仕事をする上で大切なことをまとめる方法とは。具体例を紹介

採用面接で「仕事をする上で大切にしていることは何ですか?」と、質問される場合があります。その場でゼロから考えようとすると慌てやすいので、事前に回答のポイントを押さえておきましょう。内容をまとめる方法や、回答例を紹介します。

仕事をする上で大切なことを聞かれる理由

面接する男性

(出典) photo-ac.com

面接官が質問をする意図が分かっていないと、見当違いな回答をする原因になります。なぜ面接官は、仕事をする上で大切に思っていることを聞き出そうとしているのか、チェックしましょう。

仕事に関する価値観を知りたい

仕事をする上で大切なことを聞かれる大きな理由の1つが、仕事に関する価値観を探るためです。企業の価値観に合わない応募者を採用すると、ミスマッチが起きて早期退職のリスクが高まります。

どんなに能力が高くても、社風とかけ離れた価値観を持っている人は長続きしない可能性があるので、採用前の段階で見極めたいと企業側は考えているのです。

仕事をする際に「どのような姿勢で取り組むことが正しいと思っているか」「周囲の人とどのように接したいか」などを伝え、価値観を知ってもらいましょう。

仕事に対する意欲を評価したい

何を大切にしているかという質問の答えからは、仕事に対する意欲も見えてきます。同じ能力を持っているなら、意欲が強い人の方がより成長度が高く、成果を出してくれると判断されるのです。

プラスの評価を受けたいなら、組織の一員として働くに当たってふさわしい回答をしましょう。社風にマッチする内容や、誠実さ・協調性などが伝わる内容を好ましいと感じる企業が少なくありません。

話し方や話しているときの表情などもチェックされているので、気持ちを込めて伝えることが大事です。

コミュニケーション能力を確かめたい

価値観や意欲だけでなく、コミュニケーション能力もチェックされています。サービス業・接客業・営業など、人と接する機会が多い職種では特に重視される能力です。

人と接する職種ではなかったとしても、チームで仕事に取り組む場合はコミュニケーション能力が不足していると円滑に進められません。

自分の考えをどのように伝えようとするかをチェックすれば、コミュニケーション能力を測れます。話を分かりやすくするには、丁寧に伝えたり具体的なエピソードを盛り込んだりするといった工夫が大事です。

仕事をする上で大切なことの見つけ方

握手をする二人

(出典) photo-ac.com

何を大切に思っているかを意識せず、仕事に取り組んでいる人もいるでしょう。仕事をする上で大切だと感じるポイントを、見つける方法を紹介します。

自分の経験を掘り下げる

仕事をする上で何を大切にしているかを人に伝えるには、自分のこれまでの経験を振り返り、具体的なエピソードを探す方法がおすすめです。

例えば、仕事を成し遂げた経験を思い出し「どのような状況でどんな行動を起こし、結果として何を大切だと思ったのか」を、紙に書き出してみましょう。

経緯を伝えるのがポイントなので、大きな仕事を成し遂げたエピソードでなくても構いません。失敗から何が大切かを学んだ、というエピソードでもよいでしょう。「○○をした結果、周囲から褒められた」といった内容も効果的です。

身近な人に質問する

何を大切にしているかを示す根拠となるエピソードを、なかなか思い出せない人もいるでしょう。友人や家族と話をすると、自分にとって何が大切なのか思いつく場合が少なくありません。

一緒に仕事をしてきた仲間や上司と当時の出来事を振り返る中で、忘れていたエピソードが見つかるケースもあります。

一緒に仕事をした経験がなかったとしても、人の話の中からヒントが見つかることは珍しくありません。1人で考えていると行き詰まってしまう人は、ぜひ試してみましょう。

答えをまとめるコツ

手帳に書き込む男性の手元

(出典) photo-ac.com

何を大切にしているかは人それぞれですが、答え方を間違えるとよい印象を与えないので注意が必要です。答えをまとめるコツを見ていきましょう。

応募する企業の社風を把握する

企業が求める人物像と自分が大切にしているものが、あまりにもかけ離れた内容にならないように、応募先の社風を把握しておきましょう。企業が大切にしていることと、自分が大切にしていることに共通点があるなら、相性がよいといえます。

企業が求める人材の姿に合っていないと判断されれば、採用される確率が下がります。応募先の企業に対する研究を怠ると、面接で質問にうまく答えられないだけでなく自分の価値観とマッチしない企業を選ぶ失敗をしてしまうでしょう。

企業のウェブサイトやSNSなどは、必ずチェックしておきます。企業理念や社長の言葉はもちろん、社員の仕事への取り組み方などからも社風が見えてくるでしょう。

志望職種の適性を考える

志望職種とのマッチングも考えながら、内容を調整しましょう。入社後に活躍している姿をイメージできる内容にまとめることが大事です。

例えば、事務職を希望しているなら、事務職の仕事内容をしっかりと理解した上で何を大切にしているかを伝えます。

これまでと違う職種に転職しようとしている場合は、特に注意したいポイントです。その職種でうまく仕事をしていくために何が求められているのかも考えて、話を組み立てるようにしましょう。

