履歴書を書く際、免許・資格の欄をどのように埋めればよいのか、悩むことは少なくありません。内定を勝ち取るには、ただ空欄を埋めるのではなく、的確にアピールする必要があります。企業が見ているポイントや、正しい書き方を見ていきましょう。
履歴書における「免許・資格」欄の意味
履歴書に免許・資格の欄が設けられている意味を正しく理解できると、採用担当者にアピールしやすくなります。企業側はどんな点をチェックしているのか、見ていきましょう。
どんなスキルを持っているか確認
企業側は、応募者がどんなスキルを持っているのかを知りたがっています。免許・資格の欄は『自分のスキルをダイレクトにアピールできる部分』です。どんな免許・資格があるのかが分かれば、その人の能力を判断する材料になります。
職種によっては、応募要項に必要資格を明記している場合もあるでしょう。例えば、運送業で配達員をするなら自動車免許が必須です。
免許・資格の欄を適当に書いてしまうと、応募条件に合わないと判断されてしまうことになりかねないので注意しましょう。
向上心・成長意欲を見ている場合も
これまでの仕事で、どんなスキルを身に付けてきたのかを伝えることで、あなたの向上心・成長意欲を測れます。
免許・資格を取得するには、試験に受かるための努力が必要です。『今よりも、もっと能力を高めたい』という意識を持って勉強しなければ、結果を出せないでしょう。
企業側は、より向上心のある人を採用したいと考えています。免許・資格の欄では、仕事へのやる気が見られていることを押さえておきましょう。
「免許」の正しい書き方は?
一口に免許といっても、さまざまな種類があります。特に書き方に悩みやすい運転免許証を中心に、正しい書き方を見ていきましょう。
略称ではなく正式名称で書く
履歴書は、企業に提出する大切な書類なので、免許の名称は略称ではなく正式名称を書きましょう。略称を使うと大ざっぱな印象を与えてしまいます。
運転免許証の『種類』の欄に書かれた略称は使わず、必ず正式なものを書かなければなりません。第一種・第二種というように種別が異なる場合は、どちらなのか分かるように記載します。
略称 | 正式名称 |
---|---|
大型 | 大型自動車第一種運転免許 |
中型 | 中型自動車第一種運転免許 |
準中型 | 準中型自動車第一種運転免許 |
普通 | 普通自動車第一種運転免許 |
大特 | 大型特殊自動車免許 |
大自二 | 大型自動二輪車免許 |
普自二 | 普通自動二輪車免許 |
小特 | 小型特殊自動車免許 |
原付 | 原動機付自転車免許 |
け引 | 牽引自動車第一種運転免許 |
大二 | 大型自動車第二種運転免許 |
中二 | 中型自動車第二種運転免許 |
普二 | 普通自動車第二種運転免許 |
大特二 | 大型特殊自動車第二種免許 |
け引二 | 牽引自動車第二種運転免許 |
準中型自動車免許について
以前は普通自動車免許があれば、5t未満の自動車を運転できましたが、法改正により運転できる自動車の種類が変わりました。
2017年3月12日に道路交通法が改正されて『準中型自動車免許』が加わり、普通自動車免許で運転できる自動車は『最大積載量が2t未満、車両総重量が3.5t未満』になったのです。
ただし、道路交通法の改正以前に普通自動車免許を取得した場合は、改正前の免許制度が適用されます。この場合の記載方法は、下記の例のいずれかでOKです。
【例】
- 『○○年○月 普通自動車第一種運転免許(現5t限定準中型免許) 取得』
- 『○○年○月 準中型自動車第一種運転免許(5t限定) 取得』
取得日と交付を間違えないように
履歴書には、免許を取得した年月日を記載する欄が設けられているので、正しく記載しましょう。運転免許証には2種類以上の日付があるので、どれを書くか迷いがちです。
取得日は運転免許証の左下にあり、種類別に記載されています。しかし、複数の免許を持っている場合、どれか1つだけしか確認できません。
ほかの免許の取得日が分からない場合、警察署や運転免許センターへ行き『ICカード読み取り装置』で確認するか、『運転免許経歴証明書』を発行してもらいましょう。
交付は、運転免許証が発行された日で、更新のたびに変化します。免許の取得日とは別なので、間違えないようにしましょう。
AT限定の場合の書き方もチェック
運転免許証がAT限定の場合、どう書くか悩むことがあります。運転免許が必要な職種の場合、マニュアル車を運転できるかが注目される場合もあるでしょう。
しかし、企業側から特に指定がなければ『AT限定』は省略しても構いません。車の運転に関わる職種でなければ、限定表記まで詳しく書く必要はありませんが、より詳細に伝える必要がある際は記載しましょう。
【例】
- 『○○年○月 普通自動車第一種運転免許(AT限定) 取得』
「資格」の正しい書き方は?
さまざまな資格を持っている場合、書く順番が分からなかったり、全て書いた方がよいのか迷ったりするでしょう。ここでは、資格の書き方のポイントを解説します。
資格を書く順番
たくさんの資格を持っている人は、どれから書き始めたらよいのか悩むことでしょう。記載する順番は、厳密に決まっているわけではありません。
取得年月日順にする人もいれば、その仕事への重要度が高い順にする人もいます。いずれにしても、その職種において『持っている方が有利な資格が埋もれないように書くこと』が大事です。
3~4行程度であれば、記載が多すぎて読みづらいという心配はないので、アピールしたいものから順番に書くのがおすすめです。
書くべき資格と書かなくてよい資格がある
資格は、実用的なものばかりとは限らず、趣味で多くの資格を保有している人もいます。仕事に直接的な関りがない資格は、省いて構いません。使い道がありそうなものだけを書きましょう。
例えば、営業事務を希望しているのであれば『Microsoft Office Specialist』や『ビジネス文書検定』など、仕事内容に関連したものを優先的に書きます。
あまり関係ないものを書いてしまうと「うちで働くより、こちらの資格を生かしてほかの企業で働いた方がよいのでは?」と、突っ込む余地を与えてしまう可能性があるので注意しましょう。
なお、希望の職種に直接的な関係はなかったとしても、簿記や外国語など、汎用性が高いと思われる資格は、書いておいて損をすることはありません。
「免許・資格」欄にまつわるQ&A
履歴書の免許・資格の欄を埋める際「これって書いていいの?」「何も書くことがない」など、悩みが出てくる場合があります。免許・資格の欄を書くときの、よくある疑問を解消しましょう。
運転免許はペーパードライバーでもOK?
ペーパードライバーであっても、運転免許を取得していることに変わりはないので、記載してOKです。
ただし、運転を求められるような職種の場合、運転に慣れていない状態では困ってしまうので、出社日までに練習しておきましょう。
自主練のほか、ペーパードライバー講習に通う方法もあります。採用時に問題はなくても、後から困るのは自分だということを考えた上で行動しましょう。
勉強中・取得予定の資格も書いてよい?
応募先から必要とされる免許・資格を取得するために勉強中の場合は、その情報を伝えた方が有利になります。『○○を取得するために勉強中 ○月取得予定』と書きましょう。
等級がある資格の場合、低レベルなものはあまり書かない方がよいとされるケースもありますが、希望する職種に関わるものであれば書いた方がプラスに働くはずです。
例えば、何かの資格の3級を取得済みで、1~2級を目指して勉強しているという状況なら、その旨を書いておくと向上心や可能性を感じさせられます。
特に書く免許・資格がない場合は?
免許・資格がない場合は『特になし』と書くのがルールです。何も書くことがない場合でも、何かを書いておかないと「ミスで空欄になっている」と勘違いされ、評価が下がる可能性があります。
「書類作成能力に劣る」と判断されてしまうことになるので、空欄のままにするのはやめましょう。
今は特に書ける免許・資格がなかったとしても、これから資格を取得するためにスクールに通ったり、独学で勉強し始めたりすることがあれば、アピール材料として書くのがおすすめです。
正しく書いてスキルをアピールしよう
履歴書の免許・資格の欄は、正確な取得年月日と正式名称を書くことが大事です。採用担当者にアピールするには、希望する職種にマッチするものを中心に書きましょう。
たくさんの資格を持っている人は、仕事内容に関係あるものをピックアップします。何も書くことがなくても、勉強中のものがあれば書いた方がやる気を伝えられます。
自分のスキルや強みを生かせるように正しい情報を記載し、好印象を与える履歴書に仕上げましょう。
若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー