面接の基本的な流れは?受付から退室まで知っておきたいマナーを紹介

面接を受けることになって、不安を抱く人は多いでしょう。しかし、あらかじめ流れを把握しておくことで、自信を持って面接に臨めるようになるはずです。受付・面接中の対応・退室と、フェーズごとにマナーや対策を解説していきます。

面接はどう進むの?

就活している男性の足

(出典) photo-ac.com

面接が久しぶりだったり慣れていなかったりすると、どのように進むのか不安に思う人もいるでしょう。まずは面接当日の流れと、面接の日までの流れを押さえておきましょう。

面接当日の基本的な流れ

面接の日を迎えると、いくら準備をしていても緊張するものです。少しでも緊張を和らげるために、事前に全体の流れを把握してシミュレーションをしておくとよいでしょう。

一般的な面接の流れとしては、まず面接を行う部屋に入室します。挨拶を済ませたら、最初にするのは自己紹介です。職歴や転職理由・志望動機なども、自己紹介のタイミングで伝えることが多いでしょう。

次に面接官から要項の説明があり、質疑応答に入ります。面接官とのやり取りが終わったら最後にお礼をし、退室したら面接は終了です。

もちろん企業によって異なる点があったり、順番通りでなかったりする場合もあります。基本的な流れは目安として覚えておきましょう。

面接日までに服装・持ち物をチェック

当日の流れと同じくらい、面接日までの段取りも大切です。前日までに必要な準備を済ませるためにも、服装や持ち物についてのマナーもチェックしておきましょう。面接に適した服装や髪型・身に着けるものには、ある程度のルールがあります。

髪型で大事なのは清潔感です。前髪は目にかからないくらいの長さにそろえ、後ろの髪も長ければまとめた方がスッキリするでしょう。

服装は、相手側から特に指定がなければスーツが無難です。持っていない場合は購入し、既に持っているのであればサイズ感を確認します。長い間着ていなかったスーツは、現在の体型に合っていない恐れがあるためです。

面接前に『私服可』と伝えられている場合は、スーツでなくても構いません。シャツにジャケットを合わせるなど、だらしなく見えない服装を意識しましょう。

身に着けていく小物として、腕時計も用意しておくと便利です。時刻を確認するためでも、面接中にスマートフォンを取り出すと印象を悪くしかねません。

シーンごとのマナーと対策「受付・入室」

ネクタイを締めるスーツの男性

(出典) photo-ac.com

流れに沿って取るべき行動を整理していくと、当日のイメージトレーニングがしやすくなります。まずはスタートとなる受付と入室について、マナーと対策を見ていきましょう。

5分前には受付を済ませよう

面接に限らず、一般的なマナー・モラルの問題として遅刻はNGです。電車の遅延や道が分からなくなったなど、不測の事態が起きたときのためにも早めの行動が求められます。

15時からの面接であれば14時50分には会社に到着するように、10分前行動を心がけましょう。また到着したら、5分前を目安に受付をしましょう。

受付に人がいればその人へ、誰もおらず電話のみの場合は電話で、「○時からの面接で参りました、○○です」と名乗ります。

面接が始まるまでの時間は、むやみにスマートフォンをいじったり落ち着きなくうろついたりせず、静かに待ちましょう。

入室時は「ドアの閉め方」にも注意を

面接では、入室時にもいくつかのマナーがあります。まず入り口のドアを開けるときは、3回ノックをします。面接官から入室を促されたら、「失礼します」と断りを入れてから入室しましょう。

入室したらドアを閉めます。このとき、普段のくせで後ろ手に閉めないよう注意が必要です。しっかりドアに向き直って閉めましょう。

入室後には面接官に向かってお辞儀をし、椅子の横に立ちます。名前を名乗って再度お辞儀をしたら、面接官から着席を促されるのが通常です。そこでようやく着席します。何も言われないうちに座るのは控えましょう。

お辞儀の種類は?

