ホワイト企業とは?見分け方と注意点を把握して転職に成功する

一般的に良い会社を言い表すときに「ホワイト企業」という言葉がよく使われます。しかし、何をもってホワイト企業と判断するのか、わからない人も多いでしょう。ホワイト企業の特徴や見分け方、転職のコツを解説します。

ホワイト企業の特徴とは

打ち合わせの様子

(出典) photo-ac.com

一般的に、どのような企業がホワイト企業に当てはまるのでしょうか。ホワイト企業といわれる会社の多くに共通する特徴を解説します。

基本給が高く福利厚生が充実している

まずは待遇の良さが挙げられます。俗にいうブラック企業の特徴に、仕事量のわりに給与が低く、残業代も満足に支給されないことが挙げられます。

ホワイト企業はその逆で、基本給が業界水準かそれ以上、残業代や賞与もしっかりと支給されるのが特徴です。残業をしなくても、十分に生活できる水準の給与が支給されるともいえるでしょう。

また、ホワイト企業と呼ばれるところの多くは、福利厚生が充実しています。福利厚生の内容は企業の任意で決められ、個性が出るところです。

福利厚生が充実している企業ほど、社員思いでホワイトな企業といえるでしょう。

明確な評価制度があり離職率が低い

ホワイト企業と呼ばれる会社では、明確な評価制度が整備されている傾向にあります。透明でわかりやすい評価制度があれば、社員はどれだけの成果を上げれば評価されるかがわかるため、モチベーションが上がりやすくなっています。

社員がやる気を出して働ける環境があれば、会社への満足度も向上し、結果的に離職率の低下につながります。

離職率が低いことは、それだけ社員が長く働いているということです。ホワイト企業は、社員が満足して働ける環境を用意しているといえます。

研修制度の充実

研修制度が充実していることも、ホワイト企業の特徴です。人材の育成には、大きなコストがかかります。研修制度が充実していることは、そこにしっかりとコストをかけ、長期的に社員を育成していこうという企業の意志の表れでもあります。

逆に、ブラック企業は満足な研修もなしに、いきなり実務をさせることも珍しくありません。確かにそのような環境で成長する人もいますが、多くの人にとっては基礎的なスキルを身につけてから現場に出る方が安心でしょう。

女性の働きやすさ

ホワイト企業は、社員の働きやすさにも力を入れています。ジェンダー平等が叫ばれる現代では、特に女性が働きやすいと感じる企業は、ホワイト企業と呼ぶにふさわしいでしょう。

具体的には、産休や育休、フレックス勤務などの制度の整備が挙げられます。企業によっては、託児所を併設しているところもあるでしょう。

制度だけでなく、スキルアップの面での配慮も重要です。例えば、女性管理職の比率が高い企業は、ジェンダーによる機会の格差が少ないといえます。

ホワイト企業の見分け方:求人編

タブレットをチェックする

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ホワイト企業の特徴を理解したら、求人票で見分ける方法をマスターしましょう。ホワイト企業かどうかを、求人票から判断する方法を3つ紹介します。

求人が頻繁に出されていないか

求人が頻繁に出されている企業は、ホワイト企業ではない可能性があります。頻繁に求人が出ていることは、人手不足を意味します。

人手不足の理由には、継続的な成長により常時人材を採用しているか、または離職率が高く慢性的に人員が足りていないかの2つが考えられるでしょう。

後者はいわゆるブラック企業の疑いがあるので、注意が必要です。

どちらかを見分ける方法は、その企業の売り上げの推移をウェブサイトなど見ることです。売り上げを順調に伸ばしていればホワイト企業、売り上げが横ばいなのに常時募集をかけているならブラック企業の可能性が高いといった目安となるでしょう。

採用条件がゆるすぎないか

募集の条件が不自然にゆるい場合は、注意が必要です。そのような求人を出す企業は慢性的な人材不足に陥っていることが多く、とにかく人手を集めようという思いが表れていると考えられます。

学歴不問や未経験歓迎など、採用のハードルが低すぎないかチェックしましょう。

また、業務内容や職種が曖昧な言葉で表現されている場合も、気をつけた方が良いでしょう。避けられがちな業務をぼかして伝えている可能性があります。

業務内容や職種名から、具体的な業務がイメージできるかも、ホワイト企業とブラック企業を見分けるポイントの1つです。

月の平均残業時間をチェック

どれだけ残業が発生しているかは、ホワイト企業を見分ける上での重要なチェックポイントです。平均残業時間は求人にも記載されていますが、職種によって差が大きいことも少なくありません。

職種ごとの残業時間を確認するなら、四季報や口コミサイトを見るのがおすすめです。口コミサイトには、実際にその企業で働いたことのある人のリアルな感想が書かれています。

