協調性をアピールするなら言い換え表現を使おう。自己PR例文も紹介

自己PRで協調性をアピールしたい場合は、言い換え表現を用いるのがおすすめです。単に協調性と言うだけでは、採用担当者に与える印象が弱くなってしまうでしょう。協調性の効果的な言い換え表現や、ケース別の例文を紹介します。

協調性は自己PRで使えるのか

会議をしている男女

(出典) photo-ac.com

自己PRで単に「協調性がある」とだけ伝えても、採用担当者によい印象を与えられない恐れがあります。企業が求める協調性の意味や、別の表現に言い換えた方がよい点を理解しましょう。

企業が求める「協調性のある人」とは

「協調性」は抽象的で便利な言葉ですが、人によって解釈が異なるケースがあります。企業が求める協調性の意味をきちんと理解していなければ、的外れな自己PRになりがちです。

企業が重視する協調性の中身は、企業により異なることも覚えておきましょう。求人票に「協調性がある人を求める」と記載されていても、具体的な能力や性質は異なる場合があります。

主にベンチャー企業や中小企業が求める協調性は、「意見が異なる上司や同僚と協力して物事を推進できる力」です。一方で大企業や老舗企業は、「会社のルールや規律を重んじて行動できる力」を求める傾向があります。

志望企業がどのような協調性を求めているのかは、自分で調べれば、ある程度推し量ることが可能です。企業研究を行う際に意識してみましょう。

自分に協調性があるか確認しよう

履歴書や面接で協調性をアピールするためには、そもそも自分に協調性がなければ話になりません。協調性がある人の特徴に自分が当てはまるかどうか、以下のポイントを見て確認しましょう。

  • 周囲と良好な人間関係を構築できる
  • 個人よりチームを優先する
  • 不平不満を言わない
  • 洞察力がある
  • 相手や周囲の感情を敏感に察知できる
  • 人に説明するのがうまい
  • 笑顔で過ごすことが多い

上記の項目に1つでも当てはまるものがあれば、協調性を自分の強みにできます。どうしても自分で判断できない場合は、家族や同僚など身近な人に聞いてみましょう。

ネット上にある無料の性格診断テストを受けてみるのもおすすめです。企業によっては適性検査を実施するケースもあるため、検査の対策にも役立ちます。

協調性は別の表現に言い換えるのがおすすめ

自己PRで「私の長所は協調性があることです」と伝えても、採用担当者に強い印象は与えられないでしょう。ほかにも多くの応募者が協調性をアピールするため、他者との差別化を図れません。

協調性にはさまざまな種類があるのもポイントです。単に「協調性がある」とだけ伝えても、どのような協調性なのか採用担当者が判断しにくくなってしまいます。

履歴書や面接で協調性を長所にするなら、言い換え表現を使うのがおすすめです。協調性があることにつながる別の表現を用いれば、採用担当者に協調性を強く印象付けられます。

協調性の言い換え表現

考え事をする男性

(出典) photo-ac.com

協調性の言い換え表現には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。自己PRで使える代表的な言い換え表現を紹介します。

周囲を巻き込む力

協調性の言い換え表現の1つに「周囲を巻き込む力」が挙げられます。チームの目標を達成するために周囲の人を束ね、きちんと成果を出せる力のことです。

周囲を巻き込む力は、いくつかの要素が組み合わされて成り立ちます。主な構成要素は「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」「主体性」「計画性」「交渉力」です。

例えば強いリーダーシップを持つ人でも、主体的に行動する力やゴールまでの道筋を立てる力がなければ、チームを目標達成に導くのは難しいでしょう。コミュニケーション能力がない人は、周囲を巻き込もうと思っても周囲の同意を得られない恐れがあります。

協調性の言い換え表現として周囲を巻き込む力を使えば、リーダーシップ・コミュニケーション能力・計画性などのアピールにもつなげられるでしょう。

傾聴力

「傾聴力」とは、相手の話を注意深く聞き、共感しながら話の本意も理解できる力です。コミュニケーション能力を形成する要素の1つであり、傾聴力があると企業に好印象を与えられます。

