「子育てが一段落したので、何か資格を取得したい」「再就職に備えて資格を取得したいけれど選び方が分からない」と考えている主婦も多いのではないでしょうか。資格を選ぶ際のポイントや、仕事に役立つ資格を紹介します。
主婦が資格を取得するメリットは?
専業主婦として育児や家事に忙しく過ごしながらも、何か資格を取得しておきたいと考える人は多くいます。まず、資格を取得するメリットから見ていきましょう。
再就職や社会復帰に役立つ
これから再就職や社会復帰を目指している人にとっては、面接の際のアピールポイントになります。資格を取得していれば、身に付いているスキルを客観的に証明できるためです。資格が必要な職種もあるので、取得しておくことで仕事の選択肢が広がります。
専門知識を身に付けておけば、ライフスタイルに合わせて副業やフリーランスとしての働き方も選べるでしょう。忙しい生活の中でも資格取得を目指し、目標を達成したという経験から、自分に自信を持てるようにもなります。
ブランクがあって再就職に二の足を踏んでいる人にとっても、社会復帰に向けた第一歩を踏み出すきっかけになるでしょう。
収入アップの可能性がある
資格を取得してスキルや知識を身に付けることで、収入がアップする可能性もあるでしょう。特に、専門性の高い資格を取得すると、保有していない人に比べて給与が高くなる傾向にあるようです。
会社によっては、資格手当として毎月の給与に上乗せされるほか、取得時に一時金として支給されたり、昇進や昇給につながったりすることもあるでしょう。
中には、取得に必要な費用をサポートしてくれる会社もあります。また、職場を変えたいと考えている人にとっては、収入アップを狙った転職も可能です。
教育訓練給付の支給を受けられる可能性がある
取得にかかった費用の一部が支給される、教育訓練給付制度を利用できる場合があります。対象となるのは、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練です。対象となる講座は、以下の3種類に分かれています。
- 専門実践教育訓練:労働者の中長期的なキャリア形成に役立つ教育訓練。
- 特定一般教育訓練:速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ教育訓練。
- 一般教育訓練:雇用の安定や就職の促進に役立つ教育訓練。
教育訓練給付を受けるには、一定の要件を満たしている必要があります。
- 雇用保険の加入期間が1年以上(専門実践教育訓練を選択する場合は2年以上)。教育訓練給付の申請が初めて(2回目以降は、前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上で前回の受給から3年以上が経過)。
- 現在雇用保険に未加入で、離職から1年以内で雇用保険加入期間が1年以上。教育訓練給付の申請が初めて(2回目以降は雇用保険の加入期間が3年以上で前回の受給から3年以上が経過)。
主婦におすすめの資格の選び方
取得はしたいけれど、どのような資格を選べばよいか分からないという人も多いでしょう。選び方のポイントを3つ紹介します。
仕事に生かせるものを選ぶ
これから再就職や社会復帰を目指している人は、仕事に生かせる資格を選ぶのがおすすめです。仕事をするために必要な「業務独占資格」を取得しておくと、ライバルが少ないので倍率が低くなるというメリットもあります。
既に仕事をしている人は、今の業務に役立つ資格を取得すると収入アップや昇進のチャンスを得られる可能性もあるでしょう。未経験の分野を一から学ぶのはハードルが高いという場合は、ある程度のスキルや知識があるものを選ぶのも良い方法です。
趣味に生かせるものを選ぶ
初めて資格取得に挑戦する人や、新しいことにチャレンジして自分磨きをしてみたい人は、趣味や生活に生かせるものから選んでみるのもよいでしょう。
好きなことや興味のあるものに関する知識が身に付くため、楽しみながら・学びながらのスキルアップが可能です。家事を効率的にこなすためのスキルや、家族の健康維持に役立つ知識が身に付く資格もあるので、実生活にも生かせます。
趣味を副業にしたい人も、より専門的なスキルを身に付けるために資格を取得しておくのがおすすめです。
難易度から選ぶ
自分に合った難易度のものを選ぶのがおすすめです。仕事に生かしたいからといって、いきなり難易度の高い資格を狙うのは、心理的にもプレッシャーがかかってしまいます。
合格するまで何度もチャレンジする間に、モチベーションが下がってしまう可能性もあるでしょう。特に初めての場合、取得しやすい難易度のものからチャレンジすることがポイントです。
公式サイトなどで発表されている合格率を参考にすると、取得のしやすさが判断できます。レベルが分かれている資格なら、難易度の低いものから挑戦し、徐々にレベルアップしていきましょう。
主婦が資格を選ぶときの注意点
資格を取得しようとやみくもに選んでも、途中で挫折してしまう可能性もあります。モチベーションを保ちながら合格を目指すために、選ぶ際の注意点についても知っておきましょう。
資格取得の目的を明確にしておく
