【例文あり】面接の自己紹介で伝えるべき内容は?ポイントや注意点も

転職面接で自己紹介を求められたとき、どんなことを言えば印象アップにつながるのでしょうか?面接という限られた時間の中で、伝えたいことを簡潔にまとめるのは難しいものです。面接の自己紹介で伝えるべき内容やポイント、注意点について解説します。

面接で自己紹介を求められる理由とは?

面接を受ける女性

(出典) photo-ac.com

まずは、企業が面接で自己紹介を求める理由について知りましょう。自己紹介がどんな意味を持つのかを知ることで、企業が求める内容に沿った回答ができます。

経歴や人柄を知るため

ビジネスであってもプライベートであっても、まずは相手を知らないことには信頼関係を築くことはできません。

学歴・職歴などの基本的な情報は履歴書に記載してありますが、企業側はこれまでの経歴や性格などは会話を通して知りたいと考えているものです。そのため、履歴書で分かる情報にプラスした自己紹介ができると、好印象につながります。

また、自己紹介で得た情報を、その後の質問に活用したいという意図もあります。自身の強みなどアピールしたい点を盛り込んだ自己紹介ができると、さらによいでしょう。

コミュニケーション能力を測るため

面接での自己紹介には、応募者のコミュニケーション能力を測る目的もあります。コミュニケーション能力は、営業職や販売職など顧客と直接会話をする職業に求められると思っている人も多いでしょう。

しかし、実際にはどんな仕事においても、コミュニケーション能力は必要です。先輩・後輩とのコミュニケーションや社内の他部署とのやりとりなど、他人とスムーズに意思疎通を図ることは社会人として働く上で必要不可欠です。

面接での話し方や受け答えの内容、質問への理解度などから、コミュニケーションを取りながら一緒に仕事をしていける人かどうかを、判断している場合もあるでしょう。

応募者の緊張をほぐすため

面接の内容が採用結果に大きく影響するため、多くの応募者は緊張して面接に臨んでいます。ましてや、相手が初対面の面接官となると、なおさら緊張感は高まるでしょう。

面接官も応募者が緊張していることは理解していますし、できるだけ普段通りの状態で面接を受けてほしいと思っています。そのため、場の空気を和ませるために、面接でのつかみのトークとして自己紹介を求めることもあります。

自己紹介を通して、面接官との共通点や会話のきっかけが見つかると、緊張がほぐれリラックスして面接に臨むことができるでしょう。

自己紹介で伝えるべき内容は?

面接を受ける女性

(出典) photo-ac.com

面接で自己紹介を求められた際に、伝えるべき内容について解説します。いろいろと詰め込みすぎて情報過多にならないよう、ポイントを押さえて、簡潔に自分のことを伝えられる自己紹介を用意しておきましょう。

氏名と経歴

「〇〇と申します」と、フルネームで名前を伝えるところから自己紹介は始まります。相手にきちんと伝わるように、目を見ながらハキハキと名乗りましょう。

続いて、これまでの経歴を簡単に説明します。仕事内容などを細かく伝えると、ダラダラとした自己紹介になってしまうため、「食品会社で3年間営業として勤務していました」など簡潔に伝えるのがポイントです。

詳しい経歴やスキルなどは、面接の中で話す機会があるため、自己紹介では概要を伝える程度でよいでしょう。

実績やアピールポイント

これまでの経歴に絡めて、仕事を通しての実績やアピールできることについて触れるのも効果的です。

例えば、営業の仕事について話す際に「支店で表彰された」「売上120%を達成した」など、アピールポイントを加えると印象に残りやすくなります。ただし、自己紹介は自己PRではないため、アピールが中心にならないよう注意が必要です。

また、自己紹介のあとに自己PRを求められることがあります。自己紹介で話した点について、自己PRで掘り下げるのは問題ありませんが、全く同じエピソードを繰り返すことのないよう気を付けましょう。

志望理由

自己紹介の最後は、簡単な志望理由でまとめるのが一般的です。自己PRと同様に、詳しい志望理由についても面接内で聞かれるため、自己紹介では軽く触れる程度でOKです。

「前職で培った営業スキルを生かして、御社の商品を全国に広めたいと思い応募しました」など、応募した経緯について1文程度で伝えましょう。

経歴と実績、志望理由を簡潔に伝えたら、最後に「本日はよろしくお願いいたします」とあいさつをして、自己紹介を締めくくります。

【パターン別】面接での自己紹介の例文

手帳に記入する女性の手元

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面接での自己紹介の例文を、2パターン紹介します。簡単な自己紹介から、経歴や志望動機を含めた自己紹介まで、企業から自己紹介の仕方を指定されることがあります。いくつか自己紹介のパターンを考えておくと、スムーズに対応できるでしょう。

簡単な自己紹介を求められた場合

「簡単に自己紹介をしてください」と言われた場合は、氏名・経歴・志望理由を1分程度で簡単にまとめます。

【例文】
「○○と申します。前職の衣料品メーカーでは、営業として全国の百貨店に製品を販売しておりました。グループ内で1位の販売成績を残すことができ、自社製品の素晴らしさを多くのお客様に伝えることにやりがいを感じてきました。

