スポーツ栄養士になるにはどんな資格が必要?仕事内容や勤務先も紹介

スポーツ栄養士は、スポーツ選手やチームを栄養面からサポートする仕事です。スポーツ栄養士として働くには、どのような資格が必要なのでしょうか?資格の種類や取得方法を解説します。具体的な仕事内容や、勤務先についても確認しましょう。

スポーツ栄養士になる方法

栄養士

(出典) pixta.jp

スポーツ栄養士になる上では、栄養や食事に関する専門知識を学ぶ必要があります。どのような方法で学べるのか、具体的に見ていきましょう。

大学や専門学校でスポーツ栄養の知識を学ぶ

スポーツ栄養士になるためには、栄養学科や栄養士科がある大学・専門学校で、栄養に関する知識を学ぶことが必要です。

大学・専門学校では、栄養に関する基礎知識のほかに、応用栄養学・スポーツ心理学・スポーツ科学・栄養指導論など、スポーツ選手のサポートに役立つ知識も学べます。

スポーツ栄養士に特化して学びたい場合は、専門コースを設置している専門学校に通うのもおすすめです。専門学校は、一般的に2~3年で卒業できるケースが多いため、短期間で学べるというメリットもあります。

栄養士・管理栄養士の国家資格を取得する

スポーツ栄養士として働くには、栄養士または管理栄養士の国家資格を取得する必要があります。栄養士の資格は、2~4年制の栄養士養成施設で課程を修了し、都道府県知事に申請して免許を受けることで取得可能です。

管理栄養士になるには、栄養士の資格取得後に、管理栄養士の国家試験に合格しなければなりません。栄養士が管理栄養士資格の国家試験を受験するには、栄養士養成施設での修業と実務経験を合わせて5年以上が必要です。

ただし、管理栄養士養成施設を修了している場合は、栄養士免許を取得後すぐに試験を受けられます。

栄養士は、主に健康な人に対して栄養指導するのが仕事なので、病気・ケガをしたスポーツ選手のサポートもできるよう、管理栄養士の資格も取得しておくのがおすすめです。

参考:栄養士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

参考:管理栄養士国家試験|厚生労働省

公認スポーツ栄養士とは?

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(出典) pixta.jp

スポーツの現場で必要とされる栄養・食事について専門性を高めたい場合は、公認スポーツ栄養士の資格を取得する道もあります。資格の取得方法や、メリットについて確認しておきましょう。

スポーツ栄養士の認定資格

公認スポーツ栄養士は、「公益社団法人 日本栄養士会」と「公益財団法人 日本スポーツ協会(JSPO)」が共同で認定する資格です。認定されると、スポーツ栄養の専門家としての活動が可能になります。

資格を取得するには、審査に通過して、公認スポーツ栄養士養成に関する複数の講習会の受講と、検定試験の合格が必要です。以下の条件を満たした人の中で、日本栄養士会と日本スポーツ協会が認めた人だけが審査を申請できます。

  • 管理栄養士の資格を取得している
  • 養成講習会を受講する年度の4月1日時点で満22歳以上である
  • スポーツ栄養指導の実務経験があるか、または今後予定がある

日本栄養士会によると、2023年5月時点で464名が認定されています。

参考:公認スポーツ栄養士 | 公益社団法人 日本栄養士会

参考:公益社団法人 日本栄養士会

参考:JSPO 日本スポーツ協会

養成講座を受講して検定試験に合格する

公認スポーツ栄養士になるには、申請に必要な資格を満たし、養成講座を受講することから始まります。

ただし、審査の申請を行うには、事前に「特定非営利活動法人 日本スポーツ栄養学会」が開催する、「スポーツ栄養ベーシックコース講習会」を受講していることが必要です。

スポーツ栄養ベーシックコース講習会を修了の上、必要書類を日本スポーツ栄養学会に提出して審査に通れば「公認スポーツ栄養士養成講習会」を受講できます。

公認スポーツ栄養士養成講習会を修了したら、共通科目Ⅲ検定試験を受けて合格し、さらに専門科目集合講習会を受講しなければなりません。最終的に専門科目検定試験に合格することで、ようやく公認スポーツ栄養士として認定されます。

なお、資格の有効期間は4年間です。更新するには、有効期限の6カ月前までに、日本スポーツ栄養学会が認める研修会を受講する必要があります。

参考:日本スポーツ栄養学会

公認スポーツ栄養士を取得するメリット

資格を取得すると、スポーツ選手の栄養管理に関する専門家として認められ、仕事の幅が広がる可能性があるでしょう。

日本スポーツ栄養学会が実施したアンケートでも、資格取得後に感じたメリットとして、スポーツに関わる仕事が増加したという回答が最多でした。

幅広い年齢層に対応できるほか、プロ・アマチュアを問わず、さまざまなスポーツで活躍する選手のサポートに役立つでしょう。

ほかにも、難易度の高い資格を取得していることで信頼度が高まったり、自身のスキルアップにつながったり、専門家の人脈ができたりといったメリットも期待できます。

参考:公認スポーツ栄養士とは|特定非営利活動法人 日本スポーツ栄養学会

スポーツ栄養士の仕事内容

資料に書き込む白衣の人物

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スポーツ栄養士の、具体的な仕事内容についても確認しておきましょう。主な仕事を3つ紹介します。

スポーツ選手の栄養管理

スポーツ選手たちの日常的な栄養管理は、スポーツ栄養士にとって大切な仕事です。選手たちのコンディションを整え、本来のパフォーマンスを発揮できるよう、食事内容を把握して不足している栄養素がないか確認します。