何のために資格を取得するのか、目的を明確にしておくことが大切です。何となく取得してみたいという曖昧な理由で勉強を始めてしまうと、日常生活の忙しさに負けてモチベーションを保てなくなってしまう可能性があります。
合格を目的とするのではなく、取得した後のゴールを決めておくことが大切です。再就職や社会復帰が目的であれば、資格を生かしてどのような仕事をしたいのか、具体的なイメージを持っておくのもよいでしょう。
受験資格を満たしているか確認する
受験資格を満たしているか確認することも必要です。資格によっては、特定の学校や訓練を修了していることを受験要件としているものも少なくありません。一定期間の実務経験や、事前に取得しておかなければならない資格が必要になるケースもあります。
例えば、看護師の資格を取得するには、専門の学校や養成所を卒業していることが必要です。いざ試験を申し込むときに要件を満たしていなかったということがないように、しっかり確認しておきましょう。
勉強に必要な時間や費用の確認も大事
勉強に必要な時間や、取得にかかる費用についても確認しておきましょう。取得まで何年もかかるものや、テキスト・講座の費用が必要になるものもあるので、時間的な余裕や予算も併せて考えることが大切です。
家事や仕事をしながらの勉強は、いかに時間を確保できるかも重要なポイントになります。あまりにハードなスケジュールを組んでしまうと、途中で挫折する可能性もあるので注意しましょう。無理せず勉強を続けるには、1日に1時間~1時間半程度を目安にするのがおすすめです。
主婦におすすめの国家資格
国家資格は、国の法律に基づいてスキルや知識を証明されるものです。社会的な信用度が高く、仕事に生かせるものも多くあります。
宅地建物取引士
宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法によって定められた国家資格です。公正な不動産取引を行うために必要な資格とされており、不動産取引を行う事務所などには、国土交通省令で定められた人数の資格取得者を置かなければなりません。
不動産業界で働きたい人は、取得しておくと採用の確率が高まる可能性もあるでしょう。受験資格は特になく、未経験からでも挑戦可能です。
ただし、宅地建物取引士として仕事をするには、試験に合格後、都道府県知事の資格登録を受けて宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。2023年度の合格率は17.2%(男16.5%・女18.3%)となっており、合格者の構成比のうち4.0%が主婦でした。
介護福祉士
介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」によって定められた国家資格です。介護福祉士の資格を取得すると、心身の障害により日常生活に支障がある人の介護のほか、介護者への指導などにも従事できます。受験資格には4つのルートがあります。
- 介護福祉士の養成施設ルート
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
試験は筆記と実技の2科目で、どちらも合格基準は問題の総得点の60.0%程度となっています。また、筆記試験は試験科目11科目群の全てに得点していることが必要です。
取得するまでに一定の時間はかかりますが、介護業界の需要は今後もますます高まるとみられているため、取得しておくと将来的なキャリアにも役立つ資格といえるでしょう。
出典:[介護福祉士国家試験]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
主婦におすすめの公的資格・国家検定(技能検定)
公的資格とは、公的機関によって実施されている資格のことをいいます。一方、国家検定とは、特定の技能を評価する国の技能検定制度です。国家資格ではないものの、専門性が高く、取得していなければできない仕事もあります。
ファイナンシャル・プランニング技能検定
ファイナンシャル・プランニング技能検定は、「日本FP協会」と「一般社団法人金融財政事情研究会」が実施している国家検定です。どちらの団体の試験を受けても取得できる資格に違いはありません。
資格を取得すると、金融・税制・不動産・保険・年金などの知識を身に付けられるのが特徴です。1~3級までのレベルに分かれており、3級は誰でも受検できます。
2級を取得すると、金融機関などへの就職で有利になる可能性がありますが、3級を取得していることなどの受検要件があるので注意しましょう。
試験は学科と実技の2科目があり、どちらにも合格する必要があります。2023年9月に実施された技能検定試験の合格率は以下の通りです。
- 3級:学科試験74.78%・実技試験77.67%
- 2級:学科試験53.54%・実技試験52.02%
登録販売者
登録販売者とは、医薬品を販売する専門家のことをいいます。2009年6月の薬事法改正によってできた公的資格で、誰でも受験可能です。
試験は都道府県によって実施され、資格を取得するとドラッグストアや薬局などで、第2類および第3類の一般用医薬品の販売に従事できます。
