プロジェクトマネジメントに必要なスキルとは?関連する資格も解説

プロジェクトを成功に導くために必要なプロジェクトマネジメントスキルとは、具体的にどのようなスキルなのか知らない人もいるでしょう。プロジェクトマネジメントスキルの特徴やスキルの習得方法、関連する資格について解説します。

プロジェクトマネジメントスキルとは?

ミーティングデスク

(出典) pixta.jp

どのようなスキルで、なぜ必要なのか、プロジェクトマネジメントスキルの特徴と求められる理由について解説します。

プロジェクトを円滑に進め成功させるスキル

プロジェクトマネジメントスキルとは、プロジェクトを円滑に進行・管理し、成功させるために必要なスキルの総称です。

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功させるために詳細な計画を立て、役割を分担した上で管理することを指します。プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーは、それらを実行するために、ビジネス・業界に関わる専門的な知識、コミュニケーション能力、課題解決力などのプロジェクトマネジメントスキルが求められます。

プロジェクトマネジメントスキルが必要な理由

プロジェクトに投入できるリソース(人員・資金・ツール・時間など)には限りがあります。限られたリソースを生かしてプロジェクトをスムーズに進めるためには、どのようなタスクを誰に任せるのか、チームのリーダーに誰を選出するかなど、事前の入念な計画が必要です。

また、計画を実行するためには、関係者との打ち合わせや交渉、調整が必要です。下準備を行った上で、計画を実行管理することは、最小限のリソースでプロジェクトを成功に導くために欠かせないプロセスであるためです。

加えて、プロジェクトを進行させるために複数のチームを結成してタスクや業務に取り組む場合、いずれかのチームの進捗が遅れると他のチームに影響を与えたり、プロジェクト全体の計画が崩れたりするケースがあります。

進捗を管理して、プロジェクトを適切に進行させなければ、プロジェクトが失敗に終わる恐れがあるでしょう。

このように、さまざまな理由からプロジェクトの成功にはプロジェクトマネジメントスキルが必要になるのです。

求められる主なプロジェクトマネジメントスキル

対面での打ち合わせ

(出典) pixta.jp

プロジェクトマネジメントスキルの内容や必要な理由を踏まえて、具体的にどのようなスキルが必要なのか知りたい人もいるでしょう。求められる主なプロジェクトマネジメントを紹介します。

対人関係能力

大切なプロジェクトマネジメントスキルの1つが対人関係能力です。プロジェクトには何人ものチームメンバーや関係者が関わります。それらの人々と関係性を構築したり、まとめたりする能力は、プロジェクトマネジメントに欠かせないスキルです。

対人関係能力には、以下のようなさまざまなスキルが含まれます。

  • コミュニケーションスキル
  • リーダーシップスキル
  • チームビルディングスキル など

コミュニケーションスキルは、プロジェクトマネジメントを含め、ビジネスシーンでのスキルの基本となるものです。関係者とうまく連携したり、関係性を構築したりするためには、コミュニケーションが欠かせないためです。

チームに適切な指示を出したり、士気を上げたり、チームメンバーの能力を発揮させたりするには、リーダーシップスキルも求められます。

また、業務やタスクの役割分担とともに、メンバーが力を発揮しやすい環境を整えてプロジェクトの地盤を固めるためにはチームビルディングスキルも必要です。

このように、プロジェクトマネジメントスキルには人に関するスキルが多分に含まれています。

問題解決能力

プロジェクトの進行中に発生する問題を解決する能力も、プロジェクトマネジメントスキルに含まれます。

プロジェクト進行中にはさまざまな問題が発生しますが、問題解決能力が高ければ、業務やタスクで起きる問題を素早く解決し、プロジェクト進行への影響を最小限に抑えることが可能です。

また、プロジェクトにはさまざまな立場の人や組織が関わるため、意見の対立(コンフリクト、conflict)が起こることもあります。

対立が発生した場合にコンフリクトマネジメントスキルがあれば、対立する両者の関係をWin-Winになるように解決できる上に、人材や組織の成長につなげられるため、プロジェクトマネジメントには欠かせないスキルとなります。

プロジェクトに関わる全般的な知識

プロジェクトマネジメントスキルとして、プロジェクトに関わる全般的な知識も必要です。

プロジェクトマネージャーは自分自身で業務や作業せず、プロジェクト全体を管理するケースが多いですが、適切な指示出しやアドバイス、突発的に発生するトラブルへの適切な対処には、自分が率いる業務分野について専門的な知識が必要です。

またプロジェクトマネジメントの基本的な理論や方法論、情報などを把握しておく必要があります。特にプロジェクトマネジメントに欠かせないPMBOK(ピンボック)と呼ばれるフレームワークについては、理解しておかなければなりません。

他にもプロジェクトに関わるスケジュールや予算を管理するための知識や、契約・法律の知識、一般的なビジネスに関する知識なども必要です。

プロジェクトの進行に関係するさまざまな要素について知識の習得も、プロジェクトマネジメントスキルに含まれると考えておきましょう。

プロジェクトマネジメントスキルを習得する方法

勉強する手元

(出典) pixta.jp

プロジェクトを円滑に進行させるためのスキルはどのようにして身に付ければいいのでしょうか。プロジェクトマネジメントスキルを習得するための方法を紹介します。

スキルマップを作成して不足部分を補う

プロジェクトマネジメントスキルを身に付けるには、自分自身のスキルマップを作成して、不足している部分を把握することから始めます。

スキルマップとは、現時点で自身が習得しているスキルレベルを表にして可視化したものです。スキルマップを作成すれば、強化が必要なスキルを把握できるため、効率的なスキルアップを図れます。

