履歴書の学歴はどこからどこまで書く?イレギュラーな学歴の書き方も

履歴書に記載する学歴は、どこまでさかのぼればよいのでしょうか?履歴書を書く際の基本的なルールや、気を付けたいポイントとともに紹介します。イレギュラーな学歴の書き方についても触れるので、実際に書く際の参考にしましょう。

履歴書を書く際の基本マナー

「CAREER」とプリントされた木製キューブ

(出典) photo-ac.com

履歴書には、さまざまなルールがあります。基本的な書き方などを間違えてしまうとマイナスのイメージにつながる可能性もあります。事前にしっかり把握しておきましょう。

年号の表記は統一させる

年号の表記には『西暦』と『和暦』の2種類があり、どちらを用いるのが正しいのか分からず悩む人も少なくありません。どちらを使用しても採用に影響することはありませんが、いずれかに統一することが大切です。

数字は、『平成25年』のように算用数字を用いるのが一般的です。元号が変わった年に関しては『令和1年』とせず、『令和元年』とするのも基本ルールなので気を付けましょう。

なお、企業によっては表記を指定していることもあるので、その場合は指示に従います。

黒インクを使い、間違えたら書き直し

履歴書を書くときは、にじんだりダマになったりしない『黒インクのペン』もしくは『ボールペン』を使用します。万年筆はフォーマルな印象になりますが、にじみやすいというデメリットがあるため避けた方が無難でしょう。

ペンの線の太さは、一般的に『0.7mm』が適しているとされています。線が太すぎると漢字が書きにくかったり読みにくかったりする原因になり、細すぎると弱々しく頼りないイメージになることもあるためです。

また、履歴書は公的文書の1つと考えられており、間違えたときは修正液・テープを使用せずに書き直すのがルールです。いきなり書き始めず、下書きをしてからにすると書き間違いを防げるでしょう。

手書き・パソコンはケースバイケース

履歴書は手書きでもパソコンで作成しても、どちらでも構いません。それぞれのメリット・デメリット、応募企業の職種・社風などに合わせて選びましょう。

例えば、IT企業や外資系企業などは、効率性・合理性を重んじていることが多いため、パソコンで作成してもよいと考えられています。

逆に、古くからの慣習やホスピタリティを重視している企業の場合は、手書きの方が温かみや丁寧さをアピールできるでしょう。

このように、手書きとパソコンのどちらがより有利であるか、しっかり見極めた上で決めることが大切です。

履歴書の学歴はどこから書くの?

履歴書と封筒とボールペン

(出典) photo-ac.com

学歴に関して、どこから書くという明確な決まりはあるのでしょうか?基本的なルールとともに、新卒・中途採用など状況・立場別のルールについても紹介します。

基本は義務教育終了から

『学歴はどこから書かなければいけない』という明確な決まりはありません。

一般的には、義務教育終了に該当する『中学校卒業』から書きます。中学校卒業以降どのような進路を選んだかにかかわらず、中学校卒業から記載しましょう。

ただし、大学院卒の場合は、中学校卒業から記載すると長くなってしまうため『高等学校卒業』から記載するのが一般的です。

なお、大学院は修士と博士課程に分かれているので、明確にすることが大切です。『卒業』ではなく『修了』を用いる点にも注意しましょう。

いずれの場合も、いつどのような学校に入学し、いつ卒業したのかを明確にすることが大切なポイントです。

応募状況・立場によって変えるのもおすすめ

応募状況・立場に合わせて臨機応変にアレンジすると、より強くアピールできるようになります。

例えば、中途採用の場合は、即戦力になる人材が求められているため、学歴よりもそれまでの職歴をしっかりアピールすることが重要です。

履歴書は、学歴・職歴を記入する欄が分かれていないため、学歴が長すぎると職歴を書くスペースが減ってしまいます。特に転職回数が多い人は、書き切れなくなってしまうでしょう。

その場合は『高等学校卒業』から記入することで、職歴に費やせるスペースを増やすことが可能です。

学歴欄を書く際のポイント

床に並べられた、「UNIVERSITY」とプリントされた木製キューブ

(出典) photo-ac.com

学歴欄を書く際に、意識したい大切なポイントを紹介します。また、学校名が変更になったときはどうすればよいのかについても見ていきましょう。

学校名・学部名は略さない

履歴書では、略称を使わないのがルールです。学校名は『公立』や『私立』を省略せず、『〇〇県立〇〇中学校』のように正式名称を書きます。高校は『高等学校』が正式名称のため、間違えないように気を付けましょう。

大学・短大・専門学校は、学部・学科名も省略せずに書きます。基本ルールであるだけでなく、担当者にどのようなことを学んできたのか理解してもらいやすくなるメリットもあります。

『学校法人』や『学園』が付く場合は、省略して『私立〇〇中学校』と書くのが一般的です。

学校名が変わった場合

他校と統合されたり運営者が変わったりして、学校名が変更になることもあります。その場合、どのように記載するべきか迷う人もいるでしょう。

記載の仕方は、学校名が変わったタイミングによって異なります。在学中に変わった場合は、入学の欄に『旧学校名(新学校名)入学』、卒業の欄に『新学校名 卒業』と書きます。

卒業後に変わった場合は、入学と卒業の両方の欄に『旧学校名(新学校名)』を書きましょう。学校に限らず、企業名が変わった際も同様の書き方をします。

イレギュラーな学歴を持っている場合は?

