採用面接やES(エントリーシート)で、「仕事をする上で大切にしていること」を聞かれることがよくあります。その場でゼロから考えようとすると慌てやすいので、事前に回答のポイントを押さえておきましょう。内容をまとめる方法や、回答例を紹介します。
この記事のポイント
- 面接で「仕事をする上で大切なこと」を質問される意図
- この質問を通じて、企業側が何を見ているのかを理解することで、相手の求める回答に近づくことができます。
- 「仕事をする上で大切なこと」の見つけ方
- 自分が仕事をする上で何を大切にしているかを見つけるための、3ステップを紹介します。
- 「仕事をする上で大切なこと」の回答例
- 自分の価値観に近いものを参考にできるよう、アピールしたい内容別に具体例を挙げて、8パターン紹介します。
「仕事をする上で大切なこと」の質問で見られていること
採用面接やESの質問は、投げかけた企業側の意図をくみ取ることで、より相手の心をつかむ回答ができます。まずは、この質問で何を聞かれているのか、どのような回答が求められているのかを確認してみましょう。
仕事に対する姿勢
仕事を進める上での価値観を問うこの質問では、働き方のベースとなる「仕事への向き合い方」を確認しています。
熱意を持って仕事に取り組む人の方が、より入社後の活躍が期待できるため、モチベーションの高さや仕事への意欲が伝わると好印象です。
業務内容や会社との相性
この質問には、どのような価値観を持って仕事に取り組むのかを探ることで、入社後のミスマッチを避ける狙いもあります。
仕事の価値観は人ぞれぞれですが、組織の一員として働くことを忘れてはなりません。企業理念や社風に合う内容を話せると、採用する企業に対して、より自分の価値が伝わりやすいでしょう。
「仕事をする上で大切なこと」に似ている質問と見られるポ イントの違い
「大切にしている価値観とは?」「あなたにとって仕事とは?」なども、面接でよく聞かれる質問です。一見、「仕事をする上で大切なこと」と同じようにも感じられますが、少しニュアンスが異なるので比較してみましょう。
「大切にしている価値観とは?」との相違点
「仕事をする上で大切なこと」と「大切にしている価値観とは?」の質問では、対象としている範囲が異なります。仕事に限定している前者に対し、後者はその限りではありません。
回答の際には、家族や友人との人間関係・趣味や生きがい・お金への価値観など、仕事以外のことへも視野を広げてみましょう。
「あなたにとって仕事とは?」との相違点
こちらは仕事に求めるやりがいや成果など、仕事そのものに対する価値観を問われています。会社に何を求めているのかを明確にし、将来のビジョンを見据えて回答しましょう。
一方、「仕事をする上で大切なこと」では、仕事を進めていく上での信念や理想像を伝えます。
【3ステップ】「仕事をする上で大切なこと」の見つけ方
「仕事をする上で大切なこと」の回答を考えてみたものの、何も思い浮かばないという人もいるのではないでしょうか。今までに働いた経験のある人はもちろん、働いた経験のない人も、3つの手順を踏むことで見えてくるものがあるでしょう。
ステップ1.過去の経験を振り返る
まずやるべきことは、過去の経験を振り返り、具体的なエピソードを探してみることです。熱心に取り組んできたことや夢中になったことの中に、自分が大切にしたいことのヒントが隠されているでしょう。
振り返るときは、「何を大切に思っていたのか」「どのように行動したのか」、そして「何を得たのか」を軸に整理するのがおすすめです。集団行動のシチュエーションであれば、「どのような役割を担っていたのか」も考えてみましょう。
何も思い出せないときは、家族や友人など周りの人に聞いてみるのも有効です。また、成功体験だけでなく、うまくいかなかったことが何かを学ぶきっかけになっていることもあります。結果だけではなく、経緯に重きを置いて探ってみると、また違った視点から見えるものがあるかもしれません。
ステップ2.企業研究をして社風や特性を知る
次のステップとしてやるべきことは、応募先の社風を把握することです。実際の業務や事業の特性を確認したり、求人サイトなどに記載がある「求める人物像」からイメージを膨らませたりしてみましょう。
企業が大切にしていることと、自分が大切にしていることに共通点があるなら、相性が良いといえます。企業研究の結果と照らし合わせて、自分の強みをアピールしましょう。
また、応募先の企業に対する研究を怠ると、質問にうまく答えられないだけではなく、自分の価値観にマッチしない企業を選んでしまうリスクもあります。ここは、自分のためにも力を入れて深掘りしておきましょう。
ステップ3.なりたい自分をイメージする
3つ目のステップは、未来を想像してみることです。仕事を通じて「将来、どんな自分になっていたいか」「どのように活躍したいか」を、具体的にイメージしてみます。すると、そこに反映された「仕事をする上で大切なこと」の価値観があるはずです。
