社長面接まで行けばほぼ内定?社長面接を行う目的と対策法をチェック

企業によっては、最終面接として「社長面接」が行われることがあります。社長面接の概要や目的を知り、面接前の準備をしておきましょう。面接でよくある質問や、対策のポイントを解説します。具体的な質問例と回答例も見ていきましょう。

社長面接とは?

打ち合わせをしている役員と社員

(出典) photo-ac.com

「社長面接」とは、どのような面接なのでしょうか?まずは面接の内容や、社長面接は「落ちない」という噂の真偽について解説します。

面接官が社長になる

社長面接とは、社長が面接官として応募者と話をする面接です。最終決定権がある社長が面接を担当しますが、最終面接や役員面接と大きな差はありません。最終の面接を通過すれば、内定です。

すでに複数回の面接を終えていることもあり、社長面接は入社意思の確認や採用に向けた話をする場と考える人もいるかもしれません。

しかし、一般の最終面接と同じく、複数の応募者が残っている可能性もあります。印象によっては、これまでの判断が覆ることもあるでしょう。これまで以上に気を引き締めて、面接に臨む心構えが必要です。

社長面接は「落ちない」は間違い

社長面接や最終面接では、「すでに採用が確定しているため不採用となる心配はない」という発言をする人もいます。社長に会う前に、人事や現場担当者が合否を判断しているはずというのが主な理由です。

実際に顔合わせが目的の可能性もありますが、面接であるからには不採用となる可能性は残っています。社長の方針によっては、複数の応募者の中で採用する人物を見極めたいと考えている可能性もあるでしょう。

なお、「社長面談」はやや意味合いが異なります。内定後の擦り合わせや、企業と応募者がお互いにミスマッチを防ぐ目的で行われるのが面談です。

面談で不採用となることは考えにくいですが、担当者のニュアンスによってどちらの意味合いか判断しましょう。

社長面接をする目的

重役のイメージ

(出典) photo-ac.com

社長が面接を行う目的は、何なのでしょうか?人事や現場担当者が対応する面接とは、重視されるポイントが変わります。社長が応募者に求めることを知り、対策を考えましょう。

入社への覚悟を見られている

社長面接に進む場合、これまでの面接よりも入念に入社意思や覚悟を確認されます。内定辞退の可能性も考え、「本当に入社したいのか」を問われていると考えましょう。

転職者の多くは、複数の企業を視野に入れ、面接を進めることが一般的です。内定を出した後に、辞退とならないかどうかも企業が確認しておきたいポイントでしょう。

企業を代表する社長が面接する以上、企業に対する熱意も重視されます。社長や役員は、一般社員に比べて企業への思いも強いと考えておきましょう。

企業との相性も重要

スキルや実績が足りているかは、人事担当者がチェックし判断をしています。社長が判断するのは、広い視野で見たときに「企業とマッチしているか」です。

企業ごとに、社風や価値観は異なります。上司の指示を待って行動する、自分自身の意志で動くなど、重視される要素はさまざまです。

能力がある人でも企業で求められる要素が欠けている場合、活躍の場が少なくなり離職してしまう可能性も高くなります。

また、チームとしてうまくやっていけるかも評価の基準です。同じ部署の上司や同僚とうまくやっていける人材は定着率が高くなり、採用したいと判断されるでしょう。

方向性や将来のビジョン

社長面接では、入社後のビジョンを確認されます。社長が考えているのは、企業の長期的な成長や利益です。短期目標ではなく、長期的な目線で確認されることが多いでしょう。

今後、長く働こうとしているなら、将来的なビジョンも想像できるはずです。5年・10年先の目標や、希望について質問されます。入社した直後の目標ではなく、「いずれこのように活躍したい」という将来をイメージしておきましょう。

また、ビジョンが企業の方向性と一致していることも、重要なポイントです。企業研究によって、社長が力を入れていきたい事業や部門も把握できるでしょう。

社長面接で落ちやすい人

憂鬱そうな表情を浮かべる男性

(出典) photo-ac.com

一次面接・二次面接を問題なく通過しても、社長面接や最終面接で落ちやすい人がいます。不採用となりやすい原因を知っておきましょう。

入社意欲を伝えきれていない

社長は、企業のことをよく知っています。上辺だけの企業研究では、深い質問についていくのは難しいでしょう。

社長面接で落ちやすいのは、「企業研究が足りず熱意が疑われるケース」や「志望度が低いと判断されるケース」です。

企業研究が足りないと、入社意欲を疑われてしまうかもしれません。企業の歴史や提供サービスについてはもちろんのこと、何を大切にしている社風なのかも把握しておきましょう。