避けた方がいい答え

面接官の女性と面接を受ける男性

(出典) photo-ac.com

どんなことを大切にしているかは個人差が大きいですが、あえて答えない方がよいものもあります。NGな答え方や注意点を見ていきましょう。

抽象的過ぎる内容

誰にでも当てはまるような、抽象的過ぎる答え方はやめましょう。例えば、「○○が大切だと考えています」だけで終わってしまうと具体性がありません。

ほかの人と同じ回答でも、内容を掘り下げると個性が出てくるはずです。話を具体的にするには、なぜそのような考えに至ったのかという、根拠となるエピソードを加えます。

○○を大切にしているという考えを、仕事でどのように生かしていくのかという点も加えるとよいでしょう。

向上心が感じられない内容

仕事に対する向上心が感じられない回答をすると、マイナスの評価を受ける可能性が高まります。「挑戦しない」「楽をすること」などの回答をすれば、採用しても企業にとってプラスにならないと評価されるでしょう。

企業側の利益をまったく考えない回答はNGです。「残業をしないこと」「安定して働くこと」などを大切に考えている人は多いですが、回答の仕方を間違えると、働く意欲がないと思われてしまいます。

残業しないことや安定して働くことで企業にとってどんなメリットがあるのか、という視点で考え、適切な内容にまとめましょう。

働く動機に関係する回答例

2人の面接官

(出典) photo-ac.com

何を大切にしているかの中でも、働く動機に関係するものは入社後の働き方をイメージさせやすく、好印象を与えやすいといえます。働く動機に関係する回答例を見ていきましょう。

人の役に立つ

仕事をするとき人の役に立つことを重視する人は、社会貢献への関心が深い人です。社会貢献を企業理念として掲げている企業と、相性がよいでしょう。

【例】

私は仕事をするとき、人の役に立つことが大切だと考えています。私は高校時代から月に1~2回、近所のお寺で奉仕活動をしており現在も継続中です。

境内の掃除をしていると、参拝に来た人に「いつも、ありがとう」と声を掛けていただくことが多く、励みになります。仕事に取り組む際も、人のために役に立っていると考えると、やる気が湧いてきて困難な内容にも取り組めます。

 

成長できる

企業は、共に成長していける人材を採用したいと考えています。仕事を通じて成長できることを大切に考えている人に、好感を抱く企業は少なくありません。

【例】

私は仕事を通じて成長できるかどうかを大切にしています。これまで、困難な仕事を任されたときほど、より大きく成長するチャンスだと考え、準備を念入りにしてきました。

自分1人で頑張るよりも、チームに貢献しようと考えて実行するうちに、それまでできなかったことができるようになった実感があります。例えば、コミュニケーションを密に取ることを意識するようになってから、連絡ミスがなくなりました。

どんなときでも、どうすれば自分やチームが成長できるかを考えて仕事に取り組んでいきたいです。

 

達成感を得られる

達成感を得るために仕事をすると、モチベーションの維持に役立ちます。達成感ややりがいを得たいと考えて取り組んでいる人は、簡単に仕事を投げ出さない人物として評価されるでしょう。

【例】

私が仕事で重視していることは、達成感を得られるかどうかです。私は顧客が喜んでくれたときに、大きな達成感を味わえます。

前職で顧客の問題解決に取り組んだとき、「○○さんにお願いしてよかった」という言葉を掛けていただき、契約を取れたこと以上にうれしいと感じました。

これからもお客様に喜んでもらえる仕事のやり方を意識し、リピーターを増やす努力をしていきたいです。

 

チームワークに関係する回答例

 

企業は応募者がチームワークを乱さずに、自分の能力を生かしながら働けるかどうかを気にしています。職種によっては、大きな評価ポイントになるので、注意して答えるべきです。どのような回答例があるのか、チェックしましょう。

協調性

チームワークを重視する企業では、応募者の協調性を見極めようとします。チーム内で意見がぶつかっても、調整しながら問題に取り組める人は評価が高くなるでしょう。

【例】

私が仕事をするときに大切だと思うものは、協調性です。連携して仕事に取り組まなければ、大きな仕事は成し遂げられないと考えています。

前職ではチーム内で仕事の取り組み方に関して議論する機会が多く、相手の意見を否定せずに受け止めることの大切さを学びました。仕事を成功させるために、どんな人と接するときも協調性を意識していきたいです。

 

リーダーシップ

企業はリーダーシップが高く、目標に向かって周囲の従業員を引っ張っていける強さを持っている人を評価します。どのように回答すればよいのか見ていきましょう。

【例】

私が仕事をする上で重要視しているものはリーダーシップです。これまで○○業界の法人営業の分野で、チームリーダーとしてプロジェクトをけん引してきました。

高い目標を掲げるだけでなく、チームメンバーが課題に取り組むにあたってどんな問題を抱えているかをヒアリングすることが、チームをまとめる上で大切だと考えています。

リーダーとして認めてもらうには、常に自分を研さんし続ける姿勢が重要です。チームのためにリーダーシップを生かすことは、自分を成長させるためにも役立つのだと考えています。

 

