転職における面談と面接の違いとは。目的やメリットを解説

転職活動の際、「面談」が行われるケースがあります。面談は、面接と何が違うのでしょうか?転職活動でよく行われる、「カジュアル面談」と「オファー面談」の内容についても解説します。面談前に何を準備しておけばよいかも知っておきましょう。

面談と面接の違い

面接をしている様子

(出典) photo-ac.com

転職時には面接だけでなく、面談の場が設けられる場合があります。面談は、面接とどう違うのでしょうか?言葉の意味合いや、具体的な違いを解説します。

面接は応募者を評価し合否を決める目的

面接の基本的な意味合いは、人と会い、能力を評価・判断する場です。転職活動では、応募者の能力を見極め、採用・不採用を判断する場となるでしょう。

面接では、応募者に対して質問することで、能力や入社に対する意欲を判断します。趣味や自己PRを通して、人柄を見る目的もあるでしょう。

履歴書の確認や質問は、採用後に自社で活躍できる人材か判断するために行われます。就職、転職における面接は、応募者への質問形式が一般的です。

面接での会話は評価に直接かかわるため、事前に回答を考えるなどの準備が必要といえます。

面談は合否を決める場ではない

面談は転職以外の場面でもよく使われる言葉です。学校や企業でも、話し合いや査定のために個人面談が行われます。

転職以外の場面からも分かるように、原則的に面談に合否はありません。面談を行う相手と面談される側が、対等な立場で話をします。

ただし、転職活動中に面談が行われる場合は、状況によって意味合いはさまざまです。面談の結果、条件を満たさないことが判明した場合、選考や内定に進めない可能性もあります。

転職活動で行われる面談とは

パソコンを見ながら打ち合わせする二人

(出典) photo-ac.com

転職活動で面談が実施される場合、何を目的として行われるのでしょうか?主なケースを紹介します。面接とは違う目的があると理解した上で参加しましょう。

相互理解を目的とした対話の機会

面談は、企業に興味がある転職者と採用担当者が相互理解を深めるために設けられる場です。主に応募前のカジュアル面談や、内定前後の面談があります。

どの面談も、企業側が転職者から受けた質問に回答し、お互いに理解した上で応募や入社に進むのが目的です。十分な相互理解があれば、入社後のミスマッチを防げます。

対話が目的のため、転職者からの質問を受け付け、一方的な合否や採用の可否は決めないスタイルで行われます。極端なマナー違反がなければ、面接よりも質問しやすい環境といえるでしょう。

企業が面談を実施する目的

転職者側が応募する面接と異なり、面談は企業や採用担当者からの提案による実施も含まれます。採用したいと考える求職者にアプローチし、入社のメリットや魅力をアピールする目的もあるのです。

応募を待つだけでなく、企業が自分から動いて必要な人材を確保するための施策ともいえるでしょう。企業側からの提案で面談に参加した場合、その後の選考もスムーズに進む可能性が考えられます。

内定前後の面談は、理解不足がないかお互いに確かめ、入社や内定を確定するために実施されます。最終確認の意味合いもあり採用が覆るケースは稀ですが、何らかの問題が判明した場合は面談の場で話し合うことになるでしょう。

面談の主な形式

面談を受ける女性

(出典) photo-ac.com

転職活動中の面談には、いくつか形式があります。よく知られるカジュアル面談とオファー面談について見ていきましょう。実施されるタイミングもそれぞれ異なります。

選考前に行う「カジュアル面談」

カジュアル面談は企業が自社の魅力をアピールし、優秀な人材を確保する目的で実施されます。実施のタイミングは、転職者が選考に応募する前です。

カジュアル面談には、企業側からのスカウトや、参加者を募るタイプがあります。転職の意思が決まっていない人も、参加は可能です。面談後、選考に進むか否かは応募者が自由に決められます。

企業の話を聞き、応募の意思が固まれば選考に進みましょう。応募者が自分のキャリアビジョンや目標を話すことで、お互いの理解を深めるための場です。

カジュアル面談の参加後、選考へのスカウトが行われる場合もあります。応募したい企業がカジュアル面談を実施しているのであれば、フィーリングを確認するために参加するのもよいでしょう。

内定後に行う「オファー面談」

内定が決まった後に、面談の機会が設けられるケースがあります。「オファー面談」と呼ばれ、労働条件の確認をした上で入社に進むパターンです。

面接の間は年収や福利厚生といった条件面が気になっても質問しにくいため、オファー面談時にはしっかり内容を確認しておきましょう。内定が出ていれば、細かい条件に触れてもマナー違反ではありません。

事前の説明と相違があるなど、条件が合わない場合は面談時に話し合いもできます。年収や福利厚生は能力・配属部署によって変わる可能性もあり、募集要項に書かれている内容とはズレがあるケースも想定しておきましょう。

内定前にオファー面談が実施される場合

オファー面談は、内定前に行われる場合もあります。内定前であっても面談であり、主な目的は最終意思確認や条件の提示です。

内定は出ていないものの、最終面接後であれば面談の結果で不採用となる可能性は低いでしょう。

ただし、条件面の問題や応募者の希望がかなわない状況では、採用が見送りとなる可能性もあります。納得のいく条件で入社を決めたいと思っても、内定前の過度な交渉には注意が必要です。

