『同上』は、さまざまな文書で見かける表現です。履歴書を書く際にも使えますが、思いつきで使用すると失敗する可能性があるので、正しい使用方法を押さえておきましょう。履歴書に同上を使う際のルールや、注意点などを紹介します。
履歴書で「同上」を使えるケース
同上は履歴書で使える言葉ですが、好き勝手に使ってよいわけではありません。どんなケースで使用できるのか見ていきましょう。
直前の事項と同じ内容を書く代わりに使用
同上は直前と同じ内容であると伝える目的で使用される言葉です。漢字が示す通り「上に同じ」という意味になります。
さまざまな書面で内容が重複する際に利用され、履歴書にも使用可能です。同じことを繰り返し書いたり読んだりするのは手間なので、同上と記載して省略しましょう。
履歴書だけでなく、ビジネス文書に出てくる機会が多い表現でもあり、正しい使い方を覚えておくと実務でも役立ちます。
また、上に記載した内容ではなく、左に記載した内容を省略したい場合は「同左」を使いましょう。
同上を使える項目は3つ
履歴書は、連絡先や職歴など同じ内容を繰り返し記載するケースがあり、さまざまな場所に「同上」を使いたくなるかもしれませんが、使用できる項目は決まっています。
同上を使える項目は住所、電話番号、メールアドレスの3つです。例えば、現住所と緊急連絡先の住所や電話番号に対し、同じ内容を繰り返したいときに使用します。
親と同居している人は、緊急連絡先や帰省先が現住所と同じになるケースが一般的なので、同上を使って省略しても構いません。
同上を使わなくてもマイナスにはならない
同上は省略が必要だと感じる際に使う表現であり、必ず使用する決まりになっているわけではありません。履歴書は正式な書類なので、本来であれば省略せずに書いた方が無難です。
省略せずに書かれた履歴書を見て、採用担当者がマイナスのイメージを持つことはありません。同上を多用すれば、手を抜いたような印象を与える心配もあります。
しかし、省略できる部分はした方が、スッキリと読みやすくなるというのも1つの考え方です。住所が長く文字がぎっしりと詰まっているような場合は、同上を使ってほどよく余白を作ると読みやすくなるでしょう。
履歴書での「同上」の使い方
同上は便利な表現ですが、履歴書での使い方を知らないと思わぬ失敗をしてしまいます。いい加減に使うと、採用担当者によい印象を与えません。正しい使い方を見ていきましょう。
枠の左端に寄せて書く
履歴書に同上を使用する際は、欄の中央に記載するのではなく「左寄せ」にしましょう。一般的に書類を読む際は、左上から右下に向かって読んでいきます。
中央や右端に同上を書くと採用担当者が見落としてしまい、記載漏れだと思われかねません。応募者が多いほど、採用担当者は多くの履歴書に目を通さなければならないので、見落とす可能性が高まります。
見落とされなかったとしても、履歴書を書く際のルールを分かっていない』と判断され、マイナスになるでしょう。また、同上は熟語なので、同と上の間に必要以上のスペースは空けず、詰めて書く決まりです。
ふりがなは不要
履歴書にはふりがなを書く欄が設けられており、名前や住所を正確に把握できるようになっています。同じ内容を省略する目的で使用するので、ふりがなを書く必要はありません。
基本的に、同上の読み方が分からない採用担当者はいないはずです。読み方を伝える必要はないので、間違えてふりがなを振らないようにしましょう。
ふりがなを振ってしまうと、内容を省略する目的で使っているはずなのに、無駄な記載を増やすことになり、ちぐはぐな印象を与えます。
履歴書に「同上」を使う際の注意点
履歴書に同上を使用するとスッキリと見せられますが、注意点もあります。どんな点に気を付ければよいのか見ていきましょう。
省略記号「〃」は利用しない
「〃」は、「ノノ点」や「ノノ字点」と呼ばれる記号で、意味は同上と同じです。しかし、略式の表現となるので履歴書には使用しないようにしましょう。
自分でメモを取る際やプライベートな文書では問題ありませんが、正式な書類には使用しないルールです。
正式な書類に省略記号を使ってしまうと、常識を知らないと思われてしまいます。履歴書で特定の項目を省略したいときには、必ず同上を使用しましょう。
基本ルールを守れば履歴書に「同上」を使える
履歴書に記載する項目の中で、住所・電話番号・メールアドレスを省略したいときに『同上』を使用します。学歴や職歴は、採用担当者からの注目度が高いので、正式名称を書いた方が無難です。「〃」のような省略記号の使用も避けましょう。
また、履歴書に同上を使用すること自体に問題はなくても、間違った使い方をするとマナーを知らないと思われてしまいます。
正しく使えば履歴書をスッキリと見せたり、重複する内容を書く手間を減らしたりできます。基本ルールを守った上で使いましょう。