フリーランスから正社員への転職は可能?成功のポイントや注意点

エンジニアやデザイナーなどを中心に、近年フリーランスとして独立する人が増えていますが、逆にフリーランスから正社員を目指す人も少なくありません。フリーランスから正社員に転職する方法や、転職を成功させるポイントなどを解説します。

フリーランスから正社員に転職できる?

ビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

IT業界やサービス業界を中心に、会社員からフリーランスになる人が増えています。その一方で、フリーランスから会社員への転職を目指す人も増えている状況です。フリーランスから正社員になるのは可能なのでしょうか?

転職して正社員になることは可能

結論をいえば、フリーランスから正社員になることは十分可能です。

事実、フリーランスとして企業と業務委託契約を結んでいた人が、正社員として転職した事例は少なくありません。契約先の企業ではなく、異なる業種・職種に転職して正社員になる人もいます。

すでに正社員の人が転職活動を通じて別の企業に移ることは一般的ですが、フリーランスがその経験やスキルを生かして、企業と雇用契約を結ぶ道もあるわけです。

転職の難易度が高めの人もいるので注意

フリーランスから正社員に転職する人は増えているものの、人によっては、難易度が高めの場合もあるので注意が必要です。

大学卒業後すぐにフリーランスとなり、会社員としての経験がない場合などは、企業によっては正社員経験のある人材を優先的に採用する可能性があります。

また、フリーランスとして高収入を得ている人が正社員を目指す場合、収入面で折り合いがつかず、フリーランスの立場を維持するケースも少なくありません。

一方で、フリーランスは自らの力で仕事を請ける必要があるため、相応のスキルがなければ継続が難しいのが実態です。その点を評価する企業も多く、フリーランスとしての経験を有する人材に対して、特に期待を寄せているところもあります。

フリーランスから正社員になる方法

眼鏡をかけた女性

(出典) pixta.jp

フリーランスから正社員になるには、大きく分けて2つの方法があります。求人サイトや転職エージェントを利用する方法に加えて、フリーランスとして業務委託契約を結んでいる企業と雇用契約を結ぶ方法です。それぞれ見ていきましょう。

求人サイトや転職エージェントを利用する

一般的な求人サイトや転職エージェントを利用し、転職活動をすることで、正社員として採用される可能性があります。先述の通り、フリーランスの経験者を評価している企業も多いので、まずは求人サイトで検索してみましょう。

また、転職エージェントを利用すれば、自分のこれまでの経験や実績に応じた案件を紹介してもらえます。フリーランスとしての仕事に忙しく、なかなか転職活動の時間が取れない人などは、利用してみるのがおすすめです。

さらに近年は、SNSを利用して社員募集をしている企業もあるので、気に入った企業があればメッセージを送ってみるのもよいでしょう。

業務委託契約から雇用契約に切り替えてもらう

業務委託契約を結んでいる企業からオファーを受け、正社員として雇用してもらう方法もあります。実際、実績のあるフリーランスが企業側にオファーを出して、業務委託契約から雇用契約に切り替えてもらった事例は少なくありません。

すでに取引のある企業であれば、双方の信頼関係が構築されているケースが多いので、スムーズに雇用関係に移行できる可能性があります。

正社員への転職を成功させるポイント

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

フリーランスから正社員への転職を成功させるポイントを紹介します。フリーランスとしての実績を生かせる仕事を選ぶのに加えて、フリーランスに対して企業がどのような点を評価するのか知っておきましょう。

これまでの実績を生かせる仕事を選ぶ

正社員としての転職先を選ぶ際には、これまでフリーランスとして培った実績や、経験・スキルを生かせる業種・職種の企業を選ぶのがおすすめです。

これまでの仕事とは無関係の業種・職種に転職している人もいますが、フリーランスとしての実績を評価される仕事を選んだ方が成功率は高いでしょう。

フリーランスを評価する企業も多いため、求人サイトや転職エージェントで探してみるのがおすすめです。

企業がどのような点を評価するか知っておく

転職活動を始める前に、企業の採用担当者がフリーランスのどのような点を評価するのか、知っておくことが重要です。

同時に、フリーランスを正社員として採用する際、何を懸念しているかも知っておきましょう。その上でしっかりと対策を立てておくことが大事です。

企業がどのようなポイントを評価するかは後述しますが、組織への適応性や能力などを見極めた上で採用を決めています。ただし、企業ごとに具体的な採用ニーズは異なるので、事前に応募企業についてよく調べておく必要があります。

面接対策を徹底する

企業の採用ニーズを調べておくのに加えて、面接対策も徹底した上で転職活動に臨みましょう。正社員を目指している理由や、正社員として雇用された場合にどのような価値を提供できるかなど、面接でアピールできるようにしておくことが大切です。

入社後のキャリアプランや展望、希望する収入なども聞かれる可能性があるので、どのように回答するか決めておきましょう。自己紹介の仕方や、自己PRの内容も考えておく必要があります。

フリーランスの雇用で企業が確認したいこと

面接

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フリーランスとして活動してきた人材を企業が採用する場合、以下の点を確認しようとする傾向があります。

転職活動の際には、企業がフリーランスの雇用で抱く懸念点を理解し、問題ないことをアピールするのが効果的です。質問に対しても、スムーズに回答できるようにしておきましょう。

組織に問題なくなじめるか?

フリーランスは個人で自由に働いている人が多いため、正社員として雇用した際、組織に問題なくなじめるか、懸念を抱く採用担当者は少なくありません。

協調性に疑問を持たれる可能性もあるので、入社後に周囲とどのように関わり、組織に貢献できるかをアピールすることが重要です。

組織のルールに従い、チームワークを重視する姿勢を見せる必要があります。フリーランスの立場でチームとして活動してきた人は、その経験をアピールするとよいでしょう。

即戦力として広く業務に携われるか?

フリーランスを正社員として雇用する場合、多くの企業は即戦力としての活躍を期待しています。これまでフリーランスとして携わってきた仕事だけではなく、広く自社の業務に対応できるか確認しようとする採用担当者もいるでしょう。

たとえフリーランスとして高いスキルを有していても、企業側が求めるニーズにマッチしていなければ、採用は見込めません。

上記のように、フリーランスとして培ってきた経験やスキルが、存分に生かせる企業を探すことが重要です。できる限り企業側のニーズを理解した上で、即戦力として活躍できる点をアピールしましょう。

すぐにフリーランスに戻らないか?

正社員として採用後、収入面や仕事内容・職場環境などで折り合いがつかず、すぐに離職したりフリーランスに戻ったりしないか懸念する企業も多くあります。

実際、正社員として就業した場合に、フリーランスの頃よりも収入が下がってしまう人も多く、転職を断念するケースも珍しくありません。

転職希望先の企業に入ることで収入が下がってしまう場合は、収入以上に何を望んでいるのか採用担当者に伝えることが大事です。転職先で長く働く意欲を見せるようにしましょう。

正社員への転職を目指す場合の注意点

デスクで仕事をする男性

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フリーランスが正社員への転職を目指す場合、以下の点に注意が必要です。収入面はもちろん、組織の一員となる覚悟が求められます。本当に自分に合った環境か見極めましょう。

収入が下がってしまう可能性がある

収入面の安定を目指して、フリーランスから正社員になる人も多くいます。しかし先述したように、正社員になることで収入が下がってしまう可能性もあります。

これまでフリーランスとして高収入を得ていた人は、収入が安定する代わりに、一時的にせよ収入ダウンを許容しなければならない場合もあるでしょう。

たとえ年収が下がったとしても、自分の望む環境で働けるようになるか、キャリアアップを実現できるかなど、慎重に判断することが重要です。

組織の一員になる覚悟や準備が必要

正社員として働くようになれば、これまで個人で働いていた立場から、組織の一員としてチームの方針を尊重したり、ルールに従ったりしなければなりません。自分の意思よりも、組織のルールを重視しなければならないケースも出てくるでしょう。

常に自分の意思を尊重したい場合は、正社員の立場は向いていない可能性があります。正社員として仕事に就くならば、組織における自分の役割を明確にした上で、しっかり貢献できるように準備しておきましょう。

本当に自分に合った環境か慎重に見極める

正社員になることで、自分の目指すキャリアや理想を実現可能か、慎重に見極めることが重要です。

企業と業務委託契約を結んでいる場合は、基本的に対等な立場で話や交渉が可能です。一方、企業との雇用契約の場合は社員の立場となり、上司からの命令・指示に従わなければならないケースも出てきます。

自分の裁量で仕事ができない場面も多いので、正社員を目指して本格的に転職活動をする前に、本当に自分に合った環境なのか考えてみることが大切です。

フリーランスから正社員になる際の手続き

書類を作成する

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フリーランスから正社員になる際に、必要となる手続きも知っておきましょう。個人事業の開業届を提出している場合は廃業届の提出が必要です。青色申告の取りやめや、事業の廃止手続きなどが求められる可能性もあります。

個人事業の廃業届を提出する

フリーランスとしての活動時、個人事業の開業届を出していた場合は、廃業届の提出が必要です。

内容を記載して、所轄の税務署や都道府県税事務所に提出しましょう。廃業届は税務署の窓口でもらうか、もしくは国税庁のホームページからもダウンロードができるので、事前に準備しておくと手続きがスムーズです。

ただし、企業に正社員として雇用されながら、フリーランスとして仕事を継続受注するなど、提出しない方がよい場合もあります。廃業届を提出すると取り消しができないので注意しましょう。

出典:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

所得税の青色申告の取りやめ手続きをする

所得税の青色申告をしていた場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

届出書は国税庁のホームページからダウンロードが可能です。青色申告を取りやめる年の翌年3月15日までに手続きするようにしましょう。

なお、フリーランスとして活動していた時期に、青色ではなく白色申告をしていた場合には、手続きは必要ありません。

出典:A1-10 所得税の青色申告の取りやめ手続|国税庁

事業および事務所の廃止手続きをする

消費税の課税事業者が正社員として企業に雇用される場合、自らの事業を完全に廃業するならば、事業廃止届出書の提出が必要となります。

さらに事業主として従業員に給与を支払っていた場合や、事務所を設けていた場合なども、廃止の届出書(給与支払事務所等の開設・移転廃止の届出書)の提出が必要です。

条件に該当する人は、必ず手続きをするようにしましょう。雇用している従業員がいない場合、提出は不要です。

出典:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

フリーランスから正社員を目指してみよう

フリーランスの男性

(出典) pixta.jp

フリーランスとして独立する人が増えている一方で、フリーランスから正社員になる人も少なくありません。正社員を目指すには、求人サイトや転職エージェントなどを利用しながら、自分の経験や実績・スキルを生かせる企業を探しましょう。

また、業務委託契約を結んでいる企業と、雇用契約を結んで正社員になる方法もあります。いずれの方法で正社員を目指すにせよ、組織に問題なくなじめるか判断することが大事です。個人の立場から組織の一員になる準備をしておきましょう。

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