お辞儀にもいくつか種類があり、シーンごとに使い分けが必要です。お辞儀には大きく分けて、会釈、敬礼、最敬礼の3パターンがあります。

会釈とは軽いお辞儀のことです。体を15度くらいに傾けます。敬礼は体を30度ほど傾けるお辞儀で、ビジネスシーンでよく見かけるでしょう。最敬礼は45度ほど傾けるお辞儀で、3パターンの中で最も丁寧なものです。

面接時のお辞儀は、敬礼あるいは最敬礼がよいとされます。ただ、30〜45度と聞いてもピンとこないかもしれません。鏡の前に立ったり写真を撮ってもらったりして角度を測ると、シミュレーションがしやすくなります。

シーンごとのマナーと対策:面接中

女性面接官

(出典) photo-ac.com

面接の流れの中でも、実際に面接が始まって質疑応答をする時間は採否を大きく左右します。面接官とやり取りするときのマナーを押さえて、印象アップを狙いましょう。

面接官の目を見て話す

面接中は、面接官の目をしっかりと見て話すのが基本です。話を聞いていることが相手に伝わるだけでなく、堂々とした印象を与えられます。

常に目をそらしていたり下を向いていたりすると、自信がないと思われかねません。最大限によい印象を与えるためにも、顔を上げて相手の目を見るように意識しましょう。

緊張で目を見るのが難しい場合は、鼻のあたりを見るようにするのがおすすめです。面接官が何人もいる場合は、それぞれにバランスよく視線を向けましょう。

話が一段落したときに視線を外す、「はい」と言うときに頭を下げるなど、やり取りの流れに沿った視線の動きを心がけましょう。

意識してはっきりと話す

面接で大事なのは、ポジティブで明るい印象を与えることです。ハキハキとした発音で、声を張って話しましょう。声が小さかったりボソボソ話したりしていると、自信のない印象になってしまいます。

しっかり相手の目を見つつ、普段よりボリュームが大きいと思うくらいの声で話すのがポイントです。

あまりに声が大きすぎると迷惑になりますが、日常生活での会話より気持ち大きめ程度であれば問題はないでしょう。

適度な相づちもポイント

面接官が話をしてくれているときは、要所要所で相づちを入れると話を聞いているというアピールができます。逆に反応しなければ、「この人は話を聞いているのだろうか」と不安を与えてしまうでしょう。

また、相づちにもポイントがあります。ただ全ての言葉に「はい」と答えればよいわけではありません。単調な相づちだと、適当に返事をしているように受け取られてしまいます。

「分かりました」「そう思います」など、言葉にバリエーションを持たせましょう。ただし、「うん」「はいはい(重ねる)」などは失礼な印象を与えるため注意が必要です。

目上に対して使っても失礼のない言葉をいくつかピックアップし、相づちのバリエーションとしてストックしておきましょう。

シーンごとのマナーと対策:退室

お辞儀をする女性

(出典) photo-ac.com

面接の流れの最後は退室です。面接の『締め』となる退室では、何に気を付ければよいのでしょうか?退室時のマナーや考え方と、対策を紹介します。

面接に対するお礼を言う

面接のやり取りが終わったら、お礼を伝えてお辞儀をしてから退室という流れが一般的です。面接終了を伝えられたら、まずは座った状態で「お時間を割いていただき、ありがとうございました」とお礼を伝えましょう。

その後ゆっくりと立ち上がり、椅子の横でもう一度お礼の言葉とともにお辞儀をします。ドアのところまで来たら面接官の方を振り返り、「失礼します」と言葉をかけてからドアを開けましょう。

ドアを閉めるときは、できるだけ背中を面接官に見せないようにするのが基本です。一礼してから閉めるのがマナーとされています。

面接官が出口まで送ってくれる場合

面接が終わって部屋を出た後、面接官が出口まで送ってくれるケースもあります。この場合は、後ろを歩いて出口まで一緒に進みましょう。

話しかけられたときはハキハキと丁寧に、表情や声は柔らかく答えることで好印象を与えられます。面接が終わったからと口調を崩すと、マイナス評価につながりかねません。引き続き丁寧な話し方を意識しましょう。

また、印象を上げたいからといって、無理に話題を作る必要はありません。相手から話を振られたときだけ、面接中と同じく丁寧に受け答えをすれば十分です。

最後まで気を抜かないように注意

ありがちなミスとして、面接が終わった瞬間に気が抜けて油断してしまうことがあります。

家に帰るまでが面接と思って考え、ドアを閉めて退室した後も気を抜かないように注意しましょう。たとえば、会社を出るまでは社内ですれ違った人に挨拶をする、すぐにスマートフォンをいじらないといった心がけが必要です。

