零細企業とはどのような企業?強みやメリット・デメリットを解説

転職先として大手企業や有名企業を望む人は多くいますが、一方で自らの成長のために零細企業への転職を検討する人も少なくありません。零細企業とは、どのような企業を指すのでしょうか?主な特徴や、転職するメリット・デメリットなどを解説します。

零細企業とはどんな企業?

女性社員

(出典) pixta.jp

大手企業・中小企業といった呼称は、その企業の事業規模や社員数などを基準として決められています。明確な定義はないものの、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では常時雇用する人数が 1,000人以上の事業所等が大企業、100~999人は中企業、10~99人は小企業とされており、おおむね1,000人を目安に大企業、中衝企業と分けるのが一般的です。

零細企業は、大手企業・中小企業と比較して、さらに規模の小さい企業を指す言葉です。まずは、零細企業の定義や、いわゆるベンチャー企業との違いなどを理解しておきましょう。

零細企業の定義

零細企業とは一般的に、中小企業よりも規模の小さい企業を指しますが、実のところ明確な定義はありません。事実、多くの人が何となく「規模の小さい企業」といった意味で用いている呼称であり、ベンチャー企業の意味で使っている人もいます。

中小企業基本法に基づいてカテゴリ分けすると、零細企業は「小規模企業者」です。例えば、サービス業・小売業・卸売業では、常時使用の社員が5人以下の場合に、小規模企業者と見なされます。

それ以外の製造業・建設業などでは、常時使用の社員が20人以下の場合が該当します。

出典:中小企業基本法(中小企業者の範囲及び用語の定義)第二条第5項|e-Gov法令検索 

中小企業との違い

明確な定義が存在しない大企業に対して、中小企業は中小企業基本法により、業種によって定義が決まっています。

例えば、サービス業の場合、資本金や出資額が5,000万円以下、あるいは社員数が100人以下であれば、中小企業とされます。卸売業の場合は、資本金または出資額の総額が1億円以下、あるいは社員数が100人以下であれば中小企業です。

一方で、大企業の子会社などの場合は、同法における定義に該当しても、中小企業とは見なされないケースもあります。

また、法人税法では資本金1億円以下の企業は全て中小企業とされるなど、何を基準とするかにより定義が異なる点は注意しましょう。

出典:中小企業基本法(中小企業者の範囲及び用語の定義)第二条|e-Gov法令検索

出典:中小企業・小規模企業者の定義 | 中小企業庁

ベンチャー企業との違い

ベンチャー企業とは一般的に、独自の技術や経営手法などにより、新たな分野で事業を展開する企業を指す言葉です。

基本的に事業規模を指す言葉ではないため、大企業が出資している場合など、ベンチャー企業でも大きな資本を抱えているケースもあります。

ただし、ベンチャー企業のほとんどは上記の中小企業の定義に該当し、零細企業も多いのが実態です。それぞれ定義が曖昧な部分もありますが、大まかな違いは理解しておきましょう。

零細企業の特徴・強み

新入社員研修

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零細企業の特徴としては、以下のように地域密着型の企業が多い点や、市場の変化に柔軟に対応できる点などがあります。それぞれ見ていきましょう。

地域密着型の企業も多い

零細企業は、その地域に根差した事業を展開しているところが多く、全国的には無名でも、地域にとっては欠かせない存在である場合も珍しくありません。

小規模だからこそ、顧客や地域との結び付きが強く、とりわけリピート顧客が多い傾向にもあります。

数多くの商品・サービスを全国的に展開する大手企業に比べると、資本力では大きく及ばないものの、地域のニーズに応える形で、安定した売り上げを継続している企業が目立ちます。

柔軟性が高い

小規模であるがゆえに機動力が高いのも、零細企業の特徴であり強みの1つです。

経営者がトップダウンで物事を決められる企業が多く、迅速な意思決定で市場のニーズに柔軟に対応できるため、大手企業に先駆けて新たな商品・サービスを展開できるケースが多くあります。

また、独自の技術・ノウハウを有するベンチャー企業も多く、創業から数年後には、事業規模が大きく拡大している場合もあります。

零細企業で輝ける人の特徴

資料を確認する男性

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零細企業で働くのがおすすめなのは、以下のように経営を積極的に学びたい人や、将来的に独立を考えている人などです。零細企業で輝ける人の特徴は何でしょうか?

経営を学びたい

起業したい人や、フリーランスとして自ら事業を運営したい人などは、零細企業で事業を成長させる術を学ぶことで、将来的に成功する可能性を高められます。

零細企業なら、新入社員でも経営者や事業の責任者との距離が近いため、身近で経営について学んだり、専門的なスキルを身に付けたりもできるでしょう。

特に、零細企業の経営者は起業家精神を持っていることが多いため、将来の独立に役立つ助言・アドバイスをもらえる可能性もあります。

責任ある仕事をしたい

若いうちから責任のある仕事がしたい人や、業務を通じて成長したい人なども、零細企業への転職を検討してみましょう。

規模の小さな会社では、新人でも重要な仕事を任せられる場合が多く、きちんと組織に貢献できれば早期の昇進も可能です。

大企業に入社した人材と比べると、早期に重要な仕事を任される可能性が高いでしょう。管理者やプロジェクトリーダーとして、早めに技術・スキルを身に付けたい人におすすめです。

自ら行動できる人

零細企業への転職では、責任ある仕事を任されるケースが多いため、自ら行動できる人が適しています。

積極的に周囲とコミュニケーションを取れるのはもちろん、新たな知識・スキルを学ぼうとする人にとっては、さまざまな経験ができる環境で働けるため、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。

零細企業は社員数が少ないこともあり、自分から動ける人であれば、職場になじむのも早い傾向にあります。

零細企業に転職するメリット・デメリット

ビジネスマン

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これから零細企業に転職を考えている人は、メリット・デメリットをよく理解した上で、本格的に転職活動を始めることが大事です。転職後に後悔しないように、本当に自分に合った環境なのか、慎重に判断しましょう。

【メリット】自分の意見が届きやすい

零細企業は人手が少なく、新人でも自然と経営者・責任者との距離が近くなるため、多くの知識・スキルを学べるのがメリットです。

経営者に自分の意見・アイデアを聞いてもらいやすく、逆に業務に関する有益なアドバイスを得られる場合もあるでしょう。

仕事で良い結果を出せれば、比較的スピーディーに責任ある立場になれる傾向があるのも、社員数が少ない零細企業の特徴です。

大企業では何年も勤務しなければ昇進できない役職でも、零細企業で実力を認められれば、すぐに責任ある立場に就ける場合もあります。

【デメリット】年収が低いケースも

零細企業は、大企業に比べると年収が低めであり、福利厚生も不十分なケースが珍しくありません。高い収入を求めて転職をするならば、大手企業や有名企業への転職を考えた方がよい可能性があります。

また、創業したばかりの企業は、教育体制が整っていない場合もあるので、自ら積極的に必要な知識・スキルを身に付ける姿勢が必要です。

能動的に動くのが苦手だったり、コミュニケーションがうまく取れなかったりする人には、働きづらい環境であることも考えられます。

零細企業は多くの強みがある一方で、収入・職場環境などが合わない人もいるため、本当に自分に適した場で働けるか、しっかり検討することが大切です。

出典:標本調査結果|国税庁

転職は企業規模より業務内容をチェック

男女のビジネスパーソン

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一般的に零細企業とは、中小企業よりも規模の小さい組織であり、地域密着型の企業が多い傾向にあります。独自の技術・ノウハウを有している場合も多く、ベンチャー企業として急成長を遂げる企業は珍しくありません。

入社後の早い段階で責任ある仕事をしたい人は、零細企業への転職を検討してみましょう。自ら積極的に学び行動できる人ならば、新人でも重要なポジションで働ける可能性もあります。

経営を実地で学べる機会もあるので、将来的に独立を目指している人にもおすすめです。本格的に零細企業への転職を考えているならば、多くの業界の求人を掲載している「スタンバイ」を活用しましょう。

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