自分で薬店を経営するのも可能ですが、第1類医薬品の販売や処方箋に基づいた薬の調剤をするには、薬剤師の資格が必要なので注意しましょう。
合格率は都道府県によって異なります。2023年度の東京都の合格率は44.0%でした。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定はWeb業界で唯一の国家検定であり、Webデザインに関する知識やスキルが問われるものです。特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施しており、1~3級までのレベルに分かれています。それぞれの受検資格は以下の通りです。
- 3級:Web作成の業務に従事している人やこれから従事したい人。
- 2級:3級合格者、2年以上の実務経験者、Webの作成などに関する科目が含まれると協会が認める職業高校・高専・専修学校・大学・普通職業訓練などを卒業・修了した人。
- 1級:学科試験と実技試験の2科目。学科試験は、2級合格後2年以上の実務経験者・7年以上の実務経験者など。実技試験は、1級の学科試験に合格した人。
1級合格者には厚生労働大臣から、2・3級合格者には協会理事長から、それぞれ合格証書が発行されます。
出典:ウェブデザイン技能検定 - ウェブにかかわる全ての人のための、国家検定
主婦におすすめの民間資格
民間資格にも、仕事に生かせるものは数多くあります。ここでは代表的な3つの民間資格について見ていきましょう。
日商簿記検定
日商簿記検定とは、日本商工会議所と各地の商工会議所によって実施されている検定試験です。資格を取得することで簿記に関する知識が身に付くため、会社の経理や管理部門のほか、数字を扱う営業職などにも役立ちます。
初級、1~3級まで3段階のレベルに分かれており、全ての級において特別な受験資格はありません。2・3級の試験は、全国のネット試験会場でインターネットによる実施もしています。
2級を取得すると、財務諸表を読む力が付くので、経営管理などの仕事をしたい人におすすめです。1級を取得すると、税理士試験の受験資格が与えられます。2023年11月の統一試験および、2023年4~12月のネット試験の合格率は以下の通りです。
<2023年11月の統一試験>
- 1級:16.8%
- 2級:11.9%
- 3級:33.6%
<2023年4~12月のネット試験>
- 2級:37.0%
- 3級:38.6%
医療事務
医療事務は資格不要ですが、即戦力となるスキルが求められるため、資格取得が就職に有利です。医療機関は忙しい職場なので、就業前に知識やスキルを身につけるとスムーズになじめます。医療事務の資格は主に4種類あり、それぞれ実施している団体が異なります。
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク):診療報酬請求事務などの医療事務の業務全般について問われる。一般財団法人日本医療教育財団が実施。
- 医科医療事務管理士:受付業務・病棟クラーク業務・会計業務などに役立つ。技能認定振興協会が実施。
- 診療報酬請求事務能力認定試験:診療報酬請求事務に関する知識が身に付く。公益財団法人日本医療保険事務協会が実施。
- 医療事務認定実務者試験:医療事務の実務に関する基礎知識を判定する認定試験。全国医療福祉教育協会が実施。
出典:医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)|資格試験/技能認定|日本医療教育財団
出典:医科医療事務管理士技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会
出典:医療事務認定実務者試験|診療報酬資格認定全国医療福祉教育協会
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)とは、マイクロソフト社が主催する資格試験です。試験に合格すると、Excel・Word・PowerPointなどのオフィスソフトに関する知識や操作スキルを証明できます。
パソコンを使用する業務を行う際に必要なオフィスソフトを使いこなせるようになるので、主に事務職などへの就職や転職時のアピールポイントになるでしょう。受験資格は特にないので、誰でも受験可能です。
受験方法には、毎月1~2回実施される全国一斉試験と、ほぼ毎日開催されている随時試験の2通りがあるので、試験を受けやすいというメリットもあります。
出典:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト
資格を取得して仕事に生かそう
資格を取得しておくと、再就職などに役立つ・収入アップの可能性があるなどのメリットがあります。ブランクがある主婦にとっては、社会復帰への自信にもつながるので、自分のレベルに合った資格からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
資格を生かせる仕事探しには、スタンバイを活用するのがおすすめです。自分のスキルに合った求人を検索できるので、ぜひチェックしてみてください。