また、希望の職種や将来の目標が明確であれば、自分に必要なスキルを把握することもできます。それが、「仕事をする上で大切なこと」にも通じているのではないでしょうか。
「仕事をする上で大切なこと」の回答で好印象を与えるコツ
回答をまとめる際のコツを紹介します。素晴らしい回答を用意したところで、うまく相手に伝わらなければ意味がありません。どのようにまとめればよいのか、ポイントを押さえておきましょう。
最初に結論を述べ、端的にまとめる
聞く人の興味を引きつけるためには、結論を最初に、端的に伝えるのがポイントです。初めに結論を聞くことによって、その後に続くエピソードトークも結論を意識しながら聞いてもらうことができます。
全体の話の流れとしては、結論・理由・具体例、そして最後に入社後の姿をイメージしたまとめの順がおすすめです。
ポジティブなキーワードを意識する
面接の場なので、できるだけ意欲や情熱を感じさせるようなポジティブな言葉選びをしましょう。
「仕事をする上で大切なこと」の質問においては、「協調性」「信頼関係」「向上心」「努力」「責任感」「臨機応変な対応力」など、仕事の場での活躍が期待できるキーワードを意識するとよいでしょう。
具体的なエピソードを入れる
回答に説得力を与えるポイントは、具体的なエピソードを盛り込むことです。
抽象的な表現だけでは、他の人と同じで印象に残らなかったり、解答例を丸写ししたような印象を与えてしまったりすることがあるので、工夫しましょう。
根拠となるエピソードを添えることで、例えば「チームワークを大切にする」という結論は同じでも、信ぴょう性が増し、個性や人柄を伝えることができます。
最後に入社後にどのように生かしていくかを伝える
話の最後には、改めて結論を述べるのがスマートです。その際は、「仕事をする上で大切なこと」を入社後にどのような形で生かしていくのかという観点で、具体的に伝えるとよいでしょう。
入社後の活躍をイメージできるような締めくくりは、面接官に好印象を残すことができるはずです。
【NG例】避けた方がよい回答
面接の質疑応答において、あまりふさわしくないと思われる回答をおさらいしておきましょう。以下は、最低限心にとどめておきたいポイントです。
- 待遇面への言及は控えめにする
- 人物像が見えない、抽象的な表現はアピールが弱い
- できることが前提にあるような、社会人として当たり前のことは避ける
アピールしたい内容別「仕事をする上で大切なこと」の回答例8選
実際の解答例を見ていきましょう。アピールしたい内容別にまとめたので、自分が大切にしたいと考えているスキルや価値観に近いものから参考にしてみてください。
協調性
【例】
私が仕事をするときに大切だと思うものは、協調性です。連携して仕事に取り組まなければ、大きな仕事は成し遂げられないと考えています。
前職ではチーム内で仕事の取り組み方に関して議論する機会が多く、相手の意見を否定せずに受け止めることの大切さを学びました。仕事を成功させるために、どんな人と接するときも協調性を意識していきたいです。
【ポイント】
チームワークを重視する企業では、応募者の協調性を見極めようとします。チーム内で意見がぶつかっても、調整しながら問題に取り組める人は評価が高くなるでしょう。
コミュニケーション能力・思いやり
【例】
うまく仕事をするには、コミュニケーションが大切だと思っています。前職では既存の取引先に対する営業をチームで行っていました。
あるとき、連絡ミスが起きてお客さまに迷惑をかけてしまったことがあり、チームで仕事をする際は、ほかのメンバーと密に情報を共有するのが大切だと学びました。
顧客や仲間との良好な関係を維持するには、会話をする機会を増やし、スムーズにコミュニケーションが取れるように工夫することも重要だと考えます。
どんな仕事であっても、周囲とのコミュニケーションを深めていきたいです。
【ポイント】
仕事を成功させるには、顧客や仲間とのコミュニケーションが欠かせません。社外の人はもちろん、チームで仕事に取り組むのであれば社内の人との連携も必要です。そのため、コミュニケーション能力や思いやりを重要視する企業は多いでしょう。
責任感
【例】
私は仕事を完遂する上で、責任感を持って取り組むことが大切だと考えています。前職で人手が足りなくなった際には、休んでいる人の分も手分けして仕事を分担しました。
ギリギリの人員で動いていたためスケジュールの変更も考えましたが、待ってくれているお客さまのことを第一に考え、チーム全体で責任感を持って取り組んだ結果、期日に間に合わせることができました。
これからも、どんな仕事であっても責任感を持って取り組みたいと考えています。
【ポイント】
