社風とは、企業の雰囲気や価値観のことです。仕事は楽しいけれど、社風が合わずストレスを感じている人もいるでしょう。それでは、社風が合わないことは転職の理由になるのでしょうか?社風が合わないときの対策や、自分に合った社風の見極め方も解説します。
社風とはどういうもの?
社風とは何か、分かっているようで曖昧な人も多いかもしれません。自分に合うか合わないかを考える前に、「社風」の意味を確認しておきましょう。
企業独特の雰囲気や価値観のこと
社風とは、企業が持っている独特の雰囲気や価値観を指します。
一般的には、「大企業では個人の意見が反映しにくい」「中小企業は経営者の価値観が影響しやすい」「ベンチャー企業では個人の裁量権が大きい」など、会社の規模や業種ごとに特徴や傾向があるといわれています。
しかし、社風は基本的に経営者の考え方や経営方針、長年培われてきた歴史などによって形成されるため、一見して見分けることは難しいものです。
人事評価の方法や社員教育の充実度なども影響するので、実際に入社してみないと分からないこともあります。
良い社風かどうかは主観で変わる
自社の社風がほかの企業と比べて良いか悪いかを決めるのは、主観による部分が大きいです。個人の価値観と、会社の雰囲気や方針が合っていれば、その社風はその人にとっては良い社風だといえます。
しかし、同じ社風でも違う価値観を持っている社員にとっては、合わないと感じられることもあります。社風の良し悪しは社員の性格や受け止め方によって決まるため、企業に勤めている全ての人が自社の社風を良いと感じるのは難しいでしょう。
仕事を辞める社員が少なく定着しやすい企業は、社風も良いというのが一般的な見られ方です。
「社風が合わない」ときのよくある事例
社風が良いかどうかは社員によって異なるものですが、どのようなときに「社風が合わない」と感じられるのでしょうか?自社の社風が合わないと感じるときの、具体的な例を見ていきましょう。
仕事の進め方が合わない
仕事への向き合い方や進め方が合わないのは、ストレスになるだけでなく、自分自身のキャリアアップのためにもマイナスになってしまうことがあります。
何を決めるにも稟議にかけないと決定できない、個人の裁量に任せてもらえる部分が少ないなど、会社全体の方針が理由でスキルを発揮できないと、仕事へのモチベーションを上げるのも難しいでしょう。
特に転職して入社した会社の場合、前職の仕事の進め方と違いが大きいほど、ストレスを感じる原因となる可能性もあります。
トップダウンの傾向が強い
経営者や部門ごとのリーダーの意見が絶対といったトップダウンの傾向が強いほど、社員がストレスを感じやすい社内環境になりがちです。
経営者が比較的若い世代のベンチャー企業などでは少ないかもしれませんが、昔ながらの体質を持っている大企業や中小企業などでは、トップの決定権が大きいことも珍しくありません。
リーダーシップがあるともいえますが、度を超すと社員の意見を聞き入れないという社風になってしまうでしょう。
社内全体の雰囲気が合わない
飲み会への参加を断れなかったり、体育会系の傾向があったりなど、社内全体の雰囲気になじめないパターンもあります。
飲み会などのイベントは、社員同士のコミュニケーションのためにも良いことですが、1人で静かに過ごしたい人や、仕事とプライベートは分けたいと思う人にとっては、ストレスになってしまうでしょう。
そういったイベントへの参加が、暗黙のうちに強制的になってしまっていると、社風が合わないと感じてしまう人も出てくるかもしれません。
経営者や役員に運動部出身が多い会社などは、上下関係に厳しくなったり上司が部下に威圧的になったりすることもあるので、体育会系が苦手な人にとっては受け入れられないと感じてしまうこともあるでしょう。
社風が合わないときにすべき3つのこと
自分の会社の社風が合わないと感じたときは、どうしたらよいのでしょうか?社風の合わない会社で働くことはストレスになってしまいますが、考え方を変えるだけで気持ちを切り替えられる場合もあります。
会社の社風になじめないと思ったときにすべき3つのことについて、具体的に説明していきます。
全て社風のせいにしていないか考える
自分に都合の悪いことを、全て社風のせいにしていないか考えてみましょう。仕事のやりにくさや周りとの価値観の違いなどは、どの企業に行っても少なからずあるものです。
また、なじめないと思っていることが会社全体の社風ではなく、自分の上司や先輩などとの個人的な人間関係が原因となっていることも考えられます。
やりたかった仕事に就いていたり、前職より自分の時間が確保できていたりなど、今の会社に入社してから目的を達成できているものがあれば、いったん冷静になって何を優先すべきかを考えることが必要です。
時間で解決できるか考える
会社の経営方針や仕事への向き合い方ではなく、職場の人間関係に対する違和感の場合は、社風というより個人同士の関係性が原因になっていることが多いものです。
入社したばかりで部署内になじめない、上司と性格が合わないなどは、時間がたてば解決するかもしれません。
少しずつ職場の雰囲気になじめるようになったり、相手や自分が部署を異動して人間関係がガラリと変わったりすることもあるでしょう。
