退職を考えている場合、いつ退職を申し出るべきなのか悩むこともあるでしょう。転職を見据えた上で有利になるタイミングや、退職日の決め方を解説します。金銭的な面だけでなく、円満退職を目指す場合に心がけるポイントも見ていきましょう。
退職に適したタイミングとは?
退職には、人それぞれ適したタイミングがあります。状況や目的に合わせて、時期を決めましょう。次の仕事を決めてから退職したい人、ボーナスの支給を待ちたい人など、ケース別に適したタイミングがいつなのか解説します。
転職に有利な求人が多い時期を狙う
退職をするなら、次の仕事が決まってから日程を確定したいという人も多いでしょう。よい条件の求人が見つかったときが、最適なタイミングです。
自分が応募したい業種の求人が豊富な時期や、働きたい会社の求人が出ているときに転職を考えましょう。
一般的に、転職先を決めてからの退職はマナー違反ではありません。現職と転職先の意向を聞き、引き継ぎや退職の準備ができるのであれば問題はないでしょう。
特に、内定から入社まで間がある求人では、無理なく引き継ぎのスケジュールを確保できます。
ボーナスをもらってから辞める
退職にあたって、ボーナスをもらえるかもらえないかは重要なポイントです。多くの場合、夏は6月、冬は12月頃に支給されます。基本的には、ボーナス支給日の当日に在籍している従業員が対象です。
細かいルールは就業規則で定められている場合もあるため、会社の規則を確認しましょう。ボーナス支給日直後の退職が、支給対象となるのかが重要です。
会社のルールや法律上ボーナスをもらえるとなっても、支給直後に退職日を設定するのは印象がよくありません。退職まで1カ月程度の時間を空けるなど、ボーナス目当てと思われない工夫をしましょう。
円満退職を狙うなら閑散期がおすすめ
繁忙期と閑散期が分かっている場合は、退職のタイミングを閑散期に設定しましょう。忙しくない時期は少人数でも仕事が回り、繁忙期に向けて人材募集をしやすい時期です。引き止められたり、同僚や上司に迷惑をかける可能性も低くなります。
例年の動向や、業界特有の繁忙期を確認して、時期をずらしましょう。いつが閑散期になるかは、企業によって異なります。
また、辞める時期が閑散期であっても、早めの申告は必要です。分かった時点でなるべく早く退職の希望を伝えましょう。
損しない退職日の決め方
退職する場合、月途中と月末では保険料に変化があるのでしょうか?退職後の手続きや必要となる費用の観点から、損をしないタイミングについて解説します。
空白期間はない方がメリット大
転職にあたり、保険の切り替えや支払いなどいくつかの手続きがあります。退職により社会保険への加入が切れてしまうため、一時的に保険の切り替え手続きが必要です。
しかし、退職の翌日に入社するのであれば、保険加入が切れる日はありません。保険の切り替えは、前職から入社する会社への切り替えのみです。手間をかけたくない場合は、退職日を調整しましょう。
費用面でも、一般的には空白期間がない方が有利です。社会保険の任意継続や国民健康保険に切り替える場合、半額を会社が負担しているときと比べて保険料が上がる可能性があります。
月末退職が得かは考え方による
退職後の保険の切り替えを考慮すると、月末の退職が有利という考え方もあります。月末での退職の場合、会社が最終月の社会保険を半額負担するためです。社会保険は、退職日の翌日を含む月の前月分まで発生します。
締め日のルール上、月末の退職では最終月に社会保険が引かれることとなり、月途中の退職では退職前月までが対象となる仕組みです。つまり、月の途中に退職すると、切り替え後の保険料の全額を自分で払うことになります。
どちらが得になるかは、退職後の切り替え先や転職のタイミングによって変化するでしょう。
退職後の年収の見込みが低く一時的に家族の扶養に入るケースや、退職理由が会社都合で国民健康保険の減免対象になるなど、月末以外が得になるパターンもあります。状況によって、それぞれ有利なタイミングを判断することが大切です。
いつまでに退職希望を伝えるべき?
