海外で働くには、どうやって仕事を探せばよいのでしょうか?仕事を探す方法やおすすめの職種、語学力の必要性について解説します。海外で働く場合のメリット・デメリットや、渡航前にしておかなければならない準備についても確認しましょう。
海外で働くにはどんな方法がある?
海外で働くには求人を見つけ、採用される必要があります。主に日本で海外の求人を探し、応募する方法を確認しましょう。
現地の企業へ転職
海外で働こうと考えているなら現地の求人に応募し、転職を検討しましょう。現地の言葉が分からなければ応募できないと考えがちですが、日本語対応の企業サイトや求人サイトから応募できるケースもあります。
求人の傾向は、日本から進出した日系企業や、日本向けの事業を立ち上げている海外企業による募集が多いでしょう。日本と関係のない海外企業への応募は、語学力や職能が必要となるものが一般的で、難易度が高くなります。
特に、アジア地域でのコールセンター業務や、工場勤務などでは日本人を求める企業も多いでしょう。日本語対応や、日本流のオペレーションが必要な現場では、現地採用で活躍できる可能性も高くなります。
海外赴任がある企業に転職
国内企業に勤めながら、海外で働くケースもあります。海外拠点を持つ企業に転職すれば、海外転勤のチャンスが巡ってくるかもしれません。
しかし、単に「海外拠点を持っている」「海外進出をしている」という理由だけで転職先を決めたとしても、駐在員に選ばれない限り、海外での勤務は不可能です。
求人サイトには、海外赴任・海外出張を前提とした求人もあります。「スタンバイ」でも海外赴任前提の求人を探せるため、求められているスキルを持っているなら応募を検討するのもおすすめです。
ワーキングホリデー制度の活用
アルバイトをしながら留学を検討しているケースでは、ワーキングホリデー制度の活用も考えてみましょう。対象国は29カ国・地域(2023年8月時点)あり、それぞれの国に対して各1回のみ制度が利用できます。
国際交流を目的とした制度で、対象年齢はおおむね18~30歳です。ワーキングホリデービザには、基本的に就労の制限がないためフルタイムでの勤務もできます。
それぞれの国でビザの期限が異なり、同一雇用主で連続して勤務できる期間にも制限があるため、1~2年程度海外でアルバイトをしてみたいと考える人に向いています。
なお、当面の生活費・住居費を支払える程度の貯金は必要です。
フリーランスとして海外で働く
フリーランスとしてのスキルを持っている場合、海外でも活躍できる可能性があります。現地の取引先と交渉するために語学力が求められるケースも多いですが、日系企業とのやりとりであれば難易度は低くなるでしょう。
フリーランスとして海外で働く場合、該当する国のビザや就労ルールを確認しておかなければなりません。たとえフリーランスであっても、現地企業から仕事を受注する以上は就労向けのビザが必要です。
また、日本企業から仕事を受注しリモートで働く場合も、税金や滞在ビザの取得など、専門的なルールを確認した上で渡航を検討しましょう。
国際NGO・国連を目指す
国際NGOや国連の職員は、国際的に活躍します。海外での勤務も多くなり、グローバルに活躍できるでしょう。
国連職員の求人は、「UN Careers」で確認が可能です。応募後、経験・学歴の審査があり、通過すると能力検査へ進みます。
しかし、国際的な組織で働き、かつ海外への赴任を伴う仕事に就くには、実績・経験・スキルが必要です。難易度は高くなるため、応募条件や採用に必要なスキルを確認しておきましょう。
今までの経験・スキルから、国際的な組織への応募が難しい場合には、海外派遣を含むボランティアの検討もおすすめです。渡航費・生活費の支給を受け取りながら、現地で活躍できる仕事もあります。
出典:待遇と諸制度(派遣期間:1ヶ月~1年未満) | JICA海外協力隊
海外で働くための語学力は?