今の状況はずっと続くものではないので、長い目で見て判断することが大切です。
心身に影響が出るようなら転職する
時間が経過しても今の状況に変化が期待できず、今の会社で生き生きと仕事をできている自分を想像できないようであれば、転職を考えてみるのも1つの方法です。
社風になじめない自分に問題があるのではないかと考えてしまい、無理をして周りに合わせ続けると、心身に影響が出ることもあるかもしれません。そのような場合にも、転職を検討する必要があるでしょう。
転職先を探すなら「スタンバイ」の利用がおすすめです。職種や雇用形態はもちろん、さまざまな「こだわり条件」から自分に合った企業を探せる点が人気の理由です。
無理に頑張ろうとすると症状が悪化してしまう可能性もあるので、深刻化する前に職場の環境を変えて、再スタートすることを検討しましょう。
社風が合う会社を見極める3つの方法
誰もが、自分に合った社風の会社で働きたいと思うものです。「転職したのに社風が合わなかった」ということのないように、自分に合った社風の会社を見極める方法を3つ紹介します。
自分の理想の社風を明確にしておく
社風が合わないと感じることがあったら、具体的にどのような点に違和感を持ったかを明確にしておくとよいでしょう。
客観的に自己分析して、何がどう受け入れられなかったのかが分かれば、同じような社風の企業を避けるのに役立ちます。
また、「仕事への向き合い方」「職場の人間関係」「社内の雰囲気」「会社全体の価値観」などについて、受け入れられることと受け入れられないことを書き出していく方法もおすすめです。
自分の理想の社風を把握でき、自分に合った企業を選ぶ際の手助けになるでしょう。
公式ウェブサイトや口コミをチェックする
求人サイトや企業のウェブサイトなどで、企業情報をしっかりチェックしておきましょう。企業のWebサイトには経営理念などのほかに、経営者のプロフィールやメッセージなどが掲載されていることも多いので、必ず目を通しておくことをおすすめします。
経営者の考えや方針は、社風を推測するための重要な材料の1つです。また、社員インタビューなどもあれば、チェックしておきましょう。現場で働いている人の生の声から、会社の雰囲気が伝わってくることもあるためです。
ほかにも、過去に働いていた人の口コミが載っているサイトなどを見るのもよいでしょう。
面接時に質問する
面接の際に、直接聞いてみるのも良い方法です。面接官もその企業で働いている社員の1人なので、話の内容から社内の雰囲気をより詳しく感じ取れるかもしれません。前職の企業の社風などを引き合いに出すと、自然な流れで質問できます。
直接聞きにくいときは、会社の方針やビジョンなどを具体的に聞いてみるのもおすすめです。限られた時間内で効率的に聞けるよう、事前にウェブサイトなどをチェックして、詳しく知りたい内容をまとめておくとよいでしょう。
志望動機を社風にするときの3つのポイント
転職先の企業への志望動機を社風にすると、面接で理由を聞かれることもあるので、しっかり答えられるよう事前に準備しておくことが大切です。面接で好印象を持たれるためのポイントを解説します。
なぜ社風に共感したかを具体的に説明する
ただ「社風に共感したため」と伝えるだけではなく、どのような点に共感したのか、それはなぜかなどを具体的に伝えることが必要です。
その企業の社風に共感したということは、自分の価値観と重なるものがあるということです。社風に共感した理由をしっかり答えることで、面接官に自分の人柄や人間性も伝えられるでしょう。
自分の考え方が企業の方針にマッチしていることを、アピールできるチャンスでもあります。
その社風の中でどう活躍できるかを伝える
ただ社風に共感できるということだけでなく、その社風の中で自分がどのように活躍でき、目標を達成して会社に貢献できるかも伝えられると、面接官への印象もアップします。
企業は、自社にとってメリットがある人材を採用したいと考えるものです。社風が好きだからという理由だけでは、面接で好印象を残すのは難しいでしょう。
自分のどのような部分が社風にマッチしており、その結果どういう仕事ぶりを発揮できるかを、具体的に伝えることが大切です。
社風を知った理由を答えられるようにする
どこで社風を知ったかを聞かれることも想定して、答えを準備しておくのがおすすめです。公式サイトを見たと説明するのであれば、企業の事業内容や社会貢献などの取り組みを見て感じたことなどを、具体的に織り交ぜて説明するとよいでしょう。
CSR(企業の社会的責任)の一環として、さまざまな社会貢献活動を行っている企業の場合は、具体的な活動内容を挙げて社風を知ったきっかけとすると、より説得力が増します。
「社風が合う」は働きやすさの理由の1つ
企業にはそれぞれ独自の社風があり、その良し悪しは社員1人1人の受け止め方によって異なります。しかし、社風が合わないと仕事の効率に大きく影響したり、社員のストレスの原因になったりすることもあります。
もし社風が合わないと感じたときは、「仕事に対して自分は何を求めているのか」を、優先順位をつけながら考えてみるのがおすすめです。自分が働きやすいと思える社風の会社を、見極めるためにも役立つでしょう。