コミュニケーション

仕事を成功させるには、顧客や仲間とのコミュニケーションが欠かせません。社外の人と接する機会がなくても、チームで仕事に取り組むのであれば必要不可欠な能力なので、重要視する企業が大半です。

【例】

うまく仕事をするには、コミュニケーションが大切だと思っています。前職では既存の取引先に対する営業をチームで行ってきました。

あるとき、連絡ミスが起きてお客様に迷惑をかけてしまったことがあり、チームで仕事をする際は、ほかのメンバーと密に情報を共有するのが大切だと学びました。

顧客や仲間との良好な関係を維持するには、雑談する機会を増やし、スムーズにコミュニケーションを取れるように工夫することも重要だと考えます。

どんな仕事であっても、周囲とのコミュニケーションを怠らずに深めていきたいです。

 

シナジーを生み出す

シナジーはさまざまな分野で使われる言葉で、主に生物学や経営学などで、2つ以上のものが相互に機能を高め合うことを意味します。個人プレーよりもチームプレーを重視する企業では、好印象を持ってもらえる可能性が高い言葉です。

【例】

私は企業が発展するためには個々人が努力して、シナジーを生み出すことが大切だと考えます。

前職ではチーム内で意見がぶつかり合うことが多く、連携が取りづらい状態になる場合がありましたが、さまざまな意見を出し合ううちに、より複合的に物事を見られるようになりました。

これからもチームで仕事をする際には、意見を出し合える環境づくりにこだわり、お互いを高め合う努力をしていきたいと思っています。

 

自分が仕事に取り組む姿勢に関する回答例

仕事に取り組む姿勢を大切にしている人からは、仕事への意欲が感じられます。どのような回答例があるのか見ていきましょう。

責任感

途中で仕事を投げ出さない人物と、一緒に働きたいと考える企業は少なくありません。責任感はどんな職種でも求められる能力なので、汎用性が高いと考えられます。

【例】

私は仕事を完遂する上で、責任感を持って取り組むことが大切だと考えています。前職で急な病気で同僚が倒れて人手が足りなくなった際には、休んでいる人の分も手分けして仕事を分担しました。

ギリギリの人員で動いていたためスケジュールの変更も考えましたが、待ってくれているお客様のことを第一に考え、チーム全体で責任感を持って取り組んだ結果、期日に間に合わせることができました。

これからも、どんな仕事であっても責任感を持って取り組みたいと考えています。

 

行動力

どんなによいアイデアがあっても、行動力がなければ実行に移せません。行動力は事業を進めるために不可欠な原動力なので、重視する企業が多いのです。

【例】

私が仕事で大切にしているものは行動力です。前職で、マニュアル通りに進めていると柔軟な対応ができない部分が出てきたので、自分なりの改善策を考え上司に伝えたところ、スムーズに進むようになりました。

私は何かを始めるときは、自分の案を出すだけでなく必ず周囲に意見を求めるようにしています。

仕事に対する改善点を周囲と共有すると、よいアイデアが出てくるケースが多いからです。今後も行動力を持って仕事に取り組んでいきたいと思います。

 

モチベーション

モチベーションは、やる気を持って仕事に取り組むために必要なものです。モチベーションを維持し続けることは、パフォーマンスを高めるために重要な要素といえます。

【例】

私は仕事をする上で、モチベーションの維持が大切だと考えます。仕事をする目的意識が低いと、私自身も企業も成長できないと考えるからです。

モチベーションを高めるには、自分の仕事が社会に役立っているという意識を強く持つことが重要だと考えます。

前職では企業に届く「お客様の声」を定期的に閲覧し、モチベーションを高めようと努めていました。今後も目的意識を持って仕事に取り組み、よいパフォーマンスを発揮していきたいです。

 

主体性

主体性がある人は、何もない状態から課題を見つけ自ら課題解決に向けて動けます。自主性と混同しがちですが、既に決定していることに自ら取り組むのが自主性です。

主体性はどんな職種でも必要とされる力であり、多くの企業が応募者に対して求めている要素といえます。

【例】

私は主体性を大切にしています。どんな仕事であっても目的意識を持って行動しなければ、企業に利益をもたらすことはできません。

仕事をする際はどのような状況でも、現状を分析し自分で判断する姿勢を忘れないようにしています。前職では複数の仕入れ先を検討し、分散して発注する方法を実行した結果、大幅なコストカットができました。

間違った判断をしないためには、周囲に意見を求めることも重要だと考えます。特に、チームで仕事に取り組む際は、必ず周囲の人の意見を聞いて総合的に判断するように心掛けています。

 

自分の仕事観を掘り下げよう

仕事をする上で何を大切にしているかは人それぞれですが、企業が求める人材をイメージして回答するのがポイントです。

協調性・責任感・主体性など、その企業が好印象を抱く言葉を、自分の体験を織り交ぜながら掘り下げて伝えられるように準備しましょう。応募先の社風や希望する職種によっても内容を調整すると、より面接官の心に響く回答ができます。

自分が仕事をする上で大切に思っていることと応募先の社風がかみ合わない場合は、企業とのマッチングがよくない可能性があるので、一致する部分がある企業を選ぶことも重要です。