を通じて、幅広い知識が身に付きます。

なお、ヘアスタイルやメイクを担当する「ヘアスタイリスト」を目指すには、国家資格である美容師免許が必須です。美容師国家試験を受験するには、所定の養成施設で学び、必要な知識と技術を身に付ける必要があります。

スタイリストでも、業務内容によって必要な資格が異なる点に注意しましょう。

参考:美容師法の概要 |厚生労働省

学校選びで後悔しないためのポイント

服を選ぶ女性

(出典) pixta.jp

全国には、スタイリストを目指す人向けの短大や専門学校が数多く存在し、担当する講師の経歴やカリキュラムの内容は学校ごとに異なります。自分に合う学校を見つけるためのポイントを紹介します。

卒業生の就職先をチェックする

コースやカリキュラムの内容だけでなく、卒業生の就職先をチェックしましょう。服飾系の学校に通うのは、スタイリストになりたい人だけではありません。デザイン職を目指す人もいれば、ファッションビジネスに関わる仕事がしたい人もいます。

卒業生の就職先や進路を調べることで、自分が進む方向性と合っているかどうかが分かります。講師の経歴もチェックしておきましょう。

多くの学校には、卒業生の就職を支援する仕組みがあります。企業やブランドとのコネクションがあれば、卒業後の就職・転職が有利に進むかもしれません。学校選びは、将来の進路を見据えることが重要です。

オープンキャンパスに参加する

入学の申し込みをする前に、オープンキャンパスや体験入学に参加しましょう。実際に足を運んでみると、パンフレットやWebサイトだけでは分からない情報が得られ、入学後のミスマッチを減らせます。

オープンキャンパスでチェックしたいポイントは以下の通りです。学校の雰囲気を肌で感じ、「ここで学んでみたい」と思える学校を選びましょう。

  • 在校生・講師の様子
  • 校内の雰囲気
  • 教室の広さ
  • 設備の充実度

「高校生のみ」などの制限がない限り、社会人もオープンキャンパスに参加できます。土日や平日の夜に説明会を設けている学校もあるため、Webサイトを確認しましょう。

学校を卒業した後の進路は?

アパレルで働く女性

(出典) pixta.jp

スタイリストの働き方は、「企業に就職する」「スタイリスト事務所に所属する」「フリーのスタイリストになる」の3つに大別されます。学校卒業後の代表的な進路をピックアップして紹介します。

アパレルブランドや百貨店などに就職する

アパレルブランドや百貨店では、社内スタイリストを募集しています。企業に就職する道を選べば、安定した収入を得ながらのキャリア形成が可能です。就職先にもよりますが、以下のような業務を担当するケースが多いでしょう。

  • 来店した顧客へのアドバイス
  • 店内のディスプレイ
  • 広告撮影時のモデルのスタイリング

専属スタイリストがファッションのアドバイスやショッピングへの同行を行う「スタイリングサービス」を提供する百貨店もあります。

また近年は、ファッションアイテムをレンタルするサブスクサービスを展開する企業が増えてきました。そうした企業では、スタイリストはユーザーに似合いそうなファッションをセレクトする業務に従事します。

スタイリスト事務所に所属する

フリーのスタイリストを目指す人や仕事の幅を広げたい人は、スタイリスト事務所(スタイリストプロダクション)に所属するケースが多いようです。

事務所が外部から請けた仕事を、所属のスタイリストに割り振るパターンで、テレビやCM、雑誌・ファッションショーなどのさまざまな場面で活躍できるのがメリットです。

新人は、先輩スタイリストのアシスタントからスタートするのが通常です。一人前のスタイリストとして活躍するまでには、数年の期間を要するでしょう。

フリーのスタイリストになる

企業やスタイリスト事務所に所属せず、フリーのスタイリストになる選択肢もあります。自分で仕事を獲得しなければならないため、実力やコネクションのない新人は、仕事が軌道に乗るまでに時間がかかるでしょう。

スタイリスト事務所で経験を積んでから独立するか、既に活躍しているスタイリストのアシスタントを経て独立するのが一般的なルートです。

独立後は、経費の精算や取引先への請求書の発行、確定申告といった事務作業も、自分で行う必要があります。

仕事は基本的に単発で、名前が売れるまでは、収入がほとんどない日が続くケースも珍しくありません。実力が認められて売れっ子になれば、企業とのタイアップやテレビ番組への出演、執筆活動などでも収入が得られるでしょう。

スタイリストを目指す人に役立つ資格を紹介

メイクさん

(出典) pixta.jp

スタイリストが資格を取得するメリットは、就職・転職の際にアピールができることです。資格取得の勉強を通して多くの知識が身に付くため、他者との差別化も図れるでしょう。スタイリストを目指す人におすすめの資格を紹介します。