ビジネスシーンで傾聴力を発揮すれば、相手の真意やニーズを引き出せるほか、課題を見つけて解決策を考えることも可能です。問題解決力があることもセットにすると、より強いアピールにつながるでしょう。

傾聴力があれば相手に与える印象もよくなるため、取引先との信頼関係も構築しやすくなります。部下からの信頼も得やすくなることから、マネージャー職を目指す上でも重要なスキルです。

人間関係構築力

相手との相違点を尊重しながら関係を築ける「人間関係構築力」は、立場にかかわらず誰もが身に付けておくべき能力です。人間関係構築力がある人は、「他人と自分を比べない」「優劣にこだわらない」などの傾向があります。

人間関係構築力を持つ人が組織内に増えると、人間関係が良好になるためコミュニケーションが活発になります。メンタルヘルス不調者の発生も減らせるでしょう。

多くの企業で人間関係構築力が重視される背景には、働き方や価値観の多様化があります。あらゆる意味で自分とは違う人が社内に増えても、人間関係構築力があれば他者を尊重できるため、組織運営が円滑に進みやすくなるのです。

調整力

協調性は「調整力」にも言い換えられます。調整力とは、さまざまな立場・状況に置かれている関係者がいる中で、全ての人の利益となるような落としどころを探る力のことです。

調整力のある人がチームにいれば、関係者同士の対立を防ぎ、チームをよりよい方向に導けます。特定の人を納得させるのではなく、全体最適に近い解決策へと導ける点がポイントです。

調整力を発揮するためには、「情報収集力」と「情報を活用し利害を分析する力」が求められます。「利害を適切に調整し関係者に配慮する力」も必要です。

協調性が短所になる場合の言い換え表現

手帳に記入する手元

(出典) photo-ac.com

自己PRの場面では、長所と短所をセットにして書くのが基本です。協調性を長所にするなら、短所も長所の裏返しにすると自然な文章になります。協調性が短所になるケースでの言い換え表現を覚えておきましょう。

積極性に欠ける

協調性がある人は積極性に欠ける傾向があります。周囲の意見に合わせ過ぎるあまり、自分の主張を抑えようとする意識が働くからです。

周囲を巻き込む力がある人は物事を慎重に進めようとするため、思い切った行動をとれないケースもあるでしょう。積極的な行動にはリスクが付きものであり、慎重派の人がリスクを最小限に抑えようとするのは当然のことです。

積極性に欠けることを短所とする場合は、慎重な判断が求められる場面で重宝されることを強調するのがよいでしょう。特にミスが許されない経理職や開発職では、慎重さを強みに持つ人材が求められます。

八方美人

八方美人とは誰にでも愛想よく振る舞おうとする性格のことです。周囲の全員と良好な関係を築きたいという意識が強いため、自分を中心とした人間関係はよくなるでしょう。

しかし八方美人の人は誰からも同じような印象を持たれることが多く、特徴が少ない人とも捉えられかねません。誰にでもいい顔をすることで、精神的な疲労がたまりやすい点もデメリットです。

八方美人であることを自分の欠点だと思っているなら、本音が言い合える人を見つける必要があるでしょう。よい意味で人間関係に優先順位を付けることが大切です。

周囲の意見に流されやすい

協調性がある人は、周囲の意見に流されるケースも多くなるでしょう。各メンバーの意見を尊重し過ぎるあまり、自分では何も決められなくなる傾向があります。

周囲の意見に流されてしまう人には、「みんなと同じ行動をとって安心したい」「選択ミスをして恥ずかしい思いをしたくない」といった心理が働いています。

ビジネスシーンにおいては、自分で物事を判断できなければ対応が後手に回ってしまい、スピード感がなくなりかねません。主体性がない人と見なされる恐れもあります。

周囲の意見に流されやすいことを欠点とするなら、自分と周囲の考え方をバランスよく取り扱うようにすることを改善策にするのがおすすめです。

自分の意見を言えない

自分の意見を言えないことも、協調性の裏返しとして短所にできます。「そもそも自分の意見がない人」と「自信がなくて発言できない人」の2パターンに分けられるでしょう。

どちらのパターンに該当する場合でも、あらゆる場面で損をする機会が多くなります。周囲が嫌がる仕事を押し付けられたり、「本心が見えない人」と思われて敬遠されたりしかねません。