ただし、口コミサイトの情報は個人が書き込んだものなので、安易に信じるのは良くありません。複数の口コミを確認して、総合的に判断することが大切です。

ホワイト企業の見分け方:実態編

打ち合わせの様子

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求人情報だけで、ホワイト企業かどうかを見抜くことは簡単ではありません。そのため、面接に行った際には自分の目で見極めることも大切です。ホワイト企業かどうかを、実態で見分ける方法を解説します。

選考時の雰囲気を見る

その企業の文化や社員のマインドは、選考時にも表れます。まずは面接官の様子から、会社の雰囲気を探りましょう。

具体的には、残業や休日、待遇面の質問に対してどのように答えるかが1つのポイントです。ホワイト企業の場合、そのような質問にも包み隠さず答えてくれるでしょう。むしろ、企業の方から説明することもあるようです。

しかし、ブラック企業の場合ははぐらかしたり、精神論を多く語ったりする傾向にあります。求人票の情報と合わせて、総合的に評価すると良いでしょう。

社内の雰囲気や社員の表情も確認

社員の会社への満足度は、表情や雰囲気など何気ない部分に表れます。面接に行った際に、社員の様子をうかがえる機会があれば、目を向けてみることをおすすめします。

ホワイト企業で働いている社員は士気が高く、社内の雰囲気にも活気が見られるでしょう。また、服装にも気を使っているため、身なりもきちんとしている傾向にあります。

一方で、ブラック企業の社員は慢性的に疲労がたまっていると考えられるので、どこか覇気がなく疲れたように見えるでしょう。社員の姿は自分の未来の姿でもあるので、自分がそうなりたいかどうか考えることもポイントです。

オフィスを実際に見る・SNSをチェックする

求人情報や企業のHPでは、企業側が情報をコントロールできるので、都合の悪い情報を隠すこともできてしまいます。しかし、実際のオフィスの様子や口コミ、SNSからはリアルな情報を入手できます。

例えば、平日の夜にオフィスの明かりがついていないか、SNSや口コミサイトが荒れていないかをチェックすると良いでしょう。

上記のような部分は、隠そうと思っても隠せないものです。企業から発信される情報だけでなく、自分の目で見て確かめることも重要です。

ホワイト企業は国の認定がある?

ポイントのイメージ

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ホワイト企業であることの、国からのお墨付きはあるのか気になる人もいるでしょう。実は、一定の部分で優れている企業には、政府から認定が与えられています。どのような認定制度があるか、見ていきましょう。

厚生労働省の認定制度

ホワイト企業の代表的な認定制度に、ホワイトマークがあります。これは労働安全衛生法を高いレベルで遵守している企業に与えられる認定です。ホワイトマークを取得すると、採用面でのブランディング効果が見込めます。

ほかには、以下のような認定制度があります。

  • ユースエール認定制度
  • えるぼし認定
  • くるみんマーク・プラチナくるみん

ユースエールは若手社員の採用や教育、雇用管理に優れた企業に贈られる認定です。えるぼし認定は、女性の社会進出に貢献している企業に贈られます。くるみん・プラチナくるみんマークは、子育てをよくサポートできている企業に与えられる認定です。

経済産業省の認定制度

経済産業省も認定制度を用意しています。代表的なものは、以下の3つです。

  • 健康経営優良法人認定制度

  • なでしこ銘柄

  • 新・ダイバーシティ経営企業100選

健康経営優良法人認定制度とは、高いレベルでの健康経営を行なっている企業に贈られます。なでしこ銘柄とは、女性の活躍に優れた企業に与えられる認定で、主に投資家向けのアピールとして有効です。

新・ダイバーシティ経営企業100選は、ダイバーシティの推進を経営レベルで実行できている100企業を評価するための認定です。

ホワイト企業に転職する際の注意点

スマホを手に考え事をする男性

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ホワイト企業に転職したいと思う人は多いはずです。しかし、ホワイト企業だからといって、すべて自分の理想通りの企業であるとはいえません。ホワイト企業に転職する上で、認識しておいた方が良いことを3つ解説します。

すべての部分がホワイトとは限らない

ホワイト企業と呼ばれている企業でも、完璧な職場環境というのは実際にはないと考えたほうが良いでしょう。

例えば、残業時間が少なく業務の負担が小さい代わりに、給与がさほど高くないこともあるでしょう。また、会社のルールや制度が整備されていることの裏返しで、ルールが複雑であったり、申請が面倒であったりといったことも考えられます。

客先でサービスを提供する職種では、自分の会社はホワイトでも取引先がブラック企業というケースもあるでしょう。

昔ながらのやり方が残っていることがある

ホワイト企業の特徴に離職率の低さがありますが、これは長年働いている社員が多いことも意味します。現在は昔と比べ、仕事への価値観や昔の悪い風習を撤廃しようとする動きが活発になっています。

しかし、長年勤めているベテラン社員の中には、古いやり方を変えようとしない人もいるかもしれません。また、今は大して意味をなさなくなった昔の慣習が残っている可能性もあります。

これは、離職率が低いホワイト企業ならではの注意点といえるでしょう。

業務内容が合わない場合がある

転職先がホワイト企業であることと、その会社で自分がやりたい仕事ができるかどうかは別問題です。人によっては求められる仕事のレベルが高かったり、逆にルーチンワークばかりでつまらないと感じたりすることもあるでしょう。

レベルの高い仕事をこなすことに達成感を持つ社員が、そのような会社を高く評価するのはある意味当然といえます。

そのような環境に「そこそこの仕事をこなして、それに見合った給与がもらえれば十分」という価値観の人が入ったら、職場に満足できないでしょう。

企業の評価だけでなく、業務内容が自分の希望通りかも確認することが重要です。

ホワイト企業への転職は難しい?

