SPIとは、資質ベースの採用選考を補助し、企業と応募者のミスマッチを防止することに役立つテストです。しかし、初見では解答に時間がかかりすぎる場合もあります。ポイントを押さえてしっかりと事前対策をしましょう。
この記事のポイント
- SPIとは?
- 多くの企業が採用する総合適性検査で、就職・転職活動中に誰でも受検する可能性があります。
- SPI対策
- 性格検査については特別な対策は不要ですが、能力検査で高得点を目指すなら事前対策が必須です。
- SPIは模擬試験を受けられる
- 検査はPCを使って行う場合も多いため、なるべく本番に近い環境で模擬試験を受けておきましょう。
SPIとは?概要をチェック
SPIは日本独自の総合適性検査です。新卒採用や中途採用の選考過程において、多くの企業が応募者にSPIの受検を課しています。1974年に誕生してから、個人の資質をベースとした採用選考を支え続けています。
多くの企業で採用される「適性検査」を指す
企業の採用選考においては、書類選考や面接の他に、適性検査を行うことが一般的です。
SPI(Synthetic Personality Inventory)は、リクルートマネジメントソリューションズが独自に開発した適性検査で、新卒採用などに欠かせないツールとして、多くの企業が活用しています。
働く上で必要となる基礎的な知的能力や性格特性を客観的に測定し、企業と応募者の適切なマッチングを補助します。
検査の内容は「性格」「能力」に分けられる
SPIは、「性格検査」と「能力検査」の2つの内容に分かれます。性格検査は、仕事上での考え方や人との接し方といった社会人としての性格的な特徴を、約300問の質問から測定するものです。
能力検査では、主に「基礎能力検査」を行います。「言語分野(国語)」と「非言語分野(数学)」という2種類の問題で構成され、知識・スキルを素早く獲得したり応用したりできる資質を測定するものです。
企業によっては、追加で「英語検査」や「構造的把握力検査」も実施する場合があります。
企業がSPIを導入する理由
SPIが採用選考で重宝される主な理由は、企業と応募者のミスマッチを避けるためです。企業あるいは配属先の部署によって、組織の風土・文化や求められる資質が異なります。
SPIは40年以上の運用実績から豊富なデータを蓄積しており、書類選考や面接からは判断しにくい応募者の個性を、客観的かつ公正に測定することが可能です。
また、測定結果は入社後の配属先を決めるための参考情報としても活用されます。応募者としても、入社後のミスマッチを防止しやすくなるのはメリットといえるでしょう。
SPIは事前対策が必要?
応募企業がSPIを活用している場合、性格検査と能力検査を受検することになります。性格検査に特別な対策は必要ありませんが、能力検査は事前対策で得点が大きく変わる可能性があるでしょう。
性格検査は事前に自己分析を行う
SPIの性格検査では、以下のような日常の行動・考え方について、どちらに近いかを答えます。
<例題>
A:1人で旅行するのが好きだ
B:皆で旅行するのが好きだ
同様の質問に対して一貫性のない答えだと矛盾が生じ、偽っていると判定される恐れがあります。偽りなく素直に回答することが大切です。
過度に対策する必要はありませんが、30~40分で約300問の質問に答えることになるため、1問当たりにかけられる時間は限られます。事前に自己分析をしたり、模擬試験を行ったりして、よどみなく回答できる準備をしておくとよいでしょう。
能力検査は事前対策で高得点を狙おう
SPIの能力検査で出題されるのは中学~高校レベルの問題とされ、難易度が特段高いわけではありません。ただし公式を忘れていたり苦手なタイプの問題が多かったりすると、スムーズに解答できず、思ったほど点数を取れないことも考えられます。
性格検査とは異なり、能力検査には1問1問に明確な正答があります。合格ラインの設定は企業によって異なりますが、問題の傾向に慣れておくと確実な得点アップが見込めるため、事前対策は必須です。
最低限の対策なら30時間程度、自信を持ちたい場合は50時間程度の対策時間を確保しましょう。1日1~2時間を確保できれば受検の1カ月前から始めても間に合いますが、できれば余裕を持って2~3カ月前から準備をするのが得策です。
能力検査における事前対策の方法
能力検査の対策は、ポイントを押さえて効率的に行いましょう。問題の傾向を把握して、苦手分野を克服することが重要です。
検査・出題内容を理解しておく