自分の意見を言えない人は、身近な人との雑談で自分の意見を伝える練習をしてみましょう。「自分の意見を言うことが相手のためにもなる」ということを意識するのも重要です。短所として伝える際は、克服しようとしている努力を示しましょう。

協調性を自己PRするときのポイント

協調性を自己PRする際は、応募書類や面接で効果的に伝わるようにポイントを押さえて書きましょう。どのような点に気を付けて書けばよいのか解説します。

具体的なエピソードを盛り込む

履歴書や面接で協調性をアピールする際は、具体的なエピソードを盛り込みましょう。どのようなシーンで協調性が発揮されたのかを説明すれば、長所としての説得力が強まります。

言い換え表現を用いる場合も、実際に長所として発揮された例を述べることが重要です。単に「私の長所は周囲を巻き込む力があることです」のように表現してしまうと、採用担当者に与える印象は弱くなってしまいます。

具体的なエピソードはプライベートの出来事ではなく、過去の仕事で長所が発揮されたシーンにするのがおすすめです。今まで働いたことのある職場で長所が発揮された場面を思い出してみましょう。

仕事でどのように生かせるのかを示す

協調性を長所にする場合は、仕事でどのように生かせるのかを示すことも大切です。具体的なエピソードを伝えた後に、「貴社でも同じような効果を出せる」という表現でも構いません。

長所と仕事を結び付けて伝えれば、採用担当者に入社意欲を認めてもらいやすくなるでしょう。入社後のビジョンが明確になっている点も伝わります。

企業や業界の研究をきちんと行っておけば、志望企業の評価が高まるようなコメントを作れるでしょう。希望する職種と協調性をリンクさせることも重要です。

【職種別】協調性の自己PR例文

協調性を長所とした自己PRの例文を紹介します。具体的なエピソードや仕事でどのように生かせるのかを盛り込むことが重要です。

事務

他部門と連携する機会が多い事務職は、全体最適に近い解決策へと導ける調整力をアピールするのがおすすめです。

<例文>

前職で事務スタッフとして働いていたとき、取引先から「営業からの書類提出が遅い」とのクレームを連続で受けたことがありました。私が営業部にヒアリングを行ったところ、既存の書類作成システムに問題があることが分かったのです。

改善を求めて上層部に掛け合い、ツールの導入により問題解決に至りました。事務スタッフが多くの部署と関わる貴社においても、調整力を発揮して業務をスムーズに進めていければと思っています。

 

営業

営業職は社内外のさまざまな人と接するため、関係各所と円滑に信頼関係を構築できる人間関係構築力をアピールするとよいでしょう。

<例文>

私の強みは人間関係構築力があることです。お客様との信頼関係を築くために、お客様とまめに連絡を取ることや、お客様のニーズを常に考えることを意識して仕事をしてきました。

お客様第一の姿勢で実直に営業活動を続けてきた結果、前職では多くの方から「あなただから買う」と言っていただけました。貴社でも人間関係構築力を営業に生かしていきたいと考えています。

 

販売

消費者と対面する機会が多い販売職は、協調性の言い換え表現として傾聴力を選ぶのがおすすめです。

<例文>

前職では携帯電話販売の接客をしていました。最初は自分が売りたい商品のアピールばかりしていたのですがまったく売れず、上司に相談したところ「お客様の不満や要望を聞きなさい」と言われたのです。

お客様の不満や要望を引き出すコツを覚えてからは、徐々に契約につなげられるようになりました。前職で培った傾聴力を貴社でも発揮できればと思っています。

 

協調性を効果的にアピールしよう

協調性は多くの企業が重視する長所の1つですが、抽象的な言葉であるため、採用担当者に与える印象が弱くなりがちです。自己PRで協調性をアピールするなら、別の表現に言い換えましょう。

協調性の主な言い換え表現としては、「周囲を巻き込む力」「傾聴力」「調整力」などが挙げられます。協調性を自己PRするときには、具体的なエピソードも忘れずに盛り込みましょう。