転職でアピールポイントを伝えるには?企業に響くポイントの見つけ方

転職活動をする中で、アピールポイントを聞かれることがあります。どのような内容でどう答えれば採用を勝ち取りやすくなるのでしょうか。

この記事では、面接などでアピールポイントを伝える際にやってはいけないNG項目と、自分のアピールポイントの見つけ方を解説します。

アピールポイントとは?

ネクタイを締める男性

(出典) photo-ac.com

そもそも「アピールポイント」とは何でしょうか。面接でよく聞かれる長所とはどこが違うのかもあわせて説明します。

相手に伝えたい自分の強みや魅力

アピールポイントとは、文字通り相手に対してアピールする強みや魅力のことです。

選考の面接では「アピールポイントは何ですか?」「自己PRをしてください」といった形で聞かれることが多いので、端的に答えられると面接官からの印象がアップします。

転職シーンにおける「長所」との違い

どちらの言葉も似ていますが、転職・就職活動においては伝える内容を少し変えると良いでしょう。

アピールポイントを話す際は客観的な視点も交えながらより仕事に関連した点を伝える場合が多いです。選考を受けている企業からみて、仕事に役立つ強みがあるかを示します。

長所はより広い意味で使われることもあり、たとえば人柄であったり性格であったりも含まれます。もちろん、選考の場なので長所も仕事と関連しているほうが良いので、その点は同じです。

アピールポイントの見つけ方【基本編】

手帳に書き込む女性

(出典) photo-ac.com

アピールポイントを話すには、まず自分の得意なことや経験を整理してみる必要があります。アピールポイントの見つけ方を基本からチェックしてみましょう。

得意なことや実績を振り返る

まずはオーソドックスに、自分の得意なことからアピールできるものがないか考えます。自己分析をして長所や短所を把握できれば、何が得意かが見えてくるでしょう。

特に転職の場合は「経験者採用」「即戦力」といった期待をしている企業も少なくありません。前職での経験や実績をふまえて、その企業で何ができるかを考えることは大きなプラスになるでしょう。

面接で経験を分かりやすく伝えるための準備としては、今まで自分が仕事で携わってきたことや成し遂げたことを箇条書きにし、持っているスキルを整理します。

ちなみに、このときの経験・実績は、必ずしも自分ひとりだけで成し遂げたことでなくてもOKです。チームの中でどんな役割を担当し、どんな成果に貢献したかをまとめると、アピールポイントにつながる自分の魅力が見えてくるはずです。

苦手・失敗の経験から考える

自分が苦手としていることや失敗経験からアピールポイントを見つける方法もあります。人は良い部分より悪い部分を認識しやすい傾向があるため、長所からアピールポイントを考えるのが苦手な人は、あえてマイナスなところから考えるのも手です。

たとえば積極的に前へ出ることが苦手であれば、落ち着きがあって慎重に判断ができるといったアピールができるでしょう。

また、過去に仕事での失敗経験がある場合もそれがヒントになります。失敗の原因を自分なりに考え、同じ失敗をしないためにその後どう気を付けるようになったか、さらには失敗を克服して自分のスキルがアップしたといったことまで語れると理想的です。

強みに関するキーワードから探ってみる

実績や自分の糧になった失敗などがうまく思い浮かばない場合は、キーワードをいくつか連想し、そこからアピールポイントを考えることも可能です。

キーワードの例としては、「積極性」「柔軟性」「協調性」といった性格的なものから、「チームワーク」「説明力」「発想力」といった能力に関するものもあります。

たとえば自分にとって積極性とチームワークは当てはまるかもしれないと感じたら、その具体的な場面を思い出してみましょう。たとえば「自分からどんどん意見を出しつつも、同僚とも足並みをそろえることもできる」といった過去の仕事での様子が抽出できると具体性のあるアピールポイントになります。