面接官が出口まで見送ってくれる場合、出口をでた後も、あなたが見えなくなるまで見送っていることもあります。そのため、出口で礼をして数メートル進んでから、再度もう一度出口のほうを振り返り、礼をすると丁寧な印象を与えます。

会社を出た後も、歩きながらタバコを吸ったり人に対して横柄な態度を取ったりしていると、もし会社の人に見られた場合にマイナスの印象を与えます。面接中の努力を無駄にしないよう、帰宅するまで気を緩めない意識を持ちましょう。

事前に答えを考えたい「よくある質問例」

パソコンを見ながら資料を確認する男性

(出典) photo-ac.com

面接の中で「本番」といえるのは、やはり質疑応答です。全体の流れや段階ごとのマナーとともに、よく聞かれる質問と答え方のポイントも押さえておきましょう。

入社意欲を見る「志望動機」

ほぼ確実に聞かれる質問の1つが、『志望動機』です。自分がなぜその会社を志望したのかを的確に伝えるのはもちろん、面接官の印象に残ったり意識の高さをアピールできたりする答えを考えましょう。

そのためには、面接を受ける企業の研究が重要です。あらかじめ企業研究をしっかり行い、その会社の事業内容や企業理念・同業他社と比較したときの強みを理解しましょう。

自分が応募先の企業を選んだ理由を明確にできる上、入社に対して意欲を持って下調べをしたことが面接官に伝わります。

応募者の人柄を見る「長所と短所」

自分が思う長所、短所も、面接でよく聞かれる質問です。主に、応募者が自分を客観的に見ている人かどうか、どのような性格の人間なのかを見るために聞かれます。

この質問に答えるときのポイントは、リアルなエピソードと絡めることです。たとえば「忍耐力が長所です」とだけ言っても、根拠がなく納得してもらいにくいでしょう。

一方、「忍耐力が長所です。○○の仕事をしていたとき、○○がスムーズにいきませんでしたが、○○という工夫をして諦めずにやり遂げました」であれば、『忍耐力がある』という長所の根拠まで伝えられています。

短所を答えるときは、マイナスの印象が目立つ言い方を避けるようにしてみましょう。たとえば、『人見知りである』という性格を短所として伝えるときは、そのまま伝えるより少しでもプラスにつながる言い換えがおすすめです。

『人間関係に慎重な一面がある』と表現を変え、改善するためにしている努力や対処法を添えると短所の申告もアピールのチャンスにできます。

定着率を見る「転職の理由」

転職するときの面接では、職場を変えようと思った理由もかなりの割合で聞かれます。転職理由を答える際のポイントは、できるだけネガティブな表現を使わないことです。

たとえば、人間関係の問題や給与への不満があったとして、そのまま伝えると後ろ向きな姿勢しか示せません。「何か嫌なことがあれば、うちの会社もすぐに辞めるのではないだろうか」と、面接官に懸念を抱かせる可能性さえあるでしょう。

「○○が嫌だった」「○○ができなかった」とネガティブな言い方はせず、「今後は○○をしたい」とポジティブな表現で伝えましょう。「御社では今までできなかった○○ができると思ったからです」と、入社意欲をアピールできる答え方もおすすめです。

面接の流れに沿った対策で成功を目指そう

資料を手にする男性

(出典) photo-ac.com

面接の流れを把握していないと、いざ面接というときに緊張してしまい、本来の実力を発揮できないまま終わってしまいます。

緊張しやすい人は、事前に受付・入室・質疑応答・退室と、流れに沿って取るべき行動を整理しておきましょう。練習もしやすくなり、自信を持って面接に臨めるはずです。

また、面接には段階ごとにある程度のマナーが決まっています。受付から退室・帰宅までのマナーや対策もしっかり押さえ、当日になって慌てないように準備をしておきましょう。

井上真里
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド井上真里

採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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著書:
就活女子のための 就活迷宮から抜け出すトビラ (TAC出版)