採用試験の要となる面接は、何度経験しても緊張するものです。しかし、緊張しすぎると本来の力を発揮できず、残念な結果に終わってしまうことも少なくありません。面接での緊張をほぐす方法や、緊張しないためにできる対策について紹介します。
面接は緊張して当たり前!
誰しも面接では緊張するものです。緊張すること自体は、決してマイナスなことではありません。まずは、緊張する理由や緊張が及ぼす評価への影響について見ていきましょう。
なぜ面接で緊張するのか?
面接で緊張してしまう主な理由は、次の3つです。
- 面接官が初対面の相手だから
- 自分をよく見せたいから
- 人生が左右される重要なことだと感じているから
基本的に、面接官は面接室に入室するまで、一度も顔を合わせたことのない初対面の相手です。よほどコミュニケーション能力の高い人でない限り、初対面の相手と話すのは多少なりとも緊張するでしょう。
そして、それが面接という「自分をよく見せることが求められる場」であれば、なおさらです。
またほとんどの人が、面接はその後の人生を左右する重要な場面だと考えています。「失敗するわけにはいかない」という自分へのプレッシャーが、緊張を引き起こす原因となるのです。
面接に失敗したからといって、人生が終わるわけではないという気持ちで、等身大の自分で面接に臨むと気持ちが楽になるかもしれません。
緊張したからといって落ちるわけではない
面接官も、応募者が緊張していることは理解していますし、緊張しているからといってマイナスの評価になることはありません。
面接は、応募者の人となりや熱意を知ることが目的です。きちんと自分の思いを伝えられれば、多くの場合で問題ないでしょう。
むしろ多少の緊張は、応募先の企業に対して本気であることを伝える効果もあります。緊張しても焦らずに、自分のペースでしっかりアピールすることで、好印象を与えられるでしょう。
面接での緊張をほぐす4つの方法
面接での緊張を和らげるためには、どうすればよいのでしょうか?緊張しやすいという人は、少しでも本番でリラックスできるよう、以下の4つの点を意識してみましょう。
時間に余裕を持って会場に向かう
面接開始時間のギリギリに到着すると、心の準備ができず焦った気持ちのまま面接を受けることになります。焦りは緊張のもとなので、面接会場には余裕を持って到着できるよう計算して出発するのが基本です。
ただし、企業の受付に早く到着しすぎるのは、マナー違反なので注意しましょう。面接開始の10分前くらいに、受付ができるようにするのがベストです。一度会場の場所を確認し、近くのカフェでお茶をするなどして過ごすのもよいでしょう。
回答を丸暗記しない
志望動機や自己PRなど、面接で回答する内容を一語一句丸暗記していると、忘れたときにパニックになってしまいます。
面接で聞かれるであろう内容については、文章として丸暗記するのではなく要点を覚えておくのがベストです。伝えたいことの要点さえ覚えておけば、言いたいことの順番や内容が多少変わったとしても、頭が真っ白になる状態は避けられます。
覚えるのが苦手な人は、ストーリーや絵を頭の中で描くのも1つの方法です。必ずしもきれいな文章でスラスラと回答する必要はありません。伝えたいポイントだけしっかりと押さえておきましょう。
ゆっくりと自分のペースで話す
緊張すると早口になる人は多いものですが、早口で話すと相手に伝わりにくいだけでなく、自分でも何を話しているのか分からなくなることがあります。
意識的にゆっくりと話すことで、気持ちを落ち着かせながら言葉を発することができます。緊張するとつい早口になってしまうという人は、いつもよりもゆっくりと話すことを心掛けましょう。
ただし、途切れ途切れに話すのはあまり印象がよくありません。ゆっくりながらもスムーズに話せると、落ち着いた雰囲気を出せて好印象を与えられるでしょう。
深呼吸をする
緊張すると、呼吸が浅く短くなるものです。緊張をほぐすには、深呼吸をするのがおすすめです。控室や面接会場に入る前などに深呼吸をすることで、気持ちが落ち着く効果が期待できます。
ゆっくりと口から息を吐き、鼻からたっぷりと息を吸う腹式呼吸で、酸素をたくさん取り込みましょう。
面接中にいきなり深呼吸を始めると心配されてしまう可能性もあるので、面接の前に済ませておくのが基本です。
どうしても面接中に行いたい場合は「すみません、緊張しておりまして…。1回深呼吸してもよろしいでしょうか?」など、一言伝えてから行うと面接官の理解が得やすくなります。
面接で緊張しないために事前にできることは?