途中で仕事を投げ出さない人物と、一緒に働きたいと考える企業は少なくありません。責任感はどんな職種でも求められる能力なので、汎用性が高いと考えられます。
行動力・推進力
【例】
私が仕事で大切にしているものは、行動力です。前職で、マニュアル通りに進めていると柔軟な対応ができない部分が出てきたので、自分なりの改善策を考え上司に伝えたところ、スムーズに進むようになりました。
さらに、私は何かを始めるときは、自分の案を出すだけでなく必ず周囲に意見を求めるようにしています。仕事に対する改善点を周囲と共有することでアイデアがブラッシュアップされ、より発展的な展開が期待できるからです。
今後も行動力を持って仕事に取り組んでいきたいと思います。
【ポイント】
どんなに良いアイデアがあっても、行動力がなければ実行に移せません。行動力は事業を進めるために不可欠な原動力なので、重視する企業が多いでしょう。
主体性
【例】
私は、主体性を大切にしています。どんな仕事であっても目的意識を持って行動しなければ、企業に利益をもたらすことはできないと考えるからです。
仕事をする際はどのような状況でも、現状を分析し、自分で判断する姿勢を忘れないようにしています。前職では複数の仕入れ先を検討し、分散して発注する方法を実行した結果、大幅なコストカットができました。
ただし、間違った判断をしないために、周囲に意見を求めることも重要だと考えています。特に、チームで仕事に取り組む際は、必ず周囲の人の意見を聞いて総合的に判断するよう心掛けています。
これからも、周囲の意見に耳を傾けながら、自ら考え行動することを大切にしていきたいと思います。
【ポイント】
主体性がある人は、何もない状態から課題を見つけ自ら課題解決に向けて動けます。
自主性と混同しがちですが、既に決定していることに自ら取り組むのが自主性です。主体性はどんな職種でも必要とされる力であり、多くの企業が応募者に対して求めている要素といえます。
人の役に立つ・貢献意欲
【例】
私は仕事をするとき、人の役に立つことを大切にしたいと考えています。
休日には、月に1~2回のペースで近所のお寺で奉仕活動をしており、10年ほど継続中です。境内の掃除をしていると、参拝に来た人に「いつもありがとう」と声を掛けていただくことが多く、励みになっています。
困難な場面でも、「人の役に立っている」と考えると、やる気が湧いてくるのが私の個性です。人のために、そして会社のために、真摯(しんし)に仕事に向き合っていきたいと思います。
【ポイント】
仕事をするとき人の役に立つことを重視する人は、社会貢献への関心が深い人です。社会貢献を企業理念として掲げている企業と、相性が良いでしょう。
向上心
【例】
私は、仕事を通じて成長できるかどうかを大切にしています。これまでも、困難な仕事を任されたときほど、より大きく成長するチャンスだと考え、意欲的に取り組んできました。
例えば、前職で初めて大きなプロジェクトを任せていただいたときには、チームをまとめる立場としての反省点もありました。しかし、コミュニケーションを密に取るなど、さまざまな方法を試して実行するうちに、それまでできなかったことができるようになった実感があります。
どんなときでも、どうすれば自分やチームが成長できるかを考え、常に成長し続ける姿勢で仕事に取り組んでいきたいです。
【ポイント】
企業は、共に成長していける人材を採用したいと考えています。仕事を通じて成長できることを大切に考えている人に、好感を抱く企業は少なくありません。
柔軟な対応力
【例】
仕事を進める上で重視しているのは、柔軟な対応力です。お客さまからの要望はマニュアル通りでは対応しきれないことも多く、いつでも冷静に判断し、満足を得られる対応を目指しています。
前職では、サービス内容にご納得いただけない取引先のお客さまに対し、丁寧に話を伺い、別のご提案をさせていただくことで、ご納得いただけたことがあります。その経験から、お客さまのニーズを読み取り、柔軟に対応していくことの大切さを実感しました。
今後も、あらゆるシチュエーションを想定し、柔軟に対応していくよう心掛けていきたいと思います。
【ポイント】
会社というのは、さまざまな人が集まっています。社外との調整はもちろん、社内の円滑なコミュニケーションにも柔軟な対応力が重宝されるでしょう。
「仕事をする上で大切なこと」の質問に込められた意味を理解してアピールしよう
仕事をする上で何を大切にしているかは人それぞれですが、企業が求める人材をイメージして回答するのがポイントです。
協調性・責任感・主体性など、その企業が好印象を抱く言葉を、自分の体験を織り交ぜながら掘り下げて伝えられるように準備しましょう。応募先の社風や希望する職種によっても内容を調整すると、より面接官の心に響く回答ができます。
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