海外で働くには、高い語学力が求められるのでしょうか?どの程度のスキルがあれば海外で働けるのか、主なケースについて解説します。
働く環境・シーンによって異なる
海外求人の多くは、英語・現地語が必須とされます。現地の人を相手にする仕事では、現地語で日常会話ができる程度のスキルは必須でしょう。
しかし、日本人向けの店舗・事業など、英語・現地語を必要としない仕事もあります。特にワーキングホリデー制度では、若者の国際交流を目的としているため、特別な英語力を必要としないアルバイトも多いでしょう。
語学力に自信のない人は、求人を見て英語・現地語のスキルが不問であるか、確認する必要があります。業務だけでなく、コミュニケーションや研修においても日本語が通じるのか把握しておきましょう。
まったくできないようでは難しい
求人の多くが語学力を必要とする以上、一切現地語・第2公用語が分からない状態では、応募できる求人数は少なくなります。選択肢を狭めないためにも、語学力は必要です。
業務に現地語が必須であれば、語学力がない時点で採用が見送られます。翻訳機・翻訳アプリを活用できるとはいえ、日常生活で中学校卒業程度の英語力・現地語の日常会話スキルが、必要になる可能性も考えられるでしょう。
ほとんど英語・現地語ができない場合は、周囲に多くの日本人が居住しているエリアや、現地の人に日本語スキルがある国を選ぶと仕事を探しやすくなるはずです。例えば、ハワイ・韓国・台湾などは比較的日本語が通じるエリアが多いといわれます。
海外で働く際におすすめの職種
語学力の程度によって、おすすめの職種は変化します。語学力が十分な場合と自信がない場合に分けて、それぞれおすすめの職種を確認しましょう。
語学力が十分な場合
語学力が十分にあり、周囲の人と英語または現地語でコミュニケーションが取れる場合、仕事の幅は広がります。
高い語学力を生かせる仕事としては、通訳や法人営業が挙げられるでしょう。特に同時通訳は、現地語を即座に理解し、リアルタイムで日本語に訳さなければなりません。現地の法人・個人と日本人との間を取り持つ役割として、重宝されます。
法人営業では、専門用語・ビジネス用語を必要とします。一般的な日常会話だけでなく、高度な知識・語学力が求められる仕事です。
一般の日常会話が十分にできる場合、店員や受付スタッフなど、現地語を生かした仕事ができます。
語学力に自信がない場合
語学力に自信がない場合でも、エリア・職種を選べば仕事を探せます。英語・現地語を必要としない仕事を選びましょう。
例えば、日本人向けのツアーコンダクターは、主に日本語で観光客に説明をします。上司・同僚も日本人の日系企業であれば、コミュニケーションの心配もないでしょう。
日本人をサポートするコールセンターや、日本人経営の日本食レストランでも、日本語を使う機会が多くなります。語学力不問とされる求人も多いでしょう。
そのほか、農業・荷物運搬など、力仕事でも語学力を必要としないケースがあります。雇い主とのコミュニケーションは求められますが、仕事が単純作業・肉体労働であれば、業務には支障が出にくいでしょう。
海外で働くメリット
海外で働くと、日本では得られないメリットがあります。海外進出を目指すメリットと、どのような効果が期待できるかを確認しましょう。
語学力の向上
海外で働くと、業務や日常生活で現地語を使う機会が増え、語学力の向上が期待できます。英語圏の国々では、英語力が身に付くでしょう。
学校や語学教室で学ぶものとは違い、実際にその地域に住む人たちとの会話を通して学べる点が魅力です。
業務中にはビジネス向けの会話、日常生活では店員・友人との会話など、実践的なシチュエーションで使う言葉が分かってきます。国内よりも言葉を使う機会が増え、自然と上達がかなうでしょう。
グローバルな考え方に触れられる
住む国や人種によって、さまざまな価値観・考え方があります。海外では、その地域に住む人たちの価値観に触れられるところがメリットです。
異文化交流や、海外に住む人の考え方に興味がある人は、休憩・休暇の際に現地の人々とのコミュニケーションを楽しめるでしょう。
新しい考え方を知ると、自分の持つ視野も広がります。海外に行って刺激を受けたい、グローバルな考え方を知りたいという人にとって、海外で働くことは大きな価値があるでしょう。
実力を適正に評価してもらえる
日本は年功序列制度が残っていますが、資本主義国の多くは実力主義です。実力主義の国では、個人の成果・実力が評価され、給与・出世につながりやすいでしょう。