また、受け答えの雰囲気も、社長面接では重視されます。適当な答えや、やる気が感じられない態度では印象がよくありません。「ほかの企業が本命なのでは?」と感じさせる対応は避けましょう。

価値観が合わない

選考が最終段階まで進んでいる以上、ビジネスマナーや能力は評価されています。社長が確認したい内容は、「価値観が一致しているか」です。

企業によって、社風は変わってきます。強い上昇志向や自由な発想力など、必要とされる共通の価値観が合わないと活躍は難しいでしょう。

企業理念が「顧客・取引先・従業員全てに利益をもたらす業務形態を目指す」というものだった場合、顧客のために取引先の利益を減らすような発言は企業の価値観と相違します。

考え方や行動が社風と合わないと判断されると、不採用の確率は高まるでしょう。社長の印象で「合わない」と判断されることもあるため、難しいポイントです。

社長面接を受ける前の対策ポイント

仕事をしている男性の手元

(出典) photo-ac.com

社長面接を受ける前に、対策できることがあります。ほかの面接のように質問に対する回答を考えておくことはもちろん、面接官である社長について調べるのも効果的です。

より徹底した企業研究

これまでの面接よりも企業研究を徹底することで、社長面接を通過できる可能性は高くなります。社長や役員は、これまでの担当者より企業のことを熟知しているため、深い質問が多くなると考えておきましょう。

企業や業界についてしっかり調査ができていると判断されれば、評価は高くなります。視野を広げ、社長の見識についていけるよう努力が必要です。

また、選考期間中に「新たな情報が追加されていないか」も押さえておきましょう。新事業の展開や、業界に起きた最新情報をチェックしておけば、質問されたときも答えやすくなります。

志望動機をより深く考えておく

社長面接では、志望動機の深掘りも必要です。方向性はこれまでの面接と同じで問題ありませんが、社長面接では志望度や熱意が重視されます。

また、社長はこれまでの面接担当者から、ある程度の志望動機を確認しているはずです。志望動機を聞いた上で質問があるということは、「なぜこの志望動機なのか」を深掘りされると考えておきましょう。

「○○が志望動機ということは、同じサービスを展開している○○でも問題ないのではないか」と質問された場合、社長が納得できる「この企業でないといけない理由」を答える必要があります。

自分の志望動機を振り返り、足りない部分をよく考えておきましょう。

社長本人について調べておく

社長の好みや人間性を調べておくと、合わせた回答がしやすくなります。社長が好ましいと感じる人物像を意識しましょう。

個人的な好き嫌いだけで採用・不採用を決めるとは考えにくいですが、同レベルの応募者がいる場合はフィーリングが合う方が有利です。

社長について調べるには、社長本人の著書・出演番組・雑誌インタビューを読む方法があります。これまでのインタビューやウェブサイトでのコメント、経歴などをチェックしておきましょう。

SNSや動画で会社をアピールしているケースもあるため、ネットで検索するのもおすすめです。

社長面接でよく聞かれる質問と回答例

打ち合わせをしている男性

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社長面接で聞かれやすい質問と、具体的な回答例を紹介します。ほかの面接と同様、聞かれやすい質問は企業が変わってもほとんど同じです。面接前に準備しておきましょう。

志望動機と自己PR

志望動機と自己PRは、これまでの面接でも確認されている内容です。以前の面接とブレがないか確認されていると考えましょう。一次面接・二次面接と似た内容で問題はありません。

志望動機と自己PRをまとめて質問されたときは、応募した動機と自分の強みを整理して両方伝えましょう。

【質問例】

すでに何度かおうかがいしていますが、あなたの志望動機と自己PRを聞かせてください。

【回答例】

前職では、御社のメイン事業である○○の営業に携わってきました。

以前の会社では地域に密着した営業を行っておりましたが、もっと多くの人に○○の魅力を伝え、いずれは世界に出て力を試したいという気持ちが強くなり、海外事業も展開している御社へ応募いたしました。

前職の会社に勤める前は輸出関連業務を行っており、○○(国名)の担当者とコミュニケーションを取る機会が多かったため、幅広いエリアで貢献できると考えております。

 

