履歴書には、学歴を書く欄があります。中退した学校は学歴に書けるのでしょうか?また、どのように記入してよいか分からない人もいるかもしれません。中退を書かずに提出するとどうなるのか、理由はどうするのかなど、履歴書への書き方の疑問点を解説します。
履歴書に中退は書かなくていい?
中退はマイナスなイメージを持たれるのではないかと、不安になっていませんか?卒業していない学校のことは、履歴書に書かなくてもよいと考える人もいるかもしれません。
しかし、書かずに提出するとトラブルの原因となる可能性があります。中退した人は履歴書にどう書けばよいのか、詳しく見ていきましょう。
履歴書に中退は必ず書く
結論からいうと、中退した場合も必ず履歴書に書かなければなりません。
履歴書は正式な書類です。中退と書かず「卒業」と書いて出すと「学歴詐称」にあたります。発覚すれば、不採用になる恐れが高いでしょう。入社後にわかった場合も、何らかの懲戒処分を受ける可能性があります。
また、中退を書かないと、その学校に在籍していた期間が空白になってしまいます。勉強も仕事もしていない期間があると思われて、印象を悪くしてしまう結果になりかねません。
中退予定の場合も書いておく
就活期間中、または就職が決まってから中退する予定がある人は、『中途退学予定』と書きましょう。何も書かれていないと、担当者には卒業するのかが分からないため、採用に踏み切れないかもしれません。
履歴書を出すタイミングによっては「就活生ではないのに、なぜ応募してきたのか?」と思われてしまいます。不信感を抱かれないためにも、中退予定である旨ははっきり書いておきましょう。
高卒認定試験に合格していても中退になる
高卒認定試験とは、高校卒業と同等、もしくはそれ以上の学力があるかを見極める試験です。高校を中退した人が高卒認定試験に合格すると、高卒程度の学力があると認められはしますが、高校卒業にはなりません。
最終学歴として履歴書に記載できるのは、最後に在学していた学校ではなく、卒業した学校です。そのため、高卒認定試験に合格したとしても、高校中退と書かなければなりません。
高卒認定試験に合格していることを伝えるときは、履歴書の資格欄に「〇〇年 高等学校卒業程度認定試験合格」と記入しましょう。
履歴書に中退の理由は書くべき?
中退したこと自体は、就活に不利に働くとは限りません。企業の採用担当者が気になるのは、中退したことよりも、辞めた理由だからです。
中退した理由を書いた方がよいかどうかはケースバイケースなので、詳しく見ていきましょう。
中退の理由は書くのがおすすめ
中退した理由を履歴書に書かなくても、基本的には差し支えありません。しかし、採用担当者から余計な先入観を持たれないためにも、理由は書いておくのがおすすめです。
経済的に通学が困難になったり体調を崩したりなど、本人のせいではない場合は、採用担当者もやむを得ないことだと理解できます。
一方で、中退の理由を書くことにより、印象がよくなるケースもあります。留学などのポジティブな理由で中退した場合は、むしろ前向きな姿勢を評価される可能性もあるでしょう。
ネガティブな理由の場合は書かなくてもOK
学業不振で単位が取れなかったり、友人との人間関係がうまくいかずトラブルになったりなどの理由で中退した場合は、あえて履歴書に書かなくてもOKです。
「継続力がない」「コミュニケーション能力に問題がある」といったマイナスなイメージを与える恐れもあるため、「中途退学」と書くにとどめましょう。
しかし、面接で理由を質問されたときのために、答えを準備しておく必要はあります。その際は、中退理由や反省点を素直に伝え、今後は前向きに取り組んでいく意欲を伝えましょう。
中退の履歴書への書き方
中退は履歴書にどう書くかによって、採用担当者への印象が変わります。採用する側からネガティブな印象を持たれない書き方を、理由別に説明します。
経済的事情による中退の履歴書の書き方
家庭の経済状況によって学費を払うことが難しくなった結果、中退せざるを得なかった場合は、その旨が分かるように記載します。
- 〇〇大学△△学部◆◆学科 中途退学
家庭内の経済事情により退学 - △△大学◆◆学部〇〇学科 中途退学
経済的な事情があり退学
経済的な理由による中退は、本人の落ち度ではありません。中退して経済的に家庭を支えたなどの事情があれば、その行動が評価される可能性もあります。
留学による中退の履歴書の書き方
留学のようなポジティブな理由の場合は、むしろプラスに働くこともあります。留学先の国名や学校名も記載するとよいでしょう。
- 〇〇大学△△学部◆◆学科 中途退学
(イギリス〇〇大学にて△△を専攻するため) - △△大学 □□学部〇〇学科 中途退学
(オーストラリア△△大学××学部に入学のため)
また、中退後に海外の大学を卒業していれば、最終学歴として履歴書に記載できます。
- 〇年〇月 オーストラリア△△大学◆◆学部〇〇学科 入学
- 〇年〇月 オーストラリア△△大学◆◆学部〇〇学科 卒業
就職による中退の履歴書の書き方
中退して就職した場合は、学生でいるより社会人として早く自立したかったなどの前向きな理由も添えておくと、好印象を与えられます。
- 〇〇大学△△学部××学科 中途退学
社会人としての経験を積みたいと考え退学 - △△大学××学部〇〇学科 中途退学
就職し経済的に自立したいと考え退学
就職による中退の場合、前職の経験が主に選考の基準となるため、中退だけで判断されることは少ないでしょう。
病気・けがによる中退の履歴書の書き方
病気・けがの治療が理由で中退した場合も、やむを得ないことだと判断されます。
- 〇〇大学△△△学部××学科 中途退学
健康上の理由のため退学 - △△△大学◆◆学部〇〇学科 中途退学
病気治療のため退学 現在は完治しているので就業に差し支えありません
具体的な病名を記載する必要はありませんが、現在は病気・けがが完治して就業に支障がないことを書くと、採用担当者も安心するでしょう。
妊娠による中退の履歴書の書き方
妊娠・出産のための中退は、履歴書に書きにくい面もありますが、育児をしながらの勤務になるので正直に記載したほうがよいでしょう。
- 〇〇大学△△学××学科 中途退学
妊娠のため中退 - △△大学〇〇学部××学科 中途退学
出産に伴い中退
子どもがいるという事情を理解した上で採用される会社に入社することが、お互いにとってベストです。子どもの体調が悪いときや長期休暇中にサポートしてくれる人がいることも伝えると、採用する側の安心感にもつながります。
中退予定の場合の履歴書の書き方
中退する前に就職活動を始めた場合は、履歴書にもその旨を記載しましょう。
- 〇〇〇大学××学部◆◆学科 中途退学予定
- △△大学◆◆学部××学科 〇月〇日中途退学予定
在学中としても問題はありませんが、中退することが決まっているなら中退予定の旨を書いておく方が無難です。日付は分からなければ、記載しなくても大丈夫です。
また、理由はなくても構いませんが、面接で聞かれる可能性もあるので答えられるようにしておきましょう。
履歴書の中退は必ずしも不利にはならない!
履歴書に中退と書くと、よいイメージを持たれないのではないかと心配する人もいるでしょう。しかし、中退したことを隠したまま入社すると、採用取り消しになるだけでなく、懲戒処分の対象になったり、就業先からの信頼を失ったりする恐れがあります。
中退の理由や事情をしっかり伝え、仕事に対する意欲を見せれば、プラスのイメージに変えられます。大切なのは現在の姿を見てもらうことなので、自信を持って就活に臨みましょう。
採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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