「准教授」は、大学における一般的な役職です。似た名称の「助教授」とは何が違うのでしょうか?仕事の内容や役割、助教授との違いを解説します。准教授以外の役職として知られる助教・講師・助手の仕事内容や、准教授を目指す方法も確認しましょう。
准教授の役割とは
大学には「准教授」という役職があります。ほかにもいくつか役職がありますが、准教授とは何をするポジションなのでしょうか?まずは、准教授の主な役割について解説します。
研究や学生への指導が主な役割
准教授は、自分の研究や学生の教育が主な役割です。准教授のみに課せられた役割は基本的に存在せず、仕事内容は教授とほぼ変わりません。
学校教育法では以下、教授の項と同様の定義付けがされています。
准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
准教授の役職は教授の次に位置するもので、責任・権限は教授の方が高くなっています。准教授を続けていく中で能力や研究の成果が認められれば、教授へのキャリアアップが可能となるでしょう。
准教授と助教授の違い
「助教授」は、かつて大学に存在していた役職です。准教授とは何が違うのでしょうか?それぞれの役割や、変更の経緯について解説します。
准教授と助教授は基本的に同じ役割
2023年現在、「助教授」という役職は存在しませんが、実質的な役割は准教授と同じです。どちらも教授の次に位置する役職であり、助教授の名称が准教授に変わっただけで、仕事内容に変更点はありません。
ただし正確には、学校教育法の文言は修正されています。かつての法律には、以下のみ記載されていました。
助教授は、教授の職務を助ける。
このため、助教授の役割を「教授のサポート」と誤解する人も多かったようです。
実態としては現在の准教授と同じように、自分の研究と学生の指導に当たっており、誤解を生みやすい「助」の文字が「准」に置き換わりました。
2007年に助教授から准教授に改称
助教授が准教授に改称されたのは、2007年です。助教授の名称や法律上の規定では、国際的な研究発表でも「助教授は教授のアシスタントである」と誤解されやすいといったデメリットがあり、名称変更とともに法律の変更・制度の見直しが行われています。
また、名称変更と併せて、新たに「助教」という役職が生まれたのも大きなポイントです。助教授と名乗っていた役職者の肩書が准教授に変わり、教授や准教授をサポートする役割が新たに作られた点が、主な変更点といえるでしょう。
助教・講師・助手とは?
大学で働く人は、教授や准教授だけではありません。その下には、助教・講師・助手といった役職があります。
准教授を目指す上で、助教・講師・助手として経験を積む機会も多いため、それぞれの役職について仕事内容や特徴を把握しておきましょう。
助教や講師は大学での教育を主に担当
助教や講師は、主に大学における教育を担う役職です。教授や准教授の下で、学生の指導や研究を担います。
役職の順位を上から並べると、准教授・講師・助教の順です。助教を経て講師に昇進し、准教授へとキャリアアップします。
学校教育法では、助教について以下のように定めています。
助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
このことから、指導と研究の両方を担う役職と判断できるでしょう。
また講師の項は、教授または准教授に準ずる役職となっており、職務内容については詳しく定められていません。ただし「講師」という名称の通り、学生の指導・教育を中心に担当する役職です。
助手は大学での教育・研究の補助を担当
学校教育法では、助手は以下のように定められています。
助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
教授・助教・講師のように、独立して研究・指導を行うわけではなく、その補助を担う立場です。教授・准教授をサポートし、雑務を担当するケースもあるでしょう。
なお、大学には助手とは別に、主に研究を担当するポスドク(ポストドクター)と呼ばれる研究員も存在します。助手やポスドクが経験を積み、能力を認められた場合に助教へとステップアップするのが一般的です。
准教授を目指す方法
大学の准教授になるには、どのような道があるのでしょうか?役職に就いている人の平均年齢や、特徴も併せて見ていきましょう。
助教や講師を経て任命されるのを待つ
大学で准教授になるには、まずは大学院に進学し、博士号を取得するのが前提です。その後、助教や講師を経てキャリアアップします。
例外的に、民間企業での実績や芸術面での才能を認められ、最初から教授・准教授に任命されるケースもありますが、通常のルートでは助教や講師として経験を積むものと考えておきましょう。
ただし、助教や講師として働いている人の全員が、准教授にキャリアアップできるわけではありません。能力や研究の成果が認められた場合に限り、ステップアップのチャンスがあります。
大学によって役職の種類や昇進の基準は異なりますが、いずれにせよ准教授にキャリアアップできるのはごく一部と考えましょう。
准教授の平均年齢は49歳
2022年度の「学校教員統計調査」の中間報告によると、准教授の平均年齢は49歳となっています。順調にキャリアアップを重ねるとしても、40~50代が中心となると考えておきましょう。
なお、准教授を長く続けている人もおり、初めて任命される年齢が49歳頃というわけではありません。才能を発揮すれば、若くして准教授に任命されるケースもあるでしょう。
とはいえ、40代頃のステップアップを目指すのが一般的で、大学教員としてキャリアを積むには時間がかかるものと考えておく方がよさそうです。
参考:学校教員統計調査 令和4年度(中間報告) 大学等 教員個人調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
准教授には実績や経験が求められる
准教授は、教授と同じように大学で研究・指導を担当する役職です。かつては助教授と呼ばれていましたが、改称後も仕事内容に大きな変化はありません。
目指すルートはいくつかあるものの、大学院に進学し、助教や講師を経てキャリアを重ねるのが一般的です。大学教員を目指すのであれば、学歴または優れた能力が重視されるため、早めに検討する方がよいでしょう。