標準労働時間とは?労働時間に関する基礎とフレックスタイムとの関係

求人情報をチェックしていると、標準労働時間という表記を目にするときがあります。標準労働時間とは、何を指す用語なのでしょうか?定義やよく似た言葉との違いを解説します。求人情報の内容を正確に理解するためにも、一通りチェックしておきましょう。

標準労働時間とはどのようなもの?

勤務時間のイメージ

(出典) pixta.jp

まずは、標準労働時間の定義について解説します。求人情報に記載されている内容を正確に理解するためにも、用語の定義を学ぶことは欠かせません。

企業が定める1日の労働時間

各企業が雇用契約書・就業規則などで定めている、1日当たりの労働時間を標準労働時間と呼びます。あくまで各企業が定める労働時間であり、法令で定められた労働時間とは異なるものです。

企業によっては労働時間が固定されておらず、フレックスタイム制や交代制を導入している企業もあります。そのような企業でも標準労働時間が定められているため、事前に確認しておきましょう。

固定時間制の企業では「指定された時間」

労働時間が固定されている企業では、雇用契約書・就業規則で指定されている労働時間が、そのまま標準労働時間になります。一例として、勤務時間が9~17時、休憩時間が12~13時の場合、標準労働時間は7時間です。

標準労働時間には、残業や休日出勤といった時間外労働は含まれません。固定時間制を採用している企業の場合、労働時間に関する規則が定められていたとしても、標準労働時間に関する記述がないケースもあります。

裁量が認められている企業では「別途設定の時間」

フレックスタイムをはじめ、社員の裁量が認められている制度を導入している企業では、標準労働時間が就業規則で設定されています。

労働時間に関する記述の中に、「1日当たりの標準労働時間は7時間とする」などの記述があります。併せて、裁量で変更できる時間帯の範囲も定められているのが一般的です。

具体的な標準労働時間は、企業によって多少の差があるため、転職先を探す段階で確認しておくとよいでしょう。

出典:フレックスタイム制の適正な導入のために の適正な導入のために|厚生労働省

標準労働時間とよく似た言葉

時計とタイムカード

(出典) pixta.jp

労働時間を示す言葉の中には、標準労働時間とよく似ているものの違うことを指す言葉があります。勘違いしやすい言葉として、法定労働時間・所定労働時間・総労働時間の3つを見ていきましょう。

法定労働時間

労働基準法により定められている労働時間を、法定労働時間と呼びます。2024年1月時点における法定労働時間は、以下の通りです。

  • 1日当たり8時間
  • 1週間当たり40時間

ただし、変形労働制を導入している企業では、1カ月・1年といった一定の期間で平均し、1週間当たり40時間の基準を満たせばよいとされています。「どの週も40時間までの労働でなければならない」というものではない点に、注意しましょう。

上記の時間を超えて労働した場合、超過分は時間外労働に該当します。企業側は、時間外労働の時間に応じた割増賃金を支払わなければなりません。

出典:勤務時間の上限は法律で決まっていますか。|厚生労働省

所定労働時間

各企業が、雇用契約書・就業規則で定めた労働時間を、所定労働時間と呼びます。業種や仕事内容に応じて定める労働時間を指すもので、標準労働時間と似た意味の言葉です。

雇用契約書・就業規則で所定労働時間を定める場合は、労働基準法で定められている法定労働時間の範囲内でなければなりません。法定労働時間より短い、「1日7時間」「1週35時間」と定めることは可能です。

標準労働時間や法定労働時間を計算する場合と同様に、休憩時間は含まれません。

総労働時間

一定期間内に労働した時間の合計を、総労働時間と呼びます。1週間・1カ月・1年など、どの期間で区切るかはさまざまです。

総労働時間を計算するときは、時間外労働も含めます。具体的な計算例は、以下の通りです。

  • 所定労働時間:1日当たり8時間
  • 1カ月の労働日数:20日
  • 1カ月の時間外労働:15時間
  • 総労働時間:175時間(所定労働時間160時間+時間外労働15時間)

支給する賃金は、所定労働時間に対する賃金に、時間外労働分の割増賃金をプラスして計算します。

フレックスタイムにおける標準労働時間とは?

時間を見ながら働く女性

(出典) pixta.jp

社員に一定の裁量があるフレックスタイムを採用した企業で働いている場合、標準労働時間についてどのように考えればよいのでしょうか?以下で、基本的なルールを紹介します。

一定範囲で標準労働時間を満たすように働く

フレックスタイムを採用している企業で働く場合、企業側が定めた標準労働時間を満たすように出勤・退勤時間を決めます。

一例として、労働可能な時間帯が7~21時で、標準労働時間が7時間の企業で働くケースを考えましょう。休憩時間を1時間確保する場合、以下のようなスケジュールが考えられます。

  • 7~15時
  • 9~17時
  • 11~19時

企業によっては、他にも労働時間に関する細かいルールを定めているケースがあります。「1日7時間を満たさなくても、1週間で35時間を満たせばよい」「毎週月曜日は9時までに出勤しなければならない」など、さまざまです。

雇用契約書・就業規則を確認し、定められた条件を満たすようにスケジュールを組みましょう。

コアタイムは確実に勤務しなければならない

会議や商談などをスムーズに進める目的で、コアタイムを定めている企業が一般的です。コアタイムとは、全ての社員が勤務しなければならない時間帯を指します。

「コアタイムは13~15時とする」などの記述がある場合、その時間帯は確実に勤務するようにスケジュールを組まなければなりません。

コアタイム以外の時間帯を「フレキシブルタイム」と呼び、この時間帯は勤務するかどうかが各従業員の裁量に任されています。フレキシブルタイムの中で、出勤・退勤時間を決めるのが基本です。

転職で意識したい労働時間以外の要素

手帳に書き込む女性

(出典) pixta.jp

転職先を選ぶ上で、労働時間は重要な要素の1つですが、他にも意識を向けたいことはいくつかあります。転職してから後悔しないためにも、以下で紹介する2つの要素をチェックしておきましょう。

経験・スキルを生かしてキャリアアップできるか

キャリアアップ・年収アップを目指して転職する場合は、これまでの経験・スキルを生かせる職種・企業を選ぶことが欠かせません。まずは、自分の経験・スキルを書き出すなどして可視化し、転職の方向性を定めましょう。

「エンジニア経験を生かしてプロジェクトマネージャーにキャリアアップする」など、できるだけ具体的に定めることが大切です。

その上で、自分の経験・スキルを高く評価してくれる企業を探します。きちんと準備を整えてから転職活動を進めることで、ミスマッチのリスクを低減できます。

給与水準が適切か

転職してから後悔しないためにも、適切な水準の給与を提示してくれる企業を探しましょう。どれだけ入念に対策しても、転職に伴うミスマッチのリスクはつきものです。

転職は一定のリスクを抱えながら決断するものであるため、そのリスクに見合った年収アップを実現できる転職先を探しましょう。給与に直結する評価制度も、忘れずに確認しておくことをおすすめします。

基本的には、自分のスキルを発揮でき、より高度な業務に携われる企業を選ぶと、年収アップを実現しやすいでしょう。

標準労働時間を正しく理解して転職活動をしよう

就職活動をしている女性

(出典) pixta.jp

転職先を探していると、標準労働時間という言葉を目にするときがあります。標準労働時間は、1日当たりの勤務時間を指すもので、どの程度の労働時間になるか把握する上で重要な要素です。

実際に転職するときは標準労働時間だけでなく、具体的な仕事内容やキャリアパス、給与水準をチェックすることも欠かせません。

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