転職活動をする際、自分の最終学歴を正しく理解しておくことは重要です。しかし、最終学歴についての考え方が間違っている人も少なくありません。最終学歴を含め、学歴について詳しく説明するので、しっかり理解して転職活動に臨みましょう。
最終学歴になるのはどの学校?
履歴書は卒業した順番に学歴を記入するため、最後の行に記載した学校が最終学歴だと思っている人も多いのではないでしょうか?
しかし最終学歴は、必ずしも最後の行に記載されている学歴というわけではありません。最終学歴について、詳しく説明していきます。
最終学歴は卒業した中で最も高い学歴のこと
最終学歴とは、卒業した順番で決まるのではなく、自分が卒業した中で最も水準が高い教育機関のことをいいます。義務教育を含めた「学校」には、教育の水準に沿って正式な順序が決まっているのが一般的です。
中学校までの義務教育の後は高等学校、その後は高等専門学校(高専)・専門学校・短期大学となり、大学、大学院と続きます。この順番でいうと、大学院修了が日本国内で最も高い学歴です。
また、高等専門学校と専門学校、短期大学の3校は、ほぼ同じ水準としてみなされています。もし、この3つの学校をいくつか卒業していた場合、最後に卒業した学校を最終学歴とするのが基本です。
学び直した場合は一番高い学歴が最終学歴
大学を卒業した後や就職した後に、学び直しやキャリアアップのために専門学校などへ入学し、卒業するケースもあるでしょう。その場合も、全ての学歴の中で最も高いものが最終学歴となります。
例えば、大学卒業後に専門学校でビジネススキルなどを学び卒業した場合、学歴欄には専門学校の方を後に記載しますが、最終学歴は「大学卒」とするのが正解です。
短期大学卒の学歴の人が、仕事をしながら通信制の大学に編入し卒業したときは、最終学歴は短期大学卒から大学卒へと変わります。
留学した場合の最終学歴は学位を取った学校
海外の学校に留学した場合、その学校の学位を取得し、さらにそれが自分の学歴の中で一番高ければ最終学歴とみなされます。
例えば、日本の高校を卒業後にアメリカの大学に留学し、学位を取得したのであれば最終学歴はアメリカの大学卒業です。
しかし、もし海外の学校で学位を取れずに帰国した場合、留学前の学歴の中で一番高い学歴が最終学歴となります。海外の大学で学位を取れなくても、帰国後に日本の大学を卒業していれば、大学卒が最終学歴です。
最終学歴を履歴書に書く際のポイント
最終学歴を含め、履歴書には自分の学歴をしっかり書くことが必要です。学歴を書くときのポイントを説明します。
履歴書には高校卒業から時系列で書く
履歴書には、自分の学歴を古いものから順に、時系列に沿って書いていくのが決まりです。通常、小学校や中学校の義務教育の学歴を記載する必要はないため、高校卒業の時点から書き始めます。
しかし、高校を卒業してすぐに就職するなど、学歴が埋まらず空白ができてしまうのが気になるときは、小学校入学から書き始めても問題ありません。
大学卒業後に学び直しで専門学校などを卒業した場合も、時系列に沿って専門学校卒業を最後に記載します。
最終学歴が大学院の場合は「修了」と書く
高校から大学までは「〇〇高等学校 卒業」「〇〇大学 卒業」という書き方をしますが、大学院を卒業した場合は「卒業」ではなく「修了」が正式な書き方です。
修士と博士の課程それぞれに分けて「〇〇大学院修士課程 修了」「〇〇大学院博士課程 修了」のように記載します。
もし博士課程の単位を取得しても、修了までの期間内に博士号の学位を取得しなかったときは、「博士課程 単位取得退学」または「博士課程 退学」と書きます。
在学中の場合は「卒業見込み」と書く
大学や専門学校在学中に就活する場合は、「卒業見込み」と書きます。ただし、卒業に必要な単位を取得して、確実に年度内に卒業できると分かっている場合以外は「卒業見込み」とは書けません。
学び直しで通っている学校に在学中の場合も同様に、「卒業見込み」と書きます。「在学中と書いてもよいのでは?」と思うかもしれませんが、「在学中」と書くのはアルバイトのための履歴書のみです。
最終学歴の注意点は?
