学歴ロンダリングの意味は?メリットやデメリットなどを確認

学歴ロンダリングは外部の大学院に進む際や、就職活動に関する話題などで耳にすることがある言葉です。中には、「有名大学の大学院に進みたいけれど、学歴ロンダリングと言われないか心配」という人もいるでしょう。

この記事では、学歴ロンダリングの意味やメリット・デメリット、就職に有利なのかどうかなどを解説しています。

進むべき道に迷っている人や、学歴ロンダリングに関する知識を身に付けたい人は、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

・学歴ロンダリングの意味
卒業大学よりもレベルや知名度が高い大学院に進み、最終学歴を上げることを指します。
・メリットとデメリット
学歴コンプレックスの解消や、ハイレベルな研究ができるメリットがありますが、時間やコストがかかる点はデメリットです。
・就職に有利?
希望する業界や企業によって異なり、必ずしも有利になるとは限りません。

学歴ロンダリングとは

記入済みの履歴書と職務経歴書

(出典) pixta.jp

学歴ロンダリングという言葉は、外部の大学院に進んだ人をやゆする際に使われることがあります。詳しい意味や語源などを見ていきましょう。

よりレベルが高い大学院に進学すること

学歴ロンダリングは学士課程の卒業大学より、難易度や知名度が高い大学の修士・博士課程を修了することを指します。

就職面で有利になることを期待し、最終学歴を高めることだけが目的なのではないかと疑う場合などに用いられ、主にネットスラングとして広まりました。

学歴ロンダリングの語源は、犯罪などで得た金銭の出どころが分からないように、他の金融商品などに替える「マネーロンダリング」です。「院ロンダ」「学歴ロンダ」のように、略して使われるケースもあります。

あまり良い意味では使われない言葉

応募資格を満たし、決まった手順を踏んだ結果、その大学院から入学を許可されたのであれば、非難されるようなことは何もないでしょう。

最終学歴がレベルの高い大学院になること自体は、何の問題もありません。しかし、語源からも分かるように、ネガティブな意味で使われることが一般的です。

大学入試に比べ、大学院の方が楽に入学できると考える人もいます。外部から大学院に進んだ人を、本来は入学できる学力ではないのに、最終学歴を上げるためだけに入ったと、からかう意味で使うことがあります。

学歴ロンダリングのメリットとデメリット

研究をする女子大学生

(出典) pixta.jp

学歴ロンダリングは簡単にできるものではありません。希望の大学院に進んだ後も、研究や修士論文で苦労する場合もあります。あらかじめ、メリットやデメリットを知り、後悔がないようにしましょう。

【メリット】学歴コンプレックス解消に役立つ

第一志望の大学に入れず「本当はもっと上のレベルの大学に入りたかった」と悔やんでいる人もいるでしょう。学歴コンプレックスを抱いている人にとって、学歴ロンダリングはプラスになります。

学歴のことで悩み続けると、何かにつけて消極的になるなど良いことがありません。一生の後悔と感じるのであれば、希望の大学院に入って新しい道を切り開くことは、効果的な方法だといえます。

ただし、大学院を修了できなければ最終学歴にはならない点には注意しましょう。定められた単位の取得や論文の審査をパスするには、多くの努力が必要です。

【メリット】ハイレベルな研究ができる

「どうしてもあの先生の下で学んでみたい」「〇〇大学でしかしていない研究に参加したい」という場合は、周囲から学歴ロンダリングとやゆされても、その大学院に進むことが大きなメリットになります。

そもそも、研究を目的として外部の大学院に進学するので、学歴ロンダリングといわれる理由はありません。

ハイレベルな研究室に入れば、優秀な学生との交流や濃厚な議論ができます。高度な知識を身に付けたい人にとって、充実した環境で研究に取り組む時間は、かけがえのないものになるでしょう。

【デメリット】時間とコストが必要

初めから大学院に進むつもりで準備できていればよいのですが、時間とコストがかかる点には注意しましょう。

大学卒の場合に比べて、2年程度遅れて社会に出ることがデメリットになるケースもあります。受験にかかる費用や学費、生活費などの負担がある点もデメリットです。

学生の場合は両親などに費用を工面してもらわなければならないでしょう。社会人であっても、ある程度の貯金がないと大学院に進むのは難しいといえます。

資金面に不安がある場合、平日夜間や週末に開講している研究科に進み、働きながら通うのも1つの方法です。

学歴ロンダリングは就職に有利なのか

就活中の男性

(出典) pixta.jp

最終学歴が上がれば、どの企業でも歓迎されるわけではありません。就職に有利になる場合とそうでない場合があります。学歴ロンダリングをすると、本当に就職に有利になるのかどうか、見ていきましょう。

学歴や専門性を重視する企業ではプラス

学歴や専門性を重視する企業では、最終学歴がレベルの高い大学名になっていることで、有利になる可能性があります。

大学名によってある程度選別をする企業では、書類選考を突破しやすくなるでしょう。専門的な分野の知識を必要とする研究職や、技術者を求める理系の職種を目指す場合も、有利になる可能性が高いといえます。