面接で緊張しないために、事前にできる対策を3つ紹介します。事前の備えが完璧であればあるほど当日の緊張が薄れるため、しっかりと準備して臨みましょう。
準備を完璧にする
準備不足は、緊張を引き起こす原因の1つです。「何を聞かれても答えられる!」と自信を持って言えるくらいに準備をしておけば、本番で焦ることもありません。
志望動機や自己PRなどの面接でよく聞かれる質問や、応募先の企業について細かくリサーチし、万全の状態で面接に臨めれば気持ちに余裕が生まれます。
転職口コミサイトなどを見ると、実際に面接を受けた人がどんな質問をされたかを書いていることもあるので、併せてチェックしてみましょう。
模擬面接を行う
模擬面接を行うと、面接のイメージがつかみやすくなります。家族や友人に面接官役をやってもらい、入室から退室までのマナーや受け答えを客観的に確認してもらうことで、直すべき点が見えてくるでしょう。
また、面接官役をやってくれる人がいない場合は、1人で面接の練習をすることも可能です。携帯で面接練習の様子を録画し、目線や声の聞こえ方、話し方を自分でチェックするだけでも改善点が分かります。
発声練習を行う
緊張すると声が出にくくなり、自分の声のかすれや震えに焦って、さらに緊張してしまうという悪循環が生まれます。
普段から喉ではなくお腹から声を出す練習をしておくと、緊張時にもしっかりと相手に届く声を出せるようになります。
口を大きく開けて発声練習を行うことで表情筋も鍛えられ、柔らかい表情を作る手助けにもなるでしょう。
面接会場のような発声ができない場所では、腹式呼吸を行ったり舌を動かしたりするだけでも効果があります。
面接で緊張していますか?と聞かれたら
面接の最初や途中で、面接官に「緊張していますか?」と聞かれることがあります。そんなとき、緊張していると素直に答えてよいものなのか悩んでしまうという人もいるでしょう。面接官に緊張しているか聞かれた際の答え方について解説します。
緊張を認めるのはマイナスではない
面接官に「緊張していますか?」と聞かれたときは、正直に「緊張しています」と答えて問題ありません。
さらに「御社が第一志望なので非常に緊張しております」と、第一志望であることをさりげなくアピールすると、面接官に好印象を与えることができます。
「緊張している」と言葉にすることで緊張を和らげられる上、アピールにもつなげることができるので、緊張しているか聞かれたときは素直に自分の気持ちを口に出してみましょう。
笑顔で会話を始めるチャンス!
「緊張していますか?」と面接官が質問するのは、応募者にリラックスしてほしいという意図であることがほとんどです。
そのため、緊張しているかを聞かれたら「緊張しすぎて手汗が止まりません」や「リラックスできるようにハーブティーを飲んできたのですが、やはり緊張しています」など、ちょっとした会話をしてみると場を和ませられるでしょう。
会話をすることで自分自身の緊張もほぐれるので、「緊張していますか?」と投げかけられたら、思い切って笑顔で会話を続けることが大切です。
面接中に緊張で頭が真っ白になってしまったら?
どんなに準備をして臨んでも、面接中に頭が真っ白になってしまうというのは誰にでもあり得ることです。緊張で言葉に詰まってしまった場合の対処法について解説します。
緊張していることを申告する
緊張で頭が真っ白になったときに、黙りこくってしまうと社会人としての対応力を不安視されてしまいます。
言葉が出なくなってしまったら、「申し訳ありません。大変緊張しておりまして…」と正直に申告しましょう。
そして「少し考える時間を頂いてもよろしいでしょうか?」や「もう一度初めから言ってもよろしいでしょうか?」など、一言断ってから落ち着いて対応します。
ただし、考える時間をもらった場合、何分も時間を使うのはNGです。最大でも1分以内に考えをまとめるようにしましょう。
質問内容を繰り返して考える時間を作る
言葉が出てこないときには、面接官の質問を繰り返すのも1つの方法です。例えば、「あなたを動物に例えると何ですか?」と聞かれてすぐに答えが出てこなければ、「私を動物に例えるとですか。そうですね…馬です。なぜなら~」というような具合です。
質問を繰り返している間に回答を考える時間もできますし、同時に面接官にきちんと質問を聞いていたこともアピールできます。
ただし、頻繁に使いすぎるとあまり印象はよくないので、すぐに言葉が出てこないときの裏技として覚えておくとよいでしょう。
緊張を味方にして面接を成功させよう!
面接は、人生で何十回も経験することではないので、何歳になっても何度目でも緊張してしまうものです。
緊張する理由や緊張したときの対処法を知っておくことで、いざ面接で緊張が高まっても冷静に対応しやすくなります。
本気度を伝えたり気を引き締める効果があったりと、適度な緊張はプラスに働きます。緊張を上手に味方につけて、等身大の自分で面接に臨みましょう。