ボーナスはいつもらえるの?ボーナスの仕組みや対象期間を解説

会社勤めをしていると、ボーナスが支給されるケースがあります。ボーナスは入社後いつからもらうことができ、いつごろ出るのが一般的なのでしょうか?ボーナスの仕組みや対象となる期間など、知っておきたいポイントを紹介します。

この記事のポイント

ボーナスの基礎知識
ボーナスには『基本給連動型』『業績連動型』『決算賞与』があります。法的な支払い義務はなく、企業によって有無や支払う回数、金額など支給要件が異なります。公務員は『期末手当』と『勤勉手当』があり、法令で決めらた内容に従って支給される仕組みです。
新入社員はいつからもらえる?
『査定期間』は、夏のボーナスでは前年度の『10〜3月』、冬のボーナスでは『4〜9月』が査定期間になっているのが一般的です。新入社員の場合は、満額もらえるのは冬のボーナスからの企業がほとんどです。
ボーナスの金額はいつ分かる?
支給日の明細で確認できる場合がほとんどです。ボーナスからは健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料・所得税が控除される仕組みです。想定より少なくなることも考えられるため、ボーナスから控除される内容についても理解しておきましょう。

ボーナスの基礎知識

三つの札束

(出典) photo-ac.com

そもそもボーナスとはどういうものなのか、まずは、ボーナスの基本的な知識や種類について解説します。

月給とは別に支給される一時金のこと

会社員の多くは月給制で、毎月の支給日になると給料が支払われます。ボーナスは、その月給とは別に支給される、一時金のことです。年に1〜2回支給する企業が多く、会社によっては『賞与』や『特別手当』など、別の名称が使われているケースもあります。

もともとは顕著な働きをして業績アップなどに貢献した人に対して支払われる、割り増し分を指すものでした。しかし、現在の日本では企業や人によって金額の違いはあれど、定期的に支給があるものと認識されています。

法律による決まりはない

給料は月1回以上支払うことが、労働基準法によって義務付けられています。しかし、ボーナスに関しては、支払わなければならないという決まりはありません。

労働基準法では『賞与』の定義はあるものの、『労働の対償(対価)』とされているのみです。そのため、企業によってボーナスの有無は異なり、支払う回数や金額など支給の要件も違ってきます。

会社の規定にボーナスを支払う旨が記載されていたり、労働契約においてボーナスに関する条件が含まれたりしていれば、企業は労働者にボーナスを支払わなければいけません。

公務員は法令で決まっている

民間企業のボーナスとは違い、公務員のボーナスは法令によって決められています。国家公務員は『人事院規則』に、地方公務員は『条例』にボーナスについての記載があり、その内容に従って支給される仕組みです。

公務員のボーナスには、『期末手当』と『勤勉手当』の2種類があります。期末手当は在職期間に応じて算出されるもの、勤勉手当は勤務成績に応じて決められるものです。支給額は、民間企業との給与水準を合わせて決められます。

参考:人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当) | e-Gov法令検索

ボーナスの種類

ボーナスには主に『基本給連動型』『業績連動型』『決算賞与』の3種類があります。

求人情報で『賞与は基本給の2.5カ月分』などと記載されているケースがありますが、これが基本給連動型です。毎月支払われる給料のうち、手当などを除いた基本給を基準に、ボーナスの支給額が計算されます。

業績連動型は、企業や部署の業績に従って支給される形式です。業績がよければ高いボーナスが期待できるものの、悪ければかなり少なくなるかもしれません。

そして決算賞与は、決算を迎えたときに業績がよければ支給されるボーナスです。あくまでも業績がよい場合のみですが、社員のモチベーションアップにつながるため、支給している企業は多数あります。

ボーナスはいつ出るのが一般的?

セピア色の電卓とカレンダー

(出典) photo-ac.com

ボーナスが支払われる場合、いつ支給されるのが一般的なのでしょうか?民間企業と公務員について、それぞれのケースを紹介します。

民間企業の場合

民間企業の場合、ボーナスは一般的に夏と冬の2回支給されます。

企業ごとに細かい支給日の設定は違いますが、夏は7月初旬に支給されるのが一般的です。『7月10日前後』を支給日としている企業が多いですが、企業によっては6月下旬や8月に入ってから支給されるケースもあります。

冬のボーナスは、12月初旬を支給日としている企業が多いようです。『12月10日前後』が目安ですが、企業によっては12月下旬になるケースもあります。企業によって独自に決めているため、会社の規定をチェックしてみましょう。

決算賞与の支給時期は?

夏と冬のボーナスは、特に支給時期に関する決まりはありませんが、決算賞与は『法人税法施行令』によって支給時期が定められています。

原則として、事業年度終了の翌日から1カ月以内に支給しなければいけません。つまり3月決算の場合は4月末までに、12月決算の場合は1月末までに支給する必要があります。

決算賞与の支給時期が法人税法施行令によって決められているのは、支給すると節税になるためです。決算賞与を支給することで、会社としての利益が下がります。その結果、法人税の節約になるため、決算賞与は会社にとってもメリットがあるのです。

公務員の場合

国家公務員のボーナスは、人事院規則によって定められていますが、その中には支給日も記載されています。夏のボーナスの支給日は『6月30日』、冬は『12月10日』です。

毎年支給日は同じで、民間企業のように前後することはありません。ただし、当日が土日の場合には、直近の平日に前倒しで支給されます。

地方公務員は、それぞれの条例によって支給日が定められていますが、国家公務員と同じ日か、それに近い日に設定されているのが一般的です。

新入社員はいつからもらえる?

お金を数える人

(出典) photo-ac.com

新入社員の場合、最初からボーナスをもらえるのか、気になる人も多いでしょう。それでは、実際いつからもらえるケースが多いのでしょうか?

入社後すぐはもらえないことも多い

ボーナスが出る企業に所属していても、入社後間もない場合はもらえないことがあります。新入社員はまだ会社に対する貢献度が少ないため、多くの場合、数年働いてきたほかの社員と同等には扱われません。

2022年度に実施された『決定初任給付帯調査』によると、新入社員に対して夏のボーナスを支給しない企業は『8.2%』となっています。

支給する場合でも、新入社員には別の評価方法を採用したり、評価にかかわらず一定の金額を『寸志』として支給したりするのが一般的です。

参考:2022年度 決定初任給調査 | 決定初任給調査 | 賃金制度・春闘 | 産労総合研究所

 

満額もらえるのはいつから?

一般的に4月から入社した新入社員であれば、冬のボーナスでは満額もらえる可能性が高くなります。4月以降問題なく勤務していた場合、冬のボーナスは普通に評価されるパターンが多いでしょう。

ただし、最初の数カ月は試用期間とみなされ、その期間は評価に含まないとしている企業もあります。そのような場合には、翌年の夏のボーナス以降にならないと、満額はもらえないかもしれません。

企業によって支給の条件が異なるため、ボーナスが支給されるにはどんな条件があるのか、規定を詳しくチェックしておきましょう。特に『査定期間』は、ボーナスの支給額に大きく関わる項目です。

査定期間とは

査定期間とは、ボーナスの支給額を決めるために社員を評価する期間を指します。

企業によって違いますが、夏のボーナスでは前年度の『10〜3月』、冬のボーナスでは『4〜9月』が査定期間になっているのが一般的です。査定期間が終わった後に支給額の計算を行い、7月や12月にボーナスが支給されます。

公務員の査定期間は、夏は6月1日を基準日としてその前の6カ月間、冬は12月1日を基準日としてその前の6カ月間です。この間に休職などがあった場合の支給割合も、法令で細かく決められています。

ボーナスの金額はいつ分かる?

「賞与規定」を指さす女性

(出典) photo-ac.com

ボーナスと一口にいっても、企業や人によって金額には差があります。それでは、実際にもらえる金額は、いつ分かるのでしょうか?ボーナスの金額について解説します。

就職前に分かるのはあくまでも目安

就職するなら、ボーナスがたくさんもらえる企業がよいと考える人もいるでしょう。しかし、就職する前に分かるのはあくまでも目安であり、実際どのくらいの金額になるかは入社してみないと分かりません。

多くの場合、求人情報にはボーナスの有無や、支給される回数が提示されています。その中には『給与の2.5カ月分』などと記載されているケースもあります。

しかし、提示されている給与が『基本給+手当』だった場合、基準となる基本給の金額がはっきり分からないことが多いでしょう。

ただし、求人情報の中に具体的な金額例が提示されているケースもあります。業績や仕事の内容によって変動することを理解した上で、参考にしてみましょう。

支給日の明細で確認できる

ボーナスの金額が確認できるのは、支給日の明細です。明細書が事前に見られるケースもありますが、当日にならなければ明細書が配布されない場合、ボーナスが入るまで詳細な金額は確認できません。

明細を確認すると、税金や社会保険料が控除されていることが分かります。ボーナスからは健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税が控除され、その残りが支給される仕組みです。40歳以上の場合、これに介護保険料が加わります。

「思っていたより支給額が少ない」とがっかりしないよう、ボーナスから控除される内容についても理解しておきましょう。

退職前にボーナスをもらいたい場合

一万円札が並んでいる画像

(出典) photo-ac.com

退職を考えている場合、できるならボーナスをもらってから辞めたいと思う人が多いでしょう。退職前にボーナスをもらいたい場合に、気を付けたいポイントを紹介します。

査定期間と支給日をチェック

退職する前にボーナスをもらうには、査定期間と支給日をチェックしておきましょう。いつの仕事が評価され、いつ支給されるのか、あらかじめ確認しておくことが大切です。特に支給日に在籍していない場合、ボーナスが出ない企業も少なくありません。

また、企業の支給要件によっては、退職を伝えることでボーナスが減額されたり、なくなったりするケースもあります。ボーナスをもらってから退職したい場合には、もらった後で退職を申し出るのがおすすめです。

ただし、もらってすぐでは印象がよくないため、退職の意志を伝えるのは支給後1カ月程度を目安にし、それを念頭において転職活動をするとよいでしょう。

ボーナスは会社によって違う

銀行通帳と扇状に並ぶ一万円札

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ボーナスには法律による定めがなく、会社によって異なります。会社それぞれのルールについては、社内の規定で決められているため、チェックしておくのがおすすめです。

新入社員の場合は、入社後すぐにはボーナスをもらえないことも少なくありません。しかし、夏のボーナスで支給されなくても、冬のボーナスでは満額支給されることもあります。 

就職先を探す際にはボーナスの有無や支給時期について、求人情報の内容を確認しておきましょう。

小岩 和男
【監修者】All About 労務管理ガイド小岩和男

就業規則など社内諸規程作りのプロフェッショナル。人事労務コンサルタント・特定社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。企業人時代を含め通算24年の人事コンサルを経験。一部上場企業から新設企業までを支援。セミナー講師、雑誌・書籍の執筆実績も多数。
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著書:
ぜんぶわかる人事・労務
図解即戦力社会保険・労働保険の届出と手続きがこれ1冊でしっかりわかる本