ニュースなどで「有志を募る」といった表現を、聞いたことのある人は多いでしょう。特定の物事に強い関心を持ち、積極的に活動に関わる人は「有志」と呼ばれます。ビジネスシーンでも使われる機会があるので、言葉の定義や使い方を知っておきましょう。
有志とは?意味をチェック
「有志(ゆうし)」とは、特定の物事に関わろうとする人を指すのが基本ですが、集団・グループに対して用いる場合もあります。まずは、言葉の定義を正しく理解しておきましょう。
ある事柄に関わろうという意志を持つ人を指す
ある事柄やテーマに対して強い関心を持っており、積極的に活動しようとする人が「有志」です。基本的には個人を指しますが、近年は集団・グループを指す機会も増えており、大規模な集団をまとめて有志と表現する場合もあります。
「有志を募る」といった表現で使われるケースが多く、企業が何らかの活動を始める際に、やる気のある社員を集めることも珍しくありません。
世間の耳目を集める活動は、ニュースなどで取り上げられる機会もあるので、誰でも一度は聞いたことのある表現でしょう。
有志の使い方・例文
いくつかの例文を通じて、有志の使い方を確認しておきましょう。
3日前に起こった地震により、オフィスにある資料が散らかってしまったので、有志による整理整頓を進めている
3カ月後に開催されるカンファレンスの運営サポートに、有志を募集しているようだ
来月リリースするソフトウエアのテストユーザーとして、開発部門が有志を集めている
ビジネスシーンでも多くの場面で用いられる言葉なので、うまく使いこなせるようにしておきましょう。
有志と似た言葉・類語
有志と似たような意味で使われる言葉も、押さえておきましょう。ここでは、「篤志家」「志願者」「公徳心」の意味や使い方を解説します。
篤志家(とくしか)
「篤志家(とくしか)」とは、社会奉仕活動や福祉に関する活動などに、積極的に関わる人を指す言葉です。「篤志」とは志が篤(あつ)いことを指し、社会的に意義のある活動に力を入れる人が多くいます。
ボランティアと似た言葉ですが、さまざまな活動に無償で携わる人を指すボランティアに対して、篤志家は次のように、慈善活動に熱心な人を指す傾向にあります。
今年からスタートした社会福祉プログラムには、多くの篤志家からの支援をいただいている
あの町では篤志家からの多額の寄付により、公園の整備が進められているようだ
志願者
「志願者」は、特定の活動に関して強い思い・志などを持っており、参加を願い出た人を指します。「志願」とは願い出ることで、対象となる分野を問わず、さまざまな状況で広く使える表現です。
社会奉仕活動や福祉活動はもちろん、次のようにビジネスシーンでも多くの場面で使えます。
今回のリーダーシップ研修プログラムの参加志願者は、前回よりもかなり多いようだ
今年からは志願者を集めて、本格的に開発支援プロジェクトをスタートさせる予定だ
公徳心(こうとくしん)
「公徳心(こうとくしん)」とは、より良き社会を構築するためにルールを守ったり、道徳を重んじたりする精神を指します。
公共のマナーを守ることにより社会を維持・発展させ、多くの人にとって住みやすい場をつくろうと考えるならば、公徳心のある人といえるでしょう。
次のように、積極的に何かに参加するというよりは、社会全体の利益を考えた行動の源泉となる「心の在り方」を指す言葉です。
地域ボランティアに毎回参加する者が多いことは、社員の公徳心の表れといえる
公徳心にあふれた社員を多く育成することで、企業の社会的責任を果たせるだろう
有志の使い方に関するQ&A
有志に関して、英語での言い方や間違いやすい表現なども知っておきましょう。個人だけではなく、場合によっては集団・グループを指す表現でもあるため、使い方に注意が必要です。
英語ではどう表現される?
有志は、英語で表現すると「volunteer(ボランティア)」や、「an interested person(興味・関心のある人)」などになります。
日本でボランティアといえば、無償でさまざまな活動をする人を指すのが一般的です。英語のニュアンスとは異なる点に、注意しましょう。
英語の方は日本語の有志と似た意味であり、「自ら何らかの活動に志願する人」を指します。
「有志一同」は間違いって本当?
有志は、複数の人々やグループをまとめて指す言葉でもあります。従って、「有志一同」といった表現は、厳密には不適切な言い方です。
どちらも複数人をまとめて表現する言葉であり、有志の場合は「同じ意思を持つ人々」で、一同はそれぞれの意思によらず「その場の全員」を指す場合に使われます。
ただし、有志は個人を指すものと考える人も多く、問題なく通じるケースは多いでしょう。参加している人々全員を激励する場合などは、あえて「有志一同」と表現するのも効果的です。シーンによって、うまく使い分けるとよいでしょう。
有志の意味を正しく理解して使おう
有志とは、特定の物事に積極的に関わろうとする人を指し、個人を指す場合もあれば、集団・グループをまとめて有志とする場合も少なくありません。篤志家や志願者など、似たような意味・文脈で使われる言葉もあるので、うまく使い分けることが大事です。
また、有志と英語の「volunteer」はほぼ同じ意味になりますが、日本における一般的なボランティアとはニュアンスが異なる点には注意が必要です。言葉の意味を理解した上で、正しく使えるようにしましょう。