赤いパスポートと紺色のパスポート

(出典) photo-ac.com

人によっては、留学や社会人入学などイレギュラーな学歴を持つ人もいるでしょう。その場合の書き方やポイントを紹介します。

しっかりアピール「留学」

「グローバルな視点で活躍できる人材になりたい」「世界共通語といわれる英語を身に付けたい」などの目的で、留学の経験がある人もいるでしょう。

しかし、留学と一口にいっても『正規留学』『交換留学』『語学留学』があります。期間も1カ月と短期であったり、3年程度と長期であったりなどさまざまです。基本的に、学歴に留学を含むことができるのは『1年以上の留学』です。

短期留学の場合で、応募企業に対して自分の強みとしてアピールしたいのであれば、自己PR欄や語学欄に留学先の国名・学校名・期間を書きましょう。

『何を学んだのか』『どのような経験をしたのか』『仕事を通してどう生かしていけるのか』を具体的に書くことで強くアピールできます。

漏らさず記入を「転校・学部変更」

転校した場合は、最初に入学した学校名を書きましょう。その下の行に転校先の学校名を書き、その後に『転入学』と記入します。

人によっては、親の仕事の都合で転入学を繰り返しているケースもあるでしょう。「書くのが面倒だ」と感じるかもしれませんが、漏れがないように記入することが大切です。

学校が変わっていなくても学部・学科を変更した場合は、記入する必要があります。入学について記した行の下に、学校名と変更した学部・学科名を書きましょう。その後に続けて『編入学』と書きます。

他大学の3年課程に入学する場合も、『転校』ではなく『編入学』になることを覚えておきましょう。

事情がある場合は理由も明記「中途退学」

「中途退学は、選考で不利になるのではないか」という理由で、事実を隠したいと思う人もいるかもしれません。

しかし、どんな状況であれ、履歴書には事実を書くことが大切です。もし入社後にウソが発覚すると、『学歴詐称』として処分や解雇になる可能性もあるためです。

退学の理由を書くかどうかは、その理由によります。例えば、経済的な状況などやむを得ない理由の場合は、明確にすることで不利になることはないでしょう。留学もポジティブな理由のため、書いた方がプラスになります。

好感を持たれにくいネガティブな理由の場合は、マイナスのイメージを与えてしまうため、あえて書く必要はありません。

職歴と混ぜない「社会人から入学した場合」

大学卒業後に就職し、何年か勤務した後に会社を辞めて、大学院で勉強し直したというケースもあるでしょう。その場合は、学歴と職歴を分けて書くのが基本です。

学歴に空白の期間ができても、職歴を見ればその期間に働いていたことが分かるので、問題はありません。大切なポイントは『なぜ退職して大学院に行ったのか』『そこで何を学び、どのように仕事に生かせるか』をしっかりアピールすることです。

専攻と応募職種に共通点がない場合は、社会人経験をしてから再び学生生活をしたことの強みを説明するとよいでしょう。

学歴と一緒に職歴もチェック

履歴書と万年筆

(出典) photo-ac.com

転職の際は、学歴・職歴のどちらを先に書くのが正しいのでしょうか?また、アルバイトを職歴に書けるのかどうかについても解説します。

学歴・職歴を書く順番

学歴・職歴を書く順番は、以下の通りです。

  1. 学歴を中学校卒業から最終学歴まで書く
  2. 1行空けて『職歴』と書く
  3. 『職歴』と書いた下の行から、時系列順で1行ずつ入社・退社を書いていく
  4. 最後の行に『以上』を、右に寄せて書く

時系列順で入社・退社を書く際、退社の理由も含める場合は『一身上の都合により退社』もしくは『会社都合により退社』とします。

現職については、入社の1つ下の行に『現在に至る』と書くのが一般的です。退社日が決まっている場合は、『退社予定(〇年〇月〇日)』と書きます。

アルバイトを職歴に記入できるケース

新卒の就職活動や転職活動では、アルバイトを職歴に記入しないのが基本ですが、例外もあります。学校卒業後にアルバイトの経験しかない場合です。

特に、社会保険に加入するほどシフトに入っていた場合は、「何もしていなかった」と誤解されないためにも記入した方がよいでしょう。

面接では、アルバイトをしていた理由を聞かれることもあるため、マイナスな印象にならないような理由を考えておくのがおすすめです。

また転職の場合も、応募職種に関連しているなどアピールにつながる場合は、自己PR欄などに記入することでプラスになります。

履歴書の正しい記入方法を把握しよう

記入途中の履歴書と、万年筆を持つ手

(出典) photo-ac.com

履歴書を書く際は『年号表記を統一する』『黒インクを使う』など、基本ルールをしっかり守って記入しましょう。応募する企業の特色に合わせて、手書き・パソコンのどちらで作成するかを見極めることも大切です。

履歴書の学歴は、義務教育終了から記入するのが基本ですが、状況・立場に応じてアレンジするのもおすすめです。

留学や社会人入学、中途退学などイレギュラーな学歴を持っている場合は、好印象になるようにアピールしましょう。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー