派遣社員として働いた経験がある場合、履歴書への書き方が正社員とは異なります。それでは、派遣期間は履歴書にどのように書けばよいのでしょうか?ポイントやパターン別の記入例とともに紹介するので、参考にしましょう。
派遣期間の履歴書への正しい書き方は?
派遣社員として就業した期間を履歴書に記入する際、正社員の場合とは書き方が異なる点が2つあります。まずは、派遣期間の書き方の基本を把握しましょう。
派遣元・派遣先・業務内容・派遣期間を記入
1社と直接雇用契約を結ぶ正社員とは異なり、派遣社員の場合は「登録した派遣会社(派遣元)」と「実際に働く会社(派遣先)」の両方を記入する必要があります。
派遣元となる派遣会社・実際に勤務する派遣先・業務内容・派遣期間の4点を必ず明記しましょう。
「どこの派遣会社から」「どこの企業に派遣」され「どんな業務内容」を「どれくらい」やっていたのかが明確に分かるように、簡潔に記入することが重要です。
なお、業務内容を細かく書く必要はありません。派遣元・派遣先・業務内容が1〜数行で収まるくらいのボリュームがベストです。
入社・退社は使用しない
派遣社員は、実際に派遣元の会社に入社・退社するわけではなく、派遣会社に登録をして一定期間雇用される形態のため、「入社」「退社」という表現は使用しません。
派遣登録時は「登録」、勤務開始時は「就業」、勤務終了時には「派遣期間満了」や「派遣期間満了につき退職」などと書くのが一般的です。
ただし、派遣期間が満了になる前に自身の都合で退職した場合には、「一身上の都合により退職」と記載します。
【パターン別】派遣期間の履歴書への記入例
登録した派遣会社の数や、派遣された勤務先の数によって、履歴書への書き方は異なります。派遣元・派遣先の数が異なる3つのパターン別に、記入例を紹介します。
派遣元・派遣先ともに1社の場合
派遣元・派遣先がどちらも1社のみの場合は、派遣元への登録・派遣先での勤務開始・派遣先の業務内容・派遣期間満了を1行ずつ書くのが一般的です。
また、派遣先での勤務開始と派遣先の業務内容の欄は、1マス下げて書くと見やすくなります。
【記入例】
○○年○月 株式会社△△(派遣元)に登録
○○年○月 株式会社□□(派遣先)☆☆部に派遣社員として就業
営業事務として、顧客管理や書類整理を担当
○○年○月 派遣期間満了につき退職
派遣元が1社・派遣先が複数の場合
派遣元が1社・派遣先が複数の場合は、最初に派遣元の情報を記載し、次の行以降にそれぞれの派遣先について書いていきます。派遣先ごとに「派遣期間満了」を記載する必要はありません。
【記入例】
○○年○月 株式会社△△(派遣元)に登録
○○年○月 株式会社□□(派遣先)☆☆部に派遣社員として就業
営業事務として、顧客管理や書類整理を担当
○○年○月 株式会社◇◇(派遣先)☆☆部に派遣社員として就業
一般事務として、請求書整理や受付を担当
○○年○月 派遣期間満了につき退職
また、派遣先が3社以上の場合は、業務内容を別の行に分けて書くとスペースを取って読みにくくなるため、派遣先の情報は1行にまとめるのが好ましいでしょう。
【派遣先が3社以上の記入例】
○○年○月 株式会社△△(派遣元)に登録
○○年○月 株式会社□□(派遣先)☆☆部に営業事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 株式会社◇◇(派遣先)☆☆部に一般事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 株式会社▽▽(派遣先)☆☆部に一般事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 派遣期間満了につき退職
派遣元・派遣先ともに複数の場合
派遣元・派遣先ともに複数社ある場合は、就業から退職までを1行にまとめると見やすくなります。詳しい業務内容は職務経歴書に記載することもできるので、履歴書は簡潔に書くことを心掛けましょう。
【記入例】
○○年○月 株式会社△△(派遣元)に登録
○○年○月 株式会社□□(派遣先)に営業事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 株式会社◇◇(派遣先)に一般事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 派遣期間満了につき退職
○○年○月 株式会社◎◎(派遣元)に登録
○○年○月 株式会社▽▽(派遣先)に営業事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 株式会社●●(派遣先)に一般事務として就業(○○年○月まで)
○○年○月 派遣期間満了につき退職
派遣期間を履歴書に記入する際のポイント
派遣期間を履歴書に記入する際、より効果的にアピールできるポイントを紹介します。正社員の経歴を持つライバルと同じ土俵に立って戦うなら、確実に加点を狙っていきましょう。
正社員の経歴がある場合は優先する
近年、雇用形態の違いによる格差をなくす動きが高まってはいるものの、企業や採用担当によっては、正社員の経歴を重視する人がいるのも事実です。
過去に正社員として勤めた経験がある場合は、派遣社員の経歴よりも、正社員として働いた会社や期間、業務内容を優先してアピールしましょう。
正社員と派遣社員の経験がある人は、履歴書では派遣社員の欄はできるだけ簡潔に記入し、正社員時代について細かく書くと印象に残りやすくなります。
応募企業に合わせた経験・スキルをアピール
基本的に派遣社員は数年で違う仕事に就くことが多いため、「長年同じ仕事を続けている人に比べて、スキルを習得しにくい」と思っている採用担当者もいます。
派遣期間に得たスキルや達成したことを積極的に記載することで、採用につながりやすくなるでしょう。
特に重要なのが、応募する企業に合ったスキルや強みをアピールすることです。特筆すべきスキルがないという場合でも、「応募先の企業に何を提供できるか?」を考えながら書くと、より自分を売り込むことができます。
派遣期間を履歴書に書く際のよくある疑問
最後に、派遣期間を履歴書に書く際に、多くの人が悩む疑問について紹介します。当てはまる項目がある場合は、よくチェックして記入しましょう。
守秘義務がある場合は?
派遣先によっては、派遣会社と守秘義務契約を結んでいることがあります。その場合、業務内容や企業名を公表することはできません。履歴書には某大手メーカーや、某外資系企業など大まかに記載しましょう。
面接のときに詳細を聞かれたら、「守秘義務契約のある企業なので、会社名や詳しい業務内容についてはお話できません」と回答しても問題ありません。
業務内容の詳細を明かせないため、勤務先でどんな取り組みをしたかやどのようなことを達成したかなど、会社に貢献したエピソードを中心に話すと印象がアップするでしょう。
アルバイト派遣や単発の派遣も書く必要がある?
アルバイト派遣や単発の派遣については、履歴書に記入する必要はありません。短期間の経歴が並んでいると、「仕事が続かない」という印象を与えてしまう可能性があるので、基本的には記入しない方がよいでしょう。
ただし、応募先の企業に関係する内容であれば、経験をアピールすることができるので書くのをおすすめします。
書いてはいけない、書かなければいけないという決まりはないので、応募先に合わせて必要な情報のみ記載すればOKです。
ブランクがある場合の記入方法は?
育児や介護などで長期のブランクがある場合は、理由とともにその旨を記載します。
「ブランクが長いと就職にマイナスになるのでは?」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、きちんとした理由があればブランクそのものが不利になることは少ないでしょう。
出産や介護など家庭の事情については、そのまま事実のみを書きます。留学やワーキングホリデーなど、スキルアップのための長期離職であれば、就職に生かすたというようなポジティブな書き方をすると印象もよくなります。
また、病気やケガによるブランクについては、現在は回復していることも併せて記載しましょう。
ポイントを押さえて派遣期間を正しく書こう
派遣期間の履歴書への書き方は、正社員とは異なる点がありますが、基本のポイントさえ押さえていれば決して難しくありません。
パターン別の記入例や書き方のポイントを参考にし、自身の経歴・スキルを伝えられる履歴書を作成することが大切です。
派遣期間に得た経験・スキルをきちんと伝えることができれば、正社員のライバルとの差を縮められるので、しっかりアピールして希望の会社に転職しましょう。