専門商社とは?総合商社との違いや向いている人の特徴を解説!

さまざまな商品の流通を担う商社は、人気が高い仕事として有名です。商社には多種多様な商品を扱う総合商社と、特定の分野に特化した専門商社があるので、違いを押さえておきましょう。専門商社の特徴や仕事内容、どのような人に向いているのかなどを解説します。

専門商社とは?

電話をかける男性

(出典) pixta.jp

専門商社とは、多種多様な商品を取り扱う総合商社に対して、特定の分野の商品を扱う商社を指します。まずは、専門商社の定義や総合商社との違いについて、基本的なところを理解しておきましょう。

特定の商品を専門的に扱う企業

特定分野の商品を専門的に扱うのが、専門商社と呼ばれる企業です。化学原料や建設用資材・電気機器の部品など、特定の商品を広く仕入れて、国内外の企業に卸しています。

企業が業務で使う資材や原料を仕入れて販売している専門商社や、食品や日用品など、一般消費者が生活に必要な商品を仕入れている専門商社などもあります。

さまざまな専門商社がある中で、とりわけ鉄鋼分野と医療機器や医薬品などの分野の市場規模が大きく、メーカーから商材を仕入れて小売店に販売するのが主な仕事です。

総合商社との違い

特定の商品を取り扱う専門商社に対して、総合商社はさまざまな分野の商品を取り扱います。

食品からエネルギー資源・水力発電など、幅広い商品に対応しています。専門商社に比べて事業規模が非常に大きいのも特徴で、日本でも有名な商社の多くは総合商社です。

1876年に設立された日本初の総合商社である三井物産をはじめとして、総合商社は日本の経済の発展をけん引してきた歴史があります。

三井物産や三菱商事・伊藤忠商事・住友商事・丸紅は5大商社と呼ばれ、今も学生から人気のある就職先です。

専門商社・総合商社の仕事内容

専門商社・総合商社にかかわらず、商社の仕事内容は主にトレーディングです。

商品やサービスの需要と供給をマッチングする仕事で、売り手と買い手の仲介役を担います。商品を特定の地域や企業から仕入れ、それを必要としている企業に卸す仕事であり、売値と買値の差額や仲介料金などが商社の売り上げとなります。

ただし総合商社の場合は、事業投資をビジネスにしている企業が少なくありません。特定の国の企業やプロジェクトに投資したり、株式の売買などをしたりするのがメインの商社は多くあります。

専門商社の種類をチェック

ミーティングデスク

(出典) pixta.jp

専門商社は、特定分野の商品・サービスを取り扱う商社ですが、その中でもさらに3種類に分類できます。

ニッチな商品を取り扱う企業や、総合商社の取り扱う商品の中で特定のものに特化した企業、独自に仕入れ先・販売先を開拓する企業などがあります。それぞれ見ていきましょう。

よりニッチな商品を扱う「メーカー系」

特定のメーカーを中核にした専門商社で、当該メーカーに関係した商品を主に取り扱っています。メーカーの貿易担当部門が商社の役割を担っているケースが多く、総合商社よりもメーカーのさまざまな商品を販売できるのが特徴です。

メーカーによっては、ほかで流通していないニッチな商品がメインの場合もあり、その商品を必要としている顧客との太いパイプを持っている企業が多くあります。専門知識やノウハウを生かして、商品開発や資金調達を担っているメーカー系の商社も少なくありません。

扱う商品が豊富な「総合商社系」

総合商社系の専門商社は、総合商社が扱う商品の中で、特定の物品に特化して取り扱っています。総合商社は多種多様な商品のトレーディングをしていますが、その中でニッチな商材やサービス・プロジェクトなどを担当している企業です。

主に総合商社が事業投資により子会社化した企業であるため、販路や仕入元などは親会社のネットワークを活用できます。従って、規模は小さいながらも、広く商品を流通できるのが強みです。

一般的な総合商社は大規模なトレーディングやファイナンスなどがメインであり、小規模なプロジェクトや取引などは、子会社の専門商社に任せているケースがほとんどといえます。

自由度が高めの「独立系」

特定のメーカーや総合商社などと関係せず、独自に事業を展開している専門商社も少なくありません。

仕入先や販路などは自ら開拓する必要があるものの、独自に見つけられるので、自由度が高いのが特徴です。取り扱う商品を自由に決められるため、複数のメーカーや顧客と独自のつながりを有している企業も多くあります。

さらに、必要に応じて海外に事業を拡大したり、異なる業界に進出したりと、フットワークが軽いのも独立系商社の強みです。実際、近年は積極的に多分野に進出している専門商社が増えています。

専門商社で働くメリット・デメリット

商談

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専門商社で働くメリットとデメリットを整理しておきましょう。商社は就職・転職の希望先として人気が高いものの、注意すべき点もあるので、よく理解しておくことが大事です。

【メリット】専門分野に特化

専門商社は特定の商品・サービスに特化しているため、その領域の専門性を高められるのがメリットです。多種多様な商品を取り扱う総合商社に比べて、特定分野のプロフェッショナルとしてキャリアを築けます。

さらに総合商社に比べると就職・転職のハードルも低い傾向にあるので、商社に勤めたいならば、専門商社も選択肢に入れるとよいでしょう。

特に、興味を持てる分野の商品が決まっている場合、専門的に扱っている企業の方が、仕事として携われる可能性が高くなります。

【デメリット】業界の景気に左右される

専門商社は業界の景気に左右されるので、就職・転職の際には注意が必要です。専門の業界に特化しているからこそ、その業界の景気がダイレクトに影響してしまいます。

業界全体の景気が将来的に悪くなる場合、その業界の商品をメインに扱っている専門商社も不景気のあおりを受けてしまうでしょう。就職・転職を目指している商社の業界が、全体としてどのような状況にあるのか、事前に確認しておくことが大切です。

また、専門性の高い仕事に従事するため、専門商社からほかの業界に転職しようと考えた場合、間口が狭くなる可能性がある点も覚えておきましょう。

専門商社に向いている人の特徴

パソコンで作業をする男性

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専門商社への就職・転職に向いている人の特徴としては、以下の点が挙げられます。取り扱う商品に関する情報収集能力が高く、仕入先や顧客と良好な関係を築くためのコミュニケーション能力などが求められます。

情報収集能力・分析能力が高い

商社で働くならば、情報収集能力や分析能力が必要です。仕入先と顧客との仲介役を担う商社では、市場を分析しつつ、将来を見据えた提案が求められます。

現状から市場の動向を予測できれば、仕入先・顧客の双方にメリットのある提案が可能になるため、取引量も増加し、商社の売り上げもアップするでしょう。

また、市場のトレンドは常に変化しており、何かのきっかけで大きく動く可能性もあります。トレンドが変わる前に迅速に対応する必要があるため、好奇心を持ってさまざまな情報を収集し、うまく活用できる人が成功しやすい仕事です。

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力の高さも、商社で働く上で欠かせません。専門商社の場合、特定の分野の商品・サービスを専門的に扱うため、1つの取引先と長く付き合うことも多くあります。

良好な関係を維持するためにも、適切なコミュニケーションにより、うまく信頼関係を構築する必要があります。

さまざまな仕入先や顧客と日常的に接する仕事でもあるので、相手によって臨機応変に対応を変えることも大事です。仕事で多くの人と接しているならば、商社に転職しても経験が生かせるでしょう。

企業によっては英語の能力も必要

商社といえば、グローバルに活躍する社員をイメージする人も多く、高い英語の能力が必要と考えられる傾向にあります。

実際、企業によっては海外の取引先が中心で、英語の能力が必須の場合も少なくありません。専門商社も同様で、基本的に海外とやりとりするならば、英語は身に付けておく必要があります。

さらに、英語圏以外の国と取引する場合は、その国の言語も使える方がよいでしょう。一方で、国内企業とだけ関わっている専門商社もあります。

英語に自信がない人や、常に日本語で仕事をしたいと考えている人などは、国内で取引が完結する企業に転職を検討するのがおすすめです。

未経験から専門商社に転職するなら

面接を受ける女性

(出典) pixta.jp

これから専門商社で働きたいと思っているならば、以下のポイントを意識しつつ、しっかりと準備をした上で転職活動を始めましょう。まずは、自分のこれまでの経験が生かせないか検討し、必要ならば段階を経た転職を検討することも大事です。

関連する経験をアピール

前職までの経験において、専門商社でも生かせるものを積極的にアピールしましょう。転職先の企業で取り扱っている商品に対して深い知識を有していれば、採用される可能性が高まります。

メーカーで商品開発を担当していた人が、その商品を扱っている商社に転職するケースは、決して珍しくありません。長く商社で勤務している人材よりも、商品に関する専門知識があり、重宝される場合があります。

また、システム系の専門職は多くの業界で人手不足のため、商社のシステム部門で活躍できる可能性もあるでしょう。特定の地域の言語が話せる人材も、その地域での取引を始めたい商社に貢献できます。

ステップアップしてから目指す方法もあり

専門商社で生かせる知識や経験が足りないと感じるならば、すぐに商社を目指すのではなく、関連する仕事に転職した後に再び転職や異動をする方法もあります。

段階を経て必要な知識・スキルを身に付け、異業種・異職種への転職を目指す人は珍しくありません。

最終的に専門商社への転職を考えているならば、まずは当該企業のグループ会社などに転職し、専門知識を身に付けるのもよいでしょう。

これまでの経験を十分に生かせる業種・職種で、専門商社ともつながりのある企業に転職すれば、将来的に商社へ転職できる可能性があります。

専門商社で特定分野のスペシャリストに

商社マン

(出典) pixta.jp

専門商社とは、特定の業界の商品・サービスを取り扱っている商社を指し、メーカー系や総合商社系などに分類できます。多種多様な商品を扱う総合商社に比べて、特定分野のプロフェッショナルとしてキャリアを築きやすく、転職もしやすい傾向にあります。

ただし、情報収集能力や分析能力、コミュニケーション能力が必要な仕事であり、取引先によっては高い英語の能力も必要です。

知識やスキル・経験が足りないと感じるならば、段階を経て転職をするのも有効です。関連会社やグループ会社などに転職し、知識やスキルを身に付けるとよいでしょう。

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