アピールポイントの見つけ方【追求編】

パソコンを前に手帳をつける

(出典) photo-ac.com

基本のやり方よりもさらに深掘りして、アピールポイントを見つける方法を紹介しましょう。客観的な分析ツールを参考にすることや、周囲への聞き取りといった方法で追求できます。

適性検査を利用する

企業の選考プロセスにも取り入れられている、適正検査のようなテストを受験してみることで、統計的に自分の特徴を把握することができます。

個人が受験できるテストとして転職活動や就職活動に、よく使われているものでは、以下のような検査があります。

  • R-CAP  株式会社リアセック
  • クリフトンストレングス(旧:クリフトンストレングスファインダー) ギャラップ社

自分がどのような特徴を持っているかというキーワードや解説文を読むことができますので、そこから具体的な仕事での事例に結び付けてアピールポイントを考えやすくなります。

自分が当たり前のようにできていることは、自分の視点だけでは気がつくことが難しいこともあります。客観的な数値の結果を見ることにより、自己分析がしやすくなり、アピールポイントの発見につながるでしょう。

周囲に聞いてみるのも手

どうしてもアピールポイントを自分で見つけるのが難しい場合は、周りの人に聞いてみるのもおすすめです。

自分が把握している強みと周りが感じている強みが異なっていることも多いため、新たな発見があるでしょう。また自分の欠点だと思っていた部分こそ、アピールポイントだったと気付くこともあるかもしれません。

言われた内容をすべて取り入れる必要はありませんが、人に言われて違和感なく受け入れられるものであれば参考にできます。

環境によって役割や行動が変化しているのは自然なことなので、友人やアルバイト先、以前の職場の元同僚や上司など、違う環境で接した人になるべく広く聞いてみることもおすすめです。

アピールポイントを考える上での注意点

バインダーに記入する手元

(出典) photo-ac.com

アピールポイントを考えるとき、何をどうアピールすれば効果的なのかをしっかり考えることが大事です。その際に注意すべきことを紹介します。

企業のニーズを考える

転職活動でアピールポイントを面接官に伝える際、一番効果的なのは、自分がその企業の求めている人物像に当てはまることのアピールです。個人のことというよりも、仕事内容に関係するようなことが望ましいでしょう。

そのためには、希望する企業がどういった人材を求めているのかを把握する必要があります。企業研究を事前に行い、企業のニーズを満たせるようなアピールポイントを見つけ出しましょう。

自分のスキルが希望する企業のニーズとマッチしていない場合は、自己分析の見直しを行うか、いっそ応募先を変えるのも有効です。

アピールポイントの数は絞る

アピールポイントを複数持っているのは良いことですが、あれもこれもと盛り込みすぎると逆効果です。

一度にいろいろなことを伝えすぎると、面接官が「この人が本当にアピールしたいのは何だろう」と迷ってしまうからです。ポイントが不明瞭にならないよう、アピール要素は絞りましょう。

面接を受ける企業にとって自分は何を一番アピールできるのかを考え、それだけを伝えればアピールポイントとしては十分といえます。

履歴書に書く際のポイント

履歴書とペン

(出典) photo-ac.com

アピールポイントを応募時の履歴書に書くこともあるでしょう。どう書けば好印象を与えられるのか、履歴書を書く際のポイントを解説します。

箇条書きなどで読みやすくする

企業には多くの履歴書が送られてくるため、長すぎて内容が伝わりにくい履歴書は好まれません。

ましてや伝えたいこと、アピールポイント、志望動機などは、他の欄と異なり文章として書くため長文になりがちです。

思いついたままに文を連ねると読みにくくなってしまうので、箇条書きを使う、適度に改行を挟むなど、相手の読みやすさを考えて書きましょう。

アピール内容の根拠も書く

具体的な根拠やエピソードを添えることで、アピール内容に真実味が増します。せっかく良いアピールポイントを書いても、根拠が書かれていないと面接官が不安に感じるでしょう。