国内外を問わず、外資系企業では実力主義を採用しているところが多く、適正な評価が期待できます。年齢・学歴を問わず、成果を出すと評価が上がっていくでしょう。
自分の能力に自信がある人や、早く出世をしたい人にとって、実力主義は魅力的な考え方です。欧米を中心とする国々では、日本と比べて個人の能力を重視する会社が多いでしょう。
海外で働くデメリット
海外に行くことで、デメリットも出てきます。渡航してから後悔しないためにも、デメリットと問題点を把握しておきましょう。
日本とのギャップによる不安
海外の国は、日本と住環境・治安が異なります。食事や水、気候の違いにより、体調に変化があるかもしれません。国によっては、衛生環境が悪い可能性もあります。
治安が悪い国・エリアでは、危険な目に遭うリスクもあるでしょう。渡航先の情報を確認した上で、狙われないよう常に警戒が必要です。
保険や住民サービスについても、日本と同様ではありません。日本の健康保険は使えないため、病気・けがの際に使える海外向けの民間保険を検討するか、職場の福利厚生を確認しておきましょう。
普段当然のように受けている住民サービス・福利厚生が受けられなくなると、不安を感じることも増えてきます。トラブルがあったときに困らないよう、十分注意した上で緊急連絡先・相談先を用意しておきましょう。
実力主義についていけないケースも
海外では、実力主義が多く評価が上がりやすいものの、期待されている成果を上げられない場合は評価が下がります。単に評価が下がるだけでなく、減給や解雇も考えられるでしょう。
日本と違い、従業員を解雇する際に特別な配慮を必要としない国もあります。仕事を失うことになれば、転職か帰国かを選ばなければなりません。
もし日系企業であれば、日本国内での評価と同じく、無期雇用による従業員の保護が期待できる可能性もあります。企業の体質や、方向性を見極めることも重要です。
海外で働くために必ずすべきことは?
実際に海外で働く前に、準備しなければならないことがあります。勤務先を決める前に必ずすべきことを確認し、渡航に備えましょう。
ビザの確認
海外で就労するには、ほとんどのケースで就労ビザが必要です。国によっては滞在だけでもビザを取得しなければならないため、渡航前に確認しておきましょう。
国や目的によって、ビザの種類・期間は異なります。就職・アルバイト・留学・ワーキングホリデー・観光など、何を目的に訪れるのかを明確にした上で、目的に合うビザを取得しましょう。
ビザの取得や渡航時には、目的・滞在期間・就業予定の企業・所持金・居住予定の場所など、さまざまな内容を確認される可能性があります。不備や違和感があれば入国できないケースも考えられるため、十分に準備をしておきましょう。
一定期間の生活費を確保
海外に長期滞在する場合、何らかのトラブルが起きる可能性も考慮し、一定期間の生活費を確保しておくと安心です。最低限、日本に帰国するための渡航費と住居の解約にかかる費用、帰国までの生活費がなければ、突然のトラブルには対応できません。
何かあった場合でも日本に帰らず、療養や転職をするつもりであれば、数カ月分の住居費と生活費に加えて、予備費も準備しておきましょう。
滞在先でどの程度の生活費がかかるかは、渡航前にインターネットなどで調査ができます。観光目的や現地の人の感覚ではなく、ビジネスで居住している日本人の情報を参考にしましょう。
円高・円安によって費用が大きく変動するものの、現地で働き始めれば現地通貨での収入も期待できます。給与と生活費にどの程度の差があるか確認しておき、貯金も心掛ければリスクは低くなるでしょう。
現地の情報を集める
海外で働くには、まず目的地を決定しなければなりません。勢いで決定するのではなく、滞在先がどのような場所なのか、治安・衛生環境・使用言語に問題はないかを調査します。
現地でトラブルなく働くためには、国・地域で決まっているルールについても確認が必要です。法律や風習、価値観を学んでおくと、問題が起きるリスクが低下します。
勤務先を決める際には、給与や研修の有無、必要な語学スキルについてもチェックしましょう。企業によっては、渡航費の負担や住む場所の提供もあります。
何らかの提供を受ける場合、早期退職に至った場合の返金の有無についても、確認しておかなければなりません。
そのほか、緊急時の連絡先や対処法を決めておくことも必要です。自然災害や大きな事故が発生した場合、帰国が難しくなるケースもあります。
海外で働くための準備を進めていこう
海外に目を向け、現地で働くことは大きな成長のきっかけになります。語学力に自信がある人も、そうでない人も自分に合う職種やエリアを探して、チャンスをつかみましょう。