練習・トレーニングと連動させた栄養補給を考える必要があるほか、体重制限があるスポーツの場合は、適切な体重を維持させるための管理も重要です。また、身体組成の測定や、血液・尿・便などの検査値から健康状態のチェックなども担当します。

食事メニューの考案

選手ごとに、必要な栄養を摂取できるメニューを考えて、体づくりをサポートします。年齢やスポーツの種類によって必要な栄養素は異なるので、担当する選手にとってどのような食事が最適なのかを考えなければなりません。

また、遠征・合宿に同行して、食事の提供や食環境の整備をするケースもあります。スポーツ栄養士の仕事は、選手を含め関係者との信頼関係の上で成り立っているため、食事内容を考えた理由・メリットを明確に説明することが大切です。

栄養に関する情報の提供

食事・栄養に関する情報発信も行います。選手の栄養をサポートするとはいえ、常に同行して食事を管理するのは現実的に不可能です。

食事によってコンディションを整え、本来持っている力を発揮してもらうためには、選手本人の適切な自己管理も必要になります。

しかし、トレーニング方法や筋肉に関する知識は豊富でも、食事・栄養にはあまり詳しくないという選手がほとんどです。そのため、選手・チームを対象としたセミナーを開催したり、個別の栄養相談を受けたりしながら、栄養に関する情報を提供します。

スポーツ栄養士が働く主な場所

栄養士

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スポーツ栄養士は、どのような場所で活躍しているのでしょうか?主な勤務先を3つ紹介します。

スポーツチーム

シニア・アマチュア・プロなど、さまざまなスポーツチームや実業団で、選手の栄養面をサポートします。

近年、スポーツ選手の栄養管理が重要視されるようになり、ジュニアの頃からスポーツ栄養士の必要性を感じるチームが増えてきました。

ジュニアアスリートの場合、成長期という大切な時期にもあることから、スポーツの成果だけでなく、健全な成長を促すための栄養管理が必要です。

実業団を抱える企業で働く場合は、社員として採用されるか、外部委託として契約するかのどちらかになります。

フィットネスクラブ・スポーツジム

フィットネスクラブ・スポーツジムでは、ダイエット目的の利用客に対して、食生活のカウンセリングを行うのが主な仕事です。

パーソナルトレーナーを付けている利用客の栄養管理のほか、クラブの会員に向けた栄養セミナー・個別の栄養相談などにも対応します。

ジムのインストラクターをしながら、スポーツ栄養士の業務をこなしている人も少なくありません。健康維持や減量など、目的に応じて運動と食事を組み合わせたプログラムを提案します。

教育機関・病院

教育機関・病院で働く人も数多くいます。「日本スポーツ栄養学会」が2017年に行った調査では、公認スポーツ栄養士の勤務先で一番多かったのが「研究教育機関(大学・短大・専門学校)」でした。

栄養や健康に関する専門知識は、サプリメントの開発などにも生かせます。スポーツ栄養士は、管理栄養士の資格を持っているため「病院」での栄養指導も可能です。

また「介護施設」で、要介護者の食生活・栄養面をサポートする仕事にも従事できます。

参考:公認スポーツ栄養士とは|特定非営利活動法人 日本スポーツ栄養学会

スポーツ栄養士のやりがい

白衣の女性

(出典) pixta.jp

スポーツ栄養士は、資格取得の難易度が高い仕事です。しかし、その分大きなやりがいも得られます。最後に、どのようなときにやりがいを感じられるのか見ていきましょう。

勝利の喜びを共有できる

サポートした選手・チームが結果を残せたときには、喜びを共有できます。栄養面からサポートしてくれるスポーツ栄養士の存在は、選手にとってはともに頑張ってきた大切なチームの一員です。

栄養士にとっても、苦労・悩みを一緒に乗り越えてきたからこそ、結果を出せたときの喜びも大きくなります。練習・トレーニングには直接関わらなくても、選手を勝利に導くサポートができたという達成感も得られるでしょう。

知識を生かせる場が多い

近年では、選手の栄養管理が重要視されるようになったこともあり、数多くのスポーツの現場で栄養士が必要とされています。

プロ・アマチュアを含めた選手・チームのサポートだけでなく、一般の人が利用するフィットネスクラブ・スポーツジムなど、活躍の場は多様です。

また、栄養やスポーツ科学などの知識を生かせる場は、スポーツの現場だけではありません。医療・介護の施設など、管理栄養士の資格を取得しているスポーツ栄養士だからこそ働ける場所は、数多くあるでしょう。

多くの専門家と連携してスキルアップできる

スポーツ選手の周りには、スポーツドクター・メンタルトレーナー・監督・コーチなど、選手を支える専門家が数多くいます。選手をサポートするには、これらの専門家との連携が欠かせません。

さまざまなジャンルの専門家と協働することで、栄養・食事以外の知識も増えていけば、スキルアップやキャリアアップに役立つでしょう。多くの人と関わるため、新たな人脈形成の可能性もあります。

必要な資格を取得してスポーツ栄養士になろう

栄養士

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スポーツ栄養士になるには、まずは管理栄養士の資格を取得することが必要です。さらに、公認スポーツ栄養士になれば、プロ選手をサポートできる可能性もあります。

資格取得までのハードルは高いですが、選手・チームをサポートし、結果が出たときに得られるやりがい・達成感は格別です。スポーツや栄養に興味がある人は、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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