履歴書

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ホワイト企業には、誰もが入りたいと思うでしょう。それゆえ、ホワイト企業への転職は難しいのではないかと考える人もいるかもしれません。ホワイト企業への転職は実際に難しいのかを解説します。

企業規模が大きいと競争率が高い

企業規模が大きくなるほど、転職の難易度は上がると考えましょう。ホワイト企業として名前が知られているところは、多くの人が入りたいと思っています。大企業なら、なおさらでしょう。

それゆえ、ホワイト企業で規模が大きなところは、厳しい競争になることが予想されます。しかし、BtoB企業など世間一般にあまり名前が挙がることがない企業なら、穴場といえるかもしれません。

そもそも求人が少ない

ホワイト企業は社員が長く働きたがる企業です。そのため欠員が出ることが少なく、そもそも求人をあまり出していないケースがあります。また人気の高い企業なら、求人が出されてもすぐに枠が埋まってしまうことも考えられるでしょう。

ホワイト企業への転職を狙うなら、求人情報は常にチェックしておく必要があります。また、ホワイト企業からの求人が出されたら、スピーディーに応募することも重要です。

狙い目のホワイト企業は「中小企業」

大手のホワイト企業への転職はハードルが高いですが、中小企業なら採用の確率が高まる可能性があります。中小企業はあまり名前が知られておらず、採用の倍率が低い傾向にあるためです。

また、転職活動者の志向としても大手を好む人の方が多いと考えられるため、中小のホワイト企業は狙い目といえます。

具体的には、BtoB企業はBtoC企業に比べて世間一般の目に触れる機会が少なく、ホワイト企業のわりに知名度が低いケースが発生しやすいでしょう。

難関を突破して転職を成功させるには?

履歴書を手にしている男性

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中小企業が狙い目といっても、採用の難易度が高めなことに変わりはありません。ホワイト企業の選考を突破し、転職を成功させるためのコツを3つ解説します。

転職の軸を明確にする

転職活動をする際は、軸を決めることが重要です。軸とは企業選びの基準のことです。それは自分の価値観や将来のビジョンと密接に結びついており、自分が満足して働ける職場を選べるかどうかは、企業が自分の軸にマッチしているかどうかで変わります。

転職活動でよくある失敗例は、条件面だけで転職先を決めてしまうことです。どんなホワイト企業に就職しても、自分のやりたい仕事ができなければ後悔の元になります。

転職活動を始める際は、必ず軸を明確にしましょう。

希望企業が求める人物像を理解する

採用の可能性を高めるには、企業の求めている人物像と自分がマッチしている必要があります。転職の軸にマッチした企業を選別した後は、求人情報の求める人物像にも必ず目を通しましょう。

企業の求める人物像が自分の経歴やスキルとあまりにもかけ離れている場合は、採用の見込みは低いので選び直す必要があるかもしれません。

効率良く転職活動を進めるためには、自分が合格できそうな企業を見極める作業も大切です。

スキルや実績をしっかりアピール

選考に合格するには、企業に自分を採用したいと思ってもらうことが大切です。そのため、自分のスキルや実績は惜しみなくアピールし、自分を採用するメリットを伝えましょう。

このときに重要なことは、企業の求めるスキルや実績を重点的にアピールすることです。そのためにも、企業研究は欠かせません。

もしアピールできるものが見つからない場合は、協調性をアピールすると良いでしょう。企業は組織で動くので、協調性はどの企業でも求められる要素であるためです。

自分の実力が発揮できる企業を選ぶ!

ネクタイを締める男性

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ホワイト企業とは、一言でいうと社員が高い満足度で働ける企業です。ホワイト企業を見分けるには、求人だけでなく自分で足を運んでみた感触も併せて判断するのがポイントとなります。

しかし、一般的にホワイト企業といわれている企業でも、自分がそこで満足して働けるとは限りません。

ホワイト企業への転職を成功させたいなら、条件面だけでなく、自分の希望する仕事や実力を発揮できる仕事を選ぶことも大切です。

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鬼沢健士
【監修者】All About 暮らしの法律ガイド鬼沢健士

慶應義塾大学卒業。平成24年、茨城県取手市「じょうばん法律事務所」を開設。主に労働者側の労働事件(不当解雇など)や、インターネット詐欺被害救済(サクラサイト、支援金詐欺など)を取り扱う。
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