パーソナルスタイリスト検定

パーソナルスタイリスト検定は、一般社団法人パーソナルスタイリスト協会が主催する民間資格で、スタイリング術・ファッションの歴史・マナーなどを幅広く学びたい人におすすめです。

一般教養や常識を備えた18歳以上であれば、国籍や性別を問わず誰でも受験できるため、在学中に取得するのもよいでしょう。

等級は、4級・3級・2級・1級の4段階です。2級の1次と2次に合格すると、パーソナルスタイリストとして認定されます。4級はインターネットによる受験で、ネット環境さえ整っていれば、時間や場所を問わず受験できます。

検定のご案内 | パーソナルスタイリスト協会

ファッションビジネス能力検定

ファッションビジネス能力検定は、一般財団法人日本ファッション教育振興協会が認定する資格です。

マネジメントやマーケティング戦略など、ファッションビジネスに関連する知識・スキルを判定する内容のため、経営者やフリーランス、マネージャーを目指す人におすすめです。等級は3級・2級・1級で、年齢や学歴に関係なく受験できます。

各級の特徴は以下の通りです。

  • 3級・2級:ファッション商品の企画・生産・流通に関わる業務スキルの向上を目的とし、ファッションビジネスに関する知識の習得度合いを判定する
  • 1級:高度なビジネス戦略・マネジメント・問題解決能力・計画立案力などを判定する

ファッションビジネス能力検定|日本ファッション教育振興協会

パーソナルカラリスト検定

パーソナルカラリスト検定は、一般社団法人日本カラリスト協会が認定しています。人と色に関する色彩知識や配色調和のスキルを問う内容で、等級は3級・2級・1級の3段階です。

「CUS配色調和」「パーソナルカラーの4シーズン」「ブルーアンダートーンとイエローアンダートーンの違い」などが身に付くため、ファッション業界や化粧品業界で働く人に人気があります。

3級と2級に受検のための条件はありませんが、1級は2級取得者のみが対象です。仕事に生かしたい人は2級以上を目指しましょう。いずれの等級もWeb受験が選択できます。

パーソナルカラリスト検定|一般社団法人日本カラリスト協会

スタイリストに求められる資質・スキル

服を選ぶ女性

(出典) pixta.jp

働く場所や雇用形態にかかわらず、スタイリストに共通して求められる資質・スキルがあります。自分に欠けている要素があれば、どのようにしてカバーするか考えましょう。

トレンドをキャッチする能力

スタイリストに限りませんが、ファッション業界で働く上では「トレンドをキャッチする能力」が不可欠です。シーズンごとに変わるトレンドをいち早く把握し、スタイリングにうまく取り入れなければなりません。

職業柄、さまざまな業界・業種のクライアントと仕事をするため、ファッション業界以外のトレンドやカルチャーにも敏感である必要があります。常に周囲にアンテナを張って情報を収集し、知識や技術をアップデートしていく姿勢が求められるでしょう。

最前線で活躍するスタイリストは、好奇心旺盛で向上心があり、多くの知識を貪欲に吸収しています。

コミュニケーション能力・周囲への気配り

カメラマンやヘアメイクアップアーティスト、ブランドのPR担当者など、スタイリストは常に多くの人に囲まれて仕事をします。

どんなに優れたセンス・技術があっても、コミュニケーション能力や周囲への気配りが欠けていれば、仕事は円滑に進まないでしょう。

コミュニケーション能力が高く、かつ常に相手の立場に立って物事を考えられる人は、スタッフやクライアントと良好な信頼関係を構築できます。さまざまな場所で人脈が広がるため、フリーランスとして独立しても成功する可能性が高いでしょう。

精神力と体力

スタイリストは一見、華やかで楽しそうな職業に見えますが、精神力と体力が求められる仕事で。

一人前のスタイリストになるまでの道のりは長く、人によっては収入がほとんどない日々が続く可能性があります。失敗してもめげず、前向きに努力を続けられる人でなければ、夢をつかむのは難しいでしょう。

仕事の時間は不規則になりがちで、撮影が深夜から明け方になることも日常茶飯事です。1回の撮影で複数の衣装や小物を使用するため、運搬・撤収作業では体力を消耗するでしょう。

スタイリストを目指す人は、今のうちから自分の健康を管理する能力を身に付ける必要があります。

夢をかなえるには努力と根気強さが必要

笑顔で話す女性

(出典) pixta.jp

スタイリストになるには、ファッションが好きなことに加え、体力や精神力が求められます。プロになるまでの道のりは険しく、多くの人は長い下積み時代を経験するでしょう。

未経験からスタイリストを目指す場合、短大や専門学校でスタイリングの基礎を身に付けるのが望ましいといえます。日々の暮らしの中で、トレンドをキャッチする能力やコミュニケーション能力を磨いていく姿勢も欠かせません。

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