次の仕事が決まったときや、転職活動のために会社を辞めると決めた場合は、勤めている会社に退職の希望を伝えます。いつまでに退職の意向を示すのが適切なのでしょうか?一般的な目安や、法律面での基準を紹介します。
一般的な目安は退職希望日の2〜3カ月前
退職の希望は、会社ごとのルールに従って期限までに申し出ます。就業規則が設けられている場合は、その規則に準じましょう。
ルールが決まっていない場合は、退職日の2カ月以上前に伝えるのがおすすめです。引き継ぎや次の人材を募集する時間を考えると、早い方がよいでしょう。
今携わっている仕事の引き継ぎには、1カ月程度かかる場合も考えられます。人材募集や面接にも、同じくらいの時間がかかるでしょう。自分が仕事を辞めた後、スムーズに今までと同じように仕事を進められるよう配慮することが大切です。
法律上では原則2週間前の申請でOK
民法では、労働者は退職の2週間前までに意思を伝えることで退職が可能とされています。ただし、2週間前までの申告で法律上退職が認められるのは無期雇用の労働者です。
契約社員を含む有期雇用では、やむを得ない場合を除いて、契約期間終了までの勤務が求められます。ただし契約開始日から1年以上経過している場合には、退職は自由です。
なお、職場と労働者の間で合意が取れている場合は、いつでも退職できます。基本は円満退社を目指しつつ、何らかの問題があったときには法律が守ってくれる点を覚えておきましょう。
円満退職を実現するポイント
円満退職を目指すには、スケジュールの組み方や退職理由の伝え方も重要です。現職の会社の人たちに快く送り出してもらえるよう、退職前に心がけておきたいポイントを知っておきましょう。
余裕のあるスケジュールを組む
転職する場合、入社時期はある程度相談に応じてもらえる場合もあります。問題なく退職の手続きを進められるよう、スケジュールには余裕を持ちましょう。
繁忙期や人材確保が難しい時期に退職日を設定すると、引き止めを受ける可能性も高くなります。
退職の意向を伝えてから実際の退職日まで間がないケースも、トラブルにつながりやすいでしょう。すぐにでも新しい職場で働きたいと考えていても、引き継ぎや現職の都合を考えた上でスケジュールを組むことが大切です。
特に、転職先が柔軟に入社日の相談に応じてくれる場合は、少し長めの日程を見積もっておくと円満退社に近づきます。
会社への不満を理由にするのは避ける
退職の理由を伝える際に、会社や人間関係に対する不満を述べるのは避けましょう。理由を問わず、不満をぶつけると心象が悪化します。
退職を伝える相手は、今後もその職場で働き続ける人たちです。この会社に不満があると伝えると、気分を損ねてしまうでしょう。
会社に必要とされている場合は、不満点の改善と引き換えに引き止められる可能性もあります。すでに退職の意思を固めているなら、不満ではなく前向きな退職理由や家庭の事情など、深く追及しにくい理由を述べる方がよいでしょう。
しっかり引き継ぎを行う
退職後も、今まで築き上げた人間関係は続いていきます。今の職場の人たちと、どこかで出会うこともあるかもしれません。
確実に引き継ぎができていないと、困るのはこれからもその職場で働く人たちです。退職後に迷惑をかけないためにも、引き継ぎはきちんと行いましょう。
新しく業務を引き継ぐ人材の募集が間に合わない場合でも、臨時で担当が決まるはずです。
引き継ぎが必要となる業務を把握し、重要な作業は手順書を作るなど、できる限りのことをしましょう。短時間での引き継ぎでは、業務をリスト化することによって伝え忘れがなくなります。
取引先との関係が深い場合は、新しい担当者とのあいさつ回りも必要になるでしょう。
希望退職日から逆算しスケジュールを組もう
転職の際は、目的によって退職に適したタイミングがあります。次の仕事が決まってから退職を申し出る場合は、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
ボーナスの支給日や保険の切り替え手続きについても考えておくと、損をすることなく次の仕事を始められるでしょう。
辞める会社にも悪い印象を残さないよう、引き継ぎをしっかり行い、繁忙期の退職を避けるなど配慮も必要です。