書籍から学ぶ

プロジェクトマネジメントスキルを習得したい場合、書籍で学ぶ方法もおすすめです。

現在、プロジェクトマネジメントスキルに関する多くの書籍が出版・販売されています。求められる能力について書籍を読めば、考え方や実例、実行方法を体系的に勉強でき、スキルアップにつながるでしょう。

特に有名な書籍として、アメリカに本部を置く「プロジェクトマネジメント協会」(Project Management Institute、PMI)が出版している『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)』が挙げられます。

リスクマネジメントの知識を網羅したプロジェクトマネジメントに関するガイドブックとして知られており、スキルアップが必要な場合は目を通しておきたいところです。

セミナーに参加する

セミナーや研修に参加するのも、プロジェクトマネジメントスキルのスキルアップに効果的です。

講師からさまざまな話を聞けたり、不明点について直接質問できたりするため、プロジェクトマネジメントに関する知識や理解度を深められるでしょう。

また、実践的なセミナーや研修に参加すれば、必要なスキルを体験しながら学ぶことができるほか、プロジェクトマネジメントに特化したセミナーならスキルを体系的に学習できます。

プロジェクトマネジメントスキルを証明する資格

手帳を手にするスーツの男性

(出典) pixta.jp

プロジェクトマネジメントに関わる知識やスキルを生かして関連資格を取得するのもおすすめです。プロジェクトマネジメントスキルを証明できる資格を紹介します。

プロジェクトマネージャ試験(PM)

プロジェクトマネージャ試験(PM)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格です。高度な専門知識が問われ、プロジェクトマネジメントスキルを証明できる資格として高く評価されています。

受験対象となるのは、確立した専門分野を持つIT人材で、プロジェクトの成功のためにプロジェクトマネジメント業務を担う人です。

受験資格に実務経験は問われないため、これからプロジェクトマネジメントスキルの習得を目指す人も受験できます。

専門知識に加えて、3つの設問に対し、それぞれ600~1600文字で回答する論述問題が出題されるため、入念な試験対策が必要になります。

参考:プロジェクトマネージャ試験|独立行政法人情報処理推進機構

PMP資格

PMP資格は、前述の「プロジェクトマネジメント協会」(Project Management Institute、PMI)が認定するプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。プロジェクトマネジメントスキルを証明できる資格として認知されており、多くの業界から評価・注目されています。

プロジェクトマネジメントに関する経験や教育、知識を測る問題や実際の開発現場での場面に関する問題が出題され、プロジェクトのプロセスにおける対応力が問われるのが特徴です。

法的な資格・免許ではありませんが、アメリカのPMI本部から資格認定を受ければ、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして認知されることになります。

参考:PMP資格について|一般社団法人PMI日本支部

PMS資格(P2M)

PMS資格(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト資格)は、特定非営利活動法人の日本プロジェクトマネジメント協会が主催する民間資格です。

同協会が定める日本独自のフレームワーク「P2M」に関連する資格4種のうち中位資格となっており、P2M標準ガイドブックに記載されているプロジェクトマネジメント、プログラムマネジメント、事業経営基盤、知識基盤、人材能力基盤について出題されます。

試験は選択式・穴埋め式のため、しっかり勉強・対策をすれば、プロジェクトマネジメント関連の資格の中では比較的取得しやすいでしょう。

参考:2023年度PMS資格試験及びPMSプログラム試験実施要領と年間実施予定|特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会

プロジェクトマネージャーのキャリアプラン

ミーティング風景

(出典) pixta.jp

プロジェクトマネージャーとして活躍できるようになった場合、将来どのようなキャリアを歩める可能性があるのでしょうか。プロジェクトマネージャーのキャリアプランを紹介します。

ITコンサルタントへの転職

プロジェクトマネージャーからITコンサルタントへ転身するキャリアプランが考えられます。

ITコンサルタントとは、クライアントが抱える課題をヒアリングして、ICT技術(情報通信技術)を駆使した解決方法を提案する職種です。

企業の要望に応じた新しいシステムの開発や、既存システムの改修、システムのクラウド化など、企業にとって最適な方法を提案します。

コミュニケーションスキルとプロジェクトマネージャーとしての経験が問われるため、プロジェクトマネージャーからのキャリアアップに適した仕事といえるでしょう。

PMOへの転職

PMO(Project Management Office)への転職も、プロジェクトマネージャーのキャリアアップの道筋です。

PMOとは、プロジェクトマネージャーをサポートするポジションや部署を指します。大きなプロジェクトは1人のプロジェクトマネージャーで管理するのが難しいため、PMOから人材を派遣し、その人材がマネジメント業務やサポート業務に取り組みます。

またPMOの専門企業に委託するケースもあり、プロジェクトマネージャーの経験があればPMO企業に転職しやすくなります。

プロジェクトマネージャーとしての成長や、プロジェクトへの挑戦を希望する場合に、おすすめです。

経営層や責任者へのキャリアアップ

プロジェクトマネージャーとしての経験とスキルがあれば、企業の経営層や責任者のポジションへのステップアップも可能です。

経営側に参画する場合、企業が手掛ける事業全体のマネジメントを担当します。

責任者のポジションとしては、情報通信技術を活用した経営戦略の立案を手掛けるCIO(最高情報責任者)や企業内の技術責任者であるCTO(最高技術責任者)、企業のDXを推進するCDO(最高デジタル責任者)があります。

PMとして活躍の場を探すなら転職も視野に

打ち合わせの様子

(出典) pixta.jp

プロジェクトマネジメントスキルを習得すれば、プロジェクトマネージャーとして活躍できるほか、ITコンサルタントやPMO、経営層、責任者など、さまざまな職種・ポジションへのキャリアアップも可能です。

プロジェクトマネージャーの役割を担っていて、さらに活躍できる場所を探しているなら、転職を前向きに検討するとよいでしょう。

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