面接で「尊敬する人」を聞かれる理由は?答え方のポイントも紹介

面接で尊敬する人を聞かれたら、どう答えるのがよいのでしょうか?面接官がどのような意図で質問をしているのか、理解しなければいけません。答えるときの具体的な回答例や、尊敬する人を見つける方法も紹介します。

尊敬する人を面接で聞く理由

面接の様子

(出典) photo-ac.com

面接で「尊敬する人は誰ですか?」と聞かれることがあります。尊敬する人を聞く理由は、何なのでしょうか?面接官が知りたいと考えているポイントを解説します。

人柄や価値観を知るため

尊敬する人を聞くことで、応募者の人柄や価値観が分かります。なぜその人に憧れを持っているのかを聞くと、考え方を知るきっかけにもなるでしょう。

面接では、尊敬している「人」はそれほど重要視されません。重要なのは「理由」です。素晴らしい人を尊敬していたとしても、「なんとなく尊敬している」という理由では評価にはつながらないでしょう。

尊敬する理由やなりたい人物像を聞くことで、面接官は応募者本人について判断しています。自分の内面を伝えやすい理由や、尊敬する人を想定しておきましょう。

自分を客観視できているか

尊敬する人は、応募者の理想像です。憧れている理由からは、応募者に足りない能力や、近づこうと努力しているかどうかが分かります。すでに自分が持っている能力であれば、憧れにはつながらないでしょう。

面接官は応募者の答えを聞いて、自分のことを客観視できているか探ろうとしているのです。履歴書に記載した自己PRや志望動機とリンクできるような理由であれば、説得力が増すでしょう。

尊敬する人のリーダーシップに憧れている場合、今後リーダーシップを取れる人間になりたいと考えていることが分かります。自分が尊敬する人にどこまで近づけているのか、客観的に伝えるよう意識しましょう。

尊敬する人の代表的な回答例

考え事をする男性

(出典) photo-ac.com

尊敬する人を挙げる場合、いくつかの選択肢があります。誰を尊敬する人として挙げるかで、答え方も変わってくるでしょう。身近な人や偉人、著名人などケース別に回答例を紹介します。

家族など身近な人

両親・祖父母・その他の親族を回答する場合、客観的な理由やエピソードを加えることが大切です。自分は家族のことをよく知っていても、面接官は知らないということを意識しましょう。

【回答例】

私が尊敬するのは、父親です。毎日遅くまで仕事をしながら、家族も大切にしてくれます。昔、現場で働く父が真摯に顧客対応をする姿を見たとき、一生懸命な様子に尊敬の気持ちが湧いてきました。お客様がとても喜んで帰っていかれ、私も誇らしくなったことを覚えています。私も父のように、誠実な気持ちでお客様に対応したいです。

 

歴史上の偉人

歴史上の偉人は、面接官にも伝わりやすい回答です。マイナーな人を選ぶ場合は、偉人の経歴についても多少付け加える方がよいでしょう。

基本的には、面接官が想像しやすい偉人を挙げるとスムーズです。ただし、有名すぎる偉人の場合、ほかの人と内容が被ってしまうリスクはあります。

【回答例】

私の尊敬する偉人は、エジソンです。発明王と呼ばれ、数多くの画期的な発明を成し遂げたところに魅力を感じています。失敗を恐れず、成功するまで諦めなかったポジティブな姿勢があったからでしょう。私も、彼を見習いいろいろなことにチャレンジしていきたいと思っています。

 

著名人・スポーツ選手

有名な経営者や成功者などの著名人や、スポーツ選手を尊敬する人として回答する例もよくあります。経営者の場合はビジネスの話につなげやすく、スポーツ選手は努力や熱意をアピールしたいときに向いているでしょう。

【回答例】

私が尊敬しているのは、オリンピックに出場した○○選手です。○○オリンピックに出場したときは、けがの影響で100%の力が出せなかったと聞きました。しかし、努力を重ね、○○の大会で素晴らしい結果を残したところを尊敬しています。私も、諦めず努力を続ける○○選手の姿勢を見習い、結果を残せる人間でありたいと考えています。

 

尊敬する人を回答する際のポイント

面接の様子

(出典) photo-ac.com

尊敬する人を回答するときは、答え方によって印象が変わります。面接官が応募者の考え方を判断しやすいよう、分かりやすい構成を意識しましょう。基本的な回答のポイントを紹介します。