採用時に何を重視するのかは企業によって異なるため、必ず有利になるわけではありません。学歴を問わず応募者のポテンシャルを重視する場合、ほとんど意味がないでしょう。

また、その企業が欲しいと思える人材でなければ、良い結果を得られません。大学名だけで就職できると思っていると、足をすくわれる可能性があります。

就職先の選択肢が狭まる可能性も

学士課程を卒業した人に比べ、年齢を重ねている点がマイナスに受け取られる場合があります。順当に進学してきた場合、修士課程を終えると24歳程度、博士課程を終えたときは26歳程度です。

一般的に、年齢が若い人の方が就職しやすいとされます。学部を卒業した人と社会人経験の差が出る点も意識し、有利になるかどうかを考えることが大切です。

一般的な事務職や営業職などをするなら、大学院で身に付けた専門知識を生かせないでしょう。どのような就職先を選ぶかはっきりしていない状態では、必ずしも有利になるとはいえません。

もし、研究者の道に向いていないと感じて中退した場合、無駄に年齢を重ねることになってしまう点に注意しましょう。

人脈を広げるには効果的な面も

進学する大学院によっては、教授や大学のネットワークを活用することで、就職がしやすくなる可能性があります。

例えば、自分が希望する分野の就職先に内定した先輩が多い研究室なら、OB・OG訪問などをしやすくなるでしょう。

また、大学院生を求める企業とのつながりを持つ研究室もあります。学部卒では難しかった人脈の形成や、将来に役立つ情報を入手できるチャンスを生かせれば、就職に有利になる可能性は十分にあると考えられます。

学歴ロンダリングを成功させるには

勉強する女性

(出典) pixta.jp

学歴ロンダリングがうまくいって希望の就職先に内定が決まり、充実した日々を過ごせる人もいれば、そうでない人もいます。

苦労して大学院に入ったものの、途中で挫折するケースもありますし、希望したような就職ができないこともあります。学歴ロンダリングを成功させるポイントを見ていきましょう。

目的に合った進学先を選ぶ

学歴を上げることだけを目的にしていると、失敗しやすいといえます。自分が就職したい企業や興味のある分野で、何が求められているのかを理解していないと、目的に合った進学先を選べません。

自分の関心が薄い分野では、モチベーションの維持が困難です。研究テーマを含め、進学後の研究内容や生活について、十分に検討する必要があります。

また、外部から進学する場合、研究を進めるための準備が不十分になりやすい点にも注意しましょう。

大学の知名度や学力だけで選ぶと、大学院のレベルについていけない可能性もあります。論文のレベルが低ければ審査を通過できず、留年や退学も覚悟しなければなりません。

複数の研究室を検討する

外部から大学院に進むと、研究や人間関係の構築を一から始めなければなりません。学歴ロンダリングを成功させるには、研究室の雰囲気や教授との相性など、事前に情報を入手する努力をし、比較検討して選ぶことが大切です。

研究内容や目的とのマッチングを図るには、大学院説明会や研究室訪問が不可欠となります。

早めに説明会のスケジュールを押さえ、研究室訪問のアポイントメントを取るなどの準備をし、自分に向いている進学先を選びましょう。

学歴ロンダリングに関するFAQ

万年筆とFAQの文字

(出典) pixta.jp

大学院に進むとその後の人生が変わる可能性があるため、不安や悩みはつきものです。学歴ロンダリングについて、ありがちな質問とその回答を知り不安を解消しましょう。

学歴ロンダリングの具体的なやり方は?

学歴ロンダリングといっても、受験方法は一般的な大学院入試と変わりません。出願や入試の日程は大学によって異なるため、早めに調べましょう。

入学時期を春と秋の2回に分けている大学院もあります。進みたい道を決めたら、説明会への参加や研究室訪問をして情報収集をしましょう。

受験する大学院が決まったら、過去問の入手や試験対策を行います。どの程度の勉強時間を設けるかは個人差がありますが、受験の1年前を目安に準備を進めるとよいでしょう。

大学院入試に受かった後は、研究をして修士論文を書きます。入学しただけでは学歴ロンダリングにならないため、修了できるように頑張りましょう。

学歴ロンダリングをして後悔することは?

学歴ロンダリングをした後で後悔するパターンとして「自分に合わない研究室を選んでしまった」「就職活動で有利にならなかった」などが挙げられます。

自分が進みたい業界に関する知識や、どのような分野の研究をすれば希望する企業への就職に有利になるのかなど、事前にしっかりと計画を練らないと後悔する可能性が高いでしょう。

また「やりたい研究ができない」「教授と馬が合わない」などの理由で、挫折してしまう場合があります。事前に説明会や研究室訪問などをして、相性を確かめるようにしましょう。

学歴ロンダリングは事前準備と見極めが大切

勉強をする男性

(出典) pixta.jp

学歴ロンダリングをするには、研究テーマを決めて希望の研究ができる大学院を探し、入試を受けて合格するのが第一条件です。

希望の大学院に入れても、研究のレベルについていけず、評価される論文が書けなければ修士課程を修了できません。

事前に、進みたい業界や企業でどのような人材が求められているのか、必要とされる研究なのかどうかなどが分かっていないと、就職面で有利になるのは厳しいといえます。

失敗を防ぐには事前の準備に力を入れ、進学先をよく見極めるようにしましょう。