「○○が得意です」とだけ書かれても、面接官はその真偽が分かりません。「前職で○○した経験と実績があり、○○を達成できたという理由から○○が得意です」と書くことで信頼を得やすくなるのです。

自分あるいは前の職場が抱えていた課題を、どのように行動してどのような成果を得たのかといった構成が立てられているものだと、印象も良いでしょう。資格やスキルのような形として証明できるのであれば、それも有効です。

誤字脱字が無いように注意する

大前提として、履歴書での誤字脱字はNGです。履歴書とは学歴や経歴だけを見るものではなく、字の書き方であったり文章の運びであったり、ビジネスマナーもチェックされていると思いましょう。

転職活動・ビジネスマナー以前の基本的な礼儀として、誤字脱字や日本語の間違いがないよう注意が必要です。

もし字や文章を間違ってしまった場合は、初めから書き直します。修正ペンや修正テープで直すのはマナー違反とされているためです。失敗しないよう、あらかじめ別の紙に下書きしておくと良いでしょう。

面接で答える際のポイント

面接を受けるスーツの女性

(出典) photo-ac.com

面接でアピールポイントを聞かれた際に、印象がプラスになりやすい答え方を解説します。話の組み立て方や内容、伝える量についてそれぞれ見ていきましょう。

最初に結論から答える

面接で何か質問をされた際は、結論から答えることが望ましいです。特にアピールポイントはつい話が長くなりがちなので、簡潔さを意識しましょう。

まず結論を話し、その後にエピソードを交えて具体的に話すことで、面接官から見れば「この人が一番伝えたいのはこれなのか」とすぐ分かるため、相手の印象にも残りやすくなります。

仕事にどのように生きると思うかまで伝える

転職の面接でアピールポイントを話す際は、そのアピールポイントをどのように仕事に生かしていくかについて触れておくことも好印象になります。

面接官から見れば、「この人が入社したら、どういう形で会社に貢献してくれそうか」がイメージしやすくなるためです。

たとえば「コミュニケーションに自信があります」とだけ伝えるより、「前職で培ったコミュニケーション能力を生かして、御社でも営業職で活躍したいです」と伝えた方が相手もイメージしやすくなります。

繰り返しになりますが、大切なのは自分の人柄だけを伝えるのではなく、企業にとってどのようなメリットがあるかを伝えることです。

必要以上に話さない

面接官は多くの志望者の相手をするため、時間が限られているものです。したがって、面接の場でもアピールポイントを必要以上に長く話すことは避けましょう。

「アピールポイントを○分で話してください」などと指定されるケースも多いでしょう。時間を守れる人か、指示通りできる人かも見られていると意識し、適切な時間配分で答えましょう。

事前に面接練習をする際にはストップウォッチを用意し、話す内容を声に出してみて、時間を計る練習法が有効です。1分前後で収まればベスト、3分を超えると話しすぎという印象を持たれる可能性があります。

また、面接当日は緊張や余計な力が入ることで、練習よりも多くしゃべってしまうケースも考えられます。時間をオーバーしないよう、何度も練習して時間の感覚を体に覚えさせましょう。

自分の強みをしっかりアピールしよう!

面接で話をするスーツの男性

(出典) photo-ac.com

アピールポイントは、上手に伝えることができれば採用が一気に近づく大きな武器となります。

しかし、伝える内容が長すぎたり、結論が見えてこなかったりと伝え方に問題があると、マイナスな印象になる恐れもあります。

自分の強みは何であるのかを自己分析でしっかりと言語化し、簡潔な言葉で伝えられるように気を付けましょう。

アピールポイントの見つけ方は、自己分析や適性検査、周囲から自分についての話を聞くなどさまざまな方法があるので、自分に合ったやり方で探し出してみるのがおすすめです。

井上真里
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド井上真里

採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
All Aboutプロフィールページ
公式サイト

著書:
就活女子のための 就活迷宮から抜け出すトビラ (TAC出版)