結論=人物名から答える

尊敬する人を答えるときは、「誰を尊敬しているか」から述べましょう。「尊敬している人は誰ですか?」という質問の結論は、人物名です。人物名を答えてから、理由やエピソードに移ります。

最初に尊敬している人をはっきり伝えることで、これから何を話そうとしているのかが伝わるでしょう。

人物名の後に、尊敬している人がどんな人なのかも合わせて伝えます。偉人や著名人であっても、面接官が知っているとは限りません。補足として、基本的な特徴は伝えるようにしましょう。

理由を具体的に答える

人物名や特徴を伝えた後は、「なぜその人を尊敬しているか」を答えます。尊敬する理由からは、将来なりたい理想像が浮かび上がるでしょう。

理由を答えるときは、具体的に述べることが大切です。曖昧に「すごい人だから」で終わると、どこを尊敬しているのかが分かりません。

面接では、誰を尊敬しているかで評価を変えているわけではありません。理由や具体的なエピソードから、応募者の人柄や価値観を知ろうとしています。

その人を尊敬するようになったエピソードがあるなら、積極的に盛り込みましょう。オリジナリティのあるエピソードを盛り込むことで、説得力が生まれます。

尊敬している人に近づく努力をしているか

面接で尊敬している人を聞くのは、本人の理想や憧れを確認し、価値観を知るためです。加えて、自分に足りない部分を補う努力をしているかも評価の対象になります。

「尊敬している」だけで終わらず、自分が尊敬している人に近づくために何をしているかを具体的に述べましょう。

小さな努力でも、コツコツと頑張る姿勢は面接官に伝わります。働いていく上で、その努力がどう役立つのかを伝えられれば、PRにつながるでしょう。

尊敬する人を見つけるには?

カフェでノートを開き考え事をする女性

(出典) photo-ac.com

面接のとき、尊敬する人を聞かれてからとっさに考えるのは難しいはずです。面接の前に尊敬する人を見つけ、ある程度方向性を考えておきましょう。尊敬する人の見つけ方を解説します。

共感・感謝した相手を考える

尊敬する人を見つけるなら、自分の得意な分野から探すのが最適です。スポーツ観戦が好きで、選手を応援し共感したときはアスリートを選ぶと深掘りができます。

本が好きなら作家、ゲームが好きならゲーム会社の経営者など、共感できる分野からは尊敬できる人が見つけやすいはずです。

自分が感謝している人を探すのもよいでしょう。両親や先生などお世話になった人の中に、尊敬できる人がいるかもしれません。感謝イコール尊敬ではありませんが、具体的なエピソードを出し「○○のようになりたい」と語れるのであれば、尊敬する人として挙げられます。

自身のターニングポイントから考える

尊敬する人を見つけるには、今までの転機や衝撃を受けた出来事を思い返してみるのもよいでしょう。進路や考え方が変わったときには、何かしら大きな影響を受けている可能性が考えられます。

これまでの人生でプラスになったターニングポイントを思い出し、変化の理由を思い出しましょう。誰かに影響を受けていれば、きっかけとなった人物に尊敬できるところがあるはずです。

大きな転機としては、学校の進路や転職を決意したときが挙げられます。まずは、きっかけとなった出来事や人物を深掘りし、自己分析を進めましょう。

伝わりやすいよう情報を整理する

尊敬する人・尊敬する理由・具体的なエピソードを考えた後は、情報を整理しましょう。面接では、面接官に分かりやすく伝えることが重視されます。

思いついたことを時系列で整理し、伝える順番を考えましょう。ノートやメモに書き出し、結論・理由・具体例に分けて分類すると組み立てやすくなります。

整理した情報は、最初に結論、次に理由と具体例をまとめ、最終結論につなげるよう意識すると分かりやすいでしょう。

好きな人を答えればいいわけではない

面接で聞かれているのは、「好きな人」ではありません。例えば歌手や漫画家のファンだとしても、「歌が好き」「作品が好き」という理由だと尊敬からは離れてしまいます。

あくまでも、発信する作品やイメージから、人として好ましいと考えているだけです。才能があるから尊敬しているという理由も、避けた方がよいでしょう。

面接では、尊敬する人に近づくための努力も評価されます。特殊な才能を持つ人物の場合、理想像に近づくところが想像できません。

人間的に尊敬できる部分があり、自分がなりたい姿に合致している場合が「尊敬する人」です。好きな人と尊敬する人が必ず一致するわけではないため、注意しましょう。

尊敬する人が見つからない場合

デスクワークをしている女性

(出典) photo-ac.com

過去の出来事を思い返しても尊敬する人が見つからないときは、まず「理想像」や「尊敬できると思う行動」を探すのが基本です。理想像や行動から尊敬する人を見つけるための方法を紹介します。

