通勤経路を提出するのは交通費の計算のためだけでなく、事故などの不測の事態が起きたときのために、会社が従業員の通勤経路を把握しておく必要があるからです。通勤経路を書くのが苦手な人のために、書き方を詳しく解説します。
通勤経路の書き方は?
通勤経路を書く方法には、主に3つの方法があります。1つは「ネットの地図を印刷する」、2つ目は「手書きする」、3つ目は「文章で書く」です。それぞれの方法について詳しく説明していきます。
ネットの地図を印刷する
自宅から駅までの地図を提出するよう求められたときには、ネットの地図を印刷する方法があります。手書きするより建物の位置関係などが分かりやすく、地図を書くのが苦手な人にとっても便利です。
地図を表示させるにはGoogleマップなどの「経路検索機能」を使います。出発点・目的地の住所を入れて、交通手段を選択すると経路が表示されるので、その画面を印刷すればOKです。印刷した地図に赤ペンなどで経路をなぞっておくと、分かりやすいでしょう。
PDFデータとしても保存できるので、メールに添付して送りたいときにもおすすめです。地図のURLをコピペしてメールすれば、表示されている経路を共有できます。
手書きする
印刷できない場合や、指定された用紙に書き込まなければならないときは、手書きします。全体の位置関係などを見るためには、パソコンやスマートフォンに書きたい地図を表示させて、参考にするのがおすすめです。
略図を書くときは、出発点・目的地の書き方にも気を付けましょう。出発点を下側に、目的地を上側に書くと分かりやすくなります。
文章で書く
通勤経路を、文章で書かなければならないケースもあります。電車やバスなど公共交通機関を使った通勤経路を提出する場合は、文章にして説明することが多いでしょう。
文章にするときは、通勤手段ごとに必要な情報をまとめて、分かりやすく書くことがポイントです。簡潔に短い文章でまとめましょう。
特に徒歩経路などを説明するときは、なるべく分かりやすいルートを選ぶことも大切です。
通勤経路を「手書き」するときのポイント
通勤経路を地図や略図に手書きするときは、見た人に分かりやすく書くことが大切です。地図を書くのが苦手だという人も、書き方のポイントを押さえておけばそれほど苦労せずに書けるでしょう。
手書きする際のポイントを具体的に説明します。
できるだけシンプルに書く
地図を手書きするときは、誰が見ても分かるようにできるだけシンプルに書きましょう。ネットの地図などを参考に書くのもおすすめですが、できるだけ簡略化することがポイントです。
細い道などはあえて省き、大きな道路のみを書くと分かりやすくなります。あまり細密に書き込まず、道路は直線にするなど思い切り省略して書くのがおすすめです。
目印になるものを書く
出発点から目的地までの間に、コンビニ・病院のような目印となるお店・ビルなどを書くと、分かりやすい地図に仕上がります。特に道を曲がる場所があるときは、どこで曲がればよいか目印を付けておくとよいでしょう。
毎日通っている人には分かる場所でも、初めて見る人にとっては分かりにくいこともあります。誰が見ても分かりやすい地図を書くには、書き始める前に目印になるものがないか、あらためてチェックしておくのもおすすめです。
目印になる建物などがない場合は、交差点の名前を入れるなど工夫してみましょう。
通勤経路を「文章」で書くときのポイント
通勤経路を文章で書くときは、簡潔に短文で伝えることがポイントです。また、通勤手段によって書き方の注意点も異なります。通勤手段別の書き方のポイントを見ていきましょう。
電車やバスは乗り継ぎの経由を分かりやすく
電車やバスなどを利用した通勤経路は、乗り継ぎの経由も含めて「箇条書き」にすると分かりやすくまとめられます。JRや私鉄などを複数乗り換える場合は、乗車地から降車地まで乗り継ぎ駅を明記しながら、鉄道会社別に書くことが必要です。
最寄り駅までバスで行く場合は、駅から自宅近くのバス停までの直線距離を確認しておくことをおすすめします。会社によっては、直線距離が2km以上ないと通勤手当として支給しないなどのように、基準を設けているケースもあるので注意しましょう。
車通勤の場合は道順や移動距離・所要時間も
車で通勤する場合は、距離・時間に応じてガソリン代が支給されるため、移動距離・所要時間を明記することが必須です。また、最短距離でのルートを求められることもあるので、最短の通勤経路の割り出しも必要になります。
移動距離・所要時間を調べるには、実際に車で走って計測してもよいですが、ネット地図の経路検索機能や、自動車ルート検索サービスなどを使うのがおすすめです。
ルート・所要時間のほか、行き方の説明も表示されるので、文章を書くのに役立つでしょう。
自転車・徒歩は悪天候の場合の経路を提出
自転車・徒歩での通勤は交通費が発生しないため、通勤経路の提出が不要な場合があります。しかし、悪天候のときに交通機関を使えるよう、電車やバスを使って通勤する場合の経路を提出しておくとよいでしょう。
また、安全上の理由から自転車通勤を禁止している企業もあるため、自転車での通勤が可能かも確認しておく必要があります。自転車通勤がOKの場合、駐輪場代の支給についても確認しておくと安心です。
通勤経路を文章で書くときの例文
通勤経路を文章で書くときは、交通手段によって書き方のポイントは異なるものの、分かりやすく書くという点ではどのケースにも共通しています。実際にどのように書いたらよいか、通勤手段別に例文を紹介します。
電車の場合
電車通勤の場合、乗り換えの経由地や鉄道会社もしっかり明記します。運賃や乗り換えにかかる時間も含めた所要時間を、記載するのも忘れないようにしましょう。
【乗り換えがない場合】
自宅(徒歩5分)-〇〇駅(JR〇〇線乗車 約30分 運賃300円)-△△駅(徒歩10分)-会社
【乗り換えがある場合】
自宅(徒歩5分)-〇〇駅(東京メトロ〇〇線乗車 約20分 運賃270円)-△△駅(JR△△線乗車 約10分 運賃170円)-××駅(徒歩5分)-会社
バスの場合
バス通勤の場合は、バスに乗る距離が会社の支給基準を満たしているか確認しておきましょう。
申告した距離を証明するために、距離証明書と呼ばれる書類の提出が必要になることもあります。距離証明書は、バス会社の営業所や定期券発行所などで発行しています。
【バスのみの場合】
自宅(徒歩3分)-〇〇バス停(〇〇バス乗車 約30分 運賃220円)-△△バス停(徒歩5分)-会社
【バスと電車の場合】
自宅(徒歩5分)-〇〇バス停(〇〇バス乗車 約15分 運賃220円)-△△駅バス停(JR△△線乗車 約20分 運賃290円)-××駅(徒歩5分)-会社
車通勤の場合
車で通勤する場合は、最短経路で申告します。道順を分かりやすく書くために、地図アプリなどの説明を参考にしてもよいでしょう。
また、移動距離・所要時間も記載します。ガソリン代の計算に必要なため、地図の距離計算機能を使って正確に割り出しましょう。
【車通勤の場合】
自宅-東方向に直進-〇〇交差点を左折、〇〇道路を北上-△△交差点を右折、△△線を直進-××交差点を左折、東方向に進行-会社
通勤距離・所要時間:30km 50分
通勤経路は正しく書いて提出しよう
通勤経路は虚偽のないよう、正しく書いて提出することが大切です。通勤経路を偽って、実際の金額より多く交通費をもらうのは不正受給にあたるため、返還を求められるだけでなく就業規則違反となって処分されることもあります。
引っ越しで通勤経路が変更になったときや、電車やバスの改定で経路が変わった場合は、なるべく早く会社に申告しましょう。