今後は、より大きなフィールドに挑戦してみたいと思い、アパレル業界で売上シェア上位を誇る御社に応募いたしました。前職での経験を生かし、御社の商品を全国に広める役割を担いたいと思っております。本日はよろしくお願いいたします。」

 

経歴を含めた自己紹介を求められた場合

「これまでの経歴を含めて自己紹介をお願いします」と言われた場合、面接官はこれまでにどんな仕事をしてきたのかを詳しく知りたいと思っています。キャリア面に比重を置いた自己紹介ができるとよいでしょう。

【例文】
「○○と申します。大学卒業後、商社で営業事務として3年間働いた後、より直接的に人をサポートする仕事をしたいと思い、人材紹介会社のカウンセラーにキャリアチェンジしました。

利用者のおよそ90%を就職に導くことができ、人生における重要な転機に携われることに責任とやりがいを感じました。今後は、より専門性を持ったカウンセラーになるために、外資系企業専門の人材紹介である御社に応募いたしました。

前職での経験と英語スキルを生かして、御社で活躍できる人材になりたいと思っております。本日はよろしくお願いいたします。」

 

自己紹介をする際のポイントは?

自己紹介をするスーツの男性

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自己紹介で面接官に好印象を与えるためのポイントを、3つ紹介します。自己紹介だけでなく、面接全体を通して常に意識しておきましょう。

明るくハキハキと話す

面接の序盤で行う自己紹介で、面接官からの第一印象が決まるといっても過言ではありません。

緊張すると声が小さくなってしまったり、早口になってしまったりする人は多いものですが、そのような話し方は頼りない印象や落ち着きのない印象を与えてしまいます。

できるだけ「口角を上げ、明るくハキハキと話す」ことを意識しましょう。また、普段話すときよりもトーンを少し高めにして、声のボリュームを大きくすると、距離のある面接官まで声が届きやすくなります。

面接官の目を見る

アイコンタクトは、コミュニケーションの基本です。きちんと面接官と目を合わせることで、コミュニケーションが取れる人という印象を与えることができます。また、目を見ると自然と顔が前を向くため、声も通りやすくなります。

ただし、真顔で凝視すると面接官に威圧感を与えてしまいかねません。そのため、にこやかに目を合わせながら、凝視しすぎないよう適度に目線を外すとよいでしょう。

緊張して目が見られないという人は、面接官の眉間や鼻あたりを見ると、目が合っているように見えます。最近では、オンラインでの面接も増えています。その場合は目線が合っていないことは重視されませんのであまり気にし過ぎないようにしましょう。

なお、面接で答える内容を丸暗記していると、思い出すために視線を上にしてしまいがちなので、回答を丸暗記するのは避けた方がベターです。

抑揚をつけて話す

自己紹介のようなある程度事前に構成を考えている内容は、話すときに単調になりがちです。ずっと一定のトーンで話していると相手の印象に残りにくく、アピールにつなげることができません。

強調したい部分は少し声を大きくしたり、センテンスごとに間を置いたりするなど、強調と抑揚を駆使して話すと相手に伝わりやすくなるでしょう。

あまりにも抑揚をつけすぎるとわざとらしい印象を与える可能性もあるため、適度に変化をつけながら話すと自然な抑揚を演出できます。

面接での自己紹介の注意点

手を前に出すスーツの男性

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最後に、自己紹介での注意点について解説します。面接序盤の自己紹介で印象を下げてしまっては元も子もありません。次の点を意識しながらスマートな自己紹介を心掛けましょう。

長々と話さない

面接での自己紹介は「1分程度」に収めるのが理想です。好印象を残すために、あれもこれもアピールしたいという気持ちになりがちですが、一方的にダラダラと話さないよう伝えたいことの要点をまとめておきましょう。

企業によっては「〇分以内で自己紹介をお願いします」と、時間を指定してくる場合もあります。30秒・1分・3分など、いくつかのパターンで自己紹介を用意しておくと、当日に慌てることもありません。

時間を計測しながら面接の練習を行うと、テンポや長さの目安をつかめるのでおすすめです。

専門用語を使わない

これまでの経歴や実績について話す際に、専門用語や業界用語は使わないように注意しましょう。特に業界や職種が異なる転職では、面接官に話が伝わらないだけでなく、配慮のできない人であるという印象を与えかねません。

業務内容などについて説明する際には、何も知らない初心者に説明するつもりで話すと、相手に伝わりやすくなります。

今まで当たり前のように使用していると、専門用語や業界用語であることを忘れてしまいがちです。自己紹介文を作成したら、一度初心者目線で読み返してみるとよいでしょう。

しっかり自己紹介をしてアピールしよう!

3人の面接官

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自分自身のことを知ってもらうためだけでなく、コミュニケーション能力の確認や緊張の緩和のためなど、自己紹介にはさまざまな目的があります。

自身の経歴や性格を伝えるのはもちろんのこと、企業がどんなことを求めているのかを考慮した自己紹介ができると、面接官に好印象を与えられます。

印象アップのポイントや注意すべき点について意識しながら、自己紹介を通して応募先の企業に自分自身の魅力を最大限にアピールしましょう。

井上真里
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド井上真里

採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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著書:
就活女子のための 就活迷宮から抜け出すトビラ (TAC出版)