自分のなりたい姿から考える

尊敬する人が見つからないときは、自分がなりたい理想像を思い浮かべてみましょう。ある程度方向が定まった後は理想像に近い人物やエピソードを探し、複数人をピックアップします。インターネットを活用し、キーワードで検索してみるのもよいでしょう。

理想像から尊敬する人を見つけるには、深い自己分析が必要です。まず、自分がどうなりたいのか、目指す姿をイメージしなければなりません。

自分のなりたい姿は、幅広い範囲で考えましょう。理想像とする人物の職業や年代が違っても、共通する価値観や特徴があるはずです。責任感の強さやコミュニケーション能力など、自分が重視する特徴は何なのか、じっくり考えてみましょう。

個人に特定しない答え方

特定の人物に尊敬する人がいない場合、名前を出さずに尊敬できる行動・性質を挙げることも考えましょう。実際に尊敬している人が面接向きではない場合も、個人を特定しない方法であれば尊敬している箇所を伝えやすいはずです。

面接官も、誰を尊敬しているかではなく、理由や応募者の考え方を知りたいと考えています。個人名を出さなくても、意図は十分に伝わるでしょう。

個人名を出さない場合は、「困っている人を自然に助けられるような人」「さりげない気遣いができる人」など、なりたい理想像を答えます。善行を中心に伝えるようにすれば、面接官の好みで評価が下がる事態も避けられるでしょう。

尊敬する人に関する疑問点

ポイントのイメージ

(出典) photo-ac.com

尊敬する人が誰かによって、面接の合否に影響はあるのでしょうか?面接では、挙げない方がよい人物も存在します。尊敬する人を面接で質問することに問題はないのか、今後の方向性についても知っておきましょう。

尊敬する人に挙げてはいけない人はいる?

面接では、明確に評価が分かれる人物を挙げるのはおすすめできません。面接官が苦手な人物であった場合、評価を下げてしまう可能性があります。

誰を尊敬しているかだけで評価するのはNGですが、すでに勤務している従業員や社風と合わないと判断される可能性もありえるでしょう。

反社会的な人物や、実績・功績がよく思われていない人を挙げるのは避けましょう。多くの人が「人間的に素晴らしい」と思える人を選ぶ方が、リスクは少ないはずです。

また、思想によって評価が分かれる政治家や宗教家も、面接で尊敬する人として挙げるのは不向きでしょう。自分が心から尊敬している人であっても、強い主義や信条を思わせる人物は避けた方が無難です。

尊敬する人を聞くのはタブーって本当?

面接では、応募者の思想・主義・信条に関する理由で合否を決めてはならないとされています。本来、尊敬する人に関する質問には配慮が必要です。誰をどのように尊敬していても、仕事には関係がありません。

しかし、「誰を尊敬しているかで面接の合否を決めているわけではない」とすれば、面接官が質問すること自体に問題はないでしょう。差別的な問題を解消するため今後は減っていく可能性もありますが、質問されるケースを想定しておく方が面接対策になります。

面接で尊敬する人を聞かれたときは、思想や信条によって賛否が分かれる人を出すのはやめ、質問の意図である「価値観」や「働く上での理想像」を意識しましょう。

好印象な回答を事前に準備しておこう

考え事をするスーツの男性

(出典) photo-ac.com

面接で尊敬する人を聞くのは、主に応募者の人柄やなりたい姿をイメージしやすいためです。尊敬する人に近づくため、努力する姿勢もアピールできます。

その場ですぐに考えるのは難しい質問のため、面接前に対策として回答を準備しておきましょう。質問の意図を考えると、有名な特定人物を答えなくても問題はありません。

身近な人や、個人名を出さずに「尊敬できる行動」を挙げるのもよいでしょう。面接官の好みや評価が分かれそうな人物は避け、印象のよい人を選ぶのが基本です。