能力検査の問題は基本的に言語分野・非言語分野の2種類ですが、企業によっては英語検査や構造的把握力検査の対策も必要です。
言語分野は、日本語の語彙力や読解力を問うものです。2つの単語の関係を問う問題や、1つの長文から複数の質問に答える問題などが出題されます。
非言語分野は単純な計算問題というより、与えられた情報を正しく読み解くことや論理的な推論を求める問題が多いため、問題の傾向に慣れることが大切です。
英語検査では、語彙力・文法理解をはじめ、質問文も全て英語の長文読解問題などが出題されます。構造的把握力検査では、構造が似ているものの正しい組み合わせを選ぶことなどが問われます。
問題集1冊を集中して解く
SPIの出題範囲は、言語分野なら二語の関係・熟語や語句の用法、非言語分野なら推論・速度算・損益算などです。また、問題の条件設定や質問内容、解答の選択肢などの傾向はある程度決まっています。
そのため、問題集を購入してSPIで問われる問題の傾向を把握し、類似問題の解き方を身に付けることが重要です。多数の問題集を解くより1冊に集中し、長文を読んだり解説をしっかり読み込んだりした方がよいとされます。
古い問題集は現行版のSPIとは問題の傾向が異なる可能性もあるため、なるべく最新情報を盛り込んだ問題集を購入しましょう。
苦手分野・問題は反復して対策する
問題集を解いていると、比較的スムーズに解答できる問題もあれば、じっくり考えなければ解答できない問題もあるでしょう。SPIの能力検査は制限時間に対して問題数が多く、1問にかけられる時間は1分前後です。
受検当日に苦手な問題につまずくという失敗を避けるために、得意分野を伸ばすより、苦手分野の克服を重視しましょう。問題集を解く中で苦手分野に気付いたら、時間をかけずに解けるようになるまで反復練習をすることが大切です。
模試を受けて検査に慣れておく
SPIはWebでの受検が多い傾向にあるため、PCの扱いに慣れていないと、本番で画面操作などに時間を取られがちです。また、受検中に筆算をするなど、紙とペンを使うこともあるでしょう。
使用端末・筆記用具・問題数・制限時間など、本番に近い条件で問題を解いてみることで、余計な情報に気を取られず適切な時間配分で受検するトレーニングができます。また、問題の多さに慣れておくためにも、事前に模擬試験を受けておくことは重要です。
制限時間内に問題をスムーズに解き終えるトレーニングとして、1分前後などでタイマーを設定しつつ問題を解いていく方法もあります。
SPIの受検方法は主に4つ
企業によってどの受検方法を採用するかは異なります。どの受検方法でも落ち着いて受検できる準備をしておきましょう。
自宅・学校で受検する方法
Webテスティングは、企業が指定する期間内ならいつでもどこからでも、インターネット経由でSPIを受検できる方法です。自宅や学校のPCから受検できるため、応募企業が遠方にあっても、問題なく選考を受けられます。
ただし、インターネット接続の不具合などで受検できない場合もあります。通信環境が安定した場所で受検することが必須です。
また、カンニングや替え玉など不正受検だと判定された場合は、しかるべき処分の対象となります。受検開始前の操作方法の案内などもしっかり確認し、落ち着いて受検しましょう。
専用会場・応募先企業で受検する方法
テストセンター形式やインハウスCBTでは、会場側や応募企業が用意したPCでSPIを受検します。PCを用いずにSPIを受検するのは、ペーパーテスト形式のみです。企業が指定した会場にて、テストを受けます。
テストセンター形式は、性格検査を自宅のPCなどで事前受検し、能力検査を常設または臨時の専用会場にて受検する方法です。大勢が同じ会場で受検する共通テストのようなもので、検査結果を複数社に提出することもできます。
インハウスCBTは、応募企業が手配した指定会場にてテストを受ける方法です。Webテスティングの受検場所が指定されているようなもので、不正対策などのために一部企業で採用される場合があります。
SPIは早めの対策で高得点を目指そう
SPIは、応募者の能力を測るだけでなく、企業と応募者のミスマッチを防ぐためのテストでもあります。
応募企業がSPIを活用している場合、選考過程のどこかで性格検査と能力検査をセットで受検します。性格検査に特別な対策は必要ありませんが、能力検査で高得点を取るには対策が必須です。最新の問題集を1冊購入し、問題の傾向をつかみ、苦手分野を克服しましょう。
また、ペーパーテスト形式以外はPCを使用するため、慣れておくことをおすすめします。十分な対策時間を確保し、自信を持ってテストに臨みましょう。