学歴の扱いには、いくつかの注意点があります。履歴書への記入で間違えてしまうと、故意ではなくても学歴詐称と思われたり、信頼を失ったりするかもしれません。
最終学歴を、履歴書に記入する際の注意点を解説します。
中退は最終学歴にならない
中退した場合も、学歴欄には必ず記載しなければなりません。このとき注意したいポイントは、いくら教育機関としての水準が高かったとしても、中退の場合は最終学歴とはみなされないことです。
そのため、大学に在籍していたとしても、中退したら「高校卒」が最終学歴となります。
また、大学院を中退した場合は、修士課程か博士課程かによって最終学歴が異なります。修士課程での中退は「大学卒」、博士課程は中退・単位取得退学のいずれの場合も「修士卒」となるのが一般的です。
予備校や職業訓練校は学歴にならない
学歴としてみなされるのは、国公立の学校または学校法人として認定された私立の学校だけです。予備校や職業訓練校は学歴として扱われないため、卒業しても履歴書の学歴欄には記載できません。
職業訓練校を卒業したことを履歴書に書きたいときは、職歴欄に「〇〇職業訓練校入校」「〇〇職業訓練校修了」と記載します。入学・卒業という言い方はしないので注意しましょう。
また、資格取得のために通った学校なども同様に学歴にはなりません。
短期留学は学歴にならない
1年未満の短期留学や語学留学は、学歴とは認められません。海外の大学に留学した際に履歴書に書けるのは、正規留学と交換留学で「1年以上」在学していた場合のみです。
また、1年以上の正規留学や交換留学の経験があっても、学位を取っていなければ最終学歴にはなりません。語学学校は学歴として扱われないため、たとえ1年以上留学していても学歴にはならないので注意が必要です。
ちなみに、1年未満の留学や語学学校も学歴とは言えないものの、履歴書では「留学」として記載すること自体が何かの違反になるわけではありません。自分をアピールするために記載するのもよいでしょう。
最終学歴の卒業証明書を求められたら?
企業によっては、最終学歴を証明するために、卒業証明書の提出を求めることもあります。新卒の場合は、卒業証書と一緒に発行されるため、手元にあることが多いでしょう。
しかし、卒業してから時間がたっていると、紛失したり前職の企業に提出していたりするケースもあるかもしれません。最終学歴の卒業証明書の取得方法を解説します。
最終学歴の学校に依頼する
卒業証明書は、卒業証書とは別に発行されるものです。卒業証明書の提出を求められたときは、最終学歴である学校に問い合わせましょう。
基本的には、窓口まで直接出向いて依頼すれば、発行してもらえます。遠くに住んでいて直接依頼しに行けない場合は、学校の公式サイトから申請書をダウンロードし、郵送で依頼すると送付してもらえます。
本人が忙しくて申請に行けないときは、家族や知人に代理で申請してもらうことも可能です。その場合は申請書のほかに、委任された人の身分証明書や委任状などが必要になる場合があります。
学校によって必要書類が異なることもあるため、事前に確認してから申請しましょう。
発行日に注意する
卒業証明書そのものには、有効期限はありません。しかし企業によっては、一定の期間内に発行されたものなど、発行日に条件を設けている場合もあります。
あまり古いものは印象もよくないので、できるだけ3カ月以内に発行されたものを提出するのが望ましいでしょう。
「卒業証明書の提出を求められたときのため」と思ってあまりに早く用意しておいても、期限が過ぎてしまうこともあるので注意が必要です。
最終学歴を正しく理解して記載しよう
最終学歴は、必ずしも最後に卒業した学校になるとは限りません。また、中退や留学などの場合は、履歴書の記載方法も間違えやすいので注意が必要です。
日頃、自分の最終学歴を意識することは少ないかもしれませんが、転職活動などの際には最終学歴によって応募資格が決まるケースもあります。自分の学歴を振り返り、正しく理解して履歴書に記載できるようにしましょう。