夜勤で働く予定がある人は、夜勤手当の有無を事前に確認しておきましょう。基本給が同じなら、夜勤手当がある会社の方が、受け取れる給与の額は多くなります。これから夜勤のある仕事をしようと思っている人が知っておくべき情報を、チェックしましょう。
夜勤手当とは何か
夜勤手当とは、夜間に働くと支給されるお金のことですが、必ずもらえるとは限りません。どのような特徴があるのか見ていきましょう。
会社によって支給額や条件は違う
夜勤手当は、会社によってもらえる場合とそうでない場合があります。夜間に勤務する従業員に対する苦労をねぎらい、感謝の気持ちを込めて与えるものという位置づけで、支給するかどうかは「会社の考え方次第」です。
法律で扱いが決まっているわけではないため、支給額や支給される条件などは会社ごとに異なり、詳細は就業規則に記載されます。
夜勤は従業員の負担が大きいので、もらえた方が嬉しいと感じる人は多いはずです。夜勤手当の有無は、会社を選ぶ際のポイントの1つと考えてよいでしょう。
1回の夜勤ごとに支給
夜勤手当は「夜勤1回につき○円」と決まっているケースが大半です。支給額は会社により異なり、同じ職種だからといって必ずしも同じ金額になるわけではありません。
数千円程度の場合もあれば、1万5000円程度の場合もあります。会社が任意で決定するものなので、一概にいくらとは言い切れません。
同じ業務内容なら、多くの夜勤手当をもらえた方が収入は多くなります。基本給だけを比べるのではなく、夜勤手当の有無も考慮して会社を選ぶことも重要です。
夜勤手当と混同しがちな深夜割増賃金
夜間に働く人には、深夜割増賃金が支払われます。夜勤手当と混同しがちな深夜割増賃金は、どんな意味のあるお金なのか見ていきましょう。
労働基準法で定められている
夜勤手当がない場合でも、会社が従業員を深夜に働かせたときには「通常の賃金に上乗せした額」が支払われる決まりです。従業員は「基本給+深夜割増賃金」を受け取れます。
深夜の労働は昼間に比べて従業員の心身への負担が大きいことから、通常よりも高い賃金を受け取れるようにしているのです。
深夜割増賃金については労働基準法の第37条で定められており、深夜の勤務に対し通常の賃金しか支払われない場合には、会社が法律違反をしていることになります。
深夜割増賃金の計算方法
深夜割増賃金は「1時間あたりの基礎賃金×深夜労働時間×1.25(割増率)」の計算式で算出できます。2割5分以上の割増率でなければならない決まりです。
基礎賃金は基本給とも呼ばれ、役職手当や住宅手当などの各種手当を除いたものを指します。
月給の場合は年間の合計労働時間を12で割って、月あたりの平均労働時間を導き出しましょう。月あたりの平均労働時間で基礎賃金を割ると、1時間あたりの基礎賃金を導き出せます。
深夜労働に対してだけでなく、時間外労働や休日労働に対しても、割増賃金は支給されます。働き方によっては、さらに割増率が高くなる点を押さえておきましょう。
深夜割増賃金が発生する時間帯
深夜労働といっても、何時から何時までを深夜と感じるかには個人差があるでしょう。会社に判断が任されている夜勤手当とは違い、深夜割増賃金を払わなければならない時間帯は法律で明確に決まっています。
深夜割増賃金の支給が必要な時間帯は「22時〜翌日5時」で、この時間帯に働いた従業員に対して、会社は深夜割増賃金を払わなければなりません。
定時が21時〜翌日6時だったと仮定すると、深夜割増賃金が発生するのは22時~翌日5時の労働分です。
もし上記の例で6時以降残業したとすると、法定労働時間の8時間を超えているので、時間外労働に対する割増賃金も発生します。
夜勤手当に関する疑問
夜勤の経験がない場合、さまざまな疑問があるはずです。よくある疑問に対する答えを見ていきましょう。
基本給に含まれている場合も
夜勤手当が基本給に含まれ、給与明細上に記載されていないケースもあります。しかし給与明細に記載されていなくても、支払われている場合があるので注意しましょう。
夜勤のシフトのみの勤務では、基本給自体を日勤よりやや高めに設定してあるケースも多いものです。
夜勤手当と宿直手当の違い
会社に宿泊することを前提とした勤務を宿直といい、夜勤とは違い睡眠をとれる部屋を準備しておく必要があります。
宿直は、労働基準監督署の許可を受けることで労働時間に関する各種の規定の対象外にすることができ、労働の必要がほとんどありません。夜勤のように通常業務を行うわけではなく、夜間に緊急事態が起きたときの対処や施設内の見回りなどを任されるケースが大半です。
夜勤手当は夜勤をする人がもらう手当であり、宿直手当とはまったくの別物であることが分かるでしょう。
夜勤手当について事前にチェックしよう
夜勤手当がある会社に勤務すると、より多くの給与を受け取れます。しかし全ての会社が支給しているわけではないので、求人を探す段階で会社の待遇面をチェックする必要があります。
深夜に働く場合、夜間の勤務における心身への負担を考慮した割増率が上乗せされ、日勤の場合よりも多くの賃金を受け取れる決まりです。
深夜割増賃金は会社が支払わなければならないと法律で定められており、夜勤手当は会社の意思に任されている点を押さえておきましょう。
トリプルライセンスの税務・労務・法務ワンストップサービサー。
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著書:
はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 '22~'23年版 (2022~2023年版)