提示された年収や勤務形態が合わない場合は、自分から断ることもあるでしょう。

カジュアル面談に参加するメリット

面接を受けている女性

(出典) photo-ac.com

通常の選考ではなく、カジュアル面談に参加するメリットはあるのでしょうか?気軽なコミュニケーションや質問ができる、面談ならではの魅力を紹介します。

リラックスしてコミュニケーションできる

カジュアル面談の発言は、合否には関係ないとされています。志望動機や自己PRなど、採用にかかわる質問も基本的にはありません。緊張せずに担当者とコミュニケーションが取れるでしょう。

社風や仕事内容についても、気軽に質問できます。企業側も優秀な人材に社内の雰囲気を知ってもらい、採用につなげたいと考えているためです。

カジュアル面談で会話が弾むと、担当者に自分の魅力を知ってもらえます。マッチングがうまくいけば、選考もスムーズに進むでしょう。

自分の希望や条件を伝えられる

カジュアル面談では、条件面の話題もOKです。どうしても譲れない条件を確認し、合わないと感じた場合は選考に進まないという選択肢もあります。

応募するか否か決まっていないからこそ、気軽なコミュニケーションが取れるでしょう。企業側も、参加者にメリットがある情報は伝えたいと考えています。

年収や転勤の有無など、最低限確認しておきたいポイントはそれぞれあるはずです。ただし、面談後に選考へ進む可能性も忘れないようにしましょう。汚い言葉遣いや条件面ばかりしつこく聞くなど、マナー違反があるとイメージが悪くなってしまいます。

面談と面接は別とはいえ、気軽な場で態度が悪くなる応募者にはマイナス評価が下されると考えておきましょう。

カジュアル面談の準備

カフェで調べものしている女性

(出典) photo-ac.com

カジュアル面談に参加する前に準備をしておくと、当日の会話がスムーズに進みます。参加前にやっておきたい下調べや、面談当日にコミュニケーションを取るために心がけたいポイントを見ていきましょう。

会社や業界について調べておく

カジュアル面談は、気軽に参加できます。応募の意思が固まる前の参加も可能とはいえ、会社と業界について一通り調べておくと質問もしやすいでしょう。

会社概要や業務内容は、ホームページや募集要項を見れば確認できます。未経験の業界の場合は、業界全体の知識を頭に入れておきましょう。専門用語や、具体的な業務内容について質問する手間が省けます。

企業研究をしておけば、カジュアル面談で何を質問すればいいのか見当がつくはずです。

質問や懸念点をまとめる

カジュアル面談に参加する際には、いくつか質問を準備しておきましょう。選考前に確認したい項目を聞くチャンスです。

面談では、面接で聞きにくい内容についても質問できます。募集要項を見ても分からなかった条件面や、ホームページに載っていない業務内容について詳しく聞くのもよいでしょう。

特に重視する方針や条件については、面談で聞いておくと安心して選考に臨めます。選考後に「この条件であれば転職を検討しなかった」という事態にならないよう、面談で疑問を解消しておきましょう。

オファー面談の準備

パソコンを見て調べ物をする女性

(出典) photo-ac.com

内定前後に行われるオファー面談の際は、何を準備しておけばよいのでしょうか?当日の服装や、主な持ち物を紹介します。当日の確認事項についても、チェックしておきましょう。

当日の服装や持ち物

オファー面談を行う場合、一般的には企業側から当日の持ち物について連絡があります。指示に従い、忘れ物がないよう注意しましょう。服装は面接と同様です。これまでと同じく、スーツまたはスーツに準じた服装で面談に向かいましょう。

担当者から持ち物の指示がない場合、筆記用具とメモ用紙を持っていきます。面談の際に確認事項を手早くまとめるために、紙とペンがあると便利です。

当日に書類を渡される可能性を考えると、クリアファイルや印鑑があると役立つでしょう。書類が折れ曲がらないよう、バッグはA4サイズの書類が入るものを選びます。

確認すべき内容を整理

オファー面談は、入社前の最終確認の場です。これからの仕事について、労働条件を確認しましょう。

主に確認しておきたい内容は、「年収」「仕事内容」「配属部署や勤務地」「就業時間やシフト」「社内で利用できる制度」です。

年収については、内訳を確認するのがポイントです。みなし残業制度の有無や賞与を含んでいるかどうかにより、大きく異なります。

勤務地が遠方の場合は引っ越しについての相談や、通勤方法の確認もあるでしょう。想定される残業時間や福利厚生についても、入社前に聞いておきたいポイントです。

面談が行われる前に、必要事項をまとめておくと当日聞き忘れの心配がありません。

面談の目的は面接とは異なるが準備は必要

スマホとパソコンで調べ物をする女性

(出典) photo-ac.com

面談は、合否の判断を目的としない対話です。しかし、面談後には選考や入社の手続きが行われます。面接ではないからと気を抜かず、準備をしておきましょう。

選考前のカジュアル面談においては、面接では聞きにくい質問も可能です。内定前後のオファー面談では、条件面についてしっかり確認した上で入社を確定しましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授無を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備