入社後のキャリアビジョン

社長面接または最終面接では、よく入社後の中長期的な目標・計画について確認されます。回答のポイントは、長い目で見たときの目標を答えることと、企業の事業内容にマッチしたキャリアビジョンを伝えることです。

【質問例】

5年後には、どのような挑戦をしていたいと考えますか?入社後のビジョンを聞かせてください。

【回答例】

入社後は配属先の○○でスキルを身に付け、御社の主力サービスである○○に携わりたいと考えています。

ユーザーの希望や、企業に求められていることを学び、いずれは新しいサービス開発を手掛けることが目標です。5年後には、開発部門である○○で活躍できるよう努力していきます。

 

他企業にも応募しているかどうか

転職の際は、同時進行で複数の企業に応募している人もいます。他企業への応募状況は、社長にとって気になるポイントです。

状況を正直に伝えることに問題はありませんが、「他企業が本命である」と発言すると不採用の可能性が高まります。志望度が低い人に内定を出すと辞退のリスクがあり、避けたいと考える企業が多いでしょう。

【質問例】

現在、当社以外に応募している企業はありますか?

【回答例】

転職活動をスムーズに進めたいと考え、御社以外にも○件の応募をしております。現時点で面接に進んでいるのは御社のみです。内定を頂いた時点で、他社の応募は辞退するつもりでおります。

社長面接で聞くべき逆質問

手を差し出し語り掛けるスーツの男性

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社長面接では、逆質問をされることがあります。逆質問をされたとき、何を聞けばよいのか迷わないよう、事前に質問を考えておきましょう。ほかの面接とは異なり、回答者が社長であることを意識して質問を考えることが大切です。

社長だからこそ聞きたいことを聞く

社長面接では、一般社員や役員には聞けないことを質問しましょう。具体的な仕事内容や現場の雰囲気は、社長よりも現場担当者がよく知る分野です。細かすぎる質問は、社長を困惑させてしまいかねません。

社長は、企業の経営戦略や方針を熟知しているので、それらについて質問するとよいでしょう。社長のメッセージやインタビューで見た内容を、深掘りすることもできます。社長の答えを予想し、会話を盛り上げられるような質問を考えておきましょう。

ただし、自分が理解できない質問をすると、コミュニケーションが成り立ちません。背伸びしすぎた質問は避けましょう。

特にありませんは避ける

面接時の逆質問は、基本的に「質問をする」ことが前提です。興味や関心があるほど、深い質問が出てきます。

「特に質問はない」と答えてしまうと、企業や仕事に関心がないと受け止められるリスクもあるでしょう。悪印象を与えないとしても、アピールの機会を逃すのはもったいないことです。

ただし、質問内容には注意しましょう。過去に説明を受けたはずの内容を聞くことや、調べれば分かることを質問するのはNGです。

社長面接では、今までの面接では聞けなかった深い内容や、企業の方針に関する質問も歓迎されます。できるだけ、事前に質問を考えておきましょう。

社長面接で聞きたい逆質問例

社長面接での逆質問は、入社意欲や熱意をアピールできるものが最適です。会社の創業や経営に関わる社長ならではの質問を、準備しましょう。

企業理念や経営方針についての質問は、企業への興味・関心を表します。今後の経営方針を聞くことで、同じ価値観を共有することもできるでしょう。

入社後のビジョンについて質問すれば、中長期的な目標をアピールできます。長く働きたいという意志が伝わるでしょう。

【理念についての質問】

企業理念の○○という部分に共感しています。普段仕事をしている中で、この理念を実感する場面があれば教えてください。

【経営方針についての質問】

今後、御社で力を入れていきたい事業分野について聞かせてください。

【入社後のビジョンについての質問】

いずれ、御社の中心事業である○○部門でプロジェクトに参加したいと考えています。入社後の心構えや必要なスキルがあれば教えてください。

最後まで気を抜かず内定を勝ち取ろう!

スーツの男性

(出典) photo-ac.com

社長面接では、社長が応募者を面接します。社長に会うといっても内定ではなく、採用がかかった重要な局面であると考えておきましょう。

社長面接では今までに答えてきた回答の深掘りや、入社意欲を確認されます。会社の代表である社長の質問にしっかり答えられるよう、企業研究や志望動機を念入りに行うことが大切です。社長